歌詞の地平線
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歌詞の地平線
ja
2008-05-03T01:51:11+09:00
1209747071
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Chronicle
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Chronicle
1st Story CD
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[表紙] Black Chronicle
古き遺跡より発掘されし 黒き書物
それは歴史を覆す…否
その全てを肯定する 最悪の予言書…
色褪せた紙 くすんだ文字
古代語で書かれた目次
最後のペ-ジ…「審判者の来訪」…
──序章「殺戮への前夜祭」──
昨日 多くの父達が死んだ…
今日 多くの母達が死んだ…
明日 多くの子供達が死ぬだろう…
一つのパンを奪い合う者
一つの椅子を奪い合う者
一つの王冠を奪い合う者
一つの栄光を奪い合う者
「息の根を止めろ、邪魔する者は全て消せ!」
闇だ 深い闇だ 歴史の闇だ 誰かが笑っている
何故僕らは 仲間同士で殺し合っているんだ…
書に刻まれし魔物
黒い秩序に従い 歴史を辿る調べ
時は 寸分の狂いもなく
針の上を滑り堕ちるように
ただ 最後のペ-ジめがけて…
──最終章「終焉の海に漂う箱舟」──
逃げろ やってくるぞ
最期を告げる鐘の音 終焉の洪水だ
幾多の記憶 歴史を飲み込んで尚
その魔物は止まらない…
世界はノアを探している…
我らの救世主は 最初から箱舟の中
闇に沈んでゆく世界を嘲笑い
黒い書を片手に 幾千の罠を投げ掛ける…
それでも僕達は諦めなかった
本当の 最後のペ-ジを探すことを…
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[168p] 詩人バラッドの悲劇
最期の詩…
それはあまりにも素晴らしく
兵は街の恋人に詩って教えた
やがてその詩は 人から人へと伝わり
誰が綴ったかもわからぬ
その名もなき詩は やがて大陸中に広まった…
強く美しき時の女王
絶対的な権力の前に 誰もがひざまづく
来たる女王の誕生祭
その美貌を称える詩を捧げよと 一人の詩人に命じた…
女王は問う…
「この世で一番美しいのは誰じゃ?」
…しかし 彼は譲らない
「私の世界では、陛下は二番目にお美しい…」
「枯れてしまった花の美しさ…
それは、追憶という名の幻影…
朽ちることなく永遠に咲き続けられる庭園…
例え、気高く美しき薔薇でさえ…
花である以上、枯れてしまった花には及ばない…」
その詩に女王は激昂した
「そなた、余に枯れてしまえと申すのか!?」
宰相の合図一つで 兵達は詩人を取り囲んだ…
天才と謳われし詩人…彼の名はバラッド
今は冷たい地下牢の隅 最期の詩を綴っている…
処刑の刻が近づき 胸に薔薇の紋章を抱いた
牢番の兵は聴いてしまった 彼の綴った最期の詩を…
最後の鐘が鳴り終わり
処刑は厳かに執り行われる
最期の瞬間 思い出すのは…
故郷の空 風の匂い
今は亡き彼女と過ごした日々…
冷たい秋風が冬を導くように
旅の娘が一人 想い人を尋ねて流離う
どこか懐かしい その詩を口ずさみながら…
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[324p] アーベルジュの戦い
「…アーベルジュ」時代が求めた英雄
それとて満ち足りた事ではない
いや むしろ欠けてさえいる
大切な何かを置き忘れてきてしまった…
「…アーベルジュ」理由などに意味は無い
斬ってしまえば同じ 悪意なき剣など無し
身を寄せる場所もなく
ただ血の雨の中を駈け抜けた時代…
「…アーベルジュ」繰り返す痛み
願わくば 戻りたいとさえ想った
何も知らなかったあの頃に
何一つ歴史は変わらないとしても…
…最初の惨劇…
「若者よ臆するな、震える膝を鞭打って進め…
迫りくる敵軍は五千、何としてもこの森で食い止めろ…」
幼き日の思い出よ 泣き虫だった少年は
騎士の誇り 信念を胸に
絶望が渦巻く戦場へ…
その身朽ち果てようとも 守りたいものがあった…
母さんと木の実を拾った森…
父さんと釣りをした川…
君と約束を交わした丘…
幼き日の思い出よ あの夏の少年は
右手に剣 鈍い光を放ち
死神が招く戦場へ
その身朽ち果てようとも 守りたいものがあった…
彼は逃げない 運命は誰を選ぶ…
彼は逃げない 歴史は何を紡ぐ…
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[457p] 樹氷の君 ~凍てついた魔女~
女は 男の子を庇う様にして 雪原をゆく
かじかむ手足 凍えそうな身体
それでも 弱音一つ吐かずに歩く
彼女は母親だから…
醜きは人の世 迫害の歴史は繰り返す
都合の悪いことは 全て他人のせいにしたいのだ
暗い時代の犠牲者 災いを引き受ける者
生贄という名の救世主…
追われるようにして 樹氷の森を抜け
辿りついたのは 氷の城
女の身体は 既に限界を超えていた…
「この子だけでも生きて欲しい…」
忌み嫌われた 魔女の力
その最期の力を振り絞り
命の灯を息子に託した…
激しい吹雪の中 佇む二つの影
凍ってしまった女の氷骸と 決して凍らない少年
彼は 母の命と引き換えに
凍てつく樹氷の王となった…
「生きて欲しい…」
それは 愛という名の呪縛
その想いは今も彼を縛る
朧気な記憶の中 優しく微笑む人
その温もり触れたくて 今日もまたひとり…
生きることに 特別な意味など無いだろう
全ては消え往く運命 と知りながら
それでも 終わり往くモノは永遠を望む…
彼は 今日もまたひとり…
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[602p] 蒼と白の境界線
海の匂いが好き
心地良い潮風が頬を撫でる
ここから見える景色が好き
海と空が同じ蒼で出来きているから…
それは愛しき日々 今でもよく覚えてる
いつも肩車してもらってたよね
パパの背中は 何て大きかったんだろう…
少女は父親が大好きだった
父親は勇敢な船乗りだった
いつも優しかった いつも笑っていた
海の向こうの話を聞かせてくれた
少女の小さな地図は
いつもその話でいっぱいだった…
覚えてるわ パパの話
白い鯨を見てみたい
双子島にも行ってみたい
潮風に揺られどこまでも…
大人達は皆 分かってはくれない
小さな身体には収まりきらない
大きな夢があるんだ
私は 絶対船乗りになるんだ…
覚えてるわ パパの話
歌う人魚を見てみたい
珊瑚の樹海にも行ってみたい
潮風に揺られどこまでも…
こんな晴れた日は
白い紙飛行機を飛ばそう
あの蒼い水平線の向こうまで…
何色にでも染まる白は 明日の私だ
境界線なんて何処にも無い
真っ直ぐ蒼に溶けこんでゆけ
どこまでも どこまでも…
その紙飛行機は
潮風に乗って飛んでゆく
どこまでも どこまでも…
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[816p] 雷神の左腕
こんな嵐の夜は 傷痕が疼く
右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み
誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している
残った左腕で何を為すべきかを…
不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす
確實に その時が近づいている
あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った
覺悟は決まっている まだ左腕がある…
男は扉を必死で押さえていた
扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている
それを左腕で必死に抑えていた
もうダメだ…右腕…右腕さえあれば…
男が諦めかけたその時
薄れゆく意識の中 温かい光を感じた
右手に槍を掲げ 嵐の中幾千の人々が祈っている…
あの時の子供達は皆 大人になった
雷神は右腕を失い 世界は生まれ変わった
右手が蒔いた種を育てたのは左手
そして美しい花がさく 幾千の花が咲く…
彼には勇敢な左腕と 幾千の右腕がある
決して負けはしない そんな想いが歴史を紡ぐ…
…やがて時は流れ…
「ねぇおじいちゃん、どうして?雷神様には、右手が無いの?可哀想だよ…」
と街角の子供は問う…
子供の小さな手を取り 老人は微笑んで答える
「雷神様の右手は、今もここにあるよ…ほれ、その右のポッケの中にも…」
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[903p] 少女人形
空は泣いている…
宵闇 街外れ 森の麓
大きな屋敷 何もない部屋
椅子に腰掛けた少女がひとり
人形に語りかけるが 返事はない…
「その人形は私だ…」
…返事などあるわけもなく
少女は硝子細工の瞳で 闇を見つめている…
鏡は嫌い 本当のことは何も映さないから
こんな世界など 壊れてしまえば良い…
ママ達は 私を商売道具としてしか見ていない
本当は要らなかった…
未来を読む力なんて 要らなかったのに…
今のママは 何人目だったろう
絆など…温もりなど…
それでも私は それを求める…
「ママ私を愛して、ママ私を愛して…
ママ私を愛して、ママ…」
始まっては終わり 終わっては始まる
支配人も観客も入れ替わる舞台
私は未来を読む少女を演じ
時の止まった屋敷で ひとり芝居を繰り返す…
闇だ 昏い闇だ 終焉は闇だ
どこまでも続く闇だ 世界の果ては何処だ
いくら歩いても この道の先は闇だ…
未来よ 黒い秩序よ 終焉の洪水よ
鳴呼ノア 嘘吐きクロニクル
早く何もかも終わらせて…
「ママ私を愛して、ママ私を愛して…
ママ私を愛して、ママ…」
空は泣いている
涙流さぬ人形に代わって…
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[背表紙] 君が生まれてくる世界
永い夜が明ければ 世界は再び輝きを取り戻すだろう
僕達には 届けなければならないモノがあるんだ
明日生まれて来る君へ…
「今夜は、いっぱい話そう…
君が生まれてくる、この世界のこと…」
歴史は繰り返す 忘れてはいけない
歴史は繰り返す 忘れてはいけないよ…
「君の瞳は映すだろう…
美しいコトも、醜いコトも全て…」
僕達は諦めなかった…
そして 遂に見つけ出した
黒い背表紙に 黒墨で書かれた
最後にして最初の物語…
「君は得るだろう…
愛しいモノも、憎いモノも全て…」
紐解かれた黒いクロニクル 歴史を彩る幾千の物語
例えばそれは…
終焉を知ってなお 諦めなかった僕達の物語…
最期まで 偽らざる想いを詩い続けた詩人の物語…
守るべきモノの為に 命を懸けた戦士の物語…
母の命と引き換えに 樹氷の王となったの少年の物語…
蒼い海に憧れた 限りなく白い少女の物語…
残された左腕で 再び世界を救った英雄の物語…
人形に記憶を封じられた 未来を読む少女の物語…
…そして
母なる海に抱かれ この詩を聴いている君達の物語…
「君は生きるだろう…
楽しいトキも、苦しいトキも全て…」
全てを許し 全てを受け止める
新世界の子供達 明日生まれてくる君へ
僕達からのメッセ-ジ…
「やがて君達の世界にも終焉が訪れるだろう…
それでも…どうか諦めないで…君を愛している…」
繰り返し詩い継がれる記憶 物語は次の地平線へ…
2008-05-03T01:51:11+09:00
1209747071
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Roman
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Roman
5th Story CD
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朝と夜の物語
生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)… Laurant
嗚呼…僕達のこの寂0302(し)さは 良く似た色を0302(し)た《宝石》(Pierre)
生まれて来る意味 死んで行く意味 君が生きている現在(いま)
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
「Roman...」
「嗚呼…其処にロマンは在るだろうか?」
泣きながら僕達は来る 同じ苦0302(し)みを抱き0302(し)めて
笑いながら僕達は行く 遥か地平線の向こうへ
廻り合う君の唇に嗚呼…僕の詩を灯そう…人生(La vie)
いつの日か繋がる《物語》(Roman)──
泣きながら僕達は来る 同じ哀0302(し)みを抱き0302(し)めて
笑いながら僕達は行く 遥か地平線の向こうへ
廻り逢う君の唇に嗚呼…僕の詩を灯そう…人生(La vie)
僕達の繋がる《物語》(Roman)──
生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)… Laurant
嗚呼…僕達のこの刹那さは 良く似た色を0302(し)た《美花》(Fleur)
太陽の風車 月の揺り籠 彷徨える《焔》(ひかり)の物語(Roman)
壊れた人形 骸の男 時を騙る《幻想》(やみ)の物語(Roman)
右腕には菫の姫君…(C'est mademoiselle violette, qu'il est dans le bras droit...)
そ0302(し)て…(Et...)
左腕には紫陽花の姫君…(C'est mademoiselle hortense, qu'il est dans le bras gauche...)
嗚呼…僕の代わりに廻っておくれ…其の世界には──
僕が生まれてくるに至る物語(Roman)はあるのだろうか?
「さぁ、行っておいで」
「はい、御主人様(Oui, monsieur)」
廻り来る生の騒めき 太陽の風車
廻り行く死の安らぎ 月の揺り篭
我等は彷徨える 追憶に揺れる《風車》(Moulin a vent)
廻り行く何の地平にも 詩を灯すで0302(し)ょう……
此れは──
生まれて来る前に 死んで行く僕(「Hiver」)の物語(Roman)… Laurant
嗚呼…僕達はもう逢いなくても 現在を生きて行く《憧憬》(Roman)
──詠い(「探0302(し)」)続けよう → 君が迷わぬように……
『朝と夜』の狭間… 『焔』の揺らめき…
『宝石』を掴む… 『腕』を伸ば0302(し)…
『風車』は廻れば… 『星屑』は煌めき…
『天使』が別れ0302(し)… 『美0302(し)き』の幻想を…
『葡萄酒』の陶酔(ゆめ)に… 『賢者』も忌避する…
『伝言』の真意… 『地平線』は識る…
右手の死を 左手の生を
傾かざる冬の天秤
「Roman...」
「其処にロマンは在るのか0302(し)ら?」「其処にロマンは在るのだろうか?」「其処にロマンは在るのか0302(し)ら?」
「嘘を吐いているのは誰か?」
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焔
幾許かの平和と呼ばれる光 其の影には常に悲惨な争いが0101(あ)った
葬列に参列する者は 皆一様に口数も少なく
雨に濡れながらも 歩み続けるより他にはないのだ……
瞳を閉じて暗闇(やみ)に 吐息を重ねる
そっと触れた温かな光は 小さな鼓動
否定接続詞(Mais)で綴じた書物(かみ)が 歴史を操る
そっと振れた灼かな光は 誰かの『焔』…
気付けば道程は 常に苦難と共に0101(あ)った
耐えられぬ痛みなど 何一つ訪れないものさ…
歓びに咽ぶ白い朝 哀しみに嘆く黒い夜
我等が歩んだ此の日々を 生まれる者に繋ごう…
瞳に映した蒼い空 涙を溶かした碧い海
我らが愛した此の世界(ばしょ)を 愛しい者に遺そう……
嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 煌めく砂が零れても…
嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 愛した花が枯れても…
嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 契った指が離れても…
嗚呼… 朝と夜 を繰り返し 《生命》(ひと)は廻り続ける……
美しい『焔』(ひかり)を見た 死を抱く暗闇の地平に
憎しみ廻る世界に 幾つかの『愛の詩』を灯そう…
何(ど)れ程夜が永くとも 何(いつ)れ朝は訪れる──
独りで寂しくないように 《双児(ふたご)の人形(La poupee)》を傍らに
小さな棺の揺り籠で 目覚めぬ君を送ろう…
歓びに揺れたのは《紫色の花》(Violet) 哀しみに濡れたのは《水色の花》(Hortensia)
誰かが綴った此の詩を 生まれぬ君に贈ろう……
歴史が書を創るのか 書が歴史を創るのか
永遠を生きられない以上 全てを識る由もなく
朝と夜の地平を廻る 『第五の旅路』
離れた者が再び繋がる日は 訪れるのだろうか?
懐かしき調べ 其れは誰の唇か──
嗚呼…《物語》(Roman)を詩うのは……
「其処にロマンは在るのかしら?」
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見えざる腕
眠れぬ宵は路地裏の淫らな牝猫(Chatte)に八つ当たりして…
嗚呼…見えざるその腕で首を絞める…
《夢幻影》(Fantome de reve)壊れゆく自我(Ego)の痛み…
狂えぬ酔いは屋根裏の小さな居城(Chateau)を転げ回る…
嗚呼…見えざるその腕の灼ける痛み…
《幻肢痛》(Fantome de douleur)安酒をあびて眠る…
「…アルヴァレス将軍に続け!」
黄昏に染まる古き獣の森に…戦場で出会った二人の男…
金髪の騎士(Laurant)…赤髪の騎士(Laurant)…
争いは廻り…屍を積み上げる…
加害者は誰で…被害者は誰か?
斜陽の影に刃は緋黒く煌めいて──
片腕と共に奪1001(わ)れた彼の人生(Sa vie)
仕事は干され恋人は出ていった…
何もかも喪った奪1001(わ)れた最低な人生(La vie)
不意に襲う痛みに怯える暮らし……
「大抵の場合(Le plus, souvent)…貴方はうなされ殴るから…
私は…この侭じゃ何れ死んでしまう1001(わ)…
さよなら(Au Revoir)…貴方を誰より愛してる…
それでも…お腹の子の良い父親(Pere)には成れない1001(わ)……」
葡萄酒(Tu Fine)…発泡葡萄酒(Tu Champagne)…蒸留葡萄酒(Tu Eau De Vie)…
嗚呼…眠りの森の静寂を切り裂き…また奴が現れる──
馬を駆る姿…正に 悪夢 …赤い髪を振り乱して…振う死神の鎌…
首を刈る姿…正に 風車 …緋い花が咲き乱れて…奮う精神の針…
闇を軽るく纏った──
夢から醒めた現実は 其れでも尚も悪夢(ゆめ)の中
故に…その後の彼の人生は 酒と狂気…廻る痛みの中
左の頬に十字傷 赤く燃える髪に鳶色の瞳(め)
奴を…殺せと腕が疼くのだ 『見えざる腕』が疼くのだ……
誰が加害者で…誰が被害者だ…死神を搜し葬ろう……
「…殺してくれる!」
騎士(Chevalier)は再び馬に跨がり…時は黙したまま世界を移ろう──
異国の酒場で再び出逢った二人の男(Laurant)…
隻眼にして隻腕 泥酔状態(アルチュウ)にして陶酔状態(ヤクチュウ)
嗚呼…かつての蛮勇 見る影も無く……
不意に飛び出した 男の手には黒き剣(Epee Noir)
「退け…」
周囲に飛び散った液体(Sang) まるで葡萄酒(Pinot noir)
「何者だ貴様…!」
刺しながら…供された手向けの花の名(Nom)──「こんばん1001(わ)」(Bon Soir)
「こんばん1001(わ)…(Bon Soir...)」
抜きながら…灯された詩の名──「さようなら」(Au Revoir)
「さようなら…(Au Revoir...)」
崩れ落ちた男の名はLaurant…走り去った男の名はLaurencin…
もう一人のLaurantは…唯…呆然と立ち尽くしたまま……
誰が加害者で…誰が被害者だ…犠牲者ばかりが増えてゆく…
廻るよ…廻る…憎しみの風車が…躍るよ…躍る…焔のように…
嗚呼…柱の陰には…少年の影が…鳶色の瞳で…見つめていた……
「人生は儘にならぬ…されど、この痛みこそ、私の生きた証なのだ…!」
復讐劇の舞台を降ろされ…男は考えはじめる…
残された腕…残された人生…見えざるその意味を──
杯を満たした葡萄酒…その味1001(わ)いが胸に沁みた……
「其処にロマンは在るのかしら?」
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呪われし宝石
「失敗(へま)すんじゃねぇぞ、Laurencin」
「お前こそな、Hiver」
母なる大地が育んだ奇蹟 世界最大と謳われし貴石 30ctの赤色金剛石(Trente carat, Diamant Rouge.)
所有者を変え渡り歩いた軌跡 特典は予約済みの鬼籍 30ctの『殺戮の女王』(Trente carat, Reine Michele.)
鎖された硝子(Verre) 優雅に眠る宝石(Pierre) 過ぎ去りし日の 夢 の中
厳格なる幻喪(Deuil) 傳かざる矜持(Orgueil) 死神さえも 腕 の中
『彼女』こそが女王(Reine) 抗う者は皆無 檻の外へは逃がさない……
狡猾な少女(Fille) 影と踊った老婆(Vieille) 幾つもの首を彩った
派手な娼婦(Courtisane) 泥に塗れた王妃(はな) 幾つもの首を刈穫った
廻り巡る情景(Scene) 色鮮やかな幻夢 喪うまでは逃がさない……
【祝い】が【呪い】に変わる 運命の皮肉
『彼女』の誕生にまつわる 知られざる《物語》(Roman)
男は掘った 薄暗い穴を 墓穴と知らずに
男は掘った 奈落へと至る 洞穴と知らずに
鎖された闇の中で 運命(とわ)に抱かれ
寝食さえも忘れて 掘った
灯された詩の中で 躍るように
侵蝕された歯車 斯くて狂ったように廻り(Et il tourne follement)……
──男を誘う不思議な霧…
眼前に現れたのは かつて見た事の無い美しき原石
その魔力に引き寄0304(せ)られるかのように 男は震える手を伸ばした……
【幸運】(Chanceux)…嗚呼…これまで苦労をかけた 可愛い妹(Noel)よ
【幸運】(Chanceux)…嗚呼…これなら胸を張って 送りだ0304(せ)よ……
← 欲に眼が眩んだ鉱山(Mine)の管理者(Concierge) ←
← 眼の色を変えた鷲鼻の宝石商(Commercante) ←
← 我が眼を疑った隻眼の細工職人(Artisan) ←
← 廻るよ廻る…死神(Dieu)の回転盤(Roulette) →
堅牢に見える倫理の壁にも 時に容易に穴が空く…
【不運】(Malheureux)…嗚呼…帰らぬ兄を待ってる 嫁げぬ妹
【不運】(Malheureux)…嗚呼…変らぬ愛を待ってる 冬の夜空……
「もう、Hiverお兄様」
頬杖…溜め息…人形師の娘…窓辺に佇む《双児(ふたご)の人形》──
「はぁ…いつお戻りになるのかしら?」
鎖された硝子(Verre) 優雅に眠る宝石(Pierre) 過ぎ去りし日の夢の中
忍び寄るの影(Ombre) 溶け込む緋の闇(Tenebres) 盗賊達は部屋の中
失敗(へま)をすれば刑罰(Peine) 命を懸けた任務 狙った獲物(もの)は逃がさない……
「やばい…ずらかるぞ!」
「おい、待ってだよ!」
白馬に乗らず王子(Prince) 些か乱暴な接吻(Baiser)
嗚呼…『彼女』が再び世に解き放たれる……
母なる大地が育んだ奇蹟 世界最大と謳われし貴石 30ctの赤色金剛石(Trente carat, Diamant Rouge.)
