「・・・・・・!!!」
次の瞬間、声にならない悲鳴がその場に響いた。
・・・数分後、その場所にはいい汗をかいたギコ&ジエンと両目から滝のような涙を流す、二分の一ほどの毛を刈り取られたフサがいた。
三人の周りには茶色い毛が散らばっている。
「ふぅ・・・スッキリしたぞ。」
「ギコ、ヨカッタネ!」
次の瞬間、声にならない悲鳴がその場に響いた。
・・・数分後、その場所にはいい汗をかいたギコ&ジエンと両目から滝のような涙を流す、二分の一ほどの毛を刈り取られたフサがいた。
三人の周りには茶色い毛が散らばっている。
「ふぅ・・・スッキリしたぞ。」
「ギコ、ヨカッタネ!」
フサギコの髪は見事に切られてしまった。
「うぅ…髪が…。この世の終わりだ…。」
この世の終わりと聞いて皆はハッとした。
「…話を元に戻そう。」
「うぅ…髪が…。この世の終わりだ…。」
この世の終わりと聞いて皆はハッとした。
「…話を元に戻そう。」
ギコは上空を見上げながら静かに言った。
「この際、俺が昔どんな奴だったかはいい。
お前達の態度を見ると、今の俺と記憶を失う以前の俺はそう変わってないようだからな。」
そんなギコの横顔を見て、フサは軽く笑う。
「本当に・・・変わってないよ、ギコ。」
「この際、俺が昔どんな奴だったかはいい。
お前達の態度を見ると、今の俺と記憶を失う以前の俺はそう変わってないようだからな。」
そんなギコの横顔を見て、フサは軽く笑う。
「本当に・・・変わってないよ、ギコ。」
そしてフサはすぅ、と息を吸いつぶやいた。
「俺が何か言ったらすぐ毛を刈るってことがな…」
とたんにギコの耳がピクンと動き低い声で
「あぁ?なんかいいましたかぁ?」と言った。
フサはその声にびっくりしたのか後ずさりしようとしてコケた。
と、丁度フサの尻に何かがあたった。
「俺が何か言ったらすぐ毛を刈るってことがな…」
とたんにギコの耳がピクンと動き低い声で
「あぁ?なんかいいましたかぁ?」と言った。
フサはその声にびっくりしたのか後ずさりしようとしてコケた。
と、丁度フサの尻に何かがあたった。
「いってー。・・・?何だ?」
突然の触感にフサは後ろへと振り向いた。
そこにあったのは、小さい青色のカプセルだった。
「フサ、どうした?」
声のトーンを普通に戻し、ギコはフサに手を差し出した。
フサはギコが差し出した手を握り、そのまま起き上がった。
起き上がった直後、また彼は視線を後ろに戻す。ギコも彼の視線を追った。
「ギコ、あのカプセル・・・・。」
「ああ、すごく気になる。」
突然の触感にフサは後ろへと振り向いた。
そこにあったのは、小さい青色のカプセルだった。
「フサ、どうした?」
声のトーンを普通に戻し、ギコはフサに手を差し出した。
フサはギコが差し出した手を握り、そのまま起き上がった。
起き上がった直後、また彼は視線を後ろに戻す。ギコも彼の視線を追った。
「ギコ、あのカプセル・・・・。」
「ああ、すごく気になる。」
青いカプセルをじっと見つめる二人を見ている影が一つ。
そいつは顔に笑顔を浮かばせていた。だからといって、そいつは喜んで笑っているのではない。
むしろその逆の感情を抱いている。
「その青カプセルを持って、遠くに逃げてください。ギコ、『先輩』。
じゃないと僕は貴方を捕まえてしまいますよ・・・。」
・・・声は二人に届かなかった。
そいつは顔に笑顔を浮かばせていた。だからといって、そいつは喜んで笑っているのではない。
むしろその逆の感情を抱いている。
「その青カプセルを持って、遠くに逃げてください。ギコ、『先輩』。
じゃないと僕は貴方を捕まえてしまいますよ・・・。」
・・・声は二人に届かなかった。
「フタリトモドウスル?」
ギコの頭の上にいたジサクジエンが、フサの頭の上に移動しながら言った。
「どうするって言ってもなぁ・・・。」
ギコの頭の上にいたジサクジエンが、フサの頭の上に移動しながら言った。
「どうするって言ってもなぁ・・・。」
「・・・・・。」
青いカプセルの存在は気になる。
だが、易々と触ってもいいのだろうか?
ギコとフサはまったく同じ事を考えていた。
三人が知る由もない、モララーとしぃが追いかけていたカプセルみたいに動くわけでもない。
何の変哲もない、普通のカプセル。
青いカプセルの存在は気になる。
だが、易々と触ってもいいのだろうか?
ギコとフサはまったく同じ事を考えていた。
三人が知る由もない、モララーとしぃが追いかけていたカプセルみたいに動くわけでもない。
何の変哲もない、普通のカプセル。
森の中、白いAA・モナーが走る。
「こっちからギコの気配がするモナ・・・。」
「こっちからギコの気配がするモナ・・・。」
一本しかない道を懸命に。
だが、次第に表情が迷いのあるものになり、立ち止まった。
「でも、モララーとしぃちゃんも危ないモナ。」
最初、モナーはモララーとしぃの所へ向かおうと考えていた。
しかし、走っていくうちに、ギコの気配を二人のいる場所のまったく正反対から感じたのだ。
双方との状態は同じ――――――危険が迫っている。
「モナは、どうすればいいモナ・・・!?」
「どっちもいけないよ。」
「!!」
「なんせ、この俺にやられるんだから。おっ、ぱい!!」
だが、次第に表情が迷いのあるものになり、立ち止まった。
「でも、モララーとしぃちゃんも危ないモナ。」
最初、モナーはモララーとしぃの所へ向かおうと考えていた。
しかし、走っていくうちに、ギコの気配を二人のいる場所のまったく正反対から感じたのだ。
双方との状態は同じ――――――危険が迫っている。
「モナは、どうすればいいモナ・・・!?」
「どっちもいけないよ。」
「!!」
「なんせ、この俺にやられるんだから。おっ、ぱい!!」
「敵・・・!!」
モナーはそう叫ぶと、すぐさまその場所から離れた。
バゴ・・・・ドガーン!!
間一髪だった。
モナーが後ろへ振り向くと、先ほどまでいた場所が円形にへこんでいた。
敵によって計り知れないほどの衝撃が地面に加えられたためだ。
・・・・シュウゥゥゥと音を立てて出ている煙が物語っている。
モナーはそう叫ぶと、すぐさまその場所から離れた。
バゴ・・・・ドガーン!!
