67-9xx「……笑わないでくれよ?」

「……なあ、やっぱり止めないかキョン。ホントに痛いんだよ。色んな意味でだ」
「そう聞いちゃなおさらだ。観念しろ佐々木」
 着替えが終わったよ、と俺が部屋に入ることを許しつつも、あいつはカーテンから顔だけを出していた。
 佐々木よ、言っちゃなんだが白カーテンだから光でちょっと透けて見えてるぞ。

「え」
「まあ身体のラインくらいだが」
「うう……」
「まあ観念しろ。それにな、そもそも最初に話を飲んだ時点でお前の選択は既に終わっているんだ」
「……キミに言葉責めの趣味があったなんて知らなかったよ」
 俺はいつもお前に言葉責めされている気がするがな。

「……笑わないでくれよ?」
「保障はしない」
「うう」
 それでも姿を見せたのは、常に筋を通すあいつらしい頑固さの賜物か、或いはその頑固さを利用した俺の勝利か。
 ピチピチに張った服を着た佐々木がカーテンから現れる。

 中学時代の夏服を着込んだ佐々木が、恥ずかしそうにこちらを睨みつけていた。

「おお、ちゃんとまだ着れてるじゃないか」
「うう……どこがだい」
 つんつるてんとはまさにこれだ。中学時代の制服を来た佐々木は、珍しくこちらをにらみつける。
 だが顔が真っ赤じゃ迫力に欠けるぜ親友。

「しかし、意外に中学三年と高校三年じゃ体格が変わってるもんなんだな」
「そこは個人差があるだろうがね」
 学生服なだけに、それなりに長いはずのスカートがこうしてみるとミニスカートみたいだ。
 しかしお前ってあんまり変わってないイメージがあったんだが。

「くっくっく。言ったろ、僕だってそれなりに身体的数値は変動しているのだよ」

 で、ふふん、とばかりに胸を張ったのがいけなかったのは言うまでも無い。
 いつか雨に濡れたのと同じ制服の前が、今度は勢い良くボタンを弾け散らしてその下にある禁則事項が禁則事項したのは事故だ。事故なんだ!
)終わり

「で、キョン。僕は責任を追及しても構わないのかな?」
「俺に出来る事なら何でも、とは言わんぞ」
「くく、言わないのか」
 一体何を要求するつもりなんだ。

「そりゃ僕は意図せずキミに恥を晒してしまったわけだ。なら相応にキミにも、あー、そうだな、そうだ。……中学時代の制服でも着てもらおうかな?」
「男にそんなんやらせて楽しいのか?」
「僕は楽しい」
「そうかい」

「当たり前だろ? キミとの思い出が詰まった服装なのだからね」
)終わり

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最終更新:2012年09月08日 03:36
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