68-xxx ほんの、ちっぽけな喜びに

 最近、二つばかりやってみたことがあるんだ。
 結果から言えば一つは正解。二つ目はまだ結果が出ていないから保留としておきたい。

「おい佐々木」
「くく、なんだいキョン」
 以前よりも。

「いや。多分気のせいだ。すまんな」
「そうかい?」
 正確に言えば、九月、プールの最終日だったかな? その頃に発生したとあるアクシデント以降だね。
 僕は少しだけあからさまになった。

 少しだけ、あからさまに彼を見つめるようになった。

 以前のようにそしらぬ顔で見るのではなく、かといって別に熱視線と言うほどではない。
 ただ、キミを見ているという事を僕は隠さなくなった。
 ただそれだけの話だ。

 どうもね。僕はキミが視界にいるという事が思ったよりも心嬉しいらしい。
 いつものように「笑顔を作っている」つもりが、気がついたら、ただ笑っている自分に気付くようになったんだ。

 だから、それをあからさまにしてみた。
 それだけの話さ。

 それからしばらく。
 キミの耳は少しだけ紅潮するようになった。

 だから、……だからというには理論的ではないかもしれないけれど。
 だから、僕は進路に「北高」と書いた。
 これが二つ目のトライだ。

 もう少しでいい。
 キミが僕の視界に居てくれると嬉しい。
 その事がキミに伝わるのが、キミの体温に影響を与えているのが、キミの思考の中に私がいるのが、ほんの少しだけ嬉しいように思えたから。

『佐々木、お前、その変な喋りを止めたらさぞモテるだろうに』
 なんて言いながら、その変な喋りに付き合ってくれるキミが好ましいと思えたから。
 だから進路に北高と書いた。

 悪いね。それだけのお話なんだ。

)涼宮ハルヒの憂鬱に続かない。

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最終更新:2012年12月31日 01:13
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