69-188「もしも、ハルヒと佐々木の声が似ていたら」

※黒佐々注意

最近、涼宮さんが退屈しているらしい。
私が一肌脱いであげよう、と思い、キョンに頼んで、涼宮さんのカチューシャを手に入れた。
キョンは北高の制服を着た私を、呆れたように私を見る。
「くっくっ、遊びだよ、ただの。退屈な涼宮さんに、ちょっとしたスリルを味わって貰いたくてね。
ところでどうだい?北高の制服。似合うかい?」
「ああ。反則的なまでにな。」
キョンは、そう言うと私を見る。
「髪を栗毛にして、ストレートにすると、本当にハルヒだな。」
「くっくっ。細部は違うけれどね。我ながら良く似ているよ。」
九曜さんに髪を染めてもらい、ストレートにした。あとは、カチューシャとしゃべり方だ。
「コホン。……キョン!私とデートしなさい!」
「似て非なる、だな。あたしにしとけ。もっと似る。」
キョンは、興味なさそうに言った。
「……つまらない男だね、全く。彼女が違う女性のコスプレをしているんだ。少しは反応したまえ。」
「止めはせんが、あんまり趣味悪い事するなよ?ハルヒは、ああ見えて気が小さい。」

ほう。実に興味深い。

「さて、キョン。今から僕は涼宮さんになりきる。で、北高内を手を繋いで歩くか。」
「お前……ハルヒをダシにして、お前が楽しみたいだけだな……。腹黒が。」
キョンが憐れみを込めた目で私を見てきた。くっくっ。分かってらっしゃる。
「キミも好きだろ?こういう悪戯。」
「…………否定出来んのが辛いな。まぁ、それにハルヒだからなぁ。俺の事、何とも思ってないだろうし、まぁ効き目ないだろうからな。」
くっくっくっくっ。鈍さもここまで来ると罪だね。
いやはや、どんな反応を示すのか楽しみだよ。


「やっぱり閉鎖空間発生しても困るな。SOS団に関する事案は却下だ。古泉や長門に殺される。」
ちっ。つまらない。そう考えていたら、キョンはかなりきつく私を睨む。
「佐・々・木?」
……うむ。憤懣やる方ないが、致し方無いね。
「逆に反転なんかどうだ?普段ハルヒがしそうにないような事なんか。」
それは楽しそうだ。涼宮さんは、普段あまり評判が芳しくないみたいだし。
「くっくっ。よし。ならやってみるか。」
当然手伝いたまえよ?キョン。……おや。早速お困りの一団が。
「コンピ研の連中じゃねぇか。」
モニターの前で固まっているね。プログラミングだな。
「あんた達、何やってんの?」
「げぇ!涼宮!」
皆が小波のように引く。……普段、どんな行いをしているんだい?涼宮さん……。
「何でもない!あっちに行け!」
「いいから見せなさいって!」
ああ、どうやらプログラミングのミスらしいね。関数の応用か。ふむ。暫く見てみよう。
「これ、こことここの数式が変。」
数式の間違いという初歩的なミスだ。見落としがちではあるがね。
「あ、な、何だと……?」
センター分けの男の子が絶句する。
「初歩的なミスだけど、これはありがちよ。人間なんて完璧じゃないからね。
……あと、チートコードは感心しないわ。」
「お前ら、またか……」
後で詳しく聞かせたまえ、キョン。ともかく、後は笑顔で締めればいいわよね?私は、穏やかに微笑んで見せた。
「やるなら、正々堂々。シンプルだからこそ奥の深いゲームが一番よ?面白いゲームを期待してるんだから!」

よし、決まった!

「…………」
む?ど、どうした?キョン!キミまで!僕の笑顔は変だったのかい?!
「ささ、いや、ハルヒ。ちょっと来い。」
い、痛いよ、キョン!何よ!

外まで引っ張り出される。
「……すまん。やめてくれ。頼む。」
「何がだい?」
「お前みたいに穏やかに微笑むハルヒなんて、反則だ。」
妬けるんだが?フラクラめ。
「それに、だ。お前の微笑みを、他の連中に安売りして欲しくねぇ。妬けちまう。」
ほう?くっくっ。それは良い事を。この私の最も好きなものの1つは、キミのヤキモチなんだがね。

199 名前:もしもハルヒと佐々木の声が似ていたら [sage] 投稿日:2013/01/17(木) 09:55:45.53 ID:6ToRuRYf [2/5]
キョンは、私の腰を抱いた。
あ、これはまずい。勢いに流されそうな……

「佐々木……」

はッ?!そうだ!今、私は涼宮さんに変装中!キョン!ダメよ!浮気は許さないよ?!私はキョンを突き飛ばした。

「………………」
落ち込みのブラックホールに沈む、キョン。胸が痛むね、流石に。私はキョンを後ろから抱き締めた。
「……ごめんね。妬けたの。あんたは、『佐々木さん』が一番好きだものね。
だから、あたしにキスするのはダメよ、キョン……」
「ああ。すまん。……『ハルヒ』。」
くっくっ。やっぱりキミはいつも『私』も『僕』も理解してくれる。……こんな変装してなきゃ、今頃……ちくしょう。そう考えたら悔しいな。
「興が覚めたね。帰ろうか、キョン。」
「だな。……って、谷口!朝倉も!」
教室のドアが少し開いていたみたいだ。朝倉さんとやらは、真っ赤な顔をしながら俯き、谷口くんとやらは、決まりが悪そうにネクタイを弄っている。
端から見たら、涼宮さんがキョンにあすなろ抱きをしている…それだね。

「「えーと、すまん(ごめんね)。ご、ごゆっくりいいいいいい!」」

二人が駆け出して行く……。
「面白い人達だね。」
キョンは真っ赤になり、顔を押さえている。
「変な噂にならなきゃいいんだが。最低男の謗りは免れたい。」

200 名前:もしもハルヒと佐々木の声が似ていたら [sage] 投稿日:2013/01/17(木) 10:31:46.16 ID:6ToRuRYf [3/5]
翌日。
昨日のハルヒは、ドッペルゲンガーに違いないという話になっていた。
「……サイテーですぅ……」
朝比奈さんの冷たい目が痛い。佐々木の悪戯に付き合った俺も悪いんだが……あることないこと触れ回った、谷口と朝倉のアホはどこに行きやがった……!

……それから。
北高では暫く、佐々木のドッペルゲンガーが出た。
やたら活発な佐々木。
無口で本を愛する佐々木。
常に柔和に微笑み、喉仏のあるごつい佐々木。

この三人の佐々木が一堂にいた時は、さすがに恐怖以外なにもなかったが。因みに一番でかい佐々木は、バレバレだった。

何考えてんだ、古泉!

「んっふ。」

END

おまけ。無口な佐々木ドッペルゲンガーと、佐々木の出会い
「……ドッペルゲンガーを見たら、死ぬ……」
「そ、そっくりだね、気持ち悪い位似てるよ。外見は……。」
「……情報操作は、得意……。」
「長門かよ。全く。ドッペルゲンガーじゃねぇんだな?」
「……違う。私はドッペルゲンガー。だから、私を見た佐々木○○は死ぬ。
パーソナルネーム佐々木○○を敵性と断定。当該対象の有機情報連結の解除を申請す……」
「長門おおお!やめろおおお!」

おまけその2。活発な佐々木ドッペルゲンガー。
「キョン!僕は今、キスがしたい!今からしなさい!」
「……お前は何を考えているんだ、ハルヒ……。」

今度こそ終わり。

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最終更新:2013年03月03日 04:12
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