69-54『LOVE IN VAIN』 SIDE YUKI.N

―――――エマージェンシーコード―――――

――――同期――――

「…………………………………………」

―――――――――
――――――――――――――

「…………………………………………」

――――――――――

「…………………………………………」

結果――――――――――

長門は、ゆっくりと目を開けた。
「……………事情は把握した。」
涙が一粒零れ…………本に染みを作る。
「……………再修正、0.00001%可能。」

一般に、万に一つの可能性は、不可能という。しかし………………

「……………………私は、次こそ彼を守る……………………」

長門は、可能性に賭ける他は無かった。

――――――――――――――――――

「説明してもらおうか?長門。」
俺は長門…………いや、朝倉か。朝倉に簀巻きにされ、長門の家のリビングに倒れていた。
「………………朝倉涼子。」
長門が、非難の目で朝倉を見る。
「仕方ないでしょ。お野菜切ってた時に、キョンくんが目を覚ましたんだから。」
…………そう。俺は包丁を片手にした朝倉を見て、取り乱した。まぁ当たり前だ。いつ刺されるかわかったもんじゃないからな。
二度ある事は、三度ある!俺がビビりでないとわかって頂けたら幸いだ!


「……………説明する。」
さて、この暴挙の裏に何が隠れているか。教えてもらうぜ、長門。
「…………一週間後。復活した天蓋領域により、あなたは、記憶を封じられる。」
「………………なっ?」
天蓋領域……………周防か?!
「なぜ、あいつが?」
「再び、あなたと佐々木○○の繋がりが生まれ、別の未来が発生した為だと思われる。」
…………つまり、あの騒動の再燃か?
「…………違う。これは………佐々木○○の望み。天蓋領域のインターフェースは、彼女の願いを叶えたに過ぎない。」
佐々木が…………?何故…………………
「…………朝比奈みくる。彼女が佐々木○○に接触し、あなたを望まない未来へと導いた。」
「あ、朝比奈さんだと!?」
意外すぎる名前だ。
「待て!理解出来ない!何故朝比奈さんだ?そして、俺は?その時、俺はどうしたんだ?」
長門は、沈黙した。…………頼む。教えてくれ。長門……………
「……………エラー。答えられない。」
な、長門…………頼むぜ、おい……………
「…………佐々木○○と抱き合ったあなたを見て、私は膨大なエラーが発生した。
私という個体は、この感情を何と言うかはわからない。」
長門が、俺を見る。
「ただ…………………。
あなたは私が守る。今度こそ。」
……………それは、恐らく初めて見る、長門の表情だった。
「…………でも、どうやって?はっきり言うと、天蓋領域のインターフェースは、性能的に私達より上よ。」
朝倉が口を挟む。…………確かに最もだが………
「未来が付け入る機会を与えなければ、それでいい。天蓋領域が介入しては私達は敵わないが、介入しなければ、それが未来を変える機会となる。」
長門は、事も無げに言った。
「仮に、未来が既に接触していようが、私はあなたが信じる、佐々木○○を信じる。」
……………佐々木。頼むぜ。


――――――――――――――――――

キョンが帰り、朝倉が溜め息を吐く。
「……………長門さん。あなた……………」
「………………………私は、彼を守る。それだけ。」
朝倉は説得を諦めたように下を向いた。

「キョンくんが全部知った後に、キョンくんから嫌われなければいいわね。」
「……………………」

長門は険しい顔で月を見上げた。

END

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月03日 03:13
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。