間一髪だった。
モナーが後ろへ振り向くと、先ほどまでいた場所が円形にへこんでいた。
敵によって計り知れないほどの衝撃が地面に加えられたためだ。
・・・・シュウゥゥゥと音を立てて出ている煙が物語っている。
「(おっぱい言ってる奴がこんな攻撃力を・・・?!)」
モナーがそう思いトンと円形にへこんだ穴の手前に降りた。が、そこには先程の敵の隣にもう一人のAAが改造した手榴弾を持って立っていた。
モナーは降りた時に目に入った砂埃を手でぬぐいもう一度敵の方を見た。そして絶句した…
「やっと思い出したのですね。モナーさん。」
モナーがそう思いトンと円形にへこんだ穴の手前に降りた。が、そこには先程の敵の隣にもう一人のAAが改造した手榴弾を持って立っていた。
モナーは降りた時に目に入った砂埃を手でぬぐいもう一度敵の方を見た。そして絶句した…
「やっと思い出したのですね。モナーさん。」
右手には手榴弾、左手には百合の花。
今、モナーの目の前にいる人物は・・・モナーのよく知っている人物だった。
驚愕の表情を浮かべるモナーに、百合がよく似合う人物は笑ってこう言った。
「お久しぶりですね。」
攻撃を放った、おっぱい発言を繰り返しているAA・ジョルジュは、百合がよく似合う人物の後ろから顔を出して、聞く。
「なぁに?偽モナーの知ってる人?」
「ええ、よく知っていますよ。モナーさんに、それはそれはお世話になりましたから。」
それを聞いたモナーは歯を食いしばる。表情からは驚愕がなくなり、変わりに悔しさと悲しさが入り混じったものになっていた。
「・・・なんでモナ・・・・偽モナー・・・・・。」
今、モナーの目の前にいる人物は・・・モナーのよく知っている人物だった。
驚愕の表情を浮かべるモナーに、百合がよく似合う人物は笑ってこう言った。
「お久しぶりですね。」
攻撃を放った、おっぱい発言を繰り返しているAA・ジョルジュは、百合がよく似合う人物の後ろから顔を出して、聞く。
「なぁに?偽モナーの知ってる人?」
「ええ、よく知っていますよ。モナーさんに、それはそれはお世話になりましたから。」
それを聞いたモナーは歯を食いしばる。表情からは驚愕がなくなり、変わりに悔しさと悲しさが入り混じったものになっていた。
「・・・なんでモナ・・・・偽モナー・・・・・。」
「なぜ?簡単な事です・・・全ては理想のため・・・」
「嘘モナ!!おまえは記憶を書きかえられてるだけモナ!!」
そんな事を言っても無意味だとモナーは分かっていた。
記憶を書きかえられてる者に何を言っても無駄だと知っているからだ。
―――とにかく今は退くモナ・・・ギコ達が気がかりモナ・・・
だけど・・・はたして逃げきれるモナ?今の状態では助っ人も期待できない・・・
とりあえず適当に話しを合わせて時間稼ぎモナ・・・―――
「嘘モナ!!おまえは記憶を書きかえられてるだけモナ!!」
そんな事を言っても無意味だとモナーは分かっていた。
記憶を書きかえられてる者に何を言っても無駄だと知っているからだ。
―――とにかく今は退くモナ・・・ギコ達が気がかりモナ・・・
だけど・・・はたして逃げきれるモナ?今の状態では助っ人も期待できない・・・
とりあえず適当に話しを合わせて時間稼ぎモナ・・・―――
「どうしたのですか?モナーさん。」
しばらく顔を伏せ、考え事をしていたモナーを怪訝そうに見る偽モナー。
モナーは、今では何の表情も浮かばずに顔を上げた。
「・・・よく、モナの居場所がわかったモナね。なぜモナ?」
時間稼ぎの為の台詞。少なくとも、モララーやしぃ、ギコの方へ向かわせてはならない。
偽モナーは右手にあった手榴弾をしまいながら言う。
「あなたの気配を感じたんですよ。」
そして、モナーに近づき、耳元で
「・・・・吸い取ったはずの『力』もね。」
誰にも聞こえないよう、言った。
しばらく顔を伏せ、考え事をしていたモナーを怪訝そうに見る偽モナー。
モナーは、今では何の表情も浮かばずに顔を上げた。
「・・・よく、モナの居場所がわかったモナね。なぜモナ?」
時間稼ぎの為の台詞。少なくとも、モララーやしぃ、ギコの方へ向かわせてはならない。
偽モナーは右手にあった手榴弾をしまいながら言う。
「あなたの気配を感じたんですよ。」
そして、モナーに近づき、耳元で
「・・・・吸い取ったはずの『力』もね。」
誰にも聞こえないよう、言った。
「モナの力を吸い取るつもりモナ?」
モナーは動揺せずに、偽モナーだけに小声で言った。
その時のモナーは、いつものほんわかした雰囲気が一切無くなっていた。
偽モナーはそれを見、静かに目を閉じる。
「いいえ、そんな乱暴なことをするつもりはありませんよ。
私に与えられた使命は、足止め・・それだけです。」
モナーは動揺せずに、偽モナーだけに小声で言った。
その時のモナーは、いつものほんわかした雰囲気が一切無くなっていた。
偽モナーはそれを見、静かに目を閉じる。
「いいえ、そんな乱暴なことをするつもりはありませんよ。
私に与えられた使命は、足止め・・それだけです。」
「足留め・・・?」
モナーの額から汗がツーっと流れた。
まさか、罠にはまった・・・?そう考えはじめていた。
ふいに偽モナーは静かに深呼吸をし、小声をやめジョルジュにも聞こえる程の声で言った。
「まぁそういうわけで、とりあえずちょっとついてきてくれないか?」
モナーはもうここでは従う以外に方法が無いと悟ったのか、素直にうなずき、偽モナーたちとその場から姿を消した。
モナーの額から汗がツーっと流れた。
まさか、罠にはまった・・・?そう考えはじめていた。
ふいに偽モナーは静かに深呼吸をし、小声をやめジョルジュにも聞こえる程の声で言った。
「まぁそういうわけで、とりあえずちょっとついてきてくれないか?」
モナーはもうここでは従う以外に方法が無いと悟ったのか、素直にうなずき、偽モナーたちとその場から姿を消した。
「取り合えず、このままにしておくわけにもいかないし、拾うか?」
「ギコに賛成。」「サンセイ!」
ギコ達はあの後数分の話し合いを始め、結果、『拾う』という結論にたどり着いた。