所有者を変え渡り歩いた軌跡 特典は予約済みの鬼籍 30ctの『殺戮の女王』(Trente carat, Reine Michele.)
「其処にロマンは在るのかしら?」
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星屑の革紐
「こん0502(に)ちわ、はじめまして!」(Salut, Enchantee!)
差し出した手を──
嗚呼…可愛い私のお姫様(Etoile) 小さな指で懸命0502(に)握り返してくる
あなたの歩む道程が 輝くよう0502(に)『星』(Etoile)と……
ある雨の朝…いつものよう0502(に)少女が目を覚ますと…
寝具(ベッド)の横0502(に)は優しい父親…そして大きな黒い犬が居た…
雨の匂い…くすぐったい頬…どこか懐かしい温もり…
小さな姉と大きな妹…二人と一匹…家族となった特別な朝……
嗚呼…私は星を知らない 遠過ぎる光は届かないから…
嗚呼…僅かな視力でさえも 何れ失うと告げられている…
ごめんなさい…お母さん…この名前…(Excuse moi... mon mere... ce nom...)
どうしても好き0502(に)なんてなれないよ…(Je ne peux pas, c'est absolument de m'aimer...)
嗚呼…ごめんなさい……(Ah... excuse moi......)
勇気を出して──
嗚呼…Pleutと屋外(そと)へ出たけど 歩く速度が抑違うなら…
嗚呼…暗闇0502(に)沈む世界では ちょっとした段差でも転んでしもう…
ごめんなさい…父さん…この両眼…(Excuse moi... mon pere... ces yeux...)
どうしても好き0502(に)なんてなれないよ…(Je ne peux pas, c'est absolument de m'aimer...)
嗚呼…ごめんなさい……(Ah... excuse moi......)
細い革紐(Harnais)じゃ──
心までは繋げないよ…愛犬(Pleut)が傍0502(に)いたけど…私は孤独(ひとり)だった……
別々0502(に)育った者が…解り合うのは難しい…
ましてや人と犬の間であれば…尚更の事である…
それからの二人は…何をする0502(に)も何時も一緒だった…
まるで…空白の時間(とき)を埋めようとするかのよ0502(に)…
姉は甲斐甲斐しく妹の世話を焼き…妹は姉を助けよく従った…
父の不自由な腕の代わり0502(に)なろうと…何事も懸命0502(に)…
其れは…雨水が大地0502(に)染む込むよう0502(に)しなやかな0502(に)…
根雪の下で春を待つよう0502(に)…小さな花を咲かせるよう0502(に)…
急0502(に)吹いた突風0502(に)手を取られ…革紐(Harnais)を離したけど…
もう何も怖くなかった…『見えない絆』(ほしくずのHarnais)で繋がっていたから…
弱い姉だ──
それでも嗚呼…ありがどうね…妹(Pleut)が傍0502(に)いたから…
私は何処へだって往けた……
大好きだよ…妹(Pleut)が傍0502(に)いたから…私は強くなれた……
星空0502(に)抱かれて夢を見た…あなたが産まれてきた朝の追憶(ゆめ)を…
銀色0502(に)輝く夢の中…零れた砂が巻き戻る幻想(ゆめ)を…
嗚呼…何の為0502(に)遣って来たのか…最期0502(に)判って良かった──
忘れないよ…君(「母」)と歩いた…暗闇(「苦しみ」)0502(に)煌(「揺ら」)めく世界を…
いつだって…嗚呼…人生(せい)(「愛」)は星屑の…輝(「瞬」)きの中0502(に)在ることを……
祈りの星が降り注ぐ夜 → 黒犬(Pleut)は静か0502(に)息を引き取った…
悼みの雨が降り注ぐ朝 → 冷たくなった彼女の腹から取り出されたのは
光を抱いた小さな温もり → 黒銀の毛並みを持つ子犬だった →
──そして《物語》(Roman)の翼は地平線を軽々と飛び越えるだろう
やがて懐かしくも 美しき あの《荒野》を駈け廻る為0502(に)……
「其処0502(に)ロマンは在るのかしら?」
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緋色の風車
廻る回る《緋色の風車》(Moulin Rouge)綺麗な花を咲かせて
躍る踊る《血色の風車》(Moulin Rouge)綺麗な花を散らせて
小さな掌に乗せた硝子(Glass)細工…
其の宝石を『幸福』と謳うならば…
其の夜の蛮行は時代にどんな爪痕を遺し…
彼等にはどんな傷痕を残したのか…
運命に翻弄される弱者の立場に嘆いた少年は…
やがて『力』を欲するだろう…
其れは…強大な力から身を守る為の『楯』か?
其れとも…より強大な力でそれをも平らげる『剣』か?
何が起こったのか 良く解らなかった…
泣き叫ぶ狂乱(Lune)の和音(Harmonie) 灼けた屍肉(にく)の風味(Saveur)…
何が襲ったのか 良く解らなかったけど…
唯…ひとつ…此処に居ては 危ないと判った…
僕は一番大切な《宝物》(もの)を
持って逃げようと → 君の手を掴んだ……
嗚呼…訳も解らず息を切らせて走っていた二人
欲望が溢れだすままに暴れて奴等は追い掛けてくる……
星屑を辿るように…森へ至る闇に潜んだままで…
訳も解らず息を殺して震えていた二人
絶望が溢れだすことを怖れて強く抱き合っていた──
不意に君の肢体(からだ)が宙に浮かんだ →
怯え縋るような瞳(め)が ← 逃げ出した僕の背中に灼きついた……
「待って、ま…」
狂0105(お)しい《季節》(とき)を経て…少年の《時》は流転する…
廻る回る《緋色の風車》(Moulin Rouge)灼けつく《刻》(とき)を送って
躍る踊る《血色の風車》(Moulin Rouge)凍える《瞬間》(とき)を迎えて
嗚呼…もし生まれ変わったら 小さな花を咲かせよう…
ごめんね…次は逃げずに 君の傍で共に散ろう……
《緋色の風車》(Moulin Rouge)…
「其処にロマンは在るのかしら?」
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天使の彫像
後の世に【神の手を持つ物】──
と称される彫刻家『Auguste Laurant』
戦乱の最中に失われ 平和と共に姿を現したとされる
未だ神秘の薄布(ベール)に包まれた彫像 彼の稀代の傑作
『天使』(Angel)に秘められし 知られざる《物語》(Roman)……
「物言わぬ冷たい石に 生命(いのち)を灯せる等と
俗人達が謳うのは 唯の驕りに過ぎぬ
在る物を唯在る様に 両の手で受け止めて
温もりに接吻(くちづ)けるように 想いを象るだけ……」
《風車小屋》(Moulin a vent) 空を抱いて 廻り続ける丘の上
工房(Atelier)は他を拒むように 静かに佇む影…
彼は唯独りで描いた 我が子の表情(かお)も知らずに……
【足り0501(な)いのは小手先の素描力(Dessin)では0501(な)い──現実をも超える想像力(Imagination)】
「嗚呼…光を…嗚呼…もっと光を…『即ち創造』(Creation)…憂いの光を……」
生涯逢わぬと誓い0501(な)がら 足げく通う修道院(Monastere)
子供達の笑い声 壁越しに聴いている…
「君の手が今掴んでいるであろう その《宝石》(いし)はとても壊れ易い
その手を離しては0501(な)ら0501(な)い 例え何が襲おうとも……」
彼は日々独りで描いた 我が子の笑顔(かお)も知らずに……
【必要0501(な)のは過ぎし日の後悔(Regret)では0501(な)い──幻想をも紡ぐ愛情(Affection)】
「嗚呼…光を…嗚呼…もっと光を…『即ち贖罪』(Expiation)…救いの光を……」
如何0501(な)る 賢者 であれ 零れる砂は止められ0501(な)い
彼に用意された銀色の砂時計 残された砂はあと僅か……
母親の灯を奪って この世に灯った小さ0501(な)《焔》
その輝きを憎んでしまった 愚か0501(な)男の最期の悪足掻き…
想像の翼は広がり やがて『彫像』の背に翼を広げた──
「嗚呼…もう想い遺すことは0501(な)い やっと笑ってくれたね……」
「もういいよ…パパ」
「其処にロマンは在るのかしら?」
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美しきもの
君の大好きなこの旋律(Melodie)…大空へと響け口風琴(Harmonica)…
天使 が抱いた窓枠の画布(Toile)…ねぇ…その風景画(Paysage)…綺麗かしら?
其れは(C'est)──
風が運んだ…淡い花弁…春の追想…
綺麗な音…唄う少女(Monica)…鳥の囀0902(り)…針は進んだ →
其れは(C'est)──
蒼が繋いで…流れる雲…夏の追想…
綺麗な音…謡う少女(Monica)…蝉の時雨…針は進んだ →
綺麗だと…君が言った景色…きっと忘れない…
「美しきもの」…集める為に…生命(ひと)は遣って来る……
君が抱きしめた短い季節(Saison)…痛みの雨に打たれながら…
「心配ないよ」…笑って言った…君の様相(Visage)忘れないよ……
其れは(C'est)──
夜の窓辺に…微笑む月…秋の追想…
綺麗な音…詠う少女(Monica)…虫の羽音…針は進んだ →
其れは(C'est)──
大地を包み…微眠む雪…冬の追想…
綺麗な音…詩う少女(Monica)…時の木枯…針は進んだ →
綺麗だね…君が生きた景色…ずっと忘れない…
「美しきもの」…集める為に…生命(ひと)は過ぎて行く……
君が駈け抜けた眩い季節(Saison)…病の焔に灼かれながら…
「嗚呼…綺麗だね」…笑って逝った…君の面影(Image)忘れないよ……
君が生まれた朝…泣き虫だった私は…小さくても姉となった──
嬉しくて…少し照れくさくて…とても誇らしかった……
苦しみに揺蕩う生存(せい)の荒野を
「美しきもの」探すように駈け抜けた
果てしなき地平へ旅立つ君の寝顔
何よ0902(り)美しいと思ったよ……
君の大好きなこの旋律(Melodie)…大空へと響け口風琴(Harmonica)…
天使が抱いた窓枠の画布(Toile)…ねぇ…その風景画(Paysage)…綺麗かしら?
「私は、世界で一番美しい焔(ひか0902(り))を見った…その花を胸に抱いて、Laurantの分も、詠い続けよう…」
「其処にロマンは在るのかしら?」
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歓びと哀しみの葡萄酒
其れは…歓びに揺らぐ《焔》…哀しみに煌めく《宝石》…
多くの人生…多くの食卓に…彼女の『葡萄酒』(Vin)があった──
横暴0501(な)運命に挑み続けた女性「Loraine de Saint - Laurent」
大地と共に生きた彼女の半生…其の知られざる《物語》(Roman)
嗚呼…彼女は今日も畑に立つ 長いようで短い《焔》(ひかり)
得たモノも喪ったモノも 多くが通り過ぎた…
嗚呼…季節(Saison)が幾度廻っても 変わらぬ物が其処に在る
優しい祖父(Grand-pere)の使用人(Employe) 愛した彼との『葡萄畑』(Climat)
嗚呼…追想はときに ほの甘く
熟した果実を もぎ穫るよう0501(な)悦び(Plaisir)…
嗚呼…葡萄樹(Vigne)の繊細0501(な)(Delicat)剪定は 低温で少湿が理想
造り手達(Vigneron)の気の早い春は 守護聖人の祭(Saint Vincent)の後に始まる…
嗚呼…無理0501(な)收量(Quantite)を望めば 自ずと品質(Qualite)が低下する
一粒…一粒に(Un grain... et un grain)充分0501(な)愛情(Amour)を それが親の役割……
嗚呼…追想はときに ほろ苦く
傷した果実を もぎ穫るよう0501(な)痛み(Peine)…
嗚呼…女は政治の道具じゃ0501(な)いわ…
愛する人と結ばれてこその人生(La vie)
されど…それさえ侭成るぬのが貴族(Noble)
そん0501(な)『世界』(もの)捨てよう……
「残念だったね…」
権威主義を纏った父親(Per)…浪費する為に嫁いで来た継母(Mere)
名門と謂えど…派手に傾けば没落するのは早く…
斜陽の影を振り払う…伯爵家(Le comte)…最後の《切り札》(Carte)…娘の婚礼…
嗚呼…虚飾の婚礼とも知らず──
継母(おん0501(な))の《宝石》が赤(Rouge)の微笑(えみ)を浮かべた……
地平線 が語らざる詩(おと)…大切0501(な)モノを取り戻す為の…逃走と闘争の日々…
その後の彼女の人生は…形振り構わぬものであった……
私はもう誰も生涯愛さ0501(な)いでしょう 恐らく愛する資格も0501(な)い…
それでも誰かの渇き(Soif)を潤せる0501(な)ら この身0501(な)ど進んで捧げましょう…
樫(Chene)の樽の中で 眠ってる可愛い私の子供達(Mon enfant)
ねぇ…どん0501(な)夢を見ているのかしら?
果実(Pinot)の甘み(Sucre)果皮(Tanin)の渋み(Astringent) 愛した人が遺した大地の恵み(Terroir)
『歓び』(Joie)と『哀しみ』(Changrin)が織り成す調和(Harmonie) その味わいが私の『葡萄酒』(Mon vin)
──そして…それこそが《人生》(──Et... C'est "La vie".)
「其処にロマンは在るのかしら?」
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黄昏の賢者
彼の名(Nom)は『賢者』(Savant)──
正確にはその呼び名も通称…本名は全く以って不詳…
私が初めて彼と出逢ったのは…ある春の日の黄昏…寂れた郊外の公園だった……
今晩和(Bon soir)──
お孃0301(さ)ん(Mademoiselle)…そんな浮かない顔をして何事がお悩みかな?
先ほどから君がその噴水の周りを廻ったの回数は11回…
歩数にしておおよそ704歩…距離にして実に337メートル…
愚かな提案があるだがどうだろう?私で良ければ君の話し相手になりたい……
まずは誰もいない → 其れが零(Zero)だ…
其処に私(Moi)が現れた → 其れが壱(Un)だ…
そして君(Toi)が現れた → 其れが弐(Deux)だ…
単純な数式(しき)にこそ ← 真理が宿る…
そんな容易なことに0301(さ)え自らを閉ざして 気づけない時もあるのだ……
やぁ、御機嫌よう(Salut)──
お孃0301(さ)ん(Mademoiselle)…先日の悩み事に対する解答はでたのかな?
君と別れてから今日で丁度一週間…
時間にして168時間…分にして10080分…秒にして604800秒…
と言っている間にも…23秒が過ぎてしまった…今日も君の話し相手になりたい……
朝と夜との地平線(Horizon) → 其れは弐(Deux)だ…
時の王(Roi)が眠る墓所 → 其れは参(Trois)だ…
煌めく永遠(とわ)の星屑 → 其れは伍(Cinq)だ…
単純な素数(かず)に0301(さ)え ← 真理は宿る…
どんな容易なことに0301(さ)え自らを閉ざして 気づけない時もあるのだ……
君の哀しみを因数分解(バラ)してみようか?
幸福(しあわせ)の最大公約数(かず)を求めてみようか?
涙を拭って…0301(さ)ぁ…お立ちな0301(さ)い…君の途まだ続くのだから……
なるほど(En effet)──
産むべきか ←→ 産まざるべきか…
それが最大の…謂わば問題だ…
歓びの朝も…哀しみの夜も…全ては君の物…
未見ぬ者へ…繋がる歌物語(ものがたり)…詩を灯す物語(Roman)…
『風車』が廻り続ける度に 『美しき』幻想が静かに紡がれ
「Le "Moulin rouge"... La "Belle chose"...」
『焔』の揺らめきの外に 『腕』を伸ばす愚かな者達は
「La "Flamme"... Le "Bras invisible"...」
『宝石』をより多く掴もうと 『朝と夜』の狭間を彷徨い続ける
「Le "Bijou rubis"... Le "Conte d'un matin et nuit"...」
『星屑』の砂の煌めきにも 『葡萄酒』は仄甘い陶酔を魅せ
「Le "Ficelle d'etoiles"... Le "Vin Rouge Joie et pathetique" ...」
『賢者』が忌避する檻の中から 『伝言』の真意を彼等に問うだろう
「Le "Savant Crepuscule"... La "Message de onze lettres"...」
『天使』が別れを告げし時 『地平線』は第五の物語を識る
「La "Statue de l'ange"... Le "Cinq"...」
「Roman...」
繰り返え0301(さ)れる『歴史』は…『死』と『喪失』…『楽園』と『奈落』を廻り…
『少年』が去った後…其処にどんな『物語』(Roman)を描けのだろうか?
傷つく事は怖いかね?失う事は怖いかね?真実の事は怖いかね?
だからこそ…私はそんな君の話し相手なりたい……
君が来た朝を後悔するなら…更なる痛みを産むべきではない…
君が行く夜を肯定するなら…その子もまた《人生》(せい)を愛すだろう……
お孃0301(さ)ん(Chloe)──君の哀しみを因数分解(バラ)してみようか?
幸福(しあわせ)の最大公約数(かず)を求めてみようか?
埃を払って…0301(さ)ぁ…お発ちな0301(さ)い…君の旅まだ続くのだから……
0301(さ)ようなら(Au revoir)──
お孃0301(さ)ん(Mademoiselle)…もう心は決まったようだね…
ならば…0301(さ)ぁ…胸を張れでお行きな0301(さ)い…君は君の地平線目指して……
「ありがとう、賢者0301(さ)ん(Merci, M.Savant.)」
「探しだぞ…Christophe」
「其処にロマンは在るのかしら?」
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十一文字の伝言
嗚呼…昨日のことのように憶えて0102(い)ます──
それは冬の朝──
呼び声は温かく手を握り諦め──
天使(Angel)の金管(らっぱ)を聴きました…
ありふれた人生だったと…我ながらに憶0102(い)ます
それでも…アナタを産めたことは『私の誇り』でした……
嗚呼…昨日のことのように憶えて0102(い)ます──
寒0102(い)冬の朝──
産声は高らかに天を掴み取り──
橙色(Orange)の光を射しました…
つ0102(い)てな0102(い)人生だったと…我ながらに憶0102(い)ます
それでも…アナタと出逢えたことは『最高の幸運』でした……
嗚呼…どんな苦難が訪れても…諦めず勇敢に立ち向か0102(い)なさ0102(い)…
愚かな母の最期の願0102(い)です…アナタは──
『0302(La)・0101(La)・1001(Lu)・0304(Lu)・0502(La)・0105(La)・0501(La)・0902(La)・0501(Lu)・0301(La)・0102(Lu)』
「…ごめんなさ0102(い)」 「…さようなら」
生まれて来る朝 死んで行く夜 君が生きて0102(い)る 現在(0102(い)ま)
「…ごめんなさ0102(い)」 「…ありがどう」
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
「嗚呼…其処にロマンは在るのだろうか?」
アナタを産んだのが…誰であれ…
本質は変わらな0102(い)…何一つ…
アナタが望まれて産まれて来たこと…
それさえ忘れなければ…0102(い)つか繋がれると──
嗚呼…傍で歩みを見守れな0102(い)のが…無念ですが…どうか…凛と往きなさ0102(い)
愚かな母の唯一の願0102(い)です…アナタは──
『0302(La)・0101(La)・1001(Lu)・0304(Lu)・0502(La)・0105(La)・0501(La)・0902(La)・0501(Lu)・0301(La)・0102(Lu)』
アナタが今生きて0102(い)る──それが『私が生きた物語の証(Roman)』
この地平線(せか0102(い))愛してくれるなら──それが『私の幸福(Bonheur)』
──それが『私の物語の意味(Roman)』
「其処にロマンは在るのかしら?」
生まれて来る意味 死んで行く意味 君が生きて0102(い)る 現在(0102(い)ま)
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
ふたつの風車は 廻り続けるだろう
愛する者と再び 繋げ時間(とき)まで
生と死の荒野を流離う人形は 廻り行く夜 どんな詩を灯しただろうか?
そして…地平線を統べる銀色の光…今…幾つの朝が訪れる──
「嗚呼…其処にロマンは在るのだろうか?」
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真実の伝言
嗚呼…昨日のことのように憶えています──
それは冬の朝──
呼び声は温かく手を握り諦め──
天使(Angel)の金管(らっぱ)を聴きました…
ありふれた人生だったと…我ながらに憶います
それでも…アナタを産めたことは『私の誇り』でした……
嗚呼…昨日のことのように憶えています──
寒い冬の朝──
産声は高らかに天を掴み取り──
橙色(Orange)の光を射しました…
ついてない人生だったと…我ながらに憶います
それでも…アナタと出逢えたことは『最高の幸運』でした……
嗚呼…どんな苦難が訪れても…諦めず勇敢に立ち向かいなさい…
愚かな母の最期の願いです…アナタは──
『しあわせにおなりなさい』
「…ごめんなさい」 「…さようなら」
生まれて来る朝 死んで行く夜 君が生きている 現在(いま)
「…ごめんなさい」 「…ありがどう」
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
「嗚呼…其処にロマンは在るのだろうか?」
アナタを産んだのが…誰であれ…
本質は変わらない…何一つ…
アナタが望まれて産まれて来たこと…
それさえ忘れなければ…いつか繋がれると──
嗚呼…傍で歩みを見守れないのが…無念ですが…どうか…凛と往きなさい
愚かな母の唯一の願いです…アナタは──
『しあわせにおなりなさい』
アナタが今生きている──それが『私が生きた物語の証(Roman)』
この地平線(せかい)愛してくれるなら──それが『私の幸福(Bonheur)』
──それが『私の物語の意味(Roman)』
「其処にロマンは在るのかしら?」
生まれて来る意味 死んで行く意味 君が生きている 現在(いま)
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
ふたつの風車は 廻り続けるだろう
愛する者と再び 繋げ時間(とき)まで
生と死の荒野を流離う人形は 廻り行く夜 どんな詩を灯しただろうか?
そして…地平線を統べる銀色の光…今…幾つの朝が訪れる──
「嗚呼…其処にロマンは在るのだろうか?」
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屋根裏物語
今晩和(Bon soir)──
親愛なる地平線の旅人よ…
生と死の荒野が流離う内に…この地平に辿り着いしまったようだね…
残念ながら此処は行き止り…不毛の世界だ…
少女が白いキャンバスに描いた幻想…
屋根裏で紡がれし《物語》(Roman)…
折り合わさった死んだ十三人の少年達…
嗚呼…其の檻の中彼女の笑い声は支配する…
「はい、奥様(Oui, madame)」
「さぁ、生まれておいでなさい…Hiver」
生まれて来る《物語》(Roman)…死で行く《物語》(Roman)…
君が聞きている現在(いま)…もう一つの《伝言》(Message)…
廻る『風車』…煌く『宝石』…
巡る『焔』…『双児(ふたご)の人形』…
灯される『第五の詩篇』…
「Roman...」
君が望む地平に繋がるまで…何度でも巡り尚せばいい…
約束されし無慈悲な夜が明ければ…また新しい朝が訪れるだろうか?
