第91話~第100話ボス



【エクスレイズファイア】(第91話)

優しく気品に溢れた親切な人々が集う、心優しい町の世界。
先の荒れ狂う世界でさらに風邪が重症化したベリュルをここで看病する事に決め、
ダンナーザ達は、この世界にも落ちたと思われるエクスデスの卵の探索を始める。
やがてベリュルの風邪も完治し、エクスデスの正体も突き止める事ができたが、
その直後、新手のエクスレイズが出現し、ベリュル一行を急襲する。
その名の通り炎の属性を持つエクスレイズであるが、あまりにも火力が強いためか、
氷属性は相殺されてしまい、こいつ自身より強力な炎属性の攻撃しか通用しない。
詳しい原理は不明だが、属モンスターが自分と同じ属性を吸収するのと同じ理屈で、
逆にこちらの属性攻撃に敵を取り込んでしまおう、という事なのだろう。
この戦闘では、イフリートが覚醒し、イフリートネオに進化するイベントが発生する。
だが勿論それだけで勝てる甘い相手ではないので、風水士の地形も上手く活用しよう。

エクスデスを食べるためならばどこにでも脈絡無く出現するエクスレイズ。
だが、同じような特性を持つエクスデス達と比べて無理矢理感が薄いのは、
やはり「なんと正体はエクスデスだった」展開が少ないためではないだろうか。
属性攻撃をより強い同属性でかき消すというアイデアは割と斬新で面白いのだが、
エピソード終盤で突然襲ってくるボスなので、正直あまり印象深い敵ではない。
だが、「地獄の業火で燃えて死ね」のリズム感と正統派な格好良さは評価が高い。

主な台詞:
「地獄の業火で燃えて死ね」

【エクサーシャ】(第91話)

エクスデスフォレスト、エクスデス・エクスプロードに続く、3体目のエクスデス新種。
しかしこのエクスデスは人間の少女とほとんど変わらない外見を備えており、
さらに病床のベリュルを献身的に看病する、心の優しいエクスデスであった。
心優しい人間達の町に落ちた卵は、それに感化された、優しいエクスデスになったのである。
前回のエクスデス・エクスプロードとはまるで逆の経緯を辿ったエクスデスといえよう。
そのため戦闘力は持たず、あのベリュルも「いいエクスデスもいるもんだ」と見逃している。
世界さえ良い方向に向かっていけば、エクスデスと人間も共存ができるかもしれない。
恐るべき破壊者エクスデスも、決して絶対悪ではないという事が示されたエピソードだった。

エクスデスではあるが、厳密にはボスではなく、第91話の時点では味方NPCに近い。
事実、これから300話近く後には、他のエクス団と一緒にベリュルの仲間に加わってくれる。
「優しいエクスデス」というフレーズは事情を知らない人には眩暈がする単語の組み合わせだが、
今回のエピソードはFFSには珍しいほどの穏やかないい話であり(結局世界は崩壊するのだが)、
修復不可能と思われたエクスデスとベリュルの仲を潜在的に取り持つ事になったのは間違いない。
名前にさりげなく入っている「Ex」が唯一エクスデスらしいポイント。

主な台詞:
「もう隠しておけないわわたしがエクスデス」
「なぜかというと、このせきアハ優しいから私は感化されてやさしいエクスデスになったの」

【灯台の門番ギャギャ】(第91話)

優しい世界の灯台の門番。灯台に落ちた卵の状態を確認するため、ベリュルに倒される。
「人々は優しく気品に満ち溢れ皆親切だった」筈なのに倒してしまって本当に良かったのか、
それだけが議論される程度のキャラクターである。描写はまったくと言っていいほど無い。

主な台詞:
なし

【エクスデス・エレメンタルマスター】(第92話)

炎素、氷素、風素、邪素等、様々な元素の浮かぶ元素界エレメンタルワールドで、
大元素山の頂上の卵から孵化していたエクスデス新種。ベリュル一行を空から強襲する。
属性を司る世界で生まれた新種だけあって、あらゆる属性の攻撃を使いこなし、
さらに自身も全属性を同時に併せ持っているため、属性を持つ攻撃は吸収してしまう。
また、触れると悪魔化してしまう邪素や、体が崩れ去ってしまう作用のある壊素等、
この世界特有の特殊な元素をも用いて攻撃してくるため、攻撃パターンは非常に多彩。
無属性の攻撃しか受け付けないので、魔法型のキャラはフレアやメガフレアで援護しよう。
防御面では、属性攻撃を無力化するドラゴンアーマーを予め用意しておくと良いだろう。

浮かぶ元素に触れるエレメンタルワールドは、なかなか独創的で不思議な世界だが、
ここで生まれた新種エクスデスだけあって、それに相応しい能力を備えている。
FFSには属性攻撃の弱点を克服したボスが度々登場するが、こいつはその極致といえよう。
無属性が唯一有効な攻撃だが、順当に成長すれば他のエクスデスのように物理防御力までも
とんでもない状態になっていた可能性を思えば、ここで始末しておいて正解だったといえる。

主な台詞:
なし


【黒魔人ブリャと白魔人ホワャ】(第93話)