「ギコに賛成。」「サンセイ!」
ギコ達はあの後数分の話し合いを始め、結果、『拾う』という結論にたどり着いた。
「拾った後のこと、考えてるか?」
「いや、全然。」
「・・・・まあ、ギコらしいというかなんと言うか・・。」
「とにかく拾うぞ。」
「いや、全然。」
「・・・・まあ、ギコらしいというかなんと言うか・・。」
「とにかく拾うぞ。」
ギコはカプセルを拾った。
しかし何も起こらなかった。
「…?」
しかし何も起こらなかった。
「…?」
しかしその瞬間、カプセルから青白い光が放たれた。
ギコ達はびっくりして身を引くと、丁度目の前にAAの形が作られるように光がカプセルから出ている。
「これは一体・・・」
ギコは言ったその時、その光で作られていたAAが鮮明と浮き上がってきた。
「やぁ諸君、君たちがこのカプセルを拾ったと言う事は、この世界は終わっている時だろう。」
そう言い放つ光のホログラムで浮かび上がるAA。
「貴方は・・・!」
ギコ達はびっくりして身を引くと、丁度目の前にAAの形が作られるように光がカプセルから出ている。
「これは一体・・・」
ギコは言ったその時、その光で作られていたAAが鮮明と浮き上がってきた。
「やぁ諸君、君たちがこのカプセルを拾ったと言う事は、この世界は終わっている時だろう。」
そう言い放つ光のホログラムで浮かび上がるAA。
「貴方は・・・!」
「ウ・・・『ウララー』・・・?」
ギコはホログラムに映るAAの名前をポツリとこぼした。
全ての記憶を失っているはずなのに、なぜかコイツの名前は鮮明に覚えている。
間違いない、両耳に施されたあの跡。
モララーの裏の存在と言われている、ウララー。
ギコはホログラムに映るAAの名前をポツリとこぼした。
全ての記憶を失っているはずなのに、なぜかコイツの名前は鮮明に覚えている。
間違いない、両耳に施されたあの跡。
モララーの裏の存在と言われている、ウララー。
ズキン!
突如、ギコを強烈な頭痛が襲った。
「・・・っ!?」
ギコはその場に崩れ落ちる。
「どうした!?ギコ!」
突如、ギコを強烈な頭痛が襲った。
「・・・っ!?」
ギコはその場に崩れ落ちる。
「どうした!?ギコ!」
「い・・いきなり、頭が痛み出して・・・・。」
あまりの痛さに意識が朦朧とする中、ギコはなんとかそれだけを伝えた。
フサとジエンはそのギコの姿に気をとられていて、ホログラム上のウララーがニヤリと笑ったのには気づかなかった。
あまりの痛さに意識が朦朧とする中、ギコはなんとかそれだけを伝えた。
フサとジエンはそのギコの姿に気をとられていて、ホログラム上のウララーがニヤリと笑ったのには気づかなかった。
ギコの意識がどんどん遠のいていく…。
―俺は…もうダメなのか…?
―俺は…もうダメなのか…?
そう思った途端、ギコの脳裏に、ある映像が映りだした。
「・・・・!」
高いビルを見上げる二人の姿。
一人は笑ったような顔をしていて、後ろに日本刀のようなものをしばりつけている。
もう一人は背中から羽を生やしている・・・自分の、姿。
「・・・・!」
高いビルを見上げる二人の姿。
一人は笑ったような顔をしていて、後ろに日本刀のようなものをしばりつけている。
もう一人は背中から羽を生やしている・・・自分の、姿。
・・・なぜ、俺の背中から羽が生えている?
「ぐっ・・・・」
最早考えることさえ許さない頭の痛みが、ギコを襲う。
最早考えることさえ許さない頭の痛みが、ギコを襲う。
何かを思い出そうとしている、それはわかっている。
いったい、何を思い出そうとしているんだ。
いったい、何を思い出そうとしているんだ。
タカラはその様子を1kも満たないビルの屋上から見ていた。
とうとう、ギコがカプセルに触れてしまった。
やるせない気持ちの中、ふいに通信音が聞こえる。
「ギコの方はどうだ?モナーの方は今面白いことになってるぞ。
あの偽モナーとだ。悲惨な再開だな。昔の仲なんて忘れてるらしい。」
ククッとその通信の主が皮肉な笑いを出す。
タカラはそれを歯をくいしばって聞いていた。
「私も、もうすぐモララー達の方やらと向かわなければな。
あいつらももうすぐカプセルを手にする頃だろ。じゃあギコは頼んだぞ。」
そう言い残すと通信は消えた。
とうとう、ギコがカプセルに触れてしまった。
やるせない気持ちの中、ふいに通信音が聞こえる。
「ギコの方はどうだ?モナーの方は今面白いことになってるぞ。
あの偽モナーとだ。悲惨な再開だな。昔の仲なんて忘れてるらしい。」
ククッとその通信の主が皮肉な笑いを出す。
タカラはそれを歯をくいしばって聞いていた。
「私も、もうすぐモララー達の方やらと向かわなければな。
あいつらももうすぐカプセルを手にする頃だろ。じゃあギコは頼んだぞ。」
そう言い残すと通信は消えた。
「どうして、こんなことになってしまったのでしょうか…」
タカラは、常に絶やしていた笑顔を表情から消し、懐から二枚の写真を取り出した。
一枚は、一面花畑の中に立っている、傷だらけの『彼女』の写真。
自分とは正反対でけして笑うことがなかった『彼女』が、唯一笑った所を撮ったもの。
とても寂しそうに、タカラは写真の彼女に言う。
「…でぃさんだったら、どう思います?やはり間違いだと思いますか?」
タカラは、常に絶やしていた笑顔を表情から消し、懐から二枚の写真を取り出した。
一枚は、一面花畑の中に立っている、傷だらけの『彼女』の写真。
自分とは正反対でけして笑うことがなかった『彼女』が、唯一笑った所を撮ったもの。
とても寂しそうに、タカラは写真の彼女に言う。
「…でぃさんだったら、どう思います?やはり間違いだと思いますか?」
返答は、ない。
写真の中の「でぃ」は、ただ少しひきつったような感じでじっと笑っていた。
タカラが、言葉で返答はしない『彼女』に質問している中、
モララーの脳裏には、何枚ものの記憶という画像が通り過ぎていた。
一つ一つ思い出していくたびに、彼の手が、足が、ビクビクと震える。
口から言葉が漏れていく…
「モララー君!?」
