24-38「夢から出たマコト」

「masterbation? 始めて見るな、この単語は。佐々木、ちょっと意味を教えてくれ」


佐々木はくっくっと誰にも真似できない笑いを、して俺に話し掛ける。
「そうだね、キョン。僕は毎日キミを思いながら行なっている行為だよ。昨日のキミは強引に襲い掛かって…僕を肉便器にしたのだよキョン」
すまん、それでは意味が解らない。
「もう少し具体的に言ってくれないか?俺には訳解らないのだが…それに俺は強引に何かをするのは嫌いなのだが」
佐々木はニヤリとしながらも顔を赤くして話を再開したのだ。
「昨日は委員会が終わり、塾へ行こうとするとキョン、キミが現われてね。僕の腕をつかみどこかへ連れていこうとするんだ。でも、その時は一緒に塾に行くのだろうと、たかをくくっていたのさ…
すると体育館に連れてこられるのが解って僕は何かがおかしいと思ったよ。しかしキミは笑顔で僕の手を取り倉庫前に着くと強引に僕を倉庫内に入れたのさ
その後キミは、僕の唇を奪いながら制服を脱がせる。流石にびっくりして抵抗しようとしたのだけどね。キョン…キミにならあげても良いと思ったよ」

「キョン、君は夢を見ていたら気になるところで目を覚ました経験は有るかい?」
「んー、そうだな、たまに有る、つっても直ぐに忘れちまうからあんまり気にならないけどな」
「実はそういった夢の続きを見る事は可能なのだよ、レム睡眠のとき意識を働かせる事が出来れば自分が好きな夢を見る事ができるからね」
「いや、寝てる時って意識ないんじゃないか?」
「それがそうでも無いのだよ、実際に何人もの睡眠学者が成功しているし僕も最近出来るようになったしね」
「……本当か?」
「本当だとも、スティーブン・ラバージによれば訓練次第で誰でも出来る行為らしいからね、キョンでも出来るんじゃないかな?」
「いや、訓練してまで夢を見たいとは思わないんだが」
「そうかい? 自分の好きな夢を見られるのはなかなかに面白いことだよ、僕なんかは最近よく君に無理矢理犯される夢を見るから朝起きると下着がグチャグチャでね、シーツも何枚か駄目にしてしまったよ」
「……………………」



「……ということが有ったのだがな国木田よ、俺は佐々木に無理矢理襲いかかりそうな程欲求不満の犯罪者っぽいか?」
「……(佐々木さんとキョン、一体どっちに突っ込むべきかなぁ?)」



その後三十分話を聞かされてどう反応したら良いか悩んでしまった。
俺って佐々木に変質者に思われていたとは、思わなかった

「…と言う話があったんだよ。涼宮さん」
え?佐々木さんがキョンに襲われたの!あのエロキョン!
「信じられないわ。あいつ今度会ったら死刑決定ね!その話は本当なんでしょうね?」
嘘だったらあんた解っているわよね?」
「ほ、本当だよ!僕だって命は惜しいしね…」
でも何故だろう?佐々木さんのオカズの話なのに少しズレているような気がするけど…まぁ僕には関係ないし
キョンがはっきりしないのが悪い。佐々木さんと涼宮さんも大変だね。
すると空気がまるで読めてない男キョンが来たみたいだ。
「おーい!話は終わったのか?早く帰りたいのだが?」
涼宮さんは凄い笑顔になっていた。でも…目が笑っていない…
「あんたは残りなさい。重要な話があるから…ね!」
次の日キョンは学校を休んだ


それから数週間後、俺たちSOS団はいつもの不思議探索の為、午前九時に駅前集合とあいなった。
いつもの様に駅に自転車を止めて待ち合わせの場所に行く。
また俺がビリなのだろうと考えながら歩いていると、そこに佐々木が居た。
「おはよう!あなた。ほらパパでちゅよ」
おいおい佐々木さん?いつから俺は父親になったのでしょうか?
「朝から面白くないジョークとは…まったくやれやれだな」
だが、俺は佐々木が抱いている物体をみて凌駕したのだ!
「まったく、キミは自分の子供を忘れていたのではあるまいね?
僕に中学時代何をしたのか考えたことあるのかな?くっくっ」         えーと?
「俺何かしたかな?まったく身に覚えが無いのだが…」 
すると後ろからハルヒや長門達が般若の形相でこちらを見ている。
「おはよう、涼宮さん。それとみなさん。今日は悪いけど親子水入らずで出掛けるから、諦めてくれるかな?」
まてまてまて、俺はまだ認めてないぞ。
「俺はまだ童貞だし、佐々木の勘違いじゃないか!なぁ長門?」
「…この子のDNAはあなたとあの女の遺伝子。99%確定…それに…わたしはあなたに絶望した。このケダモノ」

