19-160「ボールペン」

どしゃ降りの雨の中、無我夢中で走る。行き止まりだ。目の前にはやたら高いフェンスしかない。


オレは震えながら振り向く。そこには書類とボールペンを持った佐々木が静かに歩み寄ってきた。


「くっくっ。ほら。ここにサインするだけなんだよ。このボールペンなら濡れた紙にだって書けるんだ。」
「うわぁぁぁぁ!!!!」


ふと目が覚めると、自分の部屋で横になっていた。助かった、と安堵しながら天井を見上げた。


そこには、なぜか背中に天井を張り付けた佐々木がいた。さっきと同じ書類とボールペンを持って。


「ひぃっ!!!!」
「ずうっと一緒だよ。」


ふと目が覚めると、なぜか宇宙船の中にいた。なんでオレが宇宙飛行士なのかはこの際どうでもいい。今度こそ夢か、と安心して窓の外に広がる宇宙空間を見た。


そこには、宇宙服をつけずに宙を舞う佐々木がいた。やはりさっきと同じ書類とボールペンを持って。


「書いてぇぇぇぇ!!!!」


殴るようにボールペンを差し出す。当然窓は割れる。


「うわぁぁぁぁ!!!!」
慌てるクルーたち。響く警報機。抜けていく酸素。ここは地獄か!?


ふと目が覚めると、なぜかタキシード姿で椅子に座っていた。顔を上げると、佐々木がウェディングドレス姿で微笑みながら佇んでいた。教会の鐘が鳴り響く。


昔あったボールペンのCMのパロディ。
濡れた紙でも逆さまでも無重力でも書ける、って触れ込みのボールペン。
ヤンデレっぽくていいかな、って思って書いてみた。
とりあえずいろいろとごめんなさい。

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最終更新:2007年08月26日 13:25
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