その様子を見、しぃはモララーの手を握る。
モララーはいきなりの記憶の押し寄せに苦しそうな顔になりながらも、手を握り返す。
「大丈夫。流石の僕もこの仕打ちに現在進行中でまいっているだけだからな。
・・・少し、物は考えてするべきだね。管理人にはまいるなぁ」
「仕打ち・・・!?いったい、何が起こってるの!?」
しぃの問いに、モララーは笑って返す。
「間に合ってよかった。偽者の記憶を植えつけられる前に、僕に、『本当の記憶』が戻ってきて」
モララーの脳裏には、何枚ものの記憶という画像が通り過ぎていた。
一つ一つ思い出していくたびに、彼の手が、足が、ビクビクと震える。
口から言葉が漏れていく…
「モララー君!?」
その様子を見、しぃはモララーの手を握る。
モララーはいきなりの記憶の押し寄せに苦しそうな顔になりながらも、手を握り返す。
「大丈夫。流石の僕もこの仕打ちに現在進行中でまいっているだけだからな。
・・・少し、物は考えてするべきだね。管理人にはまいるなぁ」
「仕打ち・・・!?いったい、何が起こってるの!?」
しぃの問いに、モララーは笑って返す。
「間に合ってよかった。偽者の記憶を植えつけられる前に、僕に、『本当の記憶』が戻ってきて」
「本当の、記憶・・・?モララー君、思い出したの?」
モララーはうなずく。
「ああ、この世界がこうなる前の記憶をね。そして、僕達のつながりのことも」
「ああ、この世界がこうなる前の記憶をね。そして、僕達のつながりのことも」
「私たちの・・・・繋がり?」
今までこの世界どころか自分自身ですら得体の知れないモノであったのに、
モララーのその言葉はしぃにかすかな望みをもたらした。
「そうだよ。僕とギコと君と、それから・・・・」「まだ他に仲間がいるの?」
意味ありげに沈黙するモララーに焦れて、しぃが先をせかす。
その様子が自分の記憶の中のしぃと重なるのを感じて、モララーは思わず微笑んだ。
「うん、でも君に説明するのは時間がかかる。それにいずれ、嫌でもわかることに
なると思うからな。それよりも今はあっちの方が大事だよ。」
モララーがあれと称して指を差したのは、立ち止まる二人を待つかの様に静止するカプセルだった。
「思い出したんだ、カプセルの性質も。とても重要なものだよ。そしてこれを作ったのは…、僕達なんだ。」
今までこの世界どころか自分自身ですら得体の知れないモノであったのに、
モララーのその言葉はしぃにかすかな望みをもたらした。
「そうだよ。僕とギコと君と、それから・・・・」「まだ他に仲間がいるの?」
意味ありげに沈黙するモララーに焦れて、しぃが先をせかす。
その様子が自分の記憶の中のしぃと重なるのを感じて、モララーは思わず微笑んだ。
「うん、でも君に説明するのは時間がかかる。それにいずれ、嫌でもわかることに
なると思うからな。それよりも今はあっちの方が大事だよ。」
モララーがあれと称して指を差したのは、立ち止まる二人を待つかの様に静止するカプセルだった。
「思い出したんだ、カプセルの性質も。とても重要なものだよ。そしてこれを作ったのは…、僕達なんだ。」
「じゃぁあのカプセルに映し出された人物は一体・・・」
しぃは必死に今の状況を理解しようと必死に問いただす。
「あいつは・・・かつで僕達の友達だった人だったんだよ。」
モララーは静かに言った。その顔はまるで昔の悲しい出来事を思い出して今にも泣きそうな顔だった。
しぃは必死に今の状況を理解しようと必死に問いただす。
「あいつは・・・かつで僕達の友達だった人だったんだよ。」
モララーは静かに言った。その顔はまるで昔の悲しい出来事を思い出して今にも泣きそうな顔だった。
「モララー君・・・」
流石のモララーも、思い出された悲しい過去に耐え切れることは出来ず、一筋の涙を流した。
彼は慌てて涙をぬぐう。
「あ・・・ごめん。昔は泣かなかったのにな・・・」
流石のモララーも、思い出された悲しい過去に耐え切れることは出来ず、一筋の涙を流した。
彼は慌てて涙をぬぐう。
「あ・・・ごめん。昔は泣かなかったのにな・・・」
一筋のはずが、涙がボロボロと、次から次へと頬を流れていく。
記憶を無くす以前のモララーは泣くことはなかった。
・・・だが、記憶が戻ってきた瞬間、何かが彼の中ではじけた。
「アア、アアアアァァァーーー!」
大声を張り上げた彼は、知らぬうちに我慢していた自分に気づく。
「・・・・・・」
しぃは黙って、モララーの背中をさする。
小さな雨が生じる中、黄色のカプセルはモララーの足元へと転がっていった。
記憶を無くす以前のモララーは泣くことはなかった。
・・・だが、記憶が戻ってきた瞬間、何かが彼の中ではじけた。
「アア、アアアアァァァーーー!」
大声を張り上げた彼は、知らぬうちに我慢していた自分に気づく。
「・・・・・・」
しぃは黙って、モララーの背中をさする。
小さな雨が生じる中、黄色のカプセルはモララーの足元へと転がっていった。
『管理人さん・・・私達はどうなるのですか?』
―――・・・力を守るのと引き換えに、記憶がなくなるでつ。
『記憶が?お互いのことも忘れてしまうのか?』
―――その通り。でも、大丈夫でつよ。記憶を失うのは、一時的。時が来ればまた思い出す。
偽の記憶を植えつけられる前にこっちも努力しまつ。
―――・・・力を守るのと引き換えに、記憶がなくなるでつ。
『記憶が?お互いのことも忘れてしまうのか?』
―――その通り。でも、大丈夫でつよ。記憶を失うのは、一時的。時が来ればまた思い出す。
偽の記憶を植えつけられる前にこっちも努力しまつ。
「(記憶を失う以前・・・そんな会話をしたかな)」
涙が自然に止まる頃、モララーはぼんやりと思い出していた。
涙が自然に止まる頃、モララーはぼんやりと思い出していた。
「そうだ、思い出した。俺達はこの荒れ果てた世界を救う為にここに居るんだ。」
記憶をなくして力を手に入れたのもその為だった。
記憶をなくして力を手に入れたのもその為だった。
だが、メリットもある分、デメリットも存在していた。
「・・くん?モララー君?大丈夫?」