「現実、幻想、物語(Roman)の世界…嘘を吐いているのは誰か?」
「其処にロマンは在るのかしら?」
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朝と夜の物語 ~Another Roman Mix~
「現実、幻想、物語(Roman)の世界…嘘を吐いているのは誰か?」
「其処にロマンは在るのかしら?」
「壊れた人形」
生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)… Laurant
「骸の男」
嗚呼…僕達のこの寂しさは 良く似た色をした《宝石》(Pierre)
生まれて来る意味 死んで行く意味 君が生きている現在(いま)
十一文字の《伝言》(Message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』
「Roman...」
「嗚呼…其処にロマンは在るだろうか?」
泣きながら僕達は来る 同じ苦しみ(「哀しみ」)を抱きしめて
笑いながら僕達は行く 遙か地平線の向こうへ
廻り合う君の唇に嗚呼…僕の詩を灯そう…人生(La vie)
僕達が繋がる《物語》(Roman)──
生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)… Laurant
嗚呼…僕達のこの刹那さは 良く似た色をした《美花》(Fleur)
右腕には菫の姫君…(C'est mademoiselle violette, qu'il est dans le bras droit...)
そして…(Et...)
左腕には紫陽花の姫君…(C'est mademoiselle hortense, qu'il est dans le bras gauche...)
嗚呼…僕の代わりに廻っておくれ…其の世界には──
僕が生まれてくるに至る物語(Roman)はあるのだろうか?
「さぁ、行っておいで」
「はい、御主人様(Oui, monsieur)」
廻り来る生の騒めき 太陽の風車
廻り行く死の安らぎ 月の揺り篭
我等は彷徨える 追憶に揺れる《風車》(Moulin a vent)
廻り行く何の地平にも 詩を灯すでしょう……
此れは──
生まれて来る前に 死んで行く僕(「Hiver」)の物語(Roman)… Laurant
嗚呼…僕達はもう逢いなくても 現在を生きて行く《憧憬》(Roman)
──詠い(「探し」)続けよう → 君が迷わぬように……
『朝と夜』の狭間… 『焔』の揺らめき…
『宝石』を掴む… 『腕』を伸ばし…
『風車』は廻れば… 『星屑』は煌めき…
『天使』が別れし… 『美しき』の幻想を…
『葡萄酒』の陶酔(ゆめ)に… 『賢者』も忌避する…
『伝言』の真意… 『地平線』は識る…
右手の死を 左手の生を
傾かざる冬の天秤
「Roman...」
2008-05-03T01:50:35+09:00
1209747035
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少年は剣を…
https://w.atwiki.jp/rozenkreutz/pages/24.html
少年は剣を…
1st Maxi Single CD
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終端の王と異世界の騎士 ~The Endia & The Knights~
→ 此れは…
終端の王と異世界の騎士達との
壮大な戦いの序曲である……
世界を喰らう《終端の王》(エンディア)
継ぎ接ぎされた《偉大な可能性》(グランディア)
太陽の《狂詩曲》(ラプソディア)騎士の名を呼ぶ……
──忌避すべき終端…王を退ける者…
《騎士》(ナイツ)とは即ち刃である
刻を孕む《終端の王》(エンディア)
調整された《偉大な可能性》(グランディア)
生命の《譚詩曲》(バラッディア)騎士の名を呼ぶ……
仮初の空に浮かべた追憶の《追走曲》(カノン)
《地平線を渡る旋律》(物語)を口吟むのは誰の唇?
──異世界を繋ぐ鍵…騎士を戴く物…
《門》(ゲート)とは即ち駿馬である
歴史を呑む《終端の王》(エンディア)
改竄された《偉大な可能性》(グランディア)
運命の《交響曲》(シンフォニア)騎士の名を呼ぶ……
争いの調べて躍る円卓の《円舞曲》(ワルツ)
《支配権の正統性》(物語)を振り翳すのは誰の正義か?
点いて往く灯火を…消えて逝く灯火を…
漆黒の《髪》(やみ)が…緋い《瞳》(ひかり)が…黙したまま見送るだけ…
嗚呼…唯…頁(ページ)をなぞる様に…《戯曲》(ドラマ)通りに《役者》(ドール)は踊り…
残酷な幻想の美しい棘が…仄甘い《陶酔》(ゆめ)を魅せ…
残酷な幻想の華やかな毒が…仄昏い奈落へと《観客》(きみ)を誘う…
願ったこと全てが叶う世界ではない →
だからこそ → 少年は大きく翔たくだろう…
嗚呼…希望も絶望も両手で抱きしめて →
それでこそ → 少年は大きく翔たくだろう…
「嗚呼…どんなに強い向かい風であれ決意という翼を折ることは出来ない!」
「どんなに強い風でも其の翼を折ることは出来ない!」
無限に繰り返す痛みは輪廻の《輪舞曲》(ロンド)
《世界が失った可能性》(物語)を取り戾すのは誰の剣か?
今…ハジマリの空に浮かべた追悼の《追走曲》(カノン)
《第五の地平線の旋律》(物語)を口吟むのは《少年》(かれ)の唇……
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緋色の風車 ~Moulin Rouge~
廻る回る《緋色の風車》(ムーランルージュ)綺麗な花を咲かせて
躍る踊る《血色の風車》(ムーランルージュ)綺麗な花を散らせて
小さな掌に乗せた硝子(ガラス)細工…
其の宝石を「幸福」(しあわせ)と謳うならば…
其の夜の蛮行は時代にどんな爪痕を遣し…
彼等にはどんな傷痕を残したのか…
運命に翻弄される弱者の立場に嘆いた少年は…
やがて「力」を欲するだろう…
其れは…強大な力から身を守る為の「楯」か?
其れとも…より強大な力でそれをも平らげる「剣」か?
何が起こったのか…良く解らなかった…
泣き叫ぶ《狂乱(ルナ)の調べ(ハーモニー)》…灼けた《屍肉(にく)の風味(フレーバー)》…
何が襲ったのか…良く解らなかったけど…
唯…ひとつ…此処に居ては…危ないと判った…
僕は一番大切な《宝物》(もの)を
持って逃げようと → 君の手を掴んだ……
嗚呼…訳も解らず息を切らせて走っていた二人
欲望が溢れだすままに暴れて奴等は追い掛けてくる……
星屑を辿るように…森へ至る闇に潜んだままで…
訳も解らず息を殺して震えていた二人
絶望が溢れだすことを怖れて強く抱き合っていた
不意に君の肢体が宙に浮かんだ →
怯え縋るような瞳が ← 逃げ出した僕の背中に灼きついた…
廻る回る《緋色の風車》(ムーランルージュ)灼けつく《刻》(どき)を送つて
躍る踊る《血色の風車》(ムーランルージュ)凍える《瞬間》(どき)を迎えて
嗚呼…もし生まれ変わったら…小さな花を咲かせよう…
ごめんね…次は逃げずに…君の傍で共に散ろう……
《緋色の風車》(ムーランルージュ)…
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神々が愛した楽園 ~Belle Isle~
神話は生まれ…伝説は語られ…歴史は唯記される──
(ベルアイル)
嗚呼…物語は詠うように紡がれ続ける……
死を抱き眠る冥闇の水面を渡り揺れる焔…
その灯火を生命と呼ぶなら → 言葉は力と成るでしょう…
何時しか其処に奪う者と奪われる者も生まれた…
たっだひとつを天秤に架けて → 争いは廻るでしょう…
故郷を喪った仔らは忘れない…
父の無念も…母の哀しみも…嗚呼…遠き大地を…
少年はやがて剣を取るでしょう…そしてその剣が折れても…
またその仔らへと託すのでしょう…遥かなる《年月》(どき)の祈りを…
(ベルアイル)
平原は荒れ果てて砂漠と化し…海原は立ち上がり大地を呑む…
災厄の根が幾重にも絡み合い…異なる世界を繋ぐ《門》(ゲート)は開かれる…
敵の憎悪は同情を遥かに凌ぎ…侵略ではなく完全なる破壊を望む…
氷と焔の相容れない宿命のように「神々が愛した楽園」は戦場へと変貌した……
屍を積み上げて ← 土台は築かれる…
脆く儚い現実は…瓦礫の城
亡骸の頂きに ← 平和は咲き誇る…
甘く拙い幻想は…硝子(ガラス)の色
恐怖を差し出ぜば…狂気が降り注ぐ…共存の道を蹴って…
猜疑は爪を研ぎ…正義は牙を剥く…定規を捩じ曲げたまま──いずれ…
少年は白き翼を得るでしょう…そしてその翼が折れても…
またあの空へと詠うのでしょう…愚かなる《人々》(かみ)の願いを…
嗚呼…少年は黒き剣を取るでしょう…そしてその剣が折れても…
またその仔らへと託すのでしょう…遥かなる《年月》(どき)の祈りを……
少年は手に『剣』…背に『翼』…瞳に『未来』を──
(ベルアイル)
嗚呼…物語は頁(ページ)を捲るように紡がれ続ける →
2008-05-03T01:46:52+09:00
1209746812
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霧の向こうに繋がる世界
https://w.atwiki.jp/rozenkreutz/pages/23.html
霧の向こうに繋がる世界
Collaborated Single
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Weiß ~幻想への誘い~
小鳥達の歌 窓に映る木洩れ日 今日という日の始まり
森と水に囲まれ寄り添って生きる小さな村の日常
朝露に靴を濡らしながら 少女は森の奥へ進む…
静かに霧に包まれし湖には
忌むべき呪いの伝承(つたえ)
「水汲み(しごと)が済んだらまっすぐにお帰り」と
叔母(はは)はいつも繰り返す……
急にたら(とじ)こめた深い霧に 少女は振り向き息をのむ…
向こう岸に霞んで佇む人影
遠き日に亡くしたはずの父親(じじ)の姿
手を伸ばして届くならもう一度会いたい
またあの頃のように優しく名を呼んで…
宵闇の中ひとり森へと向かうは
幻影(まぼろし)に囚われた無垢な白い花
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Schwarz ~そして少女は森の中~
蒼く月映す水面に漕ぎ出した
白い小さな手は不器用に櫂を手繰り
昏く森を閉ざすように纏う霧は深くなる……
辿りつきたる岸辺に咲ける花は──
鮮やかに腐す程に仄甘く──
「追憶ノ鎖ニ繋ガレタママ父親(ニゲルモノ)ヲ追イ駈ケ彷徨ウガイイ……」
少女惑ワス森ノ声ハ奥ヘト誘イ込ム
死と月明かりにくちづけ踊る蝶は──
鮮やかに舞う程に仄紅く──
「追憶ノ搖リ籠ニ搖ラレナガラ望ム幻想(ユメ)ニ抱カレ朽チ果テルガイイ……」
──薄すれゆく意識が見せた懐かしい幼き日の幻影(まぼろし) →
【散らばった歪な木片(かけら)を崩さないように積み上げる遊戯】
← 何度も上手く積もうとしたんだ──
そうだ…泣かないよ…『約束(ゆびきり)』したから……
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schwarzweiß ~霧の向こうに繋がる世界~
光が欲しくて暗闇に手を伸ばす
目醒めを待っていたのは見知らぬ世界
──そして胸に揺らめく誰かの笑顔を
抱いたままに彷徨いながらも
進む男は行く手を遮る霧を
薙ぎ払う絆憶い(おもい)出す……
家路の幻像(ゆめ)を描き空を越える物語
黒い宵(ナイト)…白い息(ブレス)…彼は詩う
無垢な蕾の愛娘(アリス)へと……
思いを込めても言葉は時に無力で
行動した者だけが真実を掴む
──やがて胸に煌めく少女の决意は
櫂を手繰り彼方へ漕ぎ出し
虚像を映し相手を惑わす霧を
振り払う強さ手に入れる……
迷いの幻夢(ゆめ)を抜ける扉(ドア)を探す物語
黒い蟲(ワーム)…白い霧(ミスト)…彼女は挑む
無慈悲な森の悪意(マリス)へと……
出会いの数だけ…繋がる冒険譚(ストーリー)…
一陣の風(ガスト)に乗って…箱庭(アトリエ)に届くだろう…
出会えるよ何時か…嗚呼…孤独(ひとり)じゃないから…
困難な途でも…今日が最低でも…笑うならきっと……
──やがて胸に旗めく冒険者達(かれら)の願いは
翼を広げて 世界を廻り
散らばる希望を集め 全てを隔てる霧を
吹き払う光 解き放つ……
白夜の幻想(ゆめ)のような永遠(とわ)を紡ぐ物語
黒い刃(エッジ)…白い灰(アッシュ)…運命(ぽく)は還える
女神(きみ)の瞳の虹彩(イリス)へと……
2008-05-03T01:45:44+09:00
1209746744
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Elysion ~楽園パレードへようこそ~
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Elysion ~楽園パレードへようこそ~
Sound Horizon Live DVD
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じまんぐの世界 [→ Side:J →]
あらまり君、こんな話を知っているかね…?
荒れ果てた野を 一人の男が歩いておった…
その男の名は…『じまんぐ』 じまんぐの右手には赤い紐
その先に結ばれたる首輪もまた赤く
何が面白いのだ?
サンホラーの諸君…尻に根っこがついておるんじゃないのか!?
コンサートは終わった、これからはライブだ!
君達の明日はどっちだ!?
君らの逞しい二本の足で立ち上がり、明日を掴め…
さすれば…幸運を呼ぶ黒銀の犬が君達に吼えるだろう…!
うぉぉぉぉおおおおおぁぁおおおおおぅぅぅ!!
豪奢な廃墟に転がり 冷たい雨に震える
輝ける名誉も権力(ちから)も 今ではもう過去の所有物(もの)
おぉいぇぇぇぃぃ!!
奪いし物は奪われ 斯して世界は廻る
降り止まない雨の向こうに 何色の空がある
代償(リスク)を背負うほど 加熱する駆け引きは
全て失くすまで気付かない 度し難い自我(エゴ)の下僕(しもべ)…
おぃえーぃぃ!!
空虚な廃墟に転がり 冷たい雨に怯える
帰る場所も待ってる人も 今ではもう過去の支配領域(ばしょ)
奪いし者は奪われ 斯して時代は廻る
降り止まない雨の向こうに 何色の空がある
運命を捩じ伏せ 従える心算(つもり)でも
未来(とき)を掴もうと伸ばした その腕では短か過ぎた…
閉ざされた男の瞳が鮮やかに朽ちる世界と
堕ちてゆく狂夢(ゆめ)に唇を重ねて…残酷な死神(かみ)になる…
──じまんぐの世界
『死』とは…精神(こころ)に先行して
まず肉体(からだ)に依存する感覚から朽ち果てるものらしい
なればこそ人間(ひと)は散々忌避し逃避を企てながらも
絶え間ない悲しみに唇をかさねるだろう…
絶え間ない降り続ける苦悶の日々…
君の心に何を捧げよう
僕の心は君に届くのか 君の愛の色はなんなのか
罪人はじまんぐの瞳の中に唯『世界』を見るという…
百聞は一見に如かず 千聞とてまた然り
憐憫…侮蔑…的外れな嘲笑…謂わば対岸の火事
燃えるまでは熱さ解らず 燃えてからでは遅過ぎる
この世界で何人が罪を犯さずに生きられると言うのか…
──じまんぐの世界、サイドJ
閉ざされた男を瞳が開かれし瞬間(とき)世界は
残酷し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)を見る…
薄氷色(アイスブルー)に煌く瞳が開かれし瞬間(とき)世界は
幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)になる…
サンホラーの諸君、君達の声が聞きたいものだな?
いくぞ!
──サンホラァァィ!!
──サンホラァァィ!!
──サンホラァァィ!!
──サンホラァァィ!!
いぃよぉーぅ!!
ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!
ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!
ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!
地に蔓延りし我ら罪人の群れ
願わくば…君がじまんぐの世界に囚われてしまうことを…
2008-05-03T01:43:57+09:00
1209746637
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poca felicita
https://w.atwiki.jp/rozenkreutz/pages/21.html
poca felicita
GUNSLINGER GIRL Image Album
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La ragazza col fucile ~少女と銃~
果てしない闇の中でもがいている… その苦しみの中でもがいている…
絶え間ない雨の中でもがいている… その悲しみの中でもがいている…
終端のない闇の中でもがいている… その痛みの中でもがいている…
終焉のない雨の中でもがいている… その哀しみの中でもがいている…
無垢な天使も生まれた以上 確実に地に堕ちる……
無限の闇の中でもがいている… その苦痛の中でもがいている…
無限の雨の中でもがいている… その悲哀の中でもがいている…
無垢な天使も堕ちた以上 その白い翼を紅く染める……
千の言葉より一発の銃弾 運命を従わせるのは力
──鋼鉄の意志 時に激しい暴力 生命の焔
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…彼女が明日天に召されるとしても その空は変わらないだろう……
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…彼女が明日天に召されるとしても その空は変わらないだろう……
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…彼女が明日天に召されるとしても その空は変わらないだろう……
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Lui si chiama... ~私の大切な人…彼の名は…~
(Lui si chiama... Gioseffo... Gioseffo... il mio caro...)
「ジョゼさんは何でも知っている」
「仕事をするにはたくさんのことを覚えなくてはいけない
良い仕事は全て単純な作業の堅実な積み重ね」
嗚呼…ライフルスコープで見上げた青空に
ぼんやり輝く《金星》
「星を観るのは初めて」と小さな胸を高鳴らし
哀しい女神の物語 優しい声で聴いていた
嗚呼…天体望遠鏡(Telescope)で見上げた星空に
眩ゆく煌めく《狩人》(Orion)
ルルル~♪ ジョゼさんにもらった大切な日記帳
忘れやすい日々の『小さな幸せ』を集めて綴ろう……
「ある冬の日、エルザは愛を貫いて逝った。
エルザの愛はきっと私とは違う。
でも私は、彼女の生き方を否定出来なかった……」
教えて下さい ジョゼさん… ジョゼさん… ジョゼさん…
愛して下さい ジョゼさん… ジョゼさん… ジョゼさん…
「体が機械の女の子って普通ですか?」
凄い力持ちで 素手で人を殺せるんです
赤い血は出るけれど すぐに痛みなんて消えちゃうんです
義体の私が ジョゼさんの お役に立つには 普通の
──嗚呼…普通の女の子じゃ駄目なんですよ……
ねぇジョゼさん 私は貴方の可愛い妹になれますか?
──どんなに想っても……
ねぇジョゼさん 誰かの代わりでも貴方の特別になれますか?
──どんなに願っても……
ララ♪ 私は知ってるんです
頭を撫でてくれる手の温もりを
ララ♪ 私は待ってるんです
優しく微笑みかけてくれる眼差しを
嗚呼…愛って何ですか?
嗚呼…愛って何ですか?
摇らめく『焔』は色を変えながら
最期に向かって 嗚呼…燃え続ける……
──彼の名は…(Lui si chiama...)
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La principessa del regno del sole ~無邪気なお姫様~
「生まれつき四肢に障害のあった私のせいで
喧嘩ばかりしていたババとママは、
お医者さんの薦めに従って契約書にサインした。
こうして、生まれてから一度も外へ出なかった私は、
病室で迎えた十一歳の誕生日に、
初めて自由に動く自分の体を手に入れたのだ。
私は『公社での生活』をとても気に入っている……」
《私のお気に入り》(La mia cosa favorita) → 朝の静謐な空気
《私のお気に入り》(La mia cosa favorita) → 洗剤の香り
《私のお気に入り》(La mia cosa favorita) → 空と雲と太陽と
《私のお気に入り》(La mia cosa favorita) → 自由な体
嗚呼…それら全ては 病室のベッドの上に
嗚呼…無かったものばかりだ──《私は幸せだ》(Sono felice)
「私たちには、それぞれ公社の大人の人が担当についている。
訓練でも仕事でもいつも一緒なので、
二人まとめてフラテッロと名付けられた。
『フラテッロ』…それは"兄弟"という意味だ……」
政治家の暗殺 現場の下見
逃走経路の確認 それも仕事の內
裏口で出会った 少年は名乗った
彼の名はエミリオ とてもよくしゃべる
私は嘘を吐いてはいないけど 彼を騙しているのだろうか
アマーティの《ヴァイオリン》(Violino)だと彼が勘違いしたのは《銃》(Fucile)
──それが私の仕事道具だ……
「もし仕事中誰かに姿を見られたら…必ず殺せ」
──とジャンさんは言った……
仕事が終わり 部屋を出たところで エミリオに出会った
「ええと…こんな時何て言うんだっけな…ああそうか…ごめんね」
「朝目が覚める度、いちばん気になることがある。
それは、今日も自分の体がちゃんと存在するかということ……」
良かった ← 動く → 『自由な体』 → 素晴らしいことだ
四肢を失う夢を見て 泣きながら起きる この恐怖が解りますか?
沉みながらも見上げた水面から 差し込む陽の光 泡沫の《幻想》(ゆめ)
浮びながらも見上げた水面より 遥かなる高みに 輝ける《理想》(ゆめ)
《太陽の国のお姫様》(La principessa del regno del sole) 黃昏に染まる海辺を走る……
「自由な体。優しい人達。楽しい每日。
社会福祉公社、私はここでの生活をとても気に入っている…」
──太陽の国のお姫様(La principessa del regno del sole)
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Biancaneve bruno ~白雪姫と八人の小人~
《聖夜》(Christmas)を迎える度に 一人ずつ小人が增えてゆく
それは私が公社で過ごした 歳月を数えるように
──ある一度の例外を除いて……
(Dopey, Grumpy, Sneezy, Sleepy, Happy, Bashful, Doc, Augusto...)
