46-511「北風と太陽 」

北風と太陽

ある晴れた日のこと。荒野を歩いて行く一人の旅人を指さして
太陽が北風にこう言いました。
「アタシとアンタのどっちがあの男のフードつきの外套を脱がすことができるかで勝負よ!」
北風は答えました。
「くっくっく。おもしろそうね。じゃあ、貴女からお先にどうぞ。お手並み拝見といくわ。」
「ふ。いい度胸じゃない。アタシは負けることが大っ嫌いだから全力で行くわよ!」
太陽は無尽蔵の核融合パワーを最大放射して、旅人をジリジリと焦がさんばかりに照りつけました。
「やれやれ。なんだこの日差しは。これが地球温暖化という奴か? 噂のオゾンホールとやらが広がったのかもしれん。
環境破壊もここに極まれりだな。皮膚癌になるのを防ぐためにも、外套を脱ぐわけにはいかんな。
暑くて大変だが背に腹は代えられない。我慢だ。我慢。」
そう言って旅人はますます外套を堅く被りました。
「一体どうなってんのよ!どこかの組織の陰謀!?」
太陽は怒ってしまいました。
「くっくっく。今度は私の番ね。」
北風は薄物をまとった少女の姿で旅人の前に現われました。
「(な、なんだこの女の子は?)」
旅人は突然現われた少女に驚いて立ち止まりました。
そのときです。
一迅の風が吹いたかと思うと、少女の薄物を吹きとばしました。
「きゃああああああああ!」
少女は悲鳴をあげました。それもそのはずです。
着たものを風に剥ぎ取られ少女は裸になってしまっていたのです。
「ぶっ!(は、鼻血が)」
「いやあ。み、見ないでえ」少女はその場にしゃがみこんで泣いています。
「ま、待ってろ、今助ける!」
旅人は急いで少女に駈け寄ると、外套を脱いで少女に着せてやりました。
「ありがとう。」少女は頬を赤く染めて小声でいいました。
その笑顔に旅人はすっかり魅了されてしまいました。

「くっくっく。じゃあ勝負は私の勝ちね。この旅人は賞品としてもらっていくよ。」
「か、勝手にしなさいよ。ふんっ! そんな地味な男、どうでもいいんだからっ!(くすん)」

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最終更新:2010年05月13日 14:49
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