サブタイトル個別 ウルトラQ 第24話


ゴーガの像
ゴーガ(カラー)
ゴーガ(モノクロ)

解説ブックレットより

●ウルトラQ第24話(製作No.22)1966年6月12日放映
●登場宇宙人・怪獣:貝獣ゴーガ
●いろんなシリーズで、動物的に動かなくてもなんかモンスターにならないかっていう発想は常にあるんですよね。だから「ウルトラマン」シリーズだとブルトンがそうですしね。これもサザエなんか見る時、これモンスターになるよなって思ったり。かといって貝というのは動き回らないだけに、何かをやらせなきゃいけないっていうので、ドリルみたいにガーッとまわったりとかね。あるいはゴーガもそうだけど転がってることもありますよね。中はナメゴンのイメージですね。ナメゴンはもっと白いですが。最終的には火に弱かったのもサザエの壺焼きのイメージ。
ビル街は映画と違って民間放送の番組だから具体的に何々商店とかはっきり出来ないんですよね。映画だと屋上にネオンサインが付いているんですけど、全部はずしたおぼえありますもんね。「1/8計画」のときなんかも。
作品的に言うと、「ウルトラマン」シリーズでウルトラマンの中をやっていた古谷敏が子分の役で出てきてるんですよね。ゴーガの光線でやられる役です。作品としてはスパイアクションですもんね。
ウルトラセブン監督/満田かずほ氏

補足

●ダイジェスト
アーブ博聞館から盗まれたゴーガの像が日本に密輸された。像を持っていた少女・たみちゃんは、密輸を手引きした女・アリンと共に岩倉会館へと連れ去られれてしまう。そこは世界各地の博物館から古美術品を盗み出していた窃盗団のアジトだった。ゴーガを放射線鑑定にかけ、本物と確信するボス・岩倉。しかしアリンは、X線写真の中に、時間と共に大きくなる影に気がついた。ゴーガ6000年の呪い…放射線の影響で、何か想像もできないようなことが起きているのでは…アリンの予感は的中し、やがて像を割って、中から貝獣ゴーガが現れた。
●貝獣ゴーガ/身長20メートル・体重2万トン(ともに最大成長時)
ゴーガの像に封じ込められていた貝獣。かつてアランカ帝国を一夜にして滅ぼしたとされる。目からは怪光線を発射。貝殻の末端はドリルで、障害物の破壊、地面の掘削などが可能。ゴーガは火とともに没す…言い伝え通り火には弱く、最後は火の海となった東京で絶命した。


●ビームにドリル、男の2大ロマンを装備したゴーガ。名鑑の彩色版は、ナルホドこれは思い切った配色で来たな、という感じ。モノクロ画面のイメージを突き抜けて、より幻想性が高まったのではないかと思います。
●火に弱いくせに、目から出す怪光線で人間は溶解・発火、周囲も爆破しまくりと、自殺行為を繰り返すゴーガ。火につつまれてあえなく最後を迎えますが、こういう時こそドリルで地下にもぐっちゃえよ、と思います。ゴーガが地下を移動する際は、地下音波探知機によって追尾されています…地底怪獣が出るたび思いますが、こんな大きな物体が高速で掘削・移動していたら、機械なんか使うまでもなく、地表からバレバレですよね。
●6000年前、ゴーガによって滅ぼされたというアランカ帝国。ゴーガ6000年の呪いという言葉から推測されているようですが、よく考えるとオカシナ話。だって、それでは伝説の碑文を像に入れた人が、この像がピタリ6000年後の人によって発見・解読されるとわかっていたということになりますよね。普通に考えれば、6000年の期間有効な呪いという意味に取れます。したがってアランカ帝国の滅亡が何年前のことだったかは、この碑文からは判断できないという結論になるのでは。
●それにしても、なぜ人の形をした像が、ゴーガの像なんでしょう? ゴーガはアランカ帝国が生み出した人口生命・生体兵器の類なのかもしれません。大型の生物では持ち得ない回転可動箇所も持っていますし。ゴーガとは、もともとはその開発者の名前だったのでは? 像は、ゴーガ博士の像、だとすれば合点がゆきます。しかし、ゴーガは兵器として手に負えなく、結果としてアランカ帝国を滅ぼし、そのすべては処分されたのでしょう。しかし、そこは開発者。愛着を捨てきれず、密かに未成熟のゴーガを一体、半永久的(6000年?)な休眠状態にして自らの像に隠したものと思われます。いつか、どこかのバカが、これを目覚めさせることを期待して、ゴーガ博士は碑文を書き入れていたのかもしれません。
●密輸屋のアリン、その正体は香港大学教授にして、国際文化財保護委員会秘密調査員ヤンミン。日本語も堪能。満田監督がスパイ・アクションと言うように、当時の007シリーズを思わせるようなシーンを次々に披露。レミントン・デリンジャー、腕時計型通信機、靴の踵や指輪に仕込んだ秘密の道具など。彼女がゴーガ攻撃の際に「火薬に、かせい○○○を混ぜては」と進言する場面がありますが、ずっとこの部分が何て言っているのか聞き取れませんでした。モノの本によれば苛性カリだそうです。苛性カリとは水酸化カリウムのこと。腐食性のある強アルカリ性の毒・劇物ですが、火薬に混ぜるとどんな効果があるのかよくわかりません。ちなみに塩素酸カリウムは、身近なところではマッチや花火の原料になる爆薬の酸化剤。TNTとの混合爆薬にもなります。彼女が倉庫脱出の際に使用したのは、これではないかと思います。
●たみちゃん、この娘の両親は何者? 取りあえず娘がおかしな像を持っていても手荷物検査をパスできるほど大物で、取材陣が待ち構えるほど有名人のようですが、アリンが簡単に近付けたり、娘がふらっといなくなれたりと、警護体制を見る限り政府要人ではなさそう。そもそも日本人? たみちゃんと聞こえていますが、本当はタミィ・チャン? などとも考えましたが、この娘も日本語を話していたので、それはないか。




最終更新:2009年05月31日 13:41