4-601「耳掻き」

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「ところで涼宮さん、キョンにアレをしてもらったことはあるのかな?」 「何よ、アレって?」 「その様子だとしてもらったことは無いのかな。 彼は一見不器用そうだけど、中々どうして人は見た目で判断できないものだ。 ………ああ、今でも思い出すだけで背筋がぞくぞくするよ。 いや、彼の器用さときたら言葉では到底言い表せるものではないよ。 そろそろと慎重に入ってきたかと思えば思いのほか大胆に動き回る。 とはいえ無理をする訳でもないし痛いということもないんだ。 むしろ今まで感じた事のない未知の感覚と言うべきかな。 そして、強弱をつけて的確なポイントを突いてくる。 こう、内側から引っかかれるようなものなんだけどね、それがまた形容しがたい。 我ながら随分と声を出してしまったのが恥ずかしいが、 いやはや、我慢できるようなものでもなかったしね。 もちろん事後処理も完璧だった。ティッシュでやさしく拭ってくれた時は つい大きな声を出してしまってね、随分と訝しがられたものだよ。 あの年にしてあれほどのテクニックを身に着けているとは。 将来どうなるか、末恐ろしい限りだね。 いや、失敬、僕の記憶であるから少々誇張されているかもしれない。 それでも期待を裏切らないものであることは保障するよ。」 「な、な………佐々木さん、アンタ……」 「そうだね、君もキョンにしてもらうといい…耳掻きを。」

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