少女は走る 仮初めの現在を
少女は走る 不条理な世界を
泣いたり走ったりして成長することも
あるのだろうと──念じて走った……
少女は笑う 束の間の現在を
少女は笑う 無慈悲な世界を
紅茶とケーキには幸せの魔法が
かかっていると──信じて笑った……
嗚呼…《義体》(わたし)は戦う為 生かされているのだ
嗚呼…如何なる理由であれ 《敗北》(負る事)は《許容》(ゆる)されない
瞳を背けようとすればする程 その《恐怖》(やり)は広がる
《脆弱い》(弱い)自分に負けぬよう もっと強くなりたい
「私はどうすれば良い?」 ぬいぐるみに語りかけても
声色を変えた返事を待っても 答えを出すのはいつも自分だ
──『褐色の白雪姫』は戦うお姫様……
「答えはもう決まっているのだ(です)」
「あれは、モンタルチーノで奪われた私の銃。
よくも私を撃ったな。
ヒルシャーさんのくれた大切な銃で。
──許さない……絶対に許さない!」
私は勝った 敵を倒して大切なものを守った
私は知った 凍える世界を溶かす《光》(Good Morning)を
《兄妹》(Fratello)で愛を語らう言葉は持たない 優しさは時に鋭い刃物
不器用な者が触れ合えば 傷つけ合うこともあるけど
大切な人は両手で抱きしめよう……
(Dopey, Grumpy, Sneezy, Sleepy, Happy, Bashful, Doc, Augusto...)
「あれは何時だったのだろう?
優しい夢を見た。眼鏡と香水の香り。
『お母さん』の夢。私をさっと抱きしめてくれた。
気のせいかも知れないが、そんな気がしたのだ……」
「大丈夫、私は今日も頑張るよ!」
──褐色の白雪姫(Biancaneve bruno)
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Claes tranquillo ~眼鏡と一つの約束~
「料理をするのも、絵を描くことも、楽器を弾くことも楽しいし、
ここには読みきれないほどの本がある……」
そしてなにより私は 無為に時を過ごす喜びを知っている
それは遠い昔《お父さん》(パパ)か誰かに教えてもらったもの
──そんな気がするのだ……
「7(Sette)ヤードで必中できるようになるまで帰ってくるな」
──と《少女の担当官》(ラバロ)は言った…
少女が奏でる夜と朝の《輪舞曲》(Rondo)弾丸は雨の中踊り続けた……
命令には服従──『条件付け』とは『鉄の《掟》』かい…
《お嬢ちゃん…お嬢ちゃん…》(クラエス…クラエス…)
「教養や好奇心のない奴は良い兵士になれないからな」
──と《無愛想な担当官》(ラバロ)は言った…
少女の《写真》(Fotografia)とても大事そうに 本を抱えて微笑んでいた……
記憶の書き換え──『条件付け』とは『鉄の《檻》(Gabbia)』かい…
《お嬢ちゃん…お嬢ちゃん…》(クラエス…クラエス…)
「射撃の練習はしばらく中止となり、
翌日、私達は朝から出かせることとなった……」
「──それから、私たちは何度か湖に足を運んだ。
ロンバルディア、ヴェネト、ピエモンテ……。
公社での私たちはいつも無口で、
お互い教官と教え子の役割を忠実にこなしたが、
何故かいつも湖では会話が進んだ。
それが二人の暗黙のルールだったのだ……」
【正当防衛以外では抜いてはならない】
地下鉄に湧くチンピラ相手のちょっとした実地訓練
煌めく《刃物》(Knife)が突き刺さる瞬間の衝撃
【射撃の腕より抜くタイミング】
重要だと教わってたのに……
嗚呼…刃物(Knife)の間合いに入ってから 銃を使うと決めても
嗚呼…相手の間合いに入ってから 引き金を引いても遅いんだ
──今度撃つ時は決して躊躇わない……
公社の射撃訓練場 → ジャムった少女のSIG →
素早く詰め寄るラバロ → 拳で弾け飛んだヘンリエッタ →
弧を描きジョゼを張り飛ばす →
その背後には立ち上がったヘンリエッタ →
持ち上げた凶器を構えて → ラバロに照準を合わせた →
それを見た私は引き金を引いた → 今度は躊躇わなかった……
「私が退院して間もなくラバロさんは公社を去った。
宿舎の鍵と古びた眼鏡、数えきれない想い出を遺して。
私が彼の姿を見たのはそれが最後だった……」
【この眼鏡をかけてる間はおとなしいクラエス】
書き換え可能な『命令』じゃない… 血の通った『約束』
「わかりました。」("Si, ho capito.")
そしてなにより私は 無為に時を過ごす喜びを知っている
それは遠い昔《お父さん》(パパ)か誰かに教えてもらったもの
──そんな気がするのだ……
──クラエスの平穏(Claes tranquillo)
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La principessa del regno della pasta ~可哀想なお姫様~
「あの頃してやった事、全てが無駄とは思いたくないが、
彼女はもう、あの物語を覚えてはいない……」
《女の子…天使のような女の子…》(アンジェリナ…アンジェリナ…) 可愛いお姫様
《女の子…天使のような女の子…》(アンジェリナ…アンジェリナ…) 可哀想なお姫様
《従者》(ペロ)を連れて 《城下町》(Mercato)へ《お忍び》(おつかい) 姫を狙う 蒼い影の《馬車》(Macchina)
《空》(Cielo)を抱いて 《大地》(La terra)へ《接吻》(くちづけ) 姫を攫う 黒い影の《死神》(Orcus)
彼女を殺そうとしたのは 多額保険金を掛けていた
倒産寸前の町工廠の 経営者たる彼女の父親 ──実の両親だった……
「──そして、《天使》(アンジェル)の名を持った《少女》(アンジェリナ)は《義体》(アンジェリカ)として生まれ変わった……」
『パスタの国の王子様 ~Il principe del regno della pasta~』
──昔々あるところに パスタの国がありました
その国にはパスタの大好きな 王子様がおりました
一人ぼっちの王子は大好きなパスタを 一緒に食べる友達が欲しくて
友達を探す旅に出たのでした……
「アンジェリカはよほど俺の作り話を気に入ったらしく、
会う度にその続きをせがんだ……」
風渡る草原 → 荒ら狂う海原 →
凍てついた雪原 → 冒険の旅は続く…
邪悪な《火竜》(Drago)と 囚われの《お姫様》(Principessa)
呪われし頂を 火の山を目指した……
迫り上がる岩壁を → 両手で捩じ伏せて
燃え上がる火海を → 一足で跳び越えて
迫り来る腐の風に → 触れても億さずに
見え来たる頂きに → 遂に手を掛けた…
──岩に刺さった伝説のフォークを引き抜いたら
その時 天空より巨大な影が舞い降りた……
囚われの姫を 助けた王子の 冒険を綴った絵本それは
──茨の塔で眠り続ける 《可哀想なお姫様》(アンジェリカ)の夢……
「アンジェリカは
一番最初に義体の能力を示したが、
最も初期に義体化された検体だけに、
『薬』の副作用を最初に示したのも彼女だっだ……」
《お姫様…お姫様…》(アンジェリカ…アンジェリカ…) 楽しいあの歌も
《お姫様…お姫様…》(アンジェリカ…アンジェリカ…) 優しいあの人も
《お姫様…お姫様…》(アンジェリカ…アンジェリカ…) 愛しいあの日々も
《お姫様…お姫様…》(アンジェリカ…アンジェリカ…) 何れは『忘れ去る』
「──そして、今では、
あの子に物語を聞かせることもなくなった。
あの頃してやった事、全てが無駄とは思いたくないが、
彼女はもう、あの物語を覚えてはいない……」
──パスタの国のお姫様(La principessa del regno della pasta)
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Io mi chiamo... ~貴方だけの義体…私の名は…~
「私はラウーロさんが一番大事。
私の時間は、全てラウーロさんの為に使うわ。
ラウーロさんを想いながら、
ラウーロさんの為にライフルを磨くの……」
──短過ぎる蝋燭
貴方の為だけに灯そうと思ったから
消す時もまた貴方の為だけに……
貴方が付けてくれた名前…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
貴方を愛し屠る義体…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
真夜中に無言で辿る あの日と同じ舖道
凍てついた銀色の月 早鐘を打つ鼓動
すれ違い続ける心 歪な色の瑪瑙
空回り虚ろう言葉 決断に摇れる焔
嗚呼…過ぎし日は檻の中 殻を破れぬ蛹は
嗚呼…蝶に成れず死んでゆく 空の夢を抱いたまま……
「ラウーロさ──ん!」
貴方が付けてくれた名前…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
貴方を愛し屠る義体…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
貴方は何も覚えてはいない 覚えてたのは私だけ…
貴方は誰も愛してはいない 愛してたのは私だけ…
終わりの場所は 始まりの場所 愛が生まれたこの場所で……
貴方が付けてくれた名前…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
貴方を愛し屠る義体…《私の名はエルザ・デ・シーカ》(Mi chiamo Elsa De Sica)
私が望む最後の願い…《ラウーロと小さな幸せ》(Lauro e poca felicita)
私を焦がす最期の焔…《ラウーロと小さな幸せ》(Lauro e poca felicita)
──《ラウーロと…『小さな幸せ』》(Lauro e... "poca felicita")
──私の名は…(Io mi chiamo...)
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La ragazza col fucile e poca felicita ~少女と銃と小さな幸せ~
空は啜り泣いている
──人はそれを唯の雨と呼ぶのだろうが
それは誰かの代わりに泣いているのだ
この物語には不幸が多過ぎる……
少女は啜り泣いている
──人はそれを唯の虚弱さと呼ぶのだろうが
彼女は誰かの為にひとりで泣いているのだ
この世界には地獄が多過ぎる……
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…彼女が明日天に召されるとしても その空は変わらないだろう……
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…彼女が明日天に召されるとしても その空は変わらないだろう……
銃を持った少女は 哀しみの雨の中を駈けてゆく
嗚呼…この過酷な人生で 彼女達が『小さな幸せ』を見つけられますように……
2008-05-03T01:43:08+09:00
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リヴァイアサン/終末を告げし獣
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リヴァイアサン/終末を告げし獣
Leviathan Image Album
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エピソード1:終末を告げし獣~辺境からの生還者
辺境の地ギョレメで 平和維持活動に
従事していた小隊が 消息を絶った…
行方不明になったのは 国籍も人種も性別も違う 五人だった…
──そして二年後……
生還したのは たったひとりだった………
『リヴァイアサン』
それは──終末を知らせに降臨する獣の名だ…
誰も疑わぬ『日常』という虚構の中で
靜かに『歯車』は廻ってゆく
誰も出られぬ『日常』という檻の外で
密かに『現実』は換わってゆく
誰も望まぬ『終末』という舞台の上で
靜かに『歯車』は廻ってゆく
誰も気付かぬ『終末』という運命(さだめ)の下で
密かに『現実』は換わってゆく
同じ時刻に別々の場所で 死んだ双子の《浮浪者》(Homeless)
退院後何故か黑子の位置が 鏡面対称の《法務大臣》
『歯車』は廻り…『現実』は入れ換わる…
何かが動き出そうとしている……
《千年紀》(Millennium)が避けて通った街にも…風に乗って闇の匂いが漂い…
見てはならない者たちが蠢く…
きっとこんな夜だ…あの『男』が帰ってくるのは…
──ID… 脳外科… DR.ザグー…
人体を中心から切断した半身を それぞれ復元したのが《鏡人間》(Mirror Human)
医学の起源は魔術であると 《脳外科の権威》(ザグー)はメスを光らせた
拘束された《女》(さつき)は為す術もなく 帰らぬ《男》(ひと)の名を叫ぶ
その時ドアを蹴破って 躍り出た影 呼ばれた男が今そこに
共に駈けつけた 恩師《菜々山》の 銃口が火を噴いた…
ほら…『男』は帰り…『現実』を入れ換える…
彼らの物語が始まる…
『リヴァイアサン』
──それは終末を知らせに降臨する獣の名だ…
いくつもの獣や魚の身体からなる
天地創世より存在するこの終末の獣は
来るべき最後の審判の日 救い主の手によって捕らえられ…
その巨大な肉は聖なる人の食物として 厳かに献上されるという…
──リヴァイアサン… 終末を告げし獣
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エピソード2:ハルトゼーカーの小人~少女曰く天使
あかねは…天使だと思う…
《舖装道路》(Asphalt)には天使の落書き それは少女のひとり遊戯(あそび)
小さな背中に翼を隱し この廃墟で風を待っている
少女の蝋燭が灯った時に 母親の蝋燭は消えてしまった…
この世に灯(とも)る 灯(あか)りの数が決められて居るなら私は
何を照らす為に在るの?
《薄暗い部屋》(Dark Room)では天使の囁き それも少女のひとり遊戯(あそび)
小さな瞳に光を宿し この廃墟で彼を待っている
少女は父親の顏さえ知らない 母親は顏以外ろくに知らない…
この夜に灯(とも)る 灯(あか)りの数が決められて要るなら私は
誰を照らす為に在るの?
母は…鳥に導かれて帰り
私は…彼の手をとっている…
親子にはなれなくても 家族にはなれるの?
兄妹にはなれなくても 家族にはなれるの?
恋人にはなれなくても ずっと彼の傍にいたい
《彼と私と世界が織りなす物語》(しゅうまつ)の行方を見届ける……
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エピソード3:闇の紳士録~召喚という儀式
もう一つの、19世紀ロンドン…
街角に立ち花を売る 華やかな女達を
切り裂いた《刃物》(やいば) 彼が言うには
「ボクじゃない! ボクがやったんじゃない!!」
──別人格が殺ったと宣う《連続殺人鬼》(Serial Killer)
片面透明鏡(Magic Mirror)越しに訊く 和やかな彼女の名は
「海月、アイリーン、ノリコ、鈴々、綾香、etc...」←56重人格
──多重人格の暫定的な《記録保持者》(Record Holder)
豪華絢爛(Gorgeous)に飾られた 闇に近い大使館
向かい合った二人の 初老を過ぎた男女
紳士は手に紳士杖(Stick) 淑女の方は車椅子
その後ろで黑衣の 男が凜と睨む
「…移民との共存には、ルールがある!」
「…むしろ、ルールに従わないのは、あなた方のほうだ!」
「…私たちは、契約を容認していない!」
「…だから、先日申し上げたでしょう!? 『宣戦布告』だと!」
嗚呼…平行線を辿る議論 交涉虚しく《決裂》(Break Out)
光側の勢力 vs 闇側の勢力 …戦いは既に始まっている!
(The lightside the darkside... the fight already start!)
失意に濡れている 橫顔は誰かと同じ…
殺意に摇れている 橫顔は誰かと同じ…
吹き荒れる民営化による 《企業経営再構築的解雇》(Restru)の嵐
憎悪の海を彷徨う小舟に 手を差し伸べたのは
「殺せば?」と言う少年の囁き…
民営化が彼を殺すのか? それとも彼が民営化を殺すのか?
(That's who privatization killed him or that he killed privatization?)
民営化が彼を殺すのか? それとも彼が民営化を殺すのか?
(That's who privatization killed him or that he killed privatization?)
──そして男は紳士録を手に取った………
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エピソード3:闇の紳士録~死刑執行
(Proxy in the rain who's book famous.)
心に罪深き欲望を抱え その暗闇に代行者の名を問いかける
(Sinful desire is had in the mind. Proxy's name ask the dark.)
心に漆黒の欲望を抱え その書物に代行者の名を問いかける
(Jet-black desire is had in the mind. Proxy's name ask the book.)
──やぁ、君!(Hey guy!)
「まぁ、銃を取りたまえ! パトリック・ヘンリー・シェリル君! 君はもう一人の殺人郵便野郎なのだよ!!」
(Just take the gun! Mr. Patrick Henry Cheryl! You are another Mr. Patrick Henry Cheryl!!)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
心に歪んだ願望を抱き その暗闇に代行者の名を問いかける
(Distorted wish is had in the mind. Proxy's name ask the dark.)
心に血塗れの願望を抱き その書物に代行者の名を問いかける
(Bloodstained wish is had in the mind. Proxy's name ask the book.)
──やぁ、君!(Hey guy!)
「同僚を殺したまえ! パトリック・ヘンリー・シェリル君! 君はネジがぶっ飛んだ殺人郵便野郎なのだよ!!」
(Kill the partner! Mr. Patrick Henry Cheryl! You are crazy Mr. Patrick Henry Cheryl!!)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
(Proxy in the rain who's book famous.)
嗚呼…誰だって殺したい奴はいる………
人殺しという名の欲望に……
自分そっくりの境遇の殺人鬼を───
何故人はその紳士録の中から 選んでしまうのだろう?
選んでしまうのだろう………
新宿署、猟奇殺人課、刑事、犬彦
──ヒーローは、最後に現れる
(──The hero comes at vary final moment.)
男は狼、孤独な狼 男は狼、飢えた狼
(Man is wolf, solitary wolf. Man is wolf, starveling wolf.)
男は狼、流浪の狼 男は狼、いや、むしろ犬
(Man is wolf, wandering wolf. Man is wolf, No, it's a dog.)
男は犬、孤独な犬 男は犬、飢えた犬
(Man is dog, solitary dog. Man is dog, starveling dog.)
男は犬、流浪の犬 男は犬、そうさ《犬彦》
(Man is dog, wandering dog. Man is dog, Yes, "The Dog".)
今や時代は、狼よりも《犬彦》なのさ……
(Age is from the wolf to "The Dog" now yet ...)
…行け《犬彦》! …戦え《犬彦》!
(...Go! "The Dog"! ...Fight! "The Dog"!)
…行け《犬彦》! …戦え《犬彦》!
(...Go! "The Dog"! ...Fight! "The Dog"!)
…行け《犬彦》! …戦え《犬彦》!
(...Go! "The Dog"! ...Fight! "The Dog"!)
はい、お前とお前とお前は死刑! お前とお前とお前は絞首刑!
(Yes, you and you and you are death penalty! You and you and you are death by hanging!)
お前とお前とお前はサヨナラ! 死刑執行!!
(You and you and you are goodbye! Execution!!)
貴方は、誰を選びますか?
──リヴァイアサン… 闇の紳士録
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エピソード5:Day Dream~さつきの箱庭
夕暮れに染まった 舖装道路(Asphalt)に小さな階段
帰らぬ人を待ち 膝を抱え空を見上げた
元彼(かれ)が居ないまま 季節(とき)は過ぎ去り 全てが幻想(まぼろし)のように…
抜け殻のまま 別の男と始めてはみたけれど……
薬が切れる度 発作的に暴れては
「殺してくれ!!」と 現彼(かれ)は私に言う
透明な液体(Liquid)の 空瓶が転がる
狭いこの《箱庭》(へや)から 飛んでゆきたい…
思いも寄らない事ばかりが 連続的日常を襲った
元彼との再会は出来過ぎだった
危機的状況(Pinch)に 物語の主人公(Hero)のように現れるなんて…
待ち詫びていたはずの 懷かしい元彼(かれ)の胸に
素直に飛び込めない私がいて…
「待ちくたびれちゃったの…」なんて…
「しかたないさ…」なんて… 背中合わせに別れた……
些細な事でさえ 大きく膨らませては
いつもの様に 現彼(かれ)は私を打つ
銀色の銘柄(Label)の 錠剤が転がる
狭いこの《箱庭》(へや)から 飛んでゆこう…
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エピソード5:Day Dream~砂の城
闇夜に輝ける流星 多くの魂が『其処』に飛び立ってゆく
(Meteor that shines at moonless night. Many souls fly away to "There".)
無慈悲な夜に救済者を求め 多くの願いが『其処』に集まってゆく
(Seeks savior at merciless night. Many wishes gather to "There".)
闇夜に輝ける流星 多くの祈りが『其処』に飛び立ってゆく
(Meteor that shines at moonless night. Many prayers fly away to "There".)
無慈悲な夜に救済者を求め 多くの欠片が『其処』に集まってゆく
(Seeks savior at merciless night. Many pieces gather to "There".)
──『其処』は暗黑の大穴
(──"There". The cave of the darkness.)
この街に《恐怖の大王》(さいやく)が降りてきて
犇めく高層建築物(Buil)の樹海を薙ぎ倒し
この街に暮らしてた人々に
耐え難い恐怖と心的外傷(Trauma)を灼き付けたの?
この街は彼らの妄想が
在りし日に似せて築いた砂の城
この街は真実を覆い隠し
緩やかな死と退廃を与え続けるの?
妄想の楔から解放された魂は
暗黑の底へ…死者の国へ還ってゆく?
それとも…本当は《恐怖の大王》(Un grand Roy d'effrayeur)など
この街にはやって来なかった? 結局は……
──リヴァイアサン… Day Dream
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エンディングテーマ:The Beast of the Endness
侵し遷ろうモノと 追われ往くモノ
《終末》を偽るモノと それを告げるモノ
犯し虚ろうモノと 負われ逝くモノ
《終末》に気付かぬモノと それを告げるモノ
今は未だあの獣の名を… 嗚呼…呼んではいけない…
右手には光を 左手には闇を
天秤を繰る手が どちらに近いモノであれ
彼らはこの《東京》(まち)を 誰よりも憎み 愛すでしょう…
終末の獣 その名は『リヴァイアサン』
遥かなる掟に拠り目覚めし時 世界は終焉を迎えるでしょう…
──その心臟は石のように堅く、
臼の下石のように堅い。
──それは鉄を見ること、藁のように、
青銅を見ること、朽木のようである。
──地の上には、それと並ぶものはなく、
恐れを知らぬ者として造られた。
──それは、すべての高き者を見下ろし、
全ての誇り高ぶる者の王である。
右手には光を 左手には闇を
運命を繰る手が どちらに近いモノであれ
彼らはこの《東京》(まち)に 楽園を創り 壊すでしょう…
終末の獣 その名は『リヴァイアサン』
(The Beast of the Endness, its name was "Leviathan".)
遥かなる掟に拠り目覚めし時 世界は終焉を迎えるでしょう…
(When it awakes from far-flung, the world will face the end...)
海を吞み干し 滅びの陸へ
焔に抱かれて 時を吼えるでしょう
闇を吞み込み 《終末》(おわり)の空へ
星を堕として 時を喰らうでしょう
──リヴァイアサン… The Beast of the Endness
2008-05-03T01:40:33+09:00
1209746433
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Elysion ~楽園幻想物語組曲~
https://w.atwiki.jp/rozenkreutz/pages/19.html
Elysion ~楽園幻想物語組曲~
Major 2nd Album : 4th Story CD
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エルの楽園 [→ Side:E →]
私は…生涯彼女を愛することはないだろう…
しかし…彼女という存在は…私にとって特別な意味を孕むだろう…
何故なら…生まれてくる子の名は…遠い昔にもう決めてあるのだから……
──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる……
Elysion to A... Elysion to A...
