サブタイトル個別 ウルトラマンタロウ 第53話


さらばタロウよ!ウルトラの母よ!
ウルトラマンタロウ対バルキー星人

解説ブックレットより

●ウルトラマンタロウ第53話(制作No.53)1974年4月5日放映
●登場宇宙人・怪獣:海獣サメクジラ 宇宙海人バルキー星人
●ウルトラマンタロウ最後の敵・宇宙海人バルキー星人は、新ヒーローとして翌週から活躍することになるウルトラマンレオのNGデザインのひとつを流用したもの。そう思って見ると、頭部の形状はレオ以上にストレートにライオンぽいではないか。カラーリングのほか、吊り上がった目や歯のような口元のディティールなどが追加されて悪役らしいルックスになっているが、それでも“ウルトラマンみたいな”敵宇宙人の出現は当時の子供たちにとっては驚きだった。そしてこのバルキー星人は、ウルトラマンタロウではなく、生身の東光太郎によって倒されたことでも印象深い宇宙人だ。ウルトラ兄弟客演の続出や個性的な怪獣、ZATの奇抜な作戦などでとにかく陽性な印象を残す『ウルトラマンタロウ』の物語の最終章は、最強の敵との戦いでも、最大の危機の克服でもなく、意外にもウルトラマンタロウ=東光太郎の完全にパーソナルな「けじめ」を描くものだった。『帰ってきたウルトラマン』に始まった「普通の人間がウルトラマンとなって成長していく物語」は、主人公に一個の人間に戻る宣言をさせる=ウルトラマンの力を否定させることで、静かに、しかし衝撃的に完結する。そしてシリーズは、「すでに超人でありながら未熟な男」を登場させて「人間ウルトラマン」のテーマを逆説的に語る、これまでのシリーズへの「返歌」のような第2期シリーズの最終章へ突入するのだ。ウルトラマンタロウとバルキー星人の戦いは、そんなシリーズの分岐点を象徴するものでもあった。
ライター 江口水基氏

補足






最終更新:2008年09月08日 01:30