どうやら、俺は夢を見ているらしい。
「おい、ハルヒよ。俺を殴ってくれ。まだ寝呆けているようだ」
ハルヒは夜叉の如く俺に遠慮なく蹴を入れたのだった。

実は、俺は心当たりがあった。

ハルヒの蹴りを受ける時、橘に連れられて佐々木の閉鎖空間に入った時のことが走馬灯のように蘇った。
俺はあの時、オクスフォード・ホワイトの空の下で、言い様の無い既視感と、心に湧き上がる一つの仮説を無意識の内に否定していた。
いや、必死で否定したかった、というのが正しい表現だろう。
それは、ハルヒの閉鎖空間に入った時も全く同じだった。

ハルヒの蹴りが・・・・・痛い・・・・・やっぱり夢じゃない。
そして、長門が何時の間にか拳につけているのは、カイザー・ナッ・・
止めて長門さん、それは死にます。本当に
「ちょっと、そんなので殴ったら僕のキョンが死んじゃうじゃないの」
長門さんがパンチの素振りしているよ。もしかして音速超えていませんか?あんな速いパンチ避けれないよ。
「佐々木さん。自分の子供を認知しようとしない、そんな酷い無責任女たらし強姦魔は死んだほうが良いのよ。有希、やっていまいなさい」
佐々木の言葉を信じたとしても強姦魔とは酷い。やだよー、死にたくないよー
「了解」
あわてて佐々木は俺に言う。
「キョンの言葉は冗談だよね?僕のこの前の悪戯の仕返しだろう。そうだよね?」
「そう、そうだよ。ちょっと冗談が過ぎたかなー、あはは。俺が自分の子供を認知しないような軽薄な男に見えるか?」
「悪質すぎるよ、キョン。これで、この前のが無くなって、君は僕に大きな借りができたということだね。くつくつ」

団長と宇宙人は相変わらず夜叉のような瞳で俺を睨む。そして、エンジェル朝比奈さんは古泉の胸で泣いている。
「きっちり見えるわ。佐々木さんと子供作っているのに、あたしやみくるちゃんや有希に色目を使って」
「お前は、俺が友人としてお前らの為に頑張ってやったことを、そんないやらしい解釈していたのか?」
「そうだったの?」
その時、ハルヒの目が怒りから悲しみに変わったような気がした。

「お前は俺のことが嫌いだったかもしれないが、俺はお前や長門や古泉、朝比奈さんのことを一生無くしたくない大切な友達と思っている。
それが、そんなに嫌われていたなんてな」
「嫌いだなんて。あたしはキョンのことは好きよ。キョンがあたしを思うよりずっと。
もしかしたらキョンの彼女になれるかもしれないと一人で浮かれて、みくるちゃんや有希が好きなんじゃないかと思って落ち込んで。
夢でキスされて一人で舞い上がって、佐々木さんと会って絶望して。でも、あたし達は一生友達だね。それだけで満足だわ」
「キョン君が、キョン君が佐々木さんと。えーん」
朝比奈さんは古泉の胸でまだ泣いている。
「それから、キョン。友情も大事だけど佐々木さんはあなたの奥さんなのだから寂しい思いをさせたら駄目よ。
さー皆、そろそろ不思議探索に行くわよ」
朝比奈さんは既に泣いていたが、ハルヒと長門の後ろ姿も泣いているように見えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こうして俺は佐々木と二人きり、いや子供を入れて三人きりになった。俺その子を認知しちゃったよ。
「すまん、佐々木。気に障ったら殴っても良いから教えてくれ。俺は本当に記憶が無いんだ、せめていつヤッタかを教えてくれ」
「何回もやったからね。キョンは場所の方は覚えているんじゃないのかね」
「早く教えろよ」
「オクスフォード・ホワイトの空の下。夢と思われるような現実」
やっぱりアレだったか。そういや国木田に言われたことあるな。佐々木とヤル夢を見るんなら正式に付き合ってやらしてもらう方が良いと。
ハルヒと会うようになってから佐々木とヤル夢を見なくなったのはもしかしてハルヒの力かな?
「君も僕も夢だと思っていたけど、夢じゃなかったらしいな」
「教えてくれてありがとう。すまん、佐々木。俺なんかの子供を産ませてしまって。許してくれ」
「僕はキョンの子供しか産みたくないよ。これからもずっと」


その後、俺たちはもちろん籍を入れた
子供かわいいな。妹の小さかった頃を思い出す。毎日妹のおしめを代えた経験と両親と妹の協力で、俺達は子供を普通に育てられている。
「でも、何でずっと黙っていたんだよ、佐々木。妊娠した時に相談してくれても良いのじゃないか」
「マジレスすると、涼宮さんの妄想と僕の願いが過去に作用し、僕と君が閉鎖空間で子作りした事実から、僕達の子供が生成されたのだよ」
そうですか、納得。って俺達の子供はまともに育つのか?
「九曜さんによれば大丈夫らしいよ」
本当か?本当なら良いのだが
「そう言えば、君は涼宮さんの閉鎖空間に二人きりでいたことあるんだよね」
「あれはキスしかしてないぞ。何ならハルヒに聞けよ。その後もハルヒとヤル夢なんて全く見たことないぞ」
「そういうことなら、許してあげるよ。くつくつ」

俺達の子供に幸あれ。

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最終更新:2007年11月09日 23:58
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