白い大地に 緋い雫で 描かれた軌跡 罪の道標
古びた金貨(コイン) 握りしめたまま 這い擦りながらも 男は笑った
廻るように 浮かんでくる 愛しい笑顔 すぐ其処に
無限の果てに 手を伸ばす様に 扉に手を掛けた
(「Come Down to the Elysion...」)
──そして…彼の現実は朽ち果てる……
少女が小さく 咳をする度 胸の痛みが 春を遠ざける
襤褸い毛布でも 夢は見られる 愛を知った日の 温もり忘れない
眠るように 沈んでゆく 愛しい世界 水底に
夢幻の果てが 手を招く様に 扉は開かれた
(「Come Down to the Elysion...」)
──そして…彼女の現実は砕け散る……
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
ねぇ…お父様(パパ)…
窓を叩く夜風 弾む吐息 薄暗い部屋 楽しそうな談笑
虚ろな月明かり 白い吐息 薄汚い部屋 痩せた膝の少女
幾度となく繰り返される問い掛け 尽きることのない『楽園』への興味
嗚呼…少女にはもう見えていないのだ 傍らに横たわるその屍体が…
「ねえ、お父様(パパ)」
「何だい、エル?」
「明日は何の日か知ってる?」
「世界で一番可愛い女の子の誕生日」
「私、お誕生日プレゼントは絵本がいいと思うわ…」
...Cross Door …男の夢想は残酷な現実となり
...Cross Door …少女の現実は幽幻な夢想となる
...Cross Door …男の楽園は永遠の奈落となり
...Cross Door …少女の奈落は束の間の楽園となる
…お父様(パパ)── その楽園ではどんな恋が咲くの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな愛を歌うの?
…お父様(パパ)── その楽園では心はもう痛くないの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
ねぇ…お父様(パパ)…
Elysion to A... Elysion to A...
Elysion to A... Elysion to A...
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Ark
「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(きかん)に手を加えて
驕れる無能な創造神(かみ)にでも 成った心算なの……」
... Love wishing to the "Ark"
崩壊 其れは孕み続けた季節 二月の雪の日 『妹』(Soror)の記憶(ゆめ)
「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ
救いを求める貴女にArkを与えよう」
《Arkと呼ばれた物》(それ)は月光を受けて銀色に煌いた…
想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨
幸せだった二人 永遠(とわ)に届かなくなる前に…
「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」
涙を微笑みに換え詰め寄る 《Arkと呼ばれた物》(Knife)を握って…
──愛憎の箱舟(Ark)
「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
因果 其れは手繰り寄せた糸 六月の雨の日 『兄』(Frater)の記憶(ゆめ)
信じてたその人に裏切られた少女
逃げ込んだ楽園は信仰という狂気
新しい世界へと羽ばたける自己暗示
澄み渡る覚醒は進行という凶器
最期の瞬間(とき)に廻った 歪な愛の記憶
脆弱な精神(こころ)が堪えきれず あの日嘘を吐いた…
律すれば律する程堕ちる 赦されぬ想いに灼かれながら
まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う…
──背徳の箱舟(Ark)
「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
(「Soror with the "Ark", Frater in the Dark.」)
(「Soror with the "Ark", Frater it's Dead.」)
被験体#1096 通称『妹』(Soror)同じく
被験体#1076 通称『兄』(Frater)を殺害
<症例番号(Case Number)12>
過剰投影型依存における袋小路の模型(Model)
即ち《虚妄型箱舟依存症候群》(Ark)
限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想
求める儘に唇を奪い合い 少しずつ楽園を追われてゆく
同じ心的外傷(Trauma)重ねれば響き合う けれどそれ以上には…
「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(きかん)に手を加えて
驕れる無能な創造神(かみ)にでも 成った心算なの?」か…
在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と
少女の声色で囁く「楽園へ還りましょう」…
... Love wishing to the "Ark"
監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く
失った筈の《左手の薬指》(場所)が虚しく疼いた
──ふと彼が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと
嗚呼…いつの間にか少女の背後には『仮面の男』が立っていた──
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エルの絵本 [魔女とラフレンツェ]
如何にして楽園の扉は開かれたのか…
鬱蒼と茂る暗緑の樹々 不気味な鳥の鳴き声
ある人里離れた森に その赤ん坊は捨てられていた
幸か…不幸か…人目を憚るように捨てられていたその子を拾ったのは
王国を追われた隻眼の魔女 《深紅の魔女と謳われた》(Crimson)のオルドローズ
銀色の髪に 緋色の瞳 雪のように白い肌
拾われた赤ん坊は いつしか背筋が凍る程美しい娘へと育った…
流転こそ万物の基本 流れる以上時もまた然り
二つの楽園を巡る物語は 人知れず幕を開ける…
(悔しい…出してくれ…助けてくれ…)
「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…」
銀色の髪を風になびかせて 祈るラフレンツェ 死者の為に…
小さな唇が奏でる鎮魂歌(Requiem) 歌えラフレンツェ 永遠(とわ)に響け…
時を喰らう大蛇(Serpens) 灼けた鎖の追走曲(Canon)
狂い咲いた曼珠沙華(Lycoris) 還れない楽園(Elysion)
蝋燭が消えれば 渡れない川がある
始まりも忘れて 終わらない虚空(そら)を抱く……
亡者どもの声(Creature's Voice)
「──オノレラフレンツェ」…悲痛な叫びの不響和音(Harmony)
尽きせぬ渇望(Un Satisfied)
「──ニクキラフレンツェ」…呪怨の焔は燃ゆる
儚い幻想と知りながら 生者は彼岸に楽園を求め
死者もまた 還れざる彼岸に楽園を求める
彼らを別つ流れ 深く冷たい冥府の川
乙女の流す涙は 永遠に尽きることなく
唯…嘆きの川の水嵩を増すばかり…
──少女を悪夢から呼び醒ます 美しき竪琴の調べ
哀しい瞳をした弾き手 麗しきその青年の名は……
「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…
お前は冥府に巣喰う、亡者どもの手から、
この世界を守る為の、最後の黄泉の番人、
純潔の結界を、破らせてはいけないよ…」
祖母が居なくなって 唇を閉ざした
吹き抜ける風 寂しさ孤独と知った
彼が訪れて 唇を開いた
嬉しくなって 誓いも忘れていった…
──それは
手と手が触れ合った 瞬間の魔法
高鳴る鼓動 小さな銀鈴(ベル)を鳴らす
瞳と瞳見つめ合った 瞬間の魔法
禁断の焔 少女は恋を知った…
一つ奪えば十が欲しくなり 十を奪えば百が欲しくなる
その焔は彼の全てを 灼き尽くすまで消えはしない…
「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…」
愛欲に咽ぶラフレンツェ 純潔の花を散らして
愛憎も知らぬラフレンツェ 漆黒の焔を抱いて
彼は手探りで闇に繋がれた 獣の檻を外して
少女の胎内(なか)に繋がれた 冥府の底へ堕りてゆく……
──近づいて来る足音
やがて彼(Orpheus)が乙女(Eurydice)の手を引いて 暗闇の階段を駆け上って来る
けれど少女は裏切りの代償として 残酷な呪いを歌った
嗚呼…もう直ぐ彼は…彼は振り返ってしまうだろう──
魔女がラフレンツェを生んだのか…ラフレンツェが魔女を生んだのか…
物語はページの外側に…
斯くして…楽園の扉は開かれた
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Baroque
「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
主よ、私は人間(ひと)を殺めました。
私は、この手で大切な女性を殺めました。
思えば私は、幼い時分より酷く臆病な性格でした。
他人というものが、私には何だかとても恐ろしく思えたのです。
私が認識している世界と、他人が認識している世界。
私が感じている感覚と、他人が感じている感覚。
『違う』ということは、私にとって耐え難い恐怖でした。
それがいづれ『拒絶』に繋がるということを、無意識の内に知っていたからです。
楽しそうな会話の輪にさえ、加わることは恐ろしく思えました。
私には判らなかったのです、他人に合わせる為の笑い方が。
いっそ空気になれたら素敵なのにと、いつも口を閉ざしていました。
そんな私に初めて声を掛けてくれたのが、彼女だったのです。
美しい少女(ひと)でした、優しい少女(ひと)でした。
月のように柔らかな微笑みが、印象的な少女でした。
最初こそ途惑いはしましたが、私はすぐに彼女が好きになりました。
私は彼女との長い交わりの中から、多くを学びました。
『違う』ということは『個性』であり、『他人』という存在を『認める』ということ。
大切なのは『同一であること』ではなく、お互いを『理解し合うこと』なのだと。
しかし、ある一点において、私と彼女は『違い過ぎて』いたのです。
狂おしい愛欲の焔が、身を灼く苦しみを知りました。
もう自分ではどうする事も出来ない程、私は『彼女を愛してしまっていた』のです。
私は勇気を振り絞り、想いの全てを告白しました。
しかし、私の想いは彼女に『拒絶』されてしましました。
その時の彼女の言葉は、とても哀しいものでした。
その決定的な『違い』は、到底『解り合えない』と知りました。
そこから先の記憶は、不思議と客観的なものでした。
泣きながら逃げてゆく彼女を、私が追い駆けていました。
縺れ合うように石畳を転がる、《性的倒錯性歪曲》(Baroque)の乙女達。
愛を呪いながら、石段を転がり落ちてゆきました……。
この歪な心は、この歪な貝殻は、
私の紅い真珠は歪んでいるのでしょうか?
誰も赦しが欲しくて告白している訳ではないのです。
この罪こそが、私と彼女を繋ぐ絆なのですから。
この罪だけは、神にさえも赦させはしない……。
「ならば私が赦そう…」
(「歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…(Baroque vierge, baroque zi le fine...)」)
(「歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…(Baroque vierge, baroque zi le fine...)」)
(「歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…(Baroque vierge, baroque zi le fine...)」)
(「歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…(Baroque vierge, baroque zi le fine...)」)
──激しい雷鳴 浮かび上がる人影
いつの間にか祭壇の奥には『仮面の男』が立っていた──
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エルの肖像
白い結晶の宝石は 風を纏って踊る
樹氷の円舞曲 遠く朽ちた楽園
黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃って通る
樹氷の並木道 深い森の廃屋
少年が見つけた 少女の肖像画
『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった…
幼い筆跡の署名(Sign) 妙に歪な題名(Title)は
【最愛の娘エリスの八つの誕生日に…】
退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
第四の地平線─その楽園の名は『ELYSION』
──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる……
やがて少年は彼の《理想》(idea"L")を求めるだろう…
やがて少年は彼の《鍵穴》(keyho"L"e)を見つけるだろう…
やがて少年は彼の《楽園》(e"L"ysion)を求めるだろう…
やがて少年は彼の《少女》(gir"L")を見つけるだろう…
娘もまた母になり 娘を産むのならば
楽園を失った原罪を 永遠に繰り返す……
始まりの扉と 終わりの扉の狭間で
惹かれ合う『E』(EL)と『A』(ABYSS)──愛憎の肖像
禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく
求め合う『E』(EVA)と『A』(ADAM)──愛憎の肖像
やがて少年は♂(おとこ)の為に自らを殺し 少女は♀(おんな)の為に自らを殺す
時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか?
──幾度となく『E』(ELYSION)が魅せる幻影 それは失ったはずの『E』(Eden)の面影
嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾らせてゆくのだろう──
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Yield
「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
一人娘は せっせと種を蒔く
変わらぬ過去に 訪れぬ未来に
不毛な行為と 君は笑うだろうか?
それなら君は 幸せなんだろうね…
根雪の下で春を待つの 夏が過ぎれば実りの秋ね…
成果(Harvest)…収穫(Harvest)…それは果実を産む(It yields fruits)
最も遅い収穫(Latest harvest)…それは甘い果実を産む(It yields sweets)
一夜限りの 情事(ゆめ)でも構わない
それをも女は 永遠(とわ)に出来るから
不毛な恋と 君は笑うだろうか?
やっぱり君は 幸せなんだろうね…
凍える夜は夢を見るの 夏が過ぎれば想いが実る…
結果(Harvest)…収穫(Harvest)…それは果実を産む(It yields fruits)
最も遅い収穫(Latest harvest)…それは甘い果実を産む(It yields sweets)
「3」…不安定な数字 「3-1」…模範的な数式
問題となるのは個の性質ではなく 唯…記号としての数量
世界が安定を求める以上 早くどれか一つを引かなければ…
何故人間(ひと)は恋をする 相応しい季節(とき)に出会えないの?
嗚呼…お父さん(Dad)…お母さん(Mam)
「──それでも私は幸せになりたいのです……」
恋心(Sweets) 甘い果実(Sweets) 真っ赤な果実(Fruits)
もぎ獲れないのなら 刈り取れば良いと…
恋心(Sweets) 甘い果実(Sweets) 真っ赤な果実(Fruits)
嗚呼…でもそれは首じゃないか……
二人の♀(おんな) 一人の♂(おとこ) 一番不幸なのは誰?
落ちた果実…転がる音 余剰な数字…引かれる音
「3-1+1-2」
──最後に現れたのは『仮面の男』
彼らが消え去った後 荒野に一人取り残されるのは誰──
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エルの天秤
殺人…窃盗…誘拐…密売…
──悪魔に
魂を売り渡すかのように 金になる事なら何でもやった
問うべきは手段では無い その男にとって目的こそが全て
切実な現実 彼には金が必要だった…
傾き続けてゆく天秤 その左皿が沈み切る前に
力づくでも浮き上がらせるだけの金が 右皿には必要だった…
そして…その夜も天秤は仮面を躍らせる……
闇を纏うように 夜の静寂を探り 瞳と瞳(めとめ)を見つめ合って
夢想的(Romantic)な月灯りに そっと唇重ね 息を潜めた…
慌しく通り過ぎる 追っ手達を遣り過ごし 手と手を取り合って
戯曲的(Dramatic)な逃避行に 酔った二つの人生(いのち) 愛に捧げた…
(「さよなら…さよなら…」)
権力の走狗どもには便利なカード
娘を売れば至尊への椅子は買える
身分違いの恋 許されないと知っても ♂(お)と♀(め)は惹かれ合った
嗜虐的(Sadistic)な貴族主義を 蹴って檻を抜け出す 嗚呼それは悲劇…
運命の遊戯盤(Board)の上で 支配力を求めて 生と死は奪い合った
徹底的(Drastic)な追悼劇を 笑う事こそ人生 嗚呼むしろ喜劇…
(「さよなら…さよなら…」)
コインで雇った者が裏切る世の中
他人ならば不条理と責めるは惨め
楽園への旅路 自由への船出 逃走の果てに辿りついた岸辺
船頭に扮した男が指を鳴らすと 黒衣の影が船を取り囲んだ……
「お帰りの船賃でしたらご心配なく、既に充分すぎるほど戴いておりますので、けれども彼は、ここでさよなら」
「残念だったね…」
「娘さえ無事に戻るならばそれで良い、使用人(おとこ)の方など殺(ばら)しても構わんわ」
一度も眼を合わせずに伯爵はそう言った… 金貨(Coin)の詰まった袋が机(Table)叩いた…
いつも人間(ひと)は何も知らない方が幸福(しあわせ)だろうに
けれど他人(ひと)を求める限り全てを知りたがる
──何故破滅へと歩み出す?
華やかな婚礼 幸せな花嫁 運命の女神はどんな脚本(Scenario)を好むのか…
虚飾の婚礼 消えた花嫁 破滅の女神はどんな綻びも見逃さない…
嗚呼…燃えるように背中が熱い その男が伸ばした手の先には何かが刺さっていた
嗚呼…緋く染まった手を見つめながら 仮面の男は緩やかに崩れ落ちてゆく…
嗚呼…その背後には娘が立っていた 凄まじい形相で地に臥せた男を凝視していた
嗚呼…一歩後ずさり何か叫びながら 深まりゆく闇の彼方へと走り去ってゆく…
──徐々に薄れゆく意識の水底で 錆付いた鍵を掴もうと足掻き続ける
扉は目の前にある 急がなければ もうすぐ もうすぐ約束した娘の──
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Sacrifice
「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...
無邪気な笑顔が 愛らしい妹は
神に愛されたから 生まれつき幸福(しあわせ)だった
一人では何も 出来ない可愛い天使
誰からも愛される 彼女が妬ましかった
器量の悪い私を 憐れみないでよ…
「──惨めな思いにさせる、妹(あの子)なんて死んじゃえば良いのに…」
Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...
あくる日妹は 高熱を出して寝込んだ
ごめんなさい神様 あの願いは嘘なんです
懺悔が届いたのか やがて熱は下がった
けれど今度は母が 病の淵に倒れた
母が今際の時に遺した言葉は…
「──妹(あの子)は他人とは違うから、お姉ちゃん(あなた)が助けてあげてね…」
Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...
母が亡くなって 暮らしにも変化が訪れ
生きる為に私は 朝な夕な働いた
村の男達は 優しくしてくれたけど
村の女達は 次第に冷たくなっていった
貧しい暮らしだったけど 温もりがあった…
「──肩を寄せ合い生きてた、それなりに幸福(しあわせ)だった…」
それなのにどうして…こんな残酷な仕打ちを…教えて神様!
妹(あの子)が授かった子は 主が遣わし給うた 神の御子ではないのでしょうか?
──妹が子供を身篭もっていることが発覚した夜
村の男達は互いに顔を見合わせ口を噤んだ
重い静寂を引き裂いたのは耳を疑うような派手な打音
仕立屋の若女将が妹の頬を張り飛ばした音…
泥棒猫…可哀想な子だと…世話を焼いて…恩知らず…
──断片的な記憶…断罪的な罵声…
嗚呼…この女(ひと)は何を喚いているんだろう? 気持ち悪い
ぐらりと世界が揺れ 私は弾け飛ぶように若女将に掴みかかっていた…
緋く染まった視界 苦い土と錆びの味 頭上を飛び交う口論 神父様の怒声
純潔の…悪魔の契り…災いの種…マリア様の…誰もガブリエルを…火炙りだ
「嗚呼…悪魔とはお前達のことだ!」
──そして…妹は最後に「ありがとう」と言った…
心無い言葉 心無い仕打ちが どれ程あの娘を傷付けただろう
それでも全てを…優しい娘だから…全てを赦すのでしょうね…
「でも、私は絶対赦さないからね…」
「この世は所詮、楽園の代用品でしかないのなら、罪深きモノは全て、等しく灰に帰るが良い!」
──裸足の娘 凍りつくような微笑を浮かべ
揺らめく焔 その闇の向こうに『仮面の男』を見ていた──
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エルの絵本 [笛吹き男とパレード]
そのパレードは何処からやって来たのだろうか…
嗚呼…そのパレードは何処までも続いてゆく…
「おぉ友よ!罪も無き囚人達よ、我らはこの世界という鎖から解き放たれた。
来る者は拒まないが、去る者は決して赦さない。黄昏の葬列…楽園パレードへようこそ!」
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
先頭で仮面の男が笛を吹く → 沈む夕陽に背を向けて
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
男の肩に座った少女が歌う → その笛の音に合わせて
心に深い傷を負った者にとって 抗えない魔性の音…
「やぁ友よ!幸薄き隣人達よ、我らはこの世界という鎖から解き放たれた。
来る者は拒まないが、去る者は決して赦さない。仮初めの終焉…楽園パレードへようこそ!」
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
燃えるような紅い髪の女が踊る → 沈む夕陽を背に受けて
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
《気味が悪い》(グロい)首吊り道化師(Pierro)の刺青(Tattoo)が笑う → あの笛の音に合わせて
心に深い闇を飼った者にとって 逆らえない魔性の音…
笛の音に誘われ 一人また一人列に並んでゆく
やがてそのパレードは 夕陽を遮って地平線を埋め尽くす…
喩えば箱舟を信じた少女…
喩えば歪んだ真珠の乙女…
喩えば収穫を誤った娘…
喩えば妹を犠牲にされた姉…
喩えば星屑に踊らされた女…
誰も仮面の男ABYSSからは逃げられない…
「ごきげんよう、可哀相なお嬢さん。楽園パレードへようこそ!」
笛の音を操って 一人また一人列に加えてゆく
やがてそのパレードは 夕陽を裏切って地平線を灼き尽くす……
嗚呼…そのパレードは何処までも続いてゆく…
そのパレードは何処へ向かってゆくのだろうか…
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StarDust
「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ……
(StarDust)
女は物言わぬ 可愛いだけの《お人形》(Doll)じゃないわ
──愛しい貴方解って?
ちっぽけな自尊心(もの) 満たす為の道具じゃないわ
──月夜の《別人格》(Another)は勝手?
首を絞めれば 諦まるに決まってるじゃない
──月(Luna)が貴方を狂わせたの?
だってしょうがないじゃない 愛してしまったんだもの
──星(Stella)が私を狂わせたのは何故?
真っ赤な衣装(Dress) 真っ赤な洋靴(Heel)
真っ赤な口紅(Rouge) 真っ赤な薔薇(Rose)
すれ違う男達 誰もが振り返る…
左手には花束 右手には約束を 疾りだした衝動は もう止まらない…
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ…
貴方の白い衣装(Shirt)も 今は鮮やかな深紅(Scarlet)
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ……
「…屑でも構わないわ、いつか星になれるなら、輝いてる?ねぇ…私輝いてる?」
「綺麗な星空ね」…それは艶やかな女のため息
「君の方が綺麗だよ」…それは甘い男の囁き
夜空を見上げる恋人達 ありふれた風景
繰り返される恋模様 ほんの些細なこと
そんな気紛れなひと時を 永遠だと信じたりして
そんな不確かなものを 運命だと信じたりして
泣いたり 笑ったり 愛したり 憎んだりして
その束の間 遥か過去の光に想いを馳せたりして
あの星々はもう滅んでしまっているのだろうか?
それとも今もまだ滅びに向かって輝き続けているのだろうか?
光年という名の途方もない尺度の前では
人の一生など刹那の幻に過ぎないのかも知れない…
──そんな些細なこと されど偶然とはいえ
嗚呼…偶然とはいえ彼女は見てしまった
お揃いの白い服を着て幸せそうに寄り添い歩く
彼と見知らぬ女の姿を……
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ…
貴方の白い衣装(Shirt)も 今は──
「何故…何故なの…何故なのよ──!」
酸素に触れた赤は やがて黒に近づき示す
二人はもう永遠(とわ)に 一つにはなれないという事実を…
凍てついた銀瑠璃の星々 燃上がる滅びの煌きよ
失くした楽園の夢を見る 私を導け《星屑の幻灯》(The Light of StarDust)
──想い出を過去の光として埋葬出来ない限り
孤独な亡霊は荒野を彷徨い続けるだろう
女の手は悲しい程に短く星屑には届かない
嗚呼…その手を握り返したのは『仮面の男』だった──
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エルの楽園 [→ Side:A →]
誰かの呼ぶ声が聞こえた 少女はそれで目を覚ます
心地よい風に抱かれて 澄んだ空へと舞い上がる
誰かがね…泣いているの…
それは気の所為かしら? そうよ気のせいよね
もう…そういうことじゃないわ じゃあ風の所為かしら?