しぃのその言葉に、モララーははっと正気を取り戻した。
「あ、ごめ・・・、大丈夫」
情けない顔を見られまいと、両手で慌てて顔を拭う。
堰を切ったかのように泣き始めてから、ずっと隣で背中をさすっていてくれたらしい。
すっかり雨にぬれてしまったしぃを見て、モララーは情けない気持ちになった。
-今、僕が彼女を守らないで誰が守るっていうんだ・・・-
「有難う・・・、もう落ち着いたから。」
そう言ってモララーはカプセルを拾い立ち上がる。しぃもそれに続いて膝の泥を払った。
しぃのその言葉に、モララーははっと正気を取り戻した。
「あ、ごめ・・・、大丈夫」
情けない顔を見られまいと、両手で慌てて顔を拭う。
堰を切ったかのように泣き始めてから、ずっと隣で背中をさすっていてくれたらしい。
すっかり雨にぬれてしまったしぃを見て、モララーは情けない気持ちになった。
-今、僕が彼女を守らないで誰が守るっていうんだ・・・-
「有難う・・・、もう落ち着いたから。」
そう言ってモララーはカプセルを拾い立ち上がる。しぃもそれに続いて膝の泥を払った。
・・・メリットは「己の中に存在する力を守れる」ことだった。
現にモララー達は記憶を失ったことにより、無意識のうちに結界を作り出し、力を守っていたのだ。
デメリットは・・・今、現状としてギコ自身に起こっていた。
現にモララー達は記憶を失ったことにより、無意識のうちに結界を作り出し、力を守っていたのだ。
デメリットは・・・今、現状としてギコ自身に起こっていた。
頭痛はやまない。やむどころか、ますますひどくなっている。
ギコのあまりの状態に見かねたフサは、ホログラムのウララーのことを気にしながら、彼に近づいて小声で言った。
「ギコ。少し、横になった方がいいから」
彼はただ首を横に振る、「平気だ」という意味だろう。
声を出すことも不可能になりつつあるのだ。
フサは目つきを変え、声を荒立てた。
「何が『平気だ』だ、ええ!?どう考えたって、平気じゃないだろう!?
記憶を失っても、お前は本当に変わらないな!
いつもいつも、何もかも自分ひとりで背負い込もうとして!
モナーも、モララーも、しぃも!なんだよ、必死になりすぎて!
管理人・ひろゆきに命運をまかされたからって・・・辛い顔すんなよ、たまにはとぼけてみろよ・・・」
フサはハァハァと声と共に荒立った呼吸を整えながら、目を伏せた。
「世界がこんな風になってしまった今だって・・・俺達は仲間だから。頼って・・・ほしいから・・・」
ギコのあまりの状態に見かねたフサは、ホログラムのウララーのことを気にしながら、彼に近づいて小声で言った。
「ギコ。少し、横になった方がいいから」
彼はただ首を横に振る、「平気だ」という意味だろう。
声を出すことも不可能になりつつあるのだ。
フサは目つきを変え、声を荒立てた。
「何が『平気だ』だ、ええ!?どう考えたって、平気じゃないだろう!?
記憶を失っても、お前は本当に変わらないな!
いつもいつも、何もかも自分ひとりで背負い込もうとして!
モナーも、モララーも、しぃも!なんだよ、必死になりすぎて!
管理人・ひろゆきに命運をまかされたからって・・・辛い顔すんなよ、たまにはとぼけてみろよ・・・」
フサはハァハァと声と共に荒立った呼吸を整えながら、目を伏せた。
「世界がこんな風になってしまった今だって・・・俺達は仲間だから。頼って・・・ほしいから・・・」
心から自分達のことを思っているフサの言葉は、ギコの心を打った。
「(フサ・・・)」
ギコの言葉は声にはならない。だが、頭痛が先ほどよりやわらいできている。
無意識のうちにつっぱっていた何かが解けたからだろう。
その様子を見、ホログラムのウララーは歯軋りする。二人と一匹は歯軋りの音にホログラムへと振り向いた。
「よくも邪魔を!あの方の目的を達成するためには、ギコを手中に収めなければならなかったものを!!」
「やはり、そういう類いか」
最初からわかっていたようにフサは言う。ウララーは悪魔の形相でフサを睨み付けた。
完全にフサを敵視したらしい。今はホログラムでここにいるが、やがて、本体がここにくる。
「(二つのうち、一つの『完全体』、ギコ・フッサールでいられる時間はあと少しだ・・・ちょうどいいな)」
ゆっくり、ゆっくりと・・・フサの右頬にアステリスクが浮かび上がる。右手には包丁が存在しつつあった・・・。
「(フサ・・・)」
ギコの言葉は声にはならない。だが、頭痛が先ほどよりやわらいできている。
無意識のうちにつっぱっていた何かが解けたからだろう。
その様子を見、ホログラムのウララーは歯軋りする。二人と一匹は歯軋りの音にホログラムへと振り向いた。
「よくも邪魔を!あの方の目的を達成するためには、ギコを手中に収めなければならなかったものを!!」
「やはり、そういう類いか」
最初からわかっていたようにフサは言う。ウララーは悪魔の形相でフサを睨み付けた。
完全にフサを敵視したらしい。今はホログラムでここにいるが、やがて、本体がここにくる。
「(二つのうち、一つの『完全体』、ギコ・フッサールでいられる時間はあと少しだ・・・ちょうどいいな)」
ゆっくり、ゆっくりと・・・フサの右頬にアステリスクが浮かび上がる。右手には包丁が存在しつつあった・・・。
同時に、彼の中に別の意識が目覚める。
「世界が破滅した」時、ある二つの存在が不祥事により、一つになってしまった。
かといって、シャムではない。
かといって、シャムではない。
「(ああ・・・どうして、俺とアイツは一つになってしまったんだろう・・・)」
フサは笑っているのか泣いているのかわからない、奇妙な表情でそう思った。
頭の奥深くで別の声がコダマのように聞こえる。
(フサ・・・ドウシタ・・・?モウ少シデオレノ意識ニ支配サレルガ・・・)
(・・・いや、なんでもないよ。ギコを、頼む)
(マカセトケ!)
頭の奥深くで別の声がコダマのように聞こえる。
(フサ・・・ドウシタ・・・?モウ少シデオレノ意識ニ支配サレルガ・・・)
(・・・いや、なんでもないよ。ギコを、頼む)
(マカセトケ!)
