「キョン…君は高校に行って変わってしまったよ。
もうかつての君ではないんだね…まるで別の誰かと話をしているようだ」
佐々木は俯きながら小さく呟いた。
いつも自信に満ち溢れ、決して弱い姿を見せない佐々木が俺に向けた背中は
いつもよりずっと小さく見える。
わずかながら震えている肩が切ない。
頬に冷たい感覚が走る。
雨だ…空にはどんよりと雲が流れている。
「僕も人並みにノスタルジーというものを感じるんだね。
いや元々、僕は人以上に過去に縛られるタイプなのかもしれない。
その証拠に高校が別々になっても君に会いにこうやって顔を出している」
中学時代と比べると確かに俺も佐々木も成長しているとは思う。
それは大人になる過程においての必然だとも思う。
しかし、俺は佐々木にこんな顔をさせてしまう程、変わってしまっただろうか?
佐々木の想い出の中の俺とは別人だと言う事か?
「そうだね…大人になると言う事はこういう事なのかもしれないね。
人は時を経て成長し、変化していくものだ。それは全て他人が望むような形になるとは限らない。
まぁ、あるいは涼宮さんならば、とも思うけどね。
しかし今の君が現実であり、今の君を受け入れる事がきっと僕の未来へと繋がるのかもしれない」
もう昔のようには…昔のような二人ではいられないって事か?
「そうかもしれないね。…僕も柄にもなく少し感傷的になり過ぎたようだ」
佐々木はフッと柔らかく溜息を漏らした。
「これからも僕とキョンは親友のままでいられるかな?これからも変わらず君と一緒にいられるかな?」
あぁ、きっと大丈夫さ。
きっとこれからも俺達二人は親友としてやっていけるさ、きっとな、佐々木。
「くっくっくっ、そうだね。きっと大丈夫だよね」
振り向いた佐々木は明るい笑顔を浮かべている。
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. /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、.::.::.:.:.:.:.::▼.:l キョン (英名 Reeves's muntjac、学名
Muntiacus reevesi)
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./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ト-´`´ 哺乳綱 偶蹄目 シカ科 ホエジカ属に分類されるシカ。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:_._:._:._.:.:| 体長70-100cm。 肩高40-50cm。 体重10-15kg。
森林、低木林に生息する。
:.:.:.:.:.::.::.::/.:.:.::.::.:.::.`ヽ 群れは形成せず単独で生活する。 草食性で木の葉や果実等を食べる。
:.:.:.:.:.::.:/.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ 繁殖形態は胎生で、1回に1匹の幼体を出産する。
肉質は柔らかく、脂肪も少ない。
:.:.:.:.:.:.ト:.:.:∧:.:|、:.:.∧:.:.:.:.l 中華料理では、薄切りまたは細切りにして、炒め物などにされる。
別名・四目鹿(ヨツメジカ)
:::.:.:.:.:.l_V_ヽ! V___.レ|:.:l
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.:.:.:.::.:!、 -‐ /∨ < 俺はいつまでも変わらねぇからよ。
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俺の方に振り向いた佐々木は周りに響き渡るほどの大声で大爆笑していた。
こんなに笑う佐々木はいままで見た事がない。お前も変わったよ、佐々木。