66-377 「だから人のコーヒーを飲むな佐々木」

「それでだキョン」
「だから人のコーヒーを飲むな佐々木」
 例によって佐々木が見つけた喫茶店で駄弁る俺達である。

「くく、いいじゃないか。代わりに僕のアイスティーを一口進呈するよ」
「まあ頂いてやろう。冷たいのも悪くないな」
「ふふ、どうだい僕のアイスティーの味は」
 妙な表現をするんじゃない。人聞きが悪い。
「こらこら、ストローで泡立てないでくれたまえ。小学生かキミは」
 すまん。どうも口で勝てないからか妙に気が抜けちまうな。って笑うな佐々木。

「というかどうしたね。またエキサイティングしているじゃないか」
「最近古泉とよくキャッチボールするんだが、なんか妙にあいつのコントロールが悪くてな」
「ほう。ぶつけられでもしているのかい?」
 身を乗り出すほど気にすんなよ。
 言ってみりゃ男同士の馴れ合いの一種だ。いい気晴らしだよ。
「ふむ。では」
 言っとくがお前とのキャッチボールは言葉のキャッチボールで十分だからな?
「うん? なんだねその曰く反応しがたい台詞は」
 知らんわ。

「最近は朝比奈さんのお茶も『健康に良いお茶』シリーズでどうも弱るし」
「ああ、不味い! もう一杯、とかそんな感じかね」
「なんだ。お前もテレビ見ることあるんだな」
「心外だな。これでも笑点は毎週欠かさずに見ているよ」
 なんとなく線香の香りがする気がした。
「いま、なんとなく不審な反応があった気がするのだが」
「ははは気にするな親友」

「で、何だね。涼宮さんの行動が激化したり長門さんの目線が怖かったりするのかね」
「まあ定番だな」
「ほう。定番なのか」
「まあな。お前の台詞がなんとなく性的なのと同じくらい定番だ」
「ふん。それでもキミは女扱いなんてしてくれないんだろう」
「それな、正直、中学時代に聞きすぎて耐性が付いた感もあるな」
「なら別のアプローチが必要かな」
「ん?」
「ん?」

「ああ。と言っても昔ほどじゃないぞ。古泉も言ってたがハルヒは間違いなく安定してきてる」
 だから神の力を移す云々って騒動は色々と間違ってたのさ。
「ふん。正妻の余裕とでも言うつもりかな」
「ん?」
「ん?」

「というかこの『ん?』っていい加減なんとかしようぜ親友」
「いいのかい? これを外すと僕の本音が迸るよ?」
「…………参考までにどうなるんだ?」

「そうだね。僕の思考は止まり、あとは動物的な生だけが残るだろう。キミに対してね」
「俺は何も聞かなかった」
 俺が言うと、佐々木はそっぽを向いてアイスティーに口をつけた。

「そりゃ残念」
「おいおいストローで泡立てんなよ佐々木。小学生かお前は」
「ふん。親友に隙くらいみせてなにが悪い」
「むしろ歓迎してやるよ」

「ん?」
「ん?」


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最終更新:2012年04月08日 00:48
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