ギコはやっと周りの状況が理解できるほどになった。
目の前には驚きのあまり目を見開いたジエンがいる。
驚きを通り越して口をワナワナさせてある方向を指している。
ギコはジエンが指す方向に振り向こうとするが、何者かの手によって制される。
茶色の毛並み、フサの手だ。
「ギコ、休めっテ言っタろ?シバラク横ニナッテテクレヨ!」
「(口調が変わった!?・・・!!)」
バサ・・・バサバサッ!
ギコが驚く間も与えず、フサの毛は抜ける。
その下にあったのは、性別不明のアイツの赤い肌だった。
目の前には驚きのあまり目を見開いたジエンがいる。
驚きを通り越して口をワナワナさせてある方向を指している。
ギコはジエンが指す方向に振り向こうとするが、何者かの手によって制される。
茶色の毛並み、フサの手だ。
「ギコ、休めっテ言っタろ?シバラク横ニナッテテクレヨ!」
「(口調が変わった!?・・・!!)」
バサ・・・バサバサッ!
ギコが驚く間も与えず、フサの毛は抜ける。
その下にあったのは、性別不明のアイツの赤い肌だった。
「アヒャヒャ、久シブリダナ!・・・ッテ言ッテモ記憶喪失ダカラオレノコトモ覚エテネェカ」
「(お、お前は・・・?)」
ギコの声は出てない。だが、元フサだったソイツはギコが言いたいことを理解していた。
「オット、驚カセテゴメン。オレノ名前ハ『つー』。『フサ』ノ・・・知リあイッテトコロダ」
ソイツ、つーはフサとは対照的な笑いを見せる。
「モチロン、オマエ達ノ仲間ダゼ!」
ギコの声は出てない。だが、元フサだったソイツはギコが言いたいことを理解していた。
「オット、驚カセテゴメン。オレノ名前ハ『つー』。『フサ』ノ・・・知リあイッテトコロダ」
ソイツ、つーはフサとは対照的な笑いを見せる。
「モチロン、オマエ達ノ仲間ダゼ!」
ギコはほっと胸を撫で下ろす。
「つー、それよりウララーが…。」
「分かってる。あんな奴俺が倒してやる。」
そして奴はやって来た…。
「つー、それよりウララーが…。」
「分かってる。あんな奴俺が倒してやる。」
そして奴はやって来た…。
パチン!
指を鳴らす音が聞こえる。
すると、ウララーのホログラムが消え去り、青いカプセルはギコの手中に収まった。
つーは音のした方へ包丁を投げた。
「ソコカ!」
指を鳴らす音が聞こえる。
すると、ウララーのホログラムが消え去り、青いカプセルはギコの手中に収まった。
つーは音のした方へ包丁を投げた。
「ソコカ!」
だが、つーの投げた包丁は途中で空中に静止してしまった。
「!!」
驚くギコとつーの目の前に包丁を空中に止めたAA、「3月ウサギ」は姿を現した。
「!!」
驚くギコとつーの目の前に包丁を空中に止めたAA、「3月ウサギ」は姿を現した。
「クソ!!」
つーは包丁を構え、走り出した。一直線に3月ウサギめがけて!
「無駄だ」
3月ウサギは足元に向かい、手を広げた。
ガクン!途端につーの足は前に進まなくなった。
「我が起源は『静止』、全てのモノの動きを『静止』させることにその存在意義がある」
つーは包丁を構え、走り出した。一直線に3月ウサギめがけて!
「無駄だ」
3月ウサギは足元に向かい、手を広げた。
ガクン!途端につーの足は前に進まなくなった。
「我が起源は『静止』、全てのモノの動きを『静止』させることにその存在意義がある」
「・・・つー!」
やっとギコは声を出せるようになった。
すぐさま、つーの方へと駆け寄る。つーは自嘲するように笑う。
「ハハ、チットモウゴケネエヨ・・・ギコ」
やっとギコは声を出せるようになった。
すぐさま、つーの方へと駆け寄る。つーは自嘲するように笑う。
「ハハ、チットモウゴケネエヨ・・・ギコ」
コッコッコッコッ
3月ウサギが近づいてくる。
足音が響く。しかし気配というものが一切感じられなかった。
そのだけ、何も存在していないかのように―――――――
彼はギコとつーまであと数歩いうところで、歩みを止めた。
「私はすでに『静止』している。即ち、存在が『静止』しているということである。
よって私はこれより、変化はしない。変化しないのであれば当然、モノは死ぬこと
が無い。何故なら、『死』も『存在の消失』という変化だからである」
3月ウサギが近づいてくる。
足音が響く。しかし気配というものが一切感じられなかった。
そのだけ、何も存在していないかのように―――――――
彼はギコとつーまであと数歩いうところで、歩みを止めた。
「私はすでに『静止』している。即ち、存在が『静止』しているということである。
よって私はこれより、変化はしない。変化しないのであれば当然、モノは死ぬこと
が無い。何故なら、『死』も『存在の消失』という変化だからである」
「どういうことだ?」
「・・・わからなければ、それでよい。だが、お前の体内ではすでに大きな変化が起こっている」
「・・・わからなければ、それでよい。だが、お前の体内ではすでに大きな変化が起こっている」
「何なんだよ!!小難しい事ばっか喋りやがっ・・・・!」
どなりかけたギコが途中でそれを止めたと思うと、
次の瞬間にはガクリとヒザをついて頭を抱えこんでしまった。
「オ・・・オイッ、ギコ!!ドウシタ!?」
「あ、あ、頭・・・が・・・、痛・・・・・」
苦しみ悶えるギコの尋常ならざる様子に、つーが青ざめて三月うさぎをにらみ付ける。
「オマエ!!ギコニ・・何ヲシヤガッタ!!」
「私は何もしていない。言ったはずだ、私はすでに『静止』していると。
ギコという存在は変化している。それは、よい方向でも悪い方向でもない、狭間の存在に」
そう淡々と言った三月ウサギはつーを鋭い目で見つめる。
「・・・お前は知らない。当の本人は自分自身で記憶を封じてしまったが、『ギコ・フッサール』がなぜ、【世界の消滅】と名づけられたあの日にお前に自分の体を譲り渡したのか!」
ギコという存在は変化している。それは、よい方向でも悪い方向でもない、狭間の存在に」
そう淡々と言った三月ウサギはつーを鋭い目で見つめる。
