サブタイトル個別 ウルトラQ 第12話


鳥を見た
ラルゲユウス(カラー)
ラルゲユウス(モノクロ)

解説ブックレットより

●ウルトラQ第12話(製作No.7)1966年3月20日放映
●登場宇宙人・怪獣:古代怪鳥ラルゲユウス
●漁港に現れた千年前の帆船から一羽の白い小鳥が飛び立った。三郎少年が手にしたその小鳥は、空腹になると巨大化し、動物を襲った。
●998年の時を超えて、漂流船とともにやってきたラルゲユウス。昼間は愛らしい文鳥のような姿をしているが、日が沈むと巨大化し、人や動物を襲う古代怪鳥だ。フィギュアは、ラルゲユウスが収容された警察署でむくむくと巨大化し、建物を破壊して今まさに飛び立とうとするクライマックスシーンをジオラマ化。「鳥を見た」は、冒頭からたっぷり怪獣の姿を見せてくれることが多い『ウルトラQ』にあって珍しく最後まで正体を見せず(遠景で影だけ映したり、一瞬ラルゲユウス目線を挿入するといった演出が冴える!)、登場しても全身をはっきり映すカットはわずかという、どこか洋画のテイストを感じさせるエピソードで、全身が見渡せるこのジオラマで初めてその威容を堪能できるわけだ。ちなみに飛翔したラルゲユウスによる市街の破壊シーンは、撮影されたものの円谷英二氏からNGが出たため、東宝映画『空の大怪獣ラドン』からの流用で構成されている。
Text by Mizuki Eguchi

補足

●ダイジェスト
深夜、動物園を何者かが襲った。飼育員は「鳥を見た」と言い残して絶命。同じ頃、近くの海岸に漂流船が出現。航海日誌から、それは998年前の船だと判明する。その船で「鳥を見た」という由利子は、一の谷博士の図録にあったラルゲユウスという鳥によく似ていると指摘。既に絶滅した40メートルを超える怪鳥、しかし、その鳥の大群が10世紀のインドで目撃されたと話す一の谷博士。それはタイムスリップしてきた?漂流船が航海していた時代…今、何事が起きているのかを思い当たる一堂。その頃、由利子の目撃した鳥は、漂流船騒ぎに乗じて孤島へとやって来た三郎少年と共にいた。鳥をクローと名付け、心を通わせる三郎少年。しかし夜が更けると、鳥はふたたびいずこへかと飛び立ち、そして海岸の村が再び何者かに襲われた。
●古代怪鳥ラルゲユウス/身長7cm〜50メートル(翼長100メートル)・体重300g〜1.5万トン
第三氷河期以前に生息していたという鳥の祖先。一の谷博士の図録には、翼はコウモリのような形態で描かれている。

●巨大化し警察署を破壊するラルゲユウス。しかし、何という情報伝達の不備。巨大化すると分かっている鳥を、ただの鳥篭にいれておくとは…。天井を突き破ってくる鳥の足のカットはけっこう怖いです。平成版ガメラの1作目を見たときは、「鳥を見た」のいろいろなシーンがけっこうフラッシュバックしました。
●夜になると巨大化するラルゲユウス。ウルトラの世界の常識として「質量保存の法則はない」のは当然ですが、ラルゲユウスの場合、タイムスリップしてきただけではなく、自分自身の時間も幼鳥と成鳥との間を行き来しているのではないでしょうか。ラストでいずこへと飛び去るラルゲユウス、再び時間の壁を超えていったのでしょう。
●「鳥を見た」は三郎少年のドラマがラルゲユウス以上に印象深いです。なんか切ないですよね。昭和40年代、田舎の方にはまだまだ戦後の貧しさや混乱の匂いが残っていました。ここではないどこかへと自分の境遇に抗う三郎少年。飛び去るラルゲユウスに「俺も連れていってくれ!」と叫んだすぐ後に「さようなら」と言うラストシーンは、「だけど現実もよく分かっているんだ…」と言っているようです。




最終更新:2009年05月09日 17:02