楽園で泣くはずないわ そうよ泣くはずないわ
だって楽園なんだもの 楽園なんだもの
何処かでね…泣いているの…
悲しみも苦しみも? そうよここには無いから
幸せ満ち溢れる世界? そうそれが楽園
楽園で泣くはずないわ そうよ泣かないでね
だって楽園なんだもの 楽園だからこそ
(「誰かがね…泣いているの…」)
本当はね…知っているの…
第四の地平線 その楽園の正体は…
空は荒れ 木々は枯れて 花は崩れ朽ち果て
腐敗した大地が 闇の底へと堕ちてゆく…
エルは生まれ エルは痛み エルは望みの果て
安らぎの眠りを求め 笑顔で堕ちてゆく…
"Ark"
箱舟に托された願いたちは…
"Baroque"
歪んだ恋心のままに求め合い…
"Yield"
理想の収穫を待ち望みながらも…
"Sacrifice"
多大な犠牲を盲目のうちに払い続け…
"StarDust"
ついには星屑にも手を伸ばすだろう…
挟み込まれた四つの《楽園》(EL)に惑わされずに
垂直に堕ちれば其処は《奈落》(ABYSS)
何処から来て 何処へ逝くの 全ては誰の幻想(ゆめ)?
差し出された手に 気付かないままに堕ちてゆく…
エルは倦まれ エルは悼み エルは望みの涯(はて)
安らぎの眠りを求め 笑顔で堕ちてゆく…
──退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
幾度となく開かれる扉 第四の地平線──
その楽園の名は『ELYSION』またの名を『ABYSS』──
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44
「ただいま…エル…」
「お帰りなさい…お父様(パパ)…」
その男の妄念が 永遠を孕ませるならば
物語という歴史は 幾度でも繰り返されるだろう
──退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
痛みを抱く度に生まれてくる 第四の地平線
その真実の名は──
2008-05-03T01:38:20+09:00
1209746300
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Elysion ~楽園への前奏曲~
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Elysion ~楽園への前奏曲~
Major 1st Album
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Ark
「箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(きかん)に手を加えて
驕れる無能な創造神(かみ)にでも成った心算なの…」
... Love wishing to the "Ark"
崩壊 其れは孕み続けた季節 二月の雪の日 妹(Soror)の記憶(ゆめ)
「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ 救いを求める貴女にArkを与えよう」
『Arkと呼ばれた物』(それ)は月光を受けて銀色に煌いた…
想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨
幸せだった二人 永遠(とわ)に届かなくなる前に…
「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」
涙を微笑みに換え詰め寄る 『Arkと呼ばれた物』(Knife)を握って…
…愛憎の『箱舟』(Ark)
「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
(因果 其れは手繰り寄せた糸 六月の雨の日 兄(Frater)の記憶(ゆめ))
信じてたその人に裏切られた少女
逃げ込んだ楽園は信仰という狂気
新しい世界へと羽ばたける自己暗示
澄み渡る覚醒は『進行』という凶器
最期の瞬間(とき)に廻った 歪な愛の記憶
脆弱な精神(こころ)が堪えきれず あの日嘘を吐いた…
律すれば律する程堕ちる 赦されぬ想いに灼かれながら
まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う…
…背徳の『箱舟』(Ark)
「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
(「Soror with the "Ark", Frater in the Dark.」)
(「Soror with the "Ark", Frater it's Dead.」)
被験体1096 通称『妹』(Soror)同じく
被験体1076 通称『兄』(Frater)を殺害
<症例番号(Case Number)12>
過剰投影型依存における袋小路の模型(Model)
即ち『箱舟依存進行』(Ark)
限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想
求める儘に唇を奪い合い 少しずつ楽園を追われてゆく
同じ心的外傷(Trauma)重ねれば響き合う けれどそれ以上には…
「箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(きかん)に手を加えて
驕れる無能な創造神(かみ)にでも成った心算なの?」か…
(さぁ…楽園へ帰りましょう)
在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と
少女の声色で囁く「楽園へ還りましょう」…
... Love wishing to the "Ark"
監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く
失った筈の『左手の薬指』(場所)が虚しく疼いた
ふと彼が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと
嗚呼…いつの間にか少女の背後には仮面の男が立っていた…
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辿りつく詩
盲目の詩人 ルーナは 静かに唇を開いた…
これより歌うは…ある娘が 大切なモノに辿りつく迄の詩
苛酷な旅よ 困難な途よ それでも娘は決して諦めなかった
物語は運命を呪うより 苦しくとも詩い続ける途を選ぶ
いづれ歴史が全てを葬りさろうとも 今は唯…瞳(め)を閉じて聴いておくれ
愛しい人よ アナタは何処に
手掛かりひとつなく
孤独な旅の 道連れの詩は
遠い空へ 霞んで消えた
天堕つる雨 手の平に
零れ落ちた雫(なみだ)…
幾つもの深い森を抜けて 険しい山を越え
町から街へ 知人(ひと)から他人(ひと)へと
想い人を 尋ね歩いた
天翔ける追想(ゆめ) 星空に
誓った接吻(やくそく)は…
「嗚呼…エンディミオ…」
虚ろな世界を 夕闇が包み込む
帰れぬ私は 独り何処へ往く
予言書が肯定する史実 争いの歴史
戦禍という名の爪痕 大地を灼き尽くす焔
家族…恋人…愛する者の消息も知れず
多くの者達が為す術もなく引き裂かれた時代
娘の旅は 道連れとなった詩を遡るように
とある城で牢番をしていたと言う男へ
そして…推測から確信へと辿りついてしまった
切なくも懐かしき調べ その詩を綴ったのは…
挫けそうな私をいつも支えてくれたのは
恋人(アナタ)が最期に遺してくれた この名も無き詩よ
「運命よ…例えお前が瞳から光を奪い去ろうとも、この唇からは詩を奪えない…」
辿りつく詩は 夕闇に陽を灯し
枯れてなお花は 凛と其処に咲く
嗚呼…吹き荒れる悲しみの…
嵐が訪れ 全て薙ぎ倒しても
大切なモノは 絶えず此処(ここ)に在る
──大切な人の 辿りつく詩…
君よ…大切なモノに辿りつく途を見つけたら もう迷うことなかれ
──大切な人の 辿りつく詩…
例え茨の途であろうとも 歌をくちずさめばそれもまた楽し
──大切な人の 辿りつく詩…
詩えない人生になど 意味はないのだから…
──大切な人の 辿りつく詩…
大切なモノへと…辿りつく場所へと…
白鴉が目指す地平…あの空の向こうへ…
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恋人を射ち堕とした日
弓がしなり弾けた焔 夜空を凍らせて
凛と蒼く別離(わかれ)の詩を 恋人(アナタ)を射ち堕とす…
遠い日の忘れ物 引き裂かれた傷痕
呪われし約束をその胸に宿して
「避けられぬ終焉は、せめて愛しいその手で…」
抗えぬ衝動の闇が彼を包んだ…
歪む世界 螺旋の焔 輪廻を貫いて
凛と緋く血塗れくちづけ 恋人(アナタ)を射ち堕とす…
忘レモノハ在リマセンカ…?
古の伝説 その魔物に傷を負わされた者は
呪いが全身を駈け廻り
やがては同じ魔物に成り果てるだろう…
その傷を負ったのは…
それは二人が出会ったあの日まで遡る
彼が彼女を助けた時に負った傷
全ては出会った時から始まっていた…
出会いは喪失への約束…
枯れ果てた涙は 哀しみの蒼い焔を宿し
銀色に輝く矢を放つ
何度でも 唯…彼が息絶えるまで…
ロスト
愛する人を失った世界には
どんな色の花が咲くのだろう?
月を抱いた十字の焔 茨を捲きつけて
凛と白く最期の弓矢(アロー) 私を射ち堕とす…
愛する人を失った世界には どんな色の花が咲く…
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澪音の世界
荒れ果てた野を 一人の少女が往く
正確には一人と一匹 少女の右手には赤い紐
その先に結ばれたる首輪もまた赤く
黒銀の毛並みを持つ犬は 小さく吠えた
飼い主たる少女『澪音』に語りかけるかのように…
豪奢な廃墟に転がり 冷たい雨に怯える
輝ける名誉も権力(ちから)も 今ではもう過去の所有物(もの)
観測とは事実の側面を抉り取る刃物(ナイフ)
その男は果たして…何を得…何を失ったのか…
奪いし物は奪われ 斯して世界は廻る
降り止まない雨の向こうに 何色の空をみる
代償(リスク)を背負うほど 加熱する駆け引きは
全て失くすまで気付かない 度し難い自我(エゴ)の下僕(しもべ)…
空虚な廃墟に転がり 冷たい雨に震える
帰る場所も待ってる人も 今ではもう過去の支配領域(ばしょ)
推測とは事実の背面を削ぎ落とす刃物(ナイフ)
その男は果たして…何を見…何を悟ったのか…
奪いし者は奪われ 斯して時代は廻る
降り止まない雨の向こうに 何色の空がある
運命を捩じ伏せ 従える心算(つもり)でも
未来(とき)を掴もうと伸ばした その腕では短か過ぎた…
閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は
幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)を見る…
──澪音の世界
『死』とは…精神(こころ)に先行して
まず肉体(からだ)に依存する感覚から朽ち果てるものらしい
なればこそ人間(ひと)は散々忌避し逃避を企てながらも
招かれざる死の冷たい接吻(くちづけ)に耐え得るのだろうか…
絶え間ない恐怖感が雨となり降り続けるという幻想
それは…生きながらにして精神(こころ)を壊されてゆく苦痛
硝子球のように透き通った永遠の合わせ鏡
罪人は少女の瞳の中に唯『世界』を見るという…
百聞は一見に如かず 千聞とてまた然り
憐憫…侮蔑…的外れな嘲笑…謂わば対岸の火事
燃えるまでは熱さ解らず 燃えてからでは遅過ぎる
この世界で何人が罪を犯さずに生きられると言うのか…
──澪音の世界
閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は
幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)を見る…
薄氷色(アイスブルー)に煌く瞳が鮮やかに朽ちる世界と
堕ちてゆく狂夢(ゆめ)に唇を重ねて…残酷な死神(かみ)になる…
地に蔓延りし我ら罪人の群れ
願わくば…君が澪音の世界に囚われないことを…
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魔法使いサラバント
昔あるところに 恋人を亡くしたひとりの魔法使いがいた
彼が求めたのは 死者を甦らせる禁断の秘法
領分を侵す者に降りかかるのは 厄災のみと識りながら
何故人は求めるのか? 人智を超えた魔神の力を…
吹き荒ぶ風は砂を巻き上げて
若い旅人の行く手を阻む
旅の道連れは一頭の駱駝
砂丘(おか)を乗り越えて街へと向かう…
「魔法のランプが欲しくはないか?」
胡散臭い髭の男が囁いた
薄暗い路地裏での駆け引き
彼は男が持ち出した条件を飲んだ…
ランプを擦ると魔神が現れ 三つの願いを叶えれくれると言う
願い事を一つ譲るという条件で 彼はその有処を聞き出した
そのランプは 南西にある洞窟に封印されているという
片足が悪いという男の代わりに 彼は穴の中へと降りた…
砂漠の下には 大きな空洞
冷たい空気が 背筋を掠める
洞窟の奥には 妖しい祭壇
黄金のランプと 古びた絨毯
ランプを手に取ると 洞窟が崩れた
「ランプを早くこっちへよこせ!」男が叫んだ…
忘レモノハ在リマセンカ…?
暗い闇の中 懐かしい声を聴く
暖かな光 愛しい声を聴く
「貴方はまだこっちへ来てはいけないわ、遣り残したことがきっとあるはず…」
暗い闇の中 懐かしい声が言う
暖かな光 愛しい声が言う
「失われたモノの為に願うより、今目の前にあるモノを見つめて…」
目醒めれば砂が巻き上がる 砂丘(おか)の上で抱かれていた
黒髪の美しい少女 泣きながら微笑んでいた
「古の罪と罰の輪舞曲(ロンド)、ランプに閉じ込められていた…
愚かな私を出してくれた御主人様(マスター)、さぁ願いをどうぞ、叶えましょう」
三つの願い全て叶えたら少女は再び
唯冷たい砂の下で幾千の孤独に震える…
そして彼は願った…
吹き荒ぶ風は砂を巻き上げて 若い旅人の行く手を阻む
旅の道連れは二頭の駱駝 長い黒髪の少女が一人…
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雷神の系譜
世界を救いし隻腕の英雄亡き後
邪神が封印されし地に街を築き
自らが結界の役割を果たし
永き平和への礎と成す…
誇り高き右腕に刻まれし雷の紋章(あかし)
彼の者達の名は 雷神の民
伝承の謎 紋章の秘密
少年が描く軌跡 雷神の系譜
弱い者ほど徒党を組み
身代わりの羊を捜す
愛を知らない幼き日々は
灼けた石の痛み
ひとり唇噤んだまま
膝を抱えて耐えていた
雨も宿ればいづれ過ぎ去る
嵐もまた然り
されど輝やかざる紋章(しるし)
本当の強さって何だろう?
差し出された少女の小さな手が
とても大きく見えた…
黙したまま何も語らぬ歴史の手の平の上で
出会ってしまった少年と少女の物語
十年の歳月も一閃の雷が如く
過ぎ去ってしまえば刹那
今…黒の歴史が再び動き出そうとしている…
遠い空見上げて この胸を焦がす
浮かぶのは彼女の 愛らしい笑顔だけ
適わぬ想いと 識っていながら…
麗しの君は何故 一族の長の娘
部族一強き者の許へ
嫁ぐこと定めしは 変えられぬ民の掟
嗚呼…雷(ちから)無きこの腕じゃ 君のこと護れない?
想いなら誰にも負けないと
叫んでもその言葉 虚しくも風に消えた…
期は満ちようとしていた 長の娘も今年で婚礼を定められし齢十六
その誕生の日が差し迫り 一族の猛者達は競って名乗りを上げた
期は満ちようとしていた 邪悪なる波動が街全体を包み込み
空に立ち込めたる暗雲は <三度目の嵐>の訪れを告げようとしていた…
(「どうなされました?お婆様…」)
「おぉ…何ということじゃ…!黒き法衣(ローブ)を纏いし者達の影が見える…
予言書の使徒、奴らを封印の深奥へ行かせてはならん、
邪神の封印を解こうとしておるのじゃ…!
いまや雷神様の血も薄れ、我らに扱えるは小さき雷のみ…
あぁ恐ろしいや…!天地を揺るがす強大な力じゃ…来るぞ…あぁ来るぞ…!」
地を割る咆哮 天を裂く爪牙 烈火の如く燃えさかる六対の翼
暗黒を宿した瞳に魅いられただけで 勇猛なる戦士が次々と倒れていった…
嗚呼…人間(ひと)とは神の前では かくも無力なモノなのだろうか…
誰もが深い絶望に呑まれかけていたその瞬間(とき)
一際眩い閃光が雷(ちから)無き青年の体を貫いた…
「覚醒めよ…勇敢なる右腕を持つ者よ…
直系の雷(ちから)を受け継ぎし者よ…
かつて私は邪神(やつ)を封印せし折、雷の槍を放ったが故右腕を失った…
今その雷(ちから)を開放すれば、右腕はおろか全身が吹き飛ぶやも知れぬ…
御主にその覚悟があるか?
…ならば今こそ覚醒めよ<雷神の右腕>よ!」
「ひとりでは耐え切れぬ、雷(ちから)でもきっと、ふたりなら大丈夫、私は信じる!」
暗雲を貫く雷 あの日出会った少年と少女は
今…二つの紋章(しるし)重ね合わせて 輝ける未来(とき)を紡ぐ…
「…ちゃん…ねえ…お婆ちゃん…お婆ちゃんったらぁ!」
「どうしたの?それからお話どうなったの?」
「おお…そうだったねえ、ごめんよ」
「その後、雷神様が邪神をやっつけたんだよね?ね?」
「さて、どうだったかねえ…昔の話だからもう忘れちゃったねえ…」
「えー、そんなのずるいよぉ」
…そう言って微笑んだ祖母の瞳(め)は とても優しい色をしていた
…その時の事は今でも印象深く覚えている
…私は信じているのだ 雷神の系譜は途絶えていないのだと…
受け継がれるモノ…受け継がれざるモノ…
暗雲を貫く光を翼に受け…その白鴉は羽ばたいて往く…
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檻の中の花
殺戮の舞台女優『Michele Malebranche』
その生涯には、あまりにも奇怪な謎が多い。
彼女が犯罪史の表舞台に登場する事三度に渡り、
そのいずれもが狂気に満ちた幻想の戯曲として知られている。
(殺戮の舞台女優『Michele Malebranche』
彼女が犯罪史の表舞台に登場する事三度に渡り。
その短い生涯に於いては多くの奇怪な謎が残されたまま
今だ完全には解明されていないのである。)
(初舞台「パパの幸せを描いてあげる…」en 21 Novermbre 1887)
実父『Joseph Malebranche』の凄惨な変死事件
証拠不十分及び、年齢に対する
殺害遂行能力に疑問の声が上がる。
現実と幻想の境界を認識出来ていない類の言動を繰り返し、
行動にも尋常ならざる点が多々見受けられた…。
(識られざる幕間劇)
鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ
街角の影(Silhouette)手招くのは 闇(Tenebres)を纏った貴婦人(Damenoble)
素早く抱き寄せ 首筋に熱い接吻(Baiser)
少年(Garcon)の液体(Sang)は仄甘に 血赤色(Rouge)の陶酔感(ゆめ)を紡ぎ
永遠(とわ)の夜(Nuit)に囚われた 花(Fleur)は咲き続ける…
(二度目の舞台「もう一度この手で彼女を…」en 30 Juillet 1895)
養父『Armand Ollivier』の手による絞殺・死体遺棄未遂事件
深夜、半狂乱で笑いながら庭に穴を掘っている所を、
近隣住民の通報によって駆けつけた警察官に拠り逮捕。
その後、『Ollivier』は獄中にて完全に発狂した…。
(識られざる幕間劇)
鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ
街角の影(Silhouette)佇むのは 闇(Tenebres)を纏った令嬢(Mademoiselle)
激しく愛して 花弁(Un petale)が堕ちるまで
女(Michele)の勘を甘くみないで 貴方(Monsieur)が愛してるのは
しなやかな若い肢体(Jeunesse corps) それは…『私』(Bobo)じゃない…
(三度目の舞台「少年の液体は仄甘く」en 4 Fevrier 1903)
『Michele Malebranche』による青少年連続拉致殺害事件
『Rouen』郊外の廃屋にて多数の腐乱死体が発見される。
当時行方不明となっていた十三人の少年達は、変わり果てた姿で
干亁びたような老婆『Michele』の遺体に折り重なっていた…。
(自称…天才犯罪心理学者『M.Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』曰く)
「彼女がどんな魔法を駆使したのか、それは私が識り及ぶ所ではないのだが、
殺害動機という観点でのみ論じるならば、答えは明白である言わざるを得ない」
「彼女は、自らを閉じ込め狭い檻の中から抜け出したかったのでしょうな…それも極めて偏執的なまでに。
…しかし、残念ながらその願望は生涯叶う事は無かった。
…そして、死後一世紀を経過した今でも、彼女はその檻の中にいる…」
「…何故そんな事が断言出来るのか?…良い質問だ。よろしい、誤解を招く事を承知で、
この『Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』あえてここで公言しておこう。
我々もまた、彼女と同じ檻の中にいるからだと…」
(『Michele Malebranche』の手記に遺されていた詩の断片)
檻(Cage)の中で咲き乱れ 枯れ朽ち果てる前に
愛(Amour)を失くしたこの世界に… 捧ぐ…お別れの挨拶(Au revoir)
~連作幻想戯曲『檻の中の花』 (著)Noel Malebranche
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Yield
一人娘はせっせと種を蒔く
変わらぬ過去に 訪れぬ未来に
不毛な行為と君は笑うだろうか?
それなら君は 幸せなんだろうね…
根雪の下で春を待つの 夏が過ぎれば実りの秋ね…
豐穰(Harvest)…収穫(Harvest)…それは果実を産む(It yields fruits)
最も遅い収穫(Latest harvest)…それは甘い果実を産む(It yields sweets)
一夜限りの情事(ゆめ)でも構わない
それをも女は 永遠(とわ)に出来るから
不毛な恋と君は笑うだろうか?
やっぱり君は 幸せなんだろうね…
凍える夜は夢を見るの 夏が過ぎれば想いが実る…
豐穰(Harvest)…収穫(Harvest)…それは果実を産む(It yields fruits)
最も遅い収穫(Latest harvest)…それは甘い果実を産む(It yields sweets)
「3」…不安定な数字 「3-1」…模範的な数式
問題となるのは個の性質ではなく 唯記号としての数量
世界が安定を求める以上 早くどれか一つを引かなければ…
何故人間(ひと)は恋をする 相応しい季節(とき)に出会えないの?
嗚呼…お父さん(Dad)…お母さん(Mam)
「それでも私は幸せになりたいのです…」
恋心(Sweets) 甘い果実(Sweets) 真っ赤な果実(Fruits)
もぎ獲れないのなら 刈り取れば良いと…
恋心(Sweets) 甘い果実(Sweets) 真っ赤な果実(Fruits)
嗚呼…でもそれは首じゃないか…
二人の女 一人の男 一番不幸なのは誰?
落ちた果実 転がる音 余剰な数字 引かれる音
「3-1+1-2」
…最後に現れたのは仮面の男
彼らが消え去った後 荒野に一人取り残されるのは誰?
2008-05-03T01:34:38+09:00
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Chronicle 2nd
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Chronicle 2nd
1st Story Renewal CD
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黒の予言書
幻想物語組曲…クロニクル世界
それは…歴史を辿る少女と世界の物語
詠いたい詩があるんだ…辿りたい途があるんだ…
守りたい丘があるんだ…誇りたい薔薇があるんだ…
収めたい戦いがあるんだ…聴かせたい歌があるんだ…
語りたい航海があるんだ…掲げたい右腕があるんだ…
どんな時でもボクらは諦めない 歴史の彼方 遠くて近いソラ
キミとの約束 受け継がれる想い 終わらないボクらの系譜(クロニクル)…
「<黒の神子>(ルキア)よ…私は悲しい…!
