22-175「キョンのバナナ」

「もしもし、佐々木さん。あたしすごく怒っているのだけど。何故だかわかる?」
「おい、ハルヒ、廊下で大きな声で電話するな。皆聞いてるぞ」
「うるさいわね。元はと言えばあんたが悪いのでしょう。この女たらし。」
「せめて部室で電話できないのか」
「部室は電波が悪いのはあんたも知ってるでしょうが。」
相変わらず声がでかい。騒音妨害で訴えられるぞ。

(おい、涼宮が電話してる佐々木って誰だ)
(キョン君の元彼女)

「もしもし、聞いてる?佐々木さん?」
『聞いてますよ』
「佐々木さん、キョンのバナナ、昨日もまた食べたでしょう」
『キョンが良いと言ったからね。今度もすごく美味しかったですよ。』
「キョンが良いと言ったからって、人の物を勝手に食べる?あなたどういう根性しているの?おかげであたしは昨日もキョンのバナナ食べれなかったのよ。」

いつの間にかギャラリー増えているな。恥ずかしくないのかお前は。
(バナナって、まさか)
(普通のバナナじゃないのは確かだな)
(キョン君、フケツ)

『それは元々私の物じゃないのかな?』
「元々あんたの物?何言ってるの。キョンの物は全て私の物なの。あなたは谷口あたりの安物バナナで我慢しなさい。」
『何で私が谷口君にバナナもらわなければならないの。もう切っても良いですか?』
「もしもし、佐々木さん。
電話切ったわね佐々木さん。佐々木さんの家まで文句言ってくるわ。」
「お前、もう少し冷静になれよ」
「あんた、あたしに断り無く、勝手に佐々木さんにバナナ食べさせたわね。今度で三度目じゃないの。罰ゲーム覚悟しておきなさいね。」

・・・・・・・・・・・・・・・

たかが果物ごときで、よくそこまで血迷えるな。
確かにあの高級バナナは味が良いが。そこまで怒ることか?
俺の親父が取引先からもらった高級バナナをSOS団に持ってきて人気があったのだが、昨日佐々木がやってきて部室に残ったバナナを食べたということだ。
そういうことが、今度で三度目だ。家に残した佐々木の分は妹が食べたしなー。

「涼宮さん、いないらしいな」
「佐々木、どうやって入った」
「囲碁部の練習試合と言ったら入れてくれた。」
「そうか」
「今日は図書館で軽く勉強した後、囲碁でもしよう。」

その後、俺は全校の生徒に白い目で見られるようになった。何故だ。谷口教えてくれ。
「お前、朝倉さんが転校すること知ってたよな。俺達に隠れて付き合ってたんだろ。この二股野郎が。」
「付き合っていたわけが無いだろうが、俺と朝倉だぞ、常識を考えろ。」
「常識的に考えて、僕達から見て、付き合っていてもおかしくない仲だったと思うよ。
僕も狙っていたのに。朝倉さんがカナダから帰ってきたらキョンをナイフで刺すのじゃないかな。」
リアルに刺された俺の古傷を抉るのか、お前らは。
「朝倉が転校するその日に長門を押し倒しか。凄いな、ある意味尊敬するよ。」
「付き合っているなら、少なくとも友達には打ち明けるべきだよね。二股は論外だけど。佐々木さんも朝倉さんもかわいそうだね。」
「お前、ずっと今みたいな事やってたんだろ。長門もかわいそうに。涼宮はどうでも良いが。」
それは誤解だ、と言っても信じてくれなかった。
(終わり)

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最終更新:2007年09月30日 18:40
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