「ねぇ、キョン。他ならぬ君にお願いしたいことがあるんだよ」
「ん、何だ?」
「父親の仕事関係で僕をモデルにウェディングドレスの写真を撮ることになったんだよ。
最近の結婚式離れの影響が僕に降りかかってきたわけだ。
それで君に相手役を務めて欲しい。こんな恥ずかしいことを頼めるのはキョン、君だけだ」
「うむ、佐々木に頼られたんじゃ請けるしかないな。だが、別嬪のお前と違って俺は写真
映りに自信はないぞ」
「僕もだよ、キョン。まぁ向こうにはプロが居るからお任せで大丈夫と思うよ」
「そんなものか?」
「きっとそうだよ」
・・・やったぁぁぁぁ!キョンに別嬪と言われたよ!おまけに婚礼写真!これで毎晩・・・
いや、橘さんもいい作戦を思いついてくれたもんだ。
・・・意識付け作戦、大成功なのです。
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「ねぇ、この結婚式場パンフレットに写っている男ってさぁ
なんかアンタに似ているわね」
「そりゃそうだ。俺自身だからな」
「な、なんでアンタがこんな写真に載ってんのよ! 」
「俺も好きで写ったんじゃないぞ。人に頼まれてしぶしぶ請けたんだ。
若者向けに若者を使って宣伝しようってコンセプトらしい。
担当者にも確認したが、イケメンを使うと男が引くから敢えて、凡人の代表たる俺に
白羽の矢が立ったらしい」
「ふ~ん、そうなんだ。もしかして、隣の花嫁もアンタと同じ凡人?」
「そう、凡人だ」
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僕、隣の女性が誰か判るんだけど、ここは黙っておくのが正解だね。
最終更新:2007年11月02日 02:46