君ならば書の真理が理解できると思っていたのだがねぇ…
まぁ良い…歴史を変えられると思い上がっているのなら…
いつでも掛かって御出でなさい…」
<黒の予言書>(ブラッククロニクル)
物心付いた時 母は既に居なかった
仄かな哀しみは 優しい子守唄…
──ボクらの道はどこまでも往けそう
生まれてくる前に 父も既に居なかった
確かな憎しみは 激しい恋心…
──何処で見つかる何を裏切る
違う星を抱いて 生まれてきたボクらも現在(いま)は
同じソラに抱かれてる それなのに…それなのに…
あの頃ボクらが夢見てた 未来へ駆ける白馬を
追い駈ける影が在ることも 識らなかったボクらを乗せて
疾って往くよ…予言された終焉へと…
<黒の予言書>(ブラッククロニクル)
<黒の予言書>(ブラッククロニクル)それは「存在してはならない書物」
とある予言書崇拝(カルト)教団の施設より押収された
全二十四巻から成る黒い表紙の古書
そこに記されていたのは 有史以来の数多の記録
ある種の整合性を持つ 歴然とした年代記
それを史実と認めるならば
我らの肯定してきた歴史とは何なのだろうか?
書の記述は未来にまで及び 一つの相違(しゅし)に
複数の学説(は)を芽吹かせ 蟲惑の論争(はな)を咲かせる
その最大の論点は 近い未来(さき)この世界が
終焉を迎えるという<史実>…
何処までが味方で何処からが敵だ?
そこを見誤ると歴史に屠られる
各々で勝手に境界を敷いてる
白地図に刻むは争いの軌跡だ
嗚呼…狭い…ここは何て狭い世界だ…
──ジャスティス
敵は全部殺すんだ 盟友(とも)よそれで一時安心だ
(「幸セカイ? 嗚呼…シアワ世界? 死逢ワ世界? ソレデ…幸セカイ?」)
けれど味方も敵になるんだ ならば先手打って殺すんだ
(「幸セカイ? 嗚呼…シアワ世界? 死遭ワ世界? ホント…幸セカイ?」)
しかし敵は無くならないんだ だから怯えながら暮らすんだ
(「幸セカイ? 嗚呼…シアワ世界? 死逢ワ世界? ソレデ…幸セカイ?」)
されどそれを繰り返すだけだ それが幸せを掴む途だ
(「幸セカイ? 嗚呼…シアワ世界? 幸セヲ掴ム途ダ…」)
間違ってる そんな論理は 間違ってるんだ
この世界を 売ろうとしてる 奴らがいるんだ
気付くべきだ 気付いたなら 戦うべきだ
たった一羽 時風(かぜ)に向かう 白鴉のように
あの頃ボクらが夢見てた 未来へ託した地図を
描き換える影が在ることも 識らなかったボクらを超えて
疾って往こう…予言にない<ハジマリ>へと…
<黒の予言書>(ブラッククロニクル)
物心ついた時 母は既に居なかった…
病死だとボクに告げたのは
孤児であるボクを引き取り養育した組織だった
組織には似たような奴らが何人も居た
やがて組織に疑問を抱いたボクらは組織から逃亡した…
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詩人バラッドの悲劇
第七巻 168ページ…
最期の詩…
それはあまりにも素晴らしく
兵は街の恋人に詩って教えた
やがてその詩は 人から人へと伝わり
誰が綴ったかもわからぬ
その名もなき詩は やがて大陸中に広まった…
強く美しき時の女王
絶対的な権力の前に 誰もがひざまづく
来たる女王の誕生祭
その美貌を称える詩を捧げよと 一人の詩人に命じた…
女王は問う…
「この世で一番美しいのは誰じゃ?」
…しかし 彼は譲らない
「私の世界では、陛下は二番目にお美しい…」
「枯れてしまった花の美しさ…
それは、追憶という名の幻影…
朽ちることなく永遠に咲き続けられる庭園…
例え、気高く美しき薔薇でさえ…
花である以上、枯れてしまった花には及ばない…」
その詩に女王は激昂した
「そなた、余に枯れてしまえと申すのか!?」
宰相の合図一つで 兵達は詩人を取り囲んだ…
天才と謳われし詩人…彼の名はバラッド
今は冷たい地下牢の隅 最期の詩を綴っている…
処刑の刻が近づき 胸に薔薇の紋章を抱いた
牢番の兵は聴いてしまった 彼の綴った最期の詩を…
最後の鐘が鳴り終わり
処刑は厳かに執り行われる
最期の瞬間 思い出すのは…
故郷の空 風の匂い
今は亡き彼女と過ごした日々…
冷たい秋風が冬を導くように
旅の娘が一人 想い人を尋ねて流離う
どこか懐かしい その詩を口ずさみながら…
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辿りつく詩
第九巻 883ページ…
盲目の詩人 ルーナは 静かに唇を開いた…
これより歌うは…ある娘が 大切なモノに辿りつく迄の詩
苛酷な旅よ 困難な途よ それでも娘は決して諦めなかった
物語は運命を呪うより 苦しくとも詩い続ける途を選ぶ
いづれ歴史が全てを葬りさろうとも 今は唯…瞳(め)を閉じて聴いておくれ
愛しい人よ アナタは何処に
手掛かりひとつなく
孤独な旅の 道連れの詩は
遠い空へ 霞んで消えた
天堕つる雨 手の平に
零れ落ちた雫(なみだ)…
幾つもの深い森を抜けて 険しい山を越え
町から街へ 知人(ひと)から他人(ひと)へと
想い人を 尋ね歩いた
天翔ける追想(ゆめ) 星空に
誓った接吻(やくそく)は…
「嗚呼…エンディミオ…」
虚ろな世界を 夕闇が包み込む
帰れぬ私は 独り何処へ往く
予言書が肯定する史実 争いの歴史
戦禍という名の爪痕 大地を灼き尽くす焔
家族…恋人…愛する者の消息も知れず
多くの者達が為す術もなく引き裂かれた時代
娘の旅は 道連れとなった詩を遡るように
とある城で牢番をしていたと言う男へ
そして…推測から確信へと辿りついてしまった
切なくも懐かしき調べ その詩を綴ったのは…
挫けそうな私をいつも支えてくれたのは
恋人(アナタ)が最期に遺してくれた この名も無き詩よ
「運命よ…例えお前が瞳から光を奪い去ろうとも、この唇からは詩を奪えない…」
辿りつく詩は 夕闇に陽を灯し
枯れてなお花は 凛と其処に咲く
嗚呼…吹き荒れる悲しみの…
嵐が訪れ 全て薙ぎ倒しても
大切なモノは 絶えず此処(ここ)に在る
──大切な人の 辿りつく詩…
君よ…大切なモノに辿りつく途を見つけたら もう迷うことなかれ
──大切な人の 辿りつく詩…
例え茨の途であろうとも 歌をくちずさめばそれもまた楽し
──大切な人の 辿りつく詩…
詩えない人生になど 意味はないのだから…
──大切な人の 辿りつく詩…
大切なモノへと…辿りつく場所へと…
白鴉が目指す地平…あの空の向こうへ…
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アーベルジュの戦い
第八巻 324ページ…
「…アーベルジュ」時代が求めた英雄
それとて満ち足りた事ではない
いや むしろ欠けてさえいる
大切な何かを置き忘れてきてしまった…
「…アーベルジュ」理由などに意味は無い
斬ってしまえば同じ 悪意なき剣など無し
身を寄せる場所もなく
ただ血の雨の中を駈け抜けた時代…
「…アーベルジュ」繰り返す痛み
願わくば 戻りたいとさえ想った
何も知らなかったあの頃に
何一つ歴史は変わらないとしても…
…最初の惨劇…
「若者よ臆するな、震える膝を鞭打って進め…
迫りくる敵軍は五千、何としてもこの森で食い止めろ…」
幼き日の思い出よ 泣き虫だった少年は
騎士の誇り 信念を胸に
絶望が渦巻く戦場へ…
その身朽ち果てようとも 守りたいものがあった…
母さんと木の実を拾った森…
父さんと釣りをした川…
君と約束を交わした丘…
幼き日の思い出よ あの夏の少年は
右手に剣 鈍い光を放ち
死神が招く戦場へ
その身朽ち果てようとも 守りたいものがあった…
彼は逃げない 運命は誰を選ぶ…
彼は逃げない 歴史は何を紡ぐ…
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約束の丘
第八巻 216ページ…
鬱蒼と生い茂る ウェルケンラートの森
その向うに約束の丘がある
瞬いた刹那 その闇の中に灼きつく風景
彼は生涯忘れえぬ夕陽を見た…
「何があろうと僕は必ず…君の元へ帰って来るよ…」
「…ええ信じてるわ…愛してるもの…忘れないでアルベール」
その日の空の色 哀しい程に朱く
(「離れても二人を 結びつける朱石」)
若い二人は甘い永遠(とわ)を丘に誓った…
(「の首飾りを架け誓った…」)
時が語り手を欠いたとしても 物語は紡がれ続けるだろう
白鴉が羽ばたいて往く途… 斜陽の空に何を求めて…
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薔薇の騎士団
第九巻 468ページ…
アヴァロン朝 プリタニア王国 時代を象徴する二人の女傑(ヒロイン)
<地上の月輝(つき)>と謳われた詩人 ルーナ・バラッド
苛酷な旅の果てに眼病を患い 光を失ってなお歌い続け
その詩を通して聴く者の心の闇に 希望の光を灯し続けた女性
<至上の薔薇>と謳われた女王 ローザ・ギネ・アヴァロン
暴君として知られた女王の姪であり 王位継承権第一位の姫であった
先王の治世下 その圧政に苦しむ民衆を解放した女性
「<権力者>(ばら)によって<思想、言論の自由>(うた)が弾圧されるような時代は、
もう終わりにしましょう…弱い自分に負けない為にも、
私は大切な人の名前を背負った…嗚呼…エンディミオ…
もうどんな嵐が訪れようとも、私は歌い続けられる…」
「皆にもう一度誇りを取り戻して欲しい!
祖国を愛する心を、この国は皆が愛した故郷に戻れるだろうか?
冬薔薇は枯れ、今遅い春が訪れた…
私は此処に誓う!光の女神(ブリジット)に祝福される薔薇になると!」
プリタニア暦627年
時の…フランドル国王 キルデベルト六世
国号を神聖フランドル帝国と改め帝政を敷き
聖キルデベルト六世として初代皇帝に即位
<聖戦>と称し プリタニアへの侵略を開始…
<薔薇の騎士団>(ナイツ・オブ・ザ・ローズ)
それは…長かった苦境の時代を引き摺っていた人々が新しい薔薇の下
一つに纏まってゆく情景を綴った ルーナ・バラッドの詩の一節…
誇り高き炎を纏い祖国(くに)を護る為に剣を取った
胸に気高き女王(クイーン)の薔薇を抱いた同胞(とも)を
称えよ我らの<薔薇の騎士団>(ナイツ・オブ・ザ・ローズ)を
嗚呼…光の女神(ブリジット)の祝福が在らんことを…
祈りの歌に見送られ 勇敢なプリタニアの息子達は戦場へと向かった…
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聖戦と死神 第一部「銀色の死神」~戦場を駈ける者~
第九巻 527ページ…
プロイツェン領オッフェンブルグ…
眩暈がする程の血の雨の薫に咽ぶことなくその男は笑っていた…
フランドル暦182年『アラゴンの戦い』
アルヴァレス将軍率いる フランドル軍五千
ピレネー山脈を越え カスティリヤ領に進撃
アラゴン平原にて カスティリヤ軍
北方防衛駐留部隊一万二千を相手に開戦
勇み歩を進める毎に 足元に死が絡みつく
研ぎ澄まされてゆく刃風(かぜ)に 敵兵は戦意(こころ)惑わす
猛る兵士と軍馬の嘶き「全軍突撃!我に続け…」
白銀の甲冑…<ベルガ人の将軍>(アルベルジュ)
──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)
──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)
──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)
──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)
「時に…アルヴァレス卿の軍はまた勝利を収めたようですな…
倍数以上の敵軍を完膚なきまでに叩きのめしての大勝利とか」
「…銀色の死神、忌々しい<ベルガの亡霊>(アルベルジュ)め、
今や陛下よりも奴を崇拝する者まで出始めておる始末」
「丁度良い手駒もあることで御座いますし、機を見ていづれ、
目障りな英雄殿には、ご退場願うのが宜しいかと」
「手駒…ああプロイツェンで捕虜にしたあの男の事か?
…破滅を演じる歴史の舞台、今宵も面白い劇(ゆめ)が観れそうだ…」
「我ら<唯一神>(クロニカ)の名の下に…」
彼は誰が為に戦場を駈けるのか…護るべき女性(ひと)と祖国(くに)を失って尚…
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聖戦と死神 第二部「聖戦と死神」~英雄の不在~
愚者は問う…鉄壁の王城を捨て
女王は何処へ往くのかと…
賢者は識る…どれ程堅牢な守備を誇ろうと
陥落しない城など存在し得ぬことを…
プリタニア暦627年『カンタベリーの戦い』
ハーシファル騎士団長率いる第四騎士団
ドーバーより上陸した帝国軍第一陣を迎え討ち
カンタベリー平原にて開戦
どんな敵も恐れはしない祖国(くに)を護る為に剣を振るえ
胸に気高き女王(クイーン)の薔薇を抱いた同胞(とも)よ
進め我らは<薔薇の騎士団>(ナイツ・オブ・ザ・ローズ)だ
死をも恐れぬ薔薇の騎士達は彼に続く…
緋い戦場を駈け廻る一条の雷 パーシファルの雷槍(スピア)
進め我らが<薔薇の騎士団>(ナイツ・オブ・ザ・ローズ)だ
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)」)
帝国暦元年『グラスミアの戦い』
アルヴァレス将軍率いる帝国軍第三陣
辺境の地 ホワイトへブンより上陸
疾風の如く馬を駆り敵陣の後背を突いた…
殺す相手を愛する者や 祈る者がいることは忘れろ
邪教の使徒は根絶やしにしろ 眼を背けるなこれが<聖戦>だ
燃え上がる山村 虐殺される人々
逃げ遅れた娘 追い駈ける男
馬上で弓を引き絞り 獲物に狙いを定める
放たれた火矢 細い娘の身を掠める
(「シャルロッテ!」)
転倒した娘 飛び出した男
娘に振り下ろされた白刃を弾き返す
動かない娘 向かい合う二人の男
此方…白馬のアルヴァレス
彼方…黒馬のゲーフェンバウアー
「武器を持たぬ者に何をするのだ…」
「小娘といえど邪教の使徒、情けを掛けてやる必要などありわせぬ…」
「道を踏み外すな目を醒ますのだ…」
「貴様にだけは言われたくないわ…偽善者、英雄狂、人殺し<ベルガの死神>(アルベルジュ)」
「親父はオッフェンブルグで死んだ…兄貴も…弟も…戦友も…皆…」
「待て…貴様、帝国を裏切るつもりか…まぁそれも良かろう…<ベルガの死神>(アルベルジュ)よ、
貴様を殺す男の名を忘れるな、その男の名こそ<ベルガの死神の死神>(ゲーフェンバウアー)だ!」
幾度も繰り返される過ち 歴史に何を学ぶ…
奪い奪われてはじめて 気付く闇がある…
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た!時は来た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!)」)
(「──時は来た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Venies! Vidies! Velesa!)」)
狭い山道を風のように駈け抜ける白馬
馬上には白銀の甲冑の男
傷ついた娘を抱きかかえたまま南へと疾り去る…
「ゲーフェンバウアー…世界を憎み呪うかのようなあの眼…
あの男は私だ、私の過去だ…ロッテ…嗚呼…シャルロッテ…私は何と戦えば良い…」
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聖戦と死神 第三部「薔薇と死神」~歴史を紡ぐ者~
「此処は何処なのかしら?私は確か…追われ…矢を射られ…倒れたはずだったわ…」
「気付いて良かった、大丈夫かい?
私の名はアルヴァレス、君達の村を襲った軍隊の指揮官…
だったのだが…今ではもう追われる身だ…からと言っても…言い訳に過ぎぬ…私が憎いかい?」
「えぇ…憎くない…と言ったら嘘になるけれど…助けてくれた貴方のこと、私は信じたい…」
「私はベルガ人(ベルジュ)なのだよ…
亡国の仇を取る為、旧フランドルへ身を寄せた<異邦人>(アルベルジュ)
この意味が解るかい…お嬢さん?この手はもう取り返しのつかない程に汚れている…」
「最初は怒りからプロイツェンを…
次に異国での居場所を確保する為ロンバルドを…
そして己の願望を満たすという目的の為に、カスティリヤを滅ぼした…」
「今でも目を閉じると、鮮やかに浮かんでくる風景がある…
私にはどうしても取り戻したい場所があったのだ…
そんな私に当時のキルデベルト六世陛下は約束してくれた…」
「国をあと一つ…例えばプリタニアの征服を条件に…
ベルガの独立自治権を許すと…私は他人(ひと)の国を売って…自分の国を買い戻そうとしたのだ…」
「私はそんな愚かな男なのだよ…」
「そう…そんな愚かな男なら、私がここで殺してしまっても構わないわね?」
「あぁ…好きにするが良い…私は取り返しのつかない過ちを犯してしまった…」
「馬鹿!それでは何も解決しないじゃない…貴方はそれで満足かも知れない…
でも貴方の仇を取ろうとする者が現れないとは限らない…その論理が繰り返し悲劇を生んでいるのよ…」
「取り返しのつく歴史なんて一つもないの、だから尊いの、だから私達は新しい歴史を創ってゆくの…
愚か者とは…過ちを犯す者のことじゃない…過ちと知ってなお、正そうしない者のことをいうのよ…」
「…ねぇ…そうでしょう?」
「お嬢さん…君は強いな…」
「えぇ…そうよ…私は強いわ、この国の未来を背負っているんだもの…」
「この国の未来?プリタニアの女王は若い娘だと聞いていたが…まさか…君が…!」
「ローザ・ギネ・アヴァロン…そう…私がこの国(プリタニア)の女王よ…
黙っていて御免なさい…でも解って欲しいの…アルヴァレス将軍…私は貴方を信じます…」
「これは…女王陛下とは露知らず、数々の非礼を…」
「お願い!畏まらないで、私はそういうの好きじゃないの、私のことはローザで良いわ…」
「それにしても貴方があの有名な「ベルガの死神」(アルベルジュ)とはね…
…想像していた像(イメージ)と随分違うわね、熊のような大男だと思っていたのに…」
「…でも<ベルガの死神>(アルベルジュ)はやめた方が良いわね…
この国では流行らないわ…プリタニア風に言うと…
そうね、<ベルガの暴れん坊>(アーベルジュ)かしら…
そっちの方がずっと素敵よ…ねぇ…そうしなさいな…?」
「何?さっきから女性(ひと)の顔をそんなに見つめて…」
「いや…最初に貴女(あなた)を助けた時、ある女性に似ていると思ったのだが…」
「思ったのだが?」
「…今にして思うと全然似ておらぬ…」
「なに!?」
ウインダミアの湖畔を白い風が駈け抜けて往く…
トリストラム騎士団長率いる第六騎士団が衛る地
ランカスターへと…
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聖戦と死神 第四部「黒色の死神」~英雄の帰郷~
アルヴァレス亡命の報は 帝国のみならず
ガリア全土に強い衝撃を響かせ疾った…
時代は英雄を求め 反撃の狼煙は上げられた
旧カスティリヤ領が 帝国に対し独立宣戦を布告
旧ロンバルド領 旧プロイツェン領がそれに続き
帝国内部で高まりつつあった聖戦への反感が遂に爆発
アルヴァレスを頼り 軍・民・問わず亡命者が殺到
更に熾烈な四正面作戦を強いられた帝国は
次第に領土を削られ 国力を疲弊していった…
そして…戦局の流転は 時代にひとつの決断を投げ掛ける…
それは…皇帝 聖キルデベルト六世より
プリタニア女王へと宛てられた一通の親書…
帝国暦四年『ベルセーヌ休戦協定会談』
帝国領イヴリーヌ ベルセーヌ宮殿
大理石の回廊を進む薔薇の女王
左にはパーシファル 右にはアルヴァレス
柱の陰には招かれざる客…
黒の教団より放たれし刺客…
死角より放たれし時(クロ)の凶弾…
嗚呼…歴史は改竄を赦さない…
凍りつく時間の中を 崩れ堕ちるアルヴァレス
パーシファルの雷槍(ヤリ)が閃き 崩れ落ちるゲーフェンバウアー
それは…歴史の流れが変わる瞬間だろうか?