「・・・お前は知らない。当の本人は自分自身で記憶を封じてしまったが、『ギコ・フッサール』がなぜ、【世界の消滅】と名づけられたあの日にお前に自分の体を譲り渡したのか!」
「―――ッ!!」
フッサールの名前が出た途端、つーは言葉に勢いを失くしてうつむいた。
「ダマレ、オマエニ・・・・オマエニ何ガワカル・・・!!!」
動かない足を見つめコブシを握り締める。
フッサールの名前が出た途端、つーは言葉に勢いを失くしてうつむいた。
「ダマレ、オマエニ・・・・オマエニ何ガワカル・・・!!!」
動かない足を見つめコブシを握り締める。
「ならば、お前にはわかったというのか?」
その言葉を聞いてつーの頭にぼんやりと昔の記憶が蘇ってきた。
まだ町が賑わっていた頃、街頭の店やビルの光が輝いていて夜を明るく照らしていた頃の記憶が。
そう、あの時つーはギコ・フッサール……つーの片思いのAAが一緒に町中から近くの海へ歩いている時の記憶が蘇ってきたのである。
まだ町が賑わっていた頃、街頭の店やビルの光が輝いていて夜を明るく照らしていた頃の記憶が。
そう、あの時つーはギコ・フッサール……つーの片思いのAAが一緒に町中から近くの海へ歩いている時の記憶が蘇ってきたのである。
つーはフサの後を追い駆けていく。
するとフサは浜辺にある公共の椅子に腰をかけた。
フサは今にも沈みそうな夕日をぼーっと眺めている。
つーは思い切って「おーい!」と声を掛けてみた。
するとフサは浜辺にある公共の椅子に腰をかけた。
フサは今にも沈みそうな夕日をぼーっと眺めている。
つーは思い切って「おーい!」と声を掛けてみた。
「・・・ん?つー・・・?」
その時のフサは・・・後々、今になって考えてみれば、「知っていた」んだ。
「ドウシタンダ、フサ。イツモノオマエラシクナイゾ?」
「まあね・・・」
「ドウシタンダ、フサ。イツモノオマエラシクナイゾ?」
「まあね・・・」
めったに見せない憂いの表情で、フサは沈む夕日を眺め続ける。
「あのさ、つー。もし…俺がいなくなったらどうする?」
「あのさ、つー。もし…俺がいなくなったらどうする?」
突然の質問で、つーは驚きを隠しきれなかった。
「ナ・・・ナニイッテンダヨ、イキナ・・・」
「答えてくれ」
つーの追求を遮り、フサはさっきより強い口調で言い放った。
「ナ・・・ナニイッテンダヨ、イキナ・・・」
「答えてくれ」
つーの追求を遮り、フサはさっきより強い口調で言い放った。
「ソレハ・・・」
つーは、フサからの視線をとても痛く感じていた。
なんで、いきなりこんな質問をしてきたのだろう。
フサから目をそらして、顔をうつむかせて小声で答える。
「ワカラナイ。・・・デモ、オマエガキエルノハ・・・イヤダ」
つーは、フサからの視線をとても痛く感じていた。
なんで、いきなりこんな質問をしてきたのだろう。
フサから目をそらして、顔をうつむかせて小声で答える。
「ワカラナイ。・・・デモ、オマエガキエルノハ・・・イヤダ」
「そうか・・・ありがとう」
フサは、軽く微笑みそういった
フサは、軽く微笑みそういった
(アノトキ、フサハワカッテイタ。セカイガ「ハメツ」スルコト。
・・・ソシテ、ドウジニケツイモシテイタ。コノオレヲタスケルタメニ・・・アノバカフサハ・・・)
・・・ソシテ、ドウジニケツイモシテイタ。コノオレヲタスケルタメニ・・・アノバカフサハ・・・)
「わかっていなかったのだな・・・?」
フッとつーは三月ウサギの言葉に現実に連れ戻された。
フッとつーは三月ウサギの言葉に現実に連れ戻された。
「チガウ・・・」
「いや、お前はわかっていなかった」
「チガウ、チガウ!オレハ・・・アイツハ・・・!」
「いや、お前はわかっていなかった」
「チガウ、チガウ!オレハ・・・アイツハ・・・!」
「・・・言えないことが唯一の証拠。
分かっているのなら、今の私の質問にも容易に答えられるはずだ。
要は、分かっていなかった」
戸惑うツーの顔を鋭く見つめ、3月ウサギは冷たく言い放った。
分かっているのなら、今の私の質問にも容易に答えられるはずだ。
要は、分かっていなかった」
戸惑うツーの顔を鋭く見つめ、3月ウサギは冷たく言い放った。
「ヤメ、ロ・・・三月・・・」
途切れ途切れの言葉が二人の耳に届く。
声の方へ向くと、そこには必死に頭・・・いや、体全身をかけめぐる痛みに耐えながらも立ち上がるギコの姿があった。
途切れ途切れの言葉が二人の耳に届く。
声の方へ向くと、そこには必死に頭・・・いや、体全身をかけめぐる痛みに耐えながらも立ち上がるギコの姿があった。
「立つな。命に関わるぞ」
表情も声色もまったく変えず、三月ウサギはギコに言った。
ギコは余裕を見せるかのように口元を吊り上げる。
「ヘッ・・・俺はこれくらいじゃ死なねぇぞ・・・」
表情も声色もまったく変えず、三月ウサギはギコに言った。
ギコは余裕を見せるかのように口元を吊り上げる。
「ヘッ・・・俺はこれくらいじゃ死なねぇぞ・・・」
そう言ってギコは、三月に空中回し蹴りをくらわせた。
本来なら、ギコなんかにできる芸当ではないのに、今は、何かすっきりしていた。
「な…なぜだ…」
途切れ途切れの声で言う三月、その時三月の顔が割れ始めた。
本来なら、ギコなんかにできる芸当ではないのに、今は、何かすっきりしていた。
「な…なぜだ…」
途切れ途切れの声で言う三月、その時三月の顔が割れ始めた。
ギコがただ冷たく視線をやる中、
亀裂はさらに大きくなり、やがて、その中身が見えるようになった。
「・・・!」
つーは驚く。
本来あるべき場所に顔が無かった。先ほどまで三月ウサギだった物は、ただの黒い塊だった。
もう少し詳しく言えば、黒いオーラを発している―――闇を凝縮した物だった。
どこともなく、キッと顔を上げるギコ。
彼にはもう激痛など走ってはいない。あらんばかりの大声で叫ぶ。
「こんなチマチマはもうやめやがれ・・・近くにいるんだろ・・・?
