キョンの自転車で、涼しく勉強出来る図書館へ行く途中の出来事。
「毎年夏になると思うが、なんだってセミって奴はあんなに五月蝿いんだろうね。
あいつらのせいで体感気温が２ﾟCは上がってる気がするぞ。ただでさえ暑いのに勘弁してほしいぜ」
「仕方が無いさ、彼等も子孫を残すのに必死なんだ。
土の中で何年も過ごし、少しずつ蓄えたエネルギー全てを１週間で燃やし尽くす勢いで空を飛び回り、大声で鳴き、伴侶を見つける。
全ては本能、DNAに刻み込まれたプログラムに則った行動だよ。
以前にも言ったと思うが、僕は本能を否定しない」
「の割には、お前が本能に則った行動をしたって覚えは無いな。まるで理性が服着て歩いてるようなイメージだ」
「ほう、ならば今からでも一泊と休憩を選択する比較的安価な宿泊施設にでも目的地を変更するかい？」
「な！？お、お前、キツイ冗談かますなよ。そうかこの暑さに参ってるんだな、せいぜい急ぐから許してくれ」
…………。僕が理性に服を着せたようなら、キミは本能にアイマスクと大音量のヘッドホンステレオを装着しているよ。