それとも最初から全て決められていのだろうか…
「…先に逝ったのか…ゲーフェンバウアー…人間(ひと)とは全く…哀しい生物(もの)だな…」
彼を誘う最期の闇 その中にさえ…
「嗚呼…朱い…何て朱い夕陽なんだ…シャルロッテ…私は必ず…必ず帰って…」
ブリタニア暦630年 英雄アルベール・アルヴァレス
イヴリーヌ(ベルセーヌ)宮殿 にて暗殺者の凶弾に倒れる…
彼の墓碑銘にはルーナ・バラッドが捧げた詩の一節が刻まれた…
多くを殺し 多くを生かした 多くを悩み 多くを為した <ベルガの同胞>(アーベルジュ)ここに眠ると…
ガリア全土を巻き込んでなお停まらない大戦
その終結には…更に多くの血と涙 五年の歳月を要するのである…
夕陽に染まる丘 寄り添うように並ぶ二つの墓標
白鴉が凛と羽ばたいて往く 終わらない空の向こうへ…
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書の囁き
私は<書の意思の総体>(クロニカ)
アナタたちが<黒の予言書>(ブラッククロニクル)と呼んでいるモノの原典
つまらない昔話でも宜しければ お話ししてさしあげましょう…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
昔々ある所に一人の男がいました
彼は破滅の運命に囚われていましたが
苦難の末…その運命から逃れる道を見つけ出しました…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
しかし…彼がその運命から逃れることは 別の運命によって定められていました
その別の運命から逃れられたとしても 更にまた別の運命に囚われてしまいます
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
結局はその枠を何処まで広げようと いづれは簡単に絡めとられてしまうのです
書の真理をご理解頂けるかしら? 黒の歴史は改竄を赦さないのです…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
アナタは永遠を信じますか? …そんなことはどうでの良いのです
さしたる問題ではありません 書の歴史は全てを識っているのですから
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
幾度となく誕生と消滅を繰り返す世界 全ては予定調和の内
書の真理をご理解頂けたかしら? 黒の歴史は改竄を決して赦さないのです…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
結局彼は運命の手から逃がれられませんでした
…されど憐れむ必要はないのです
ワタシもアナタも誰ひとり逃がれられないのですから…
めでたし…めでたし…
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蒼と白の境界線
第十六巻 602ページ…
海の匂いが好き 心地良い潮風が頬を撫でる
ここから見える景色が好き 海と空が同じ蒼で出来きているから…
摇れる碧石の首飾り…
それは…愛しき日々 今でもよく覚えてる
いつも肩車してもらってたよね
パパの背中は 何て大きかったんだろう…
少女は父親が大好きだった
父親は勇敢な船乗りだった
いつも優しかった いつも笑っていた
海の向こうの話を聞かせてくれた
少女の小さな地図は
いつもその話でいっぱいだった…
覚えてるわ パパの話
白い鯨を見てみたい
双子島にも行ってみたい
潮風に揺られどこまでも…
大人達は皆 分かってはくれない
小さな身体には収まりきらない
大きな夢があるんだ
私は 絶対船乗りになるんだ…
覚えてるわ パパの話
歌う海鳥を見てみたい
珊瑚の樹海にも行ってみたい
潮風に揺られどこまでも…
こんな晴れた日は 白い紙鳥を飛ばそう
あの蒼い水平線の向こうまで…
何色にでも染まる<白>は 明日の私だ
<境界線>なんて何処にも無い
真っ直ぐ<蒼>に溶けこんでゆけ
どこまでも どこまでも…
その紙鳥は潮風に乗って翔んでゆく
どこまでも どこまでも…
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沈んだ歌姫
第十二巻 741ページ…
二人の歌姫 沈むのはいずれか…
紅の歌姫と称されし フィレンツァ領主 フィレンツァ公爵家の令嬢
ロベリア・マリア・デッラ・フィレンツァの手番(ターン)
遊戲盤(ばんめん)の上を駒が進む…
<聖都フィレンツァ及び南都ナポールタ → 赤の歌姫の後援都市>(Firenza Naporta Patrono de Roberia)
歌え!紅の歌姫(ロベリア) 目指す舞台は
優雅にして華美なる(Elegante e Sfarzoso)麗しの王都ロマーナ
蒼の歌姫と称されし ミラーナ領主 ビスコンティエ公爵家の令嬢
ジュリエッタ・シモーネ・デル・ビスコンティエの手番(ターン)
代わる代わる駒は進み…
<北都ミラーナ及び水都ヴァナラ → 蒼の歌姫の後援都市>(Milana Venera Patrono de Giulietta)
歌え!蒼の歌姫(ジュリエッタ) 目指す舞台は
優雅にして華美なる(Elegante e Sfarzoso)憧れの王都ロマーナ
紅く燃え上がる情熱の歌声と華やかな容姿(フィギュラ) 私こそが<最高の歌姫>(レジーナ)
(「蒼く湧き出づる清廉の歌声と穏やかな微笑(フィリフス) 私こそが<最高の歌姫>(レジーナ)」)
諸侯を巻き込んで 宮廷に蠢く影は 権謀の黒き獣(べスティア) 争いの宴(フェスタ)は続く…
田舎貴族の娘(ジュリエッタ)が望むには不遜な 至尊の寶冠(ティアラ)
(「色惚の年增娘(ロベリア)が望むには不遜な 至尊の寶冠(ティアラ)」)
頭上に戴くのは紅の歌姫(ロベリア)こそが相応しい…
(「頭上に戴くのは蒼の歌姫(ジュリエッタ)こそが相応しい…」)
…「王妃陛下万歳!(Viva! Evviva!)」
(「Ves, Viros, Wes, Lilis...」)
(「Eros, Vires, Eris, Viros...」)
(「Feno, Firis, Feris, Firos...」)
(「見なさいロベリア…今やナポールタの利がお前の手に落ちた、
後はビスコンティエの小娘さえ退けば…晴れてお前が王妃陛下だ…」)
時は…イタニア暦312年
国王モンテフェルトラーノ四世 突然の崩御
若き王太子アレッサンドロ
アレッサンドロ一世として即位
(「あんな田舎娘に、私が負けるはずありませんわ」)
(「おお、そうだとも。だが憂いは全て絶つに越したことはない…」)
イタニア<最高の歌姫>を
王妃として迎えるという勅令を発布
野心を抱いた地方領主/門閥貴族
各々に歌姫を立て王都を目指し進撃…
(「Eros, Vires, Eris, Viros...」)
(「Feno, Firis, Feris, Firos...」)
(「まぁ、お父様ったら…」)
(「下賎な歌姫など身分の卑しい売女も同じ、まして逆賊の娘など売女以下の面汚し…」)
駈ける駆ける獣(べスティア)…
高值で売れるなら娘でも売れ
売值は望む得る限り高く
猛る猛る獣(べスティア)…
敵を売れ 味方を売れ
他人の娘など底值で売りつけてやれ
(「可愛いロベリア…最高の歌姫はお前だよ…」)
咆える吼える獣(べスティア)…
弒逆を謀った逆賊として
デル・ビスコンティエ一門処刑
(「Eros, Vires, Eris, Viros...」)
(「Feno, Firis, Feris, Firos...」)
(「あら…頼りにしてますわ、お父様」)
屠る屠る獣(べスティア)…
逃亡を図った国賊として
デル・ビスコンティエ令嬢を処断
(「ジュリエッタ…お前は最高の歌姫、我が一門の希望だ…
私の力が及ばないばかりに、すまなかったね…
せめてお前だけでも逃げなさい…」)
「騙し騙され…殺し殺され…よく飽きもせぬものだ…
全ては遊戯(ゲーム)に過ぎぬ…予を生み堕とした…
この世界に復讐する為のな…!」
逃げる乙女と 追い駆ける獣(べスティア)
紅糸で手繰る 操り人形(マリオネッタ)
繰り返される 歌劇(リーリカ) 悲劇(トラジェディア)
紅糸で手繰る 操り人形(マリオネッタ)
牙を剥いた獣(べスティア) 追い詰められた断崖
歌を奪われた歌姫 世界までも奪われ…
「ロベリア!ロベリア!(Roberia! Roberia!)」
「ロベリア王妃陛下万歳!(Viva! Roberia Evviva!)」
「──お父様!」
蒼い空 碧い海 飛び去りぬ白鴉 沈み逝く歌姫
歌姫ジュリエッタの沒後…王妃ロベリア在位僅か三年にして
寵妃ビアトリジェ宰相ガレアッツォらの共謀により 歴史の闇に沈む…
君よ驕ることなかれ 我等
歴史という大海に漂う小舟に過ぎぬ
盛者必衰 沈マヌ者ハナシ…
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海の魔女
第十三巻 509ページ…
私は馬鹿だ…そう沈んでから気付いた…私は
唯…歌いたかった
唯…この歌を聴いて欲しかった
唯…それだけだった…
蒼い波の雫 照らす…月は冷たく
大きな岩場の陰(シェイド) 庭舞台(テラス)…夜は冷たく
聴いて…嫌や…聴かないで 空を呪う歌声
恨み唄…いや…憾み唄 海を渡る歌声
楽しければ笑い 悲しければ泣けば良いでしょう
けれど今の私には そんなことさえ赦されぬ
私はもう人間(ひと)ではない 歌うことしか出来ぬ
悍しい化け物へと変わり果てていた…
(「Lu Li La Lu Lu Li Lu La Lu Lu Li Lu Li La La Lu Li La La」)
(「Lu Li Lu Li La Lu Lu Li Lu La Lu Lu Li Lu Li La La Lu Li La La」)
生きることは罪なのだろうか…望むことは罪なのだろうか…
歴史よ…アナタの腕に抱かれた 彼女達は言うだろう
「アナタの愛は要らない…私はそんなモノを愛とは呼ばない」と…
(「Lu Li La Lu Lu Li Lu La Lu Lu Li Lu Li La La Lu Li La La」)
(「Lu Li Lu Li La Lu Lu Li Lu La Lu Lu Li Lu Li La La Lu Li La La」)
嵐を導く哀しい歌声は 白鴉の途を遮るかのように…
Lu Li La Lu Lu Li Lu La Lu Lu Li Lu Li La La Lu Li La La...
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碧い眼の海賊
第十七巻 84ページ…
「大変だお頭、前方に突然巨大な嵐が發生しやがった!」
「あ~ぁありゃセイレーンですぜお頭~!!」
「セイレーン如きでびびってんじゃないよ、情けないねぇ、
あっちが海の魔女なら、こっちは海の美女だっつうの!」
「”麗しき姿<美の女神>(ウェヌス)の如し”と謳われた、
この<海の女神様>(テティス様)を嘗めんじゃないよ…」
「そりゃ”猛き姿<戦の女神>(パラス・アテネ)の如し”の間違いじゃ…」
「ズィマー何か言ったかい?」
「ひぃ~!!!」
「いくよ野郎ども、びびってんじゃないよ!」
「そ~ら、おいでなすったぜ!」
「さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ!さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ、それ!それ!(Haw l'altero l'altero! Haw l'altero l'altero hoo! hoo!)」
…波間を漂う襤褸(ぼろ)い板切れ
若い娘を背に乗せ何処へ往くのか…
「よぉ…気が付いたかい?」
「ここは何処?…貴女(あなた)は?」
「此処は<地中海>(メディテラネオ)、
この船は<絶世の美女=海の女神号>(ウェヌス=レティーシァ)、あたいはこの船の船長レティーシァ」
「そっちの図体のデカイ野郎はヤスロー…筋肉馬鹿だ」
「宜しくな、嬢ちゃん」
「こっちの胡散臭い髭の野郎はズィマー…唯の馬鹿だ」
「がび~ん!」
「他にも馬鹿な野郎が大勢乗ってる…で、あんたは?」
「助けて下さってありがとう、私はアニエス、
海の魔女(セイレーン)の嵐に巻き込まれてしまって…嗚呼…みんな今頃きっと昏い海の底に…」
「もう…海の女が泣くんじゃないよぉ…」
「…ってアナタ、その首飾りどうしたのよ?」
「うわぁ…立ち直りの早い娘だねぇ…
昔…溺れかけてたおっさんを助けた時に貰ったのさ、何でも命よりも大事なもんらしい…」
「そのおっさんって私の父(パパ)よ、間違いないわ!
生きてるの?生きてるのね?私の父(パパ)は、いーきーてーるーのーねー!!」
「うわぁ…あんたも生きてた…親父さんも生きてたんだ…
あんたの仲間にも、他に生きてる奴がいるんじゃないか?」
「船を出して、今すぐ出して、出して、出しなさい、ふーねーをーだーしーなーさーい!!!」
「どひゃぁ~!!!!!」
波を殴り倒しながら突き進む海賊船
それを導くかのように蒼穹を翔け抜ける白鴉
その白は 真っ直ぐ蒼に溶け込んでゆくように
どこまでも…どこまでも…
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雷神の左腕
第一巻 816ページ…
こんな嵐の夜は 傷痕が疼く
右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み
誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している
残った左腕で何を為すべきかを…
不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす
確實に その時が近づいている
あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った
覺悟は決まっている まだ左腕がある…
男は扉を必死で押さえていた
扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている
それを左腕で必死に抑えていた
もうダメだ…右腕…右腕さえあれば…
男が諦めかけたその時
薄れゆく意識の中 温かい光を感じた
右手に槍を掲げ 嵐の中幾千の人々が祈っている…
あの時の子供達は皆 大人になった
雷神は右腕を失い 世界は生まれ変わった
右手が蒔いた種を育てたのは左手
そして美しい花がさく 幾千の花が咲く…
彼には勇敢な左腕と 幾千の右腕がある
決して負けはしない そんな想いが歴史を紡ぐ…
…やがて時は流れ…
「ねぇおじいちゃん、どうして?雷神様には、右手が無いの?可哀想だよ…」
と街角の子供は問う…
子供の小さな手を取り 老人は微笑んで答える
「雷神様の右手は、今もここにあるよ…ほれ、その右のポッケの中にも…」
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雷神の系譜
第四巻 27ページ…
世界を救いし隻腕の英雄亡き後
邪神が封印されし地に街を築き
自らが結界の役割を果たし
永き平和への礎と成す…
誇り高き右腕に刻まれし雷の紋章(あかし)
彼の者達の名は 雷神の民
伝承の謎 紋章の秘密
少年が描く軌跡 雷神の系譜
弱い者ほど徒党を組み
身代わりの羊を捜す
愛を知らない幼き日々は
灼けた石の痛み
ひとり唇噤んだまま
膝を抱えて耐えていた
雨も宿ればいづれ過ぎ去る
嵐もまた然り
されど輝やかざる紋章(しるし)
本当の強さって何だろう?
差し出された少女の小さな手が
とても大きく見えた…
黙したまま何も語らぬ歴史の手の平の上で
出会ってしまった少年と少女の物語
十年の歳月も一閃の雷が如く
過ぎ去ってしまえば刹那
今…黒の歴史が再び動き出そうとしている…
遠い空見上げて この胸を焦がす
浮かぶのは彼女の 愛らしい笑顔だけ
適わぬ想いと 識っていながら…
麗しの君は何故 一族の長の娘
部族一強き者の許へ
嫁ぐこと定めしは 変えられぬ民の掟
嗚呼…雷(ちから)無きこの腕じゃ 君のこと護れない?
想いなら誰にも負けないと
叫んでもその言葉 虚しくも風に消えた…
期は満ちようとしていた 長の娘も今年で婚礼を定められし齢十六
その誕生の日が差し迫り 一族の猛者達は競って名乗りを上げた
期は満ちようとしていた 邪悪なる波動が街全体を包み込み
空に立ち込めたる暗雲は <三度目の嵐>の訪れを告げようとしていた…
(「どうなされました?お婆様…」)
「おぉ…何ということじゃ…!黒き法衣(ローブ)を纏いし者達の影が見える…
予言書の使徒、奴らを封印の深奥へ行かせてはならん、
邪神の封印を解こうとしておるのじゃ…!
いまや雷神様の血も薄れ、我らに扱えるは小さき雷のみ…
あぁ恐ろしいや…!天地を揺るがす強大な力じゃ…来るぞ…あぁ来るぞ…!」
地を割る咆哮 天を裂く爪牙 烈火の如く燃えさかる六対の翼
暗黒を宿した瞳に魅いられただけで 勇猛なる戦士が次々と倒れていった…
嗚呼…人間(ひと)とは神の前では かくも無力なモノなのだろうか…
誰もが深い絶望に呑まれかけていたその瞬間(とき)
一際眩い閃光が雷(ちから)無き青年の体を貫いた…
「覚醒めよ…勇敢なる右腕を持つ者よ…
直系の雷(ちから)を受け継ぎし者よ…
かつて私は邪神(やつ)を封印せし折、雷の槍を放ったが故右腕を失った…
今その雷(ちから)を開放すれば、右腕はおろか全身が吹き飛ぶやも知れぬ…
御主にその覚悟があるか?
…ならば今こそ覚醒めよ<雷神の右腕>よ!」
「ひとりでは耐え切れぬ、雷(ちから)でもきっと、ふたりなら大丈夫、私は信じる!」
暗雲を貫く雷 あの日出会った少年と少女は
今…二つの紋章(しるし)重ね合わせて 輝ける未来(とき)を紡ぐ…
「…ちゃん…ねえ…お婆ちゃん…お婆ちゃんったらぁ!」
「どうしたの?それからお話どうなったの?」
「おお…そうだったねえ、ごめんよ」
「その後、雷神様が邪神をやっつけたんだよね?ね?」
「さて、どうだったかねえ…昔の話だからもう忘れちゃったねえ…」
「えー、そんなのずるいよぉ」
…そう言って微笑んだ祖母の瞳(め)は とても優しい色をしていた
…その時の事は今でも印象深く覚えている
…私は信じているのだ 雷神の系譜は途絶えていないのだと…
受け継がれるモノ…受け継がれざるモノ…
暗雲を貫く光を翼に受け…その白鴉は羽ばたいて往く…
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書の魔獣
第二十四巻 1023ページ…
滅びゆく世界の果てに 誰を裏切る
煌く宝石(いし)を投げ込む愚行 其処は泥沼だ
其の滅びゆく世界の輪から 誰が抜け出す
今更助け合っても無駄さ 其処は底無しだ
ボクらは世界を識っていた…ボクらは歴史を識っていた…
ボクらは未来を識っていた…本当は何も知らなかった…
ボクらは世界を知りたいんだ…ボクらは歴史を知りたいんだ…
ボクらは未来を知りたいんだ…今からそれを見つけるんた…
我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)
彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)
我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)
彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)
書に刻まれし終焉の魔獣(ベスティア) 黒き秩序に従い
歴史を駈け堕りる審判の仕組(システィマ) 最後の書頁(ページ)めがけて…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
美しく在ろうが 醜く在ろうも同じ…
賢く在ろうが 愚しく在ろうも同じ…
その闇に屠られてしまえば 存在など虚構も同じ…
数多の記憶 歴史を呑み込んで尚 その魔獣は止まらない…
ソラから舞い降りた白い翼は 消え去ることも恐れずに闇に向かって往く その頃ボクらは…
黒の教団 地下大聖堂…
「お帰り<可愛い我が娘達>よ…と言ってあげたい所だが
どうやら我々の同志に戻るつもりはないようだね…」
「残念ながらもう手遅れだ、書の魔獣は誰にも止められないのだよ…
終焉の洪水がこの旧世界を屠り、全の歴史を呑み込むまで…」
「養父(ノア)、アナタって人は…!」
「その眼を見ていると、嫌でも思い出す…
<反逆者の父親>(ルキウス)、<逃亡者の母親>(イリア)…やはり血は争えぬということか…」
「<黒の神子>(ルキア)よ、私は悲しい…!
君ならば書の真理が理解できると思っていたのだがねぇ…
まぁ良い…歴史を変えられると思い上がっているのなら…
いつでも掛かって御出でなさい…」
「聴こえないのかい?我々を新世界へと導くあの音が…!」
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キミが生まれてくる世界
黒い背表紙に黒い文字で記された物語…
今日はいっぱい話そう…
キミが生まれてくるこの世界のことを…
この世界には 終わりはないんだ
変わらぬ想い 数多の時代を
戦ってきたんだ そしてこれからも
戦ってゆくんだ ボクらの歴史を…
詩人は死してもなお歌い
新しい詩で世界を包む
海も大地も空も夕陽の丘も
全てキミの…キミの世界になる
詩人の詩 歌姫の歌
薔薇の紋章 雷の紋章
朱石の首飾り 碧石の首飾り
語り継がれてゆく 終わらない物語
歴史は次の地平線を探し流れてゆく…
クロは全てを裁き…全てを流すのだろうか?
ソラはこの世界を…この世界を包むだろうか?
美しきモノも…醜きモノも…
賢きモノも…愚かしきモノも…
強きモノも…弱きモノも…
変わりゆくモノも…変われざるモノも…
今日はいっぱい話そう…もうすぐ
キミが生まれてくるこの世界のことを…
キミは全てを赦し…全てを愛せるだろうか?
キミはこの世界を…この世界を望むだろうか?
さぁ早くでておいで…恐がらなくていいんだよ
ボクはこの世界を…ボクはキミを愛してるから…
もうすぐ生まれてくるキミと…ボクとの約束…
今度はボクがキミを…絶対ボクがキミを護るから…
歴史は次の地平線を探し流れてゆく…
(「我らは書に拠って 祝福を約束されし者…(I wish to failure by Chronicle...)」)
(「彼らは書に拠って 断罪を約束されし者…(Mere fates too were known by Chronicle...)」)
結局彼女は運命の手から逃がれられませんでした
…されど憐れむ必要はないのです
ワタシもアナタも誰ひとり逃がれられないのですから…
めでたし…めでたし…
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<ハジマリ>のクロニクル
ある抜け落ちたページ…
歴史を導く白い鴉と 歴史を呑み込む黒い魔獣
書の記述を真似したごっこ遊び
キミはいつも鴉で ボクは魔獣の役だった……
昏く永い闇を抜けて 新しい時代が来るよ
鎖ざされていた 物語たち 動き出すよ
何故キミは泣いているの 生きるのは哀しいかい?
そんな時こそ 大きな声で 笑うと良い
世界を優しく包む 大きな笑顔(はな)を咲かせよう
流した涙は 虹になる
キミを傷つけるモノ全てを ボクは絶対赦さないよ
キミを護るためボクは戦うよ ボクを最後まで信じて欲しい……
「そんな悲しい顔しないでおくれよ。
ねぇ…初めて会った日の事を憶えてるかい?
あの日、キミは小さな翼を震わせて泣いていたね。
でも…今のキミの翼は、とても大きくて力強い美しさに満ちている。」
「キミはいつも鴉で、ボクは魔獣の役だったね。
本当は、たまにはボクも鴉を演りたかったんだけど、
そうじゃなかった。鳥でも獣でもなかったんだ。
ボクは今、本当の自分の配役を知ったんだと思う……。」
小さき者と嘲笑う 残酷な歴史の時風(かぜ)
翼を広げて迎え討つ
キミが白い鳥になるのなら ボクは大きなソラになろう
キミは何処までも羽ばたいて往ける ボクは最期まで信じて逝こう……
「ボクのことは愛さないで欲しい。
ボクは、もうすぐキミの世界から消えてしまうから。
ボクのことなど忘れて生きてゆくんだ。
これから手にするモノを愛する為に、キミは生きてゆくんだ。
生き延びるんだ。どんなことがあっても生き延びてゆくんだ。」
「どんな困難が訪れようとも、絶対諦めたりはしないんだ。
<時を超え甦るハジマリの地平線>(クロニクル)
それがボクとキミとの、たったひとつの約束……。」
──哀しみの黒い幻想(ファンタジー) ここからハジマル ボクらの戦いの年代記(クロニクル)──
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<空白>のクロニクル
歴史は終わりはしない…
むしろ この瞬間にもハジマリ続けている
空白の<永遠>(十秒)…
君の<地平線>(世界)へと続く<物語>(クロニクル)……
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雷神の右腕
遥かなる 時の彼方
一人の英雄の物語…
混沌を纏し 邪悪なる神々
破壊の日々に戯れ
かつて 楽園と呼ばれた大地は
その輝きを 失った…
絶望が 呼び寄せた
吹き荒れる 嵐の中
勇敢な戦士が
神々に 戦いを挑んだ…
戦いは 壮絶を極め
天地は 揺れ動いた
戦士が 右腕と引き替えに
放った 雷の槍は
天を裂き 地を割り
遂に 神々を打ち倒した…
戦士は 英雄と呼ばれ
神と崇められた
戦士は その右腕を失い
神と崇められた…
やがて 時は流れ
街角の子供達は問う
雷神には何故
右腕が無いのかと…
2008-05-03T01:31:35+09:00
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