早く出て来い!!『タカラ』ァァァァ!!」
亀裂はさらに大きくなり、やがて、その中身が見えるようになった。
「・・・!」
つーは驚く。
本来あるべき場所に顔が無かった。先ほどまで三月ウサギだった物は、ただの黒い塊だった。
もう少し詳しく言えば、黒いオーラを発している―――闇を凝縮した物だった。
どこともなく、キッと顔を上げるギコ。
彼にはもう激痛など走ってはいない。あらんばかりの大声で叫ぶ。
「こんなチマチマはもうやめやがれ・・・近くにいるんだろ・・・?
早く出て来い!!『タカラ』ァァァァ!!」
「あははっ見つかってたんですなギコ先輩!」
そう声がしてビルのうえからタカラが飛び降りてきた。
そう声がしてビルのうえからタカラが飛び降りてきた。
彼はギコの目の前へと降り立つ。
ギコは口元では笑っていたが、目はまったく笑っていなかった。
「ああ。あの激痛の中、どうしてかお前の気配を強く感じたからな」
相変わらず、タカラは笑顔を絶やさずにいる。ただ、
「・・・そうですか・・・」
とつぶやいた。
二人の間でさまざまな思いが交差する。
―――さっきの作り物といい、気配といい・・・何なんだ・・・?
まるで、ワザと俺に気づかせたような気が・・・。
―――・・・ギコ先輩・・・気づいてください・・・
早くしないと・・・!
ギコは口元では笑っていたが、目はまったく笑っていなかった。
「ああ。あの激痛の中、どうしてかお前の気配を強く感じたからな」
相変わらず、タカラは笑顔を絶やさずにいる。ただ、
「・・・そうですか・・・」
とつぶやいた。
二人の間でさまざまな思いが交差する。
―――さっきの作り物といい、気配といい・・・何なんだ・・・?
まるで、ワザと俺に気づかせたような気が・・・。
―――・・・ギコ先輩・・・気づいてください・・・
早くしないと・・・!
対峙して、そのまま黙ってるわけにもいかない。
「まあ、一番気になることはさておき、まさか・・・こんな形でお前と再会するとは思わなかった」
「ええ。僕もそう思いますよ」
「まあ、一番気になることはさておき、まさか・・・こんな形でお前と再会するとは思わなかった」
「ええ。僕もそう思いますよ」
ドン!!突然タカラとギコの間に大地を突き破り、ギコと同じ型のAAが現れた。
「やっと見つけましたよ……タカラさん」
マントを羽織っているため、その顔つきはわからない。が、その声は少年のものだった。
「悪いがIRIS君、僕は君の計画に付き合っている暇はないんだ」
「あなたに拒否権はありません」
ギコは突然のことにしばし呆然としていた。しかしすぐにはっ、となった。
「一体、お前は誰だ!」
「私?私はクリエーターですよ。それとも創造主と言った方がいいですかね。この世界を管理するマザー・コンピューター“IRIS”。つまり、この世界そのものなのです」
そしてIRISはギコを凝視すると、
「ほう、“GEKOEL”プログラムですか。しかもOSクラッシャーを標準装備とは。いえ、こちらの話です。私の目的はタカラさんを回収すること。これからの私の計画に必要不可欠なエンジニアですからね」
ニッ、と笑った。そして、ぎこに向かい、暗黒の光線を放った。
OSクラシャー・・・・・
「やっと見つけましたよ……タカラさん」
マントを羽織っているため、その顔つきはわからない。が、その声は少年のものだった。
「悪いがIRIS君、僕は君の計画に付き合っている暇はないんだ」
「あなたに拒否権はありません」
ギコは突然のことにしばし呆然としていた。しかしすぐにはっ、となった。
「一体、お前は誰だ!」
「私?私はクリエーターですよ。それとも創造主と言った方がいいですかね。この世界を管理するマザー・コンピューター“IRIS”。つまり、この世界そのものなのです」
そしてIRISはギコを凝視すると、
「ほう、“GEKOEL”プログラムですか。しかもOSクラッシャーを標準装備とは。いえ、こちらの話です。私の目的はタカラさんを回収すること。これからの私の計画に必要不可欠なエンジニアですからね」
ニッ、と笑った。そして、ぎこに向かい、暗黒の光線を放った。
OSクラシャー・・・・・
「・・・・・・っつ」
ギコは、あのなぞのAAが放った技、OSクラッシャーをうけた・・・はずだった・・・
そっと目を開けると、そこにはつーが原形もとどめずに死んでいたていた、どうやら自分を庇ってくれたようだ・・・
そこまで考えたとたん、頬に涙が走った、足もがくがくする。
「つ・・・つーちゃん?お・・・おい・・・止めてくれよ・・・お前には・・・フサが、居るんだろ・・・
ギコは自分の無力感に泣いた・・・そして何かが自分の体の中から開花してきた。
「絶対ゆるさねぇ・・・あのやろう」
ギコは、あのなぞのAAが放った技、OSクラッシャーをうけた・・・はずだった・・・
そっと目を開けると、そこにはつーが原形もとどめずに死んでいたていた、どうやら自分を庇ってくれたようだ・・・
そこまで考えたとたん、頬に涙が走った、足もがくがくする。
「つ・・・つーちゃん?お・・・おい・・・止めてくれよ・・・お前には・・・フサが、居るんだろ・・・
ギコは自分の無力感に泣いた・・・そして何かが自分の体の中から開花してきた。
「絶対ゆるさねぇ・・・あのやろう」
「先輩・・・!・・・何!?」
タカラがギコに近づこうとした途端、彼の周りに光が渦回った。
その力の発生源は謎のAAの手から――IRISはクククと小さく笑う。
「これは・・・!?ワープライト!?」
「その通りです、タカラ君。今は手が込みそうです。細かい話は後ほどにいたしましょう」
「何ですって!?」
「ギコさんの開花した能力を見たいですし、それに・・・フサ君の真意も知りたいですしね」
タカラがギコに近づこうとした途端、彼の周りに光が渦回った。
その力の発生源は謎のAAの手から――IRISはクククと小さく笑う。
「これは・・・!?ワープライト!?」
「その通りです、タカラ君。今は手が込みそうです。細かい話は後ほどにいたしましょう」
「何ですって!?」
「ギコさんの開花した能力を見たいですし、それに・・・フサ君の真意も知りたいですしね」
そう言うと、IRISとタカラは時空の穴の中に消えていく。
だが今のギコにはそんな事どうでも良かった。
急いでつーの死体に駆け寄ろうとしたが・・・
「あれ?つーが居ない・・・」
「つーならここだから」
ギコに話しかける
だが今のギコにはそんな事どうでも良かった。
急いでつーの死体に駆け寄ろうとしたが・・・
「あれ?つーが居ない・・・」
「つーならここだから」
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