あらゆる常識と秩序が崩壊し、方向感覚や物理法則すらも混乱したパラレルワールド。
歩く車、食べられる人間、武器屋に見える宿屋、ダメージを受けるポーション等、
常識では一切理解できない無秩序な世界に翻弄されるベリュル達を、2人の魔神が嘲笑う。
この黒魔神ブリャと白魔神ホワャこそ、パラレルワールドの世界法則を狂わせた黒幕であり、
その言動からも、完全に悪意を持って世界をかき乱している事が分かる。
ギャッハルテレステステの迷宮には、彼らの行いによって混乱し抜け出せなくなった
常識人達の死骸が大量に転がっており、既に正常な人間が存在しない世界である事が分かる。
彼らを倒して世界を正常に戻すため、目茶苦茶になった世界を奔走するベリュルだが……

パラレルワールド突入直後に姿を現したボスだったが、戦闘すらなくどこかへ消えてしまう。
それどころか、最後はパラレルワールド自体も正常に戻ることなく消滅してしまっているため、
ベリュル一行はあれほど挑発されていながら、彼らを発見できずに終わったという事になる。
やはり、建物や方向までもがカオス化した世界では世界の探索もままならず、
魔神達の前に到達する前に、世界の崩壊フラグが立ってしまったという事なのだろうか。
FFSを通しても珍しい、ベリュル一行に対して完全勝利を成し遂げたボスと言っても良いだろう。
とはいえ、ディストピアじみたFFSの世界の中でも、このパラレルワールドはかなり評価が高い。
どこを見てもツッコミどころしか存在しない、混沌とした今回の世界の探索は、
実際にゲームとしてプレイするところを想像すると非常に楽しそうで、期待を持たせてくれる。
また、世界設定に劣らず新感覚な名前も特徴。ブラックとホワイトからのネーミングと思われる。

主な台詞:
「ヒャハハ俺、黒魔神ブリャ」
「フョホホ私、白魔神ホワャ、二人でお前たち正常を出だして狂わせて死なせる」

【エクスレイズ・ワンダー】(第93話)

パラレルワールドにある洞窟ハードタワーで、最下層から飛ばされた頂上に出現する。
そこにあったはずの2つのエクスデスの卵は既にエクスレイズに捕食されており、
出現した不思議を作り出すエクスレイズ、エクスレイズ・ワンダーとの戦闘になる。
戦闘で唱える不可思議な魔法は、毒、麻痺、回復、バーサク、カエル、小人、石化、即死、
力2倍、素早さ2倍、最大HP1/2、MP0、といったステータス異常をランダムで2つ与える、
デメリットとメリットすらも混沌とした、まさに不可思議な攻撃である。
物理攻撃も侮れないレベルであり、太い腕からしなる回転攻撃は、防御無視の全体攻撃。
しかし、ベリュル曰く「人を信じるのと信じないとの差」により、ナントカ倒される。

混沌としたパラレルワールドのボスに相応しく、面白い攻撃が特徴のエクスレイズ。
戦闘前の台詞からは、2体の魔神と同様に世界法則を混乱させる類の能力かと思われたが、
どうやら精神力で対抗可能らしい点や、戦闘後の台詞から判断すると、
エクスレイズ・ワンダーのそれはむしろ、幻術の類による精神干渉なのだと思われる。
ところで、今回のベリュルの「いいエクスデスの目をつんだから倒すぜ!」との発言より、
何故ベリュルは第89話で悠長に卵が孵るのを待っていたのか、その理由が判明する。
いくらエクスデスであろうと、悪であるとは確定せず、生まれた生物にはまだ罪はない。
そして実際にエクスデスでありながらベリュルを介抱してくれたエクサーシャとの出会いで、
このスタンスはベリュルの中でも強く決定付けられたに違いない。
無論、凶暴に襲い掛かってくるエクスデスは一片の容赦も見せず駆除しているものの、
かつてエクスデスの世界で育ったベリュルとしては、精一杯折り合いをつけた形なのだろう。
「わけのわからないまま死ね!」というのは冷静に考えると凄い決め台詞である。

主な台詞:
「フフフ・・・ここで私の作り出した永遠の不思議に囲まれてわけのわからないまま死ね!」
「ベリュルめ、、私の幻をも退けるとはなんと言う強い精神力・・・」

【ギード/デスピュラ・ギード】(第94話)

切り立った断崖に周囲を囲まれ、中央に広大な湖の広がる、水の町の世界。
その湖の中には生贄を食べる湖の主、ギードが潜むという噂があった。
地下洞窟を利用して湖を渡り、湖の中心の小さな島に辿り着いたベリュル。
ミニマムで小人になり、小さな祠の奥へと進んでいくと、ギードと会う事ができる。
しかしその精神は変わり果ててしまっており、もはやかつての正義の亀ではなかった。
そう、彼もまた悪こそが正義だと悟り、人間を憎悪するようになってしまったのだ。
ギードは甲羅の中から真の姿、悪魔デスピュラ・ギードの正体を現し襲い掛かってくる。
元が亀であるからなのか、異常な防御力を誇り、それに加えてほぼ全属性に耐性を持つ。
唯一植物属性の攻撃が有効なのだが、この時点では条件を満たす攻撃も限られるだろう。
加えて、祠に入る前提条件として、パーティー全体がミニマム状態という状況なので、
防御力や属性耐性の関係ない無属性魔法でナントカ応戦する他ないだろう。

言わずと知れたFF5の賢者ギード。だが、ガラフに引き続き悪に寝返ってしまった。
戦闘前のベリュルとの不毛な論戦は、今回の白眉といえよう。
ここで真の姿を現す際の「そうか、ようし」という掛け声が、お爺さんっぽくて可愛らしい。
人間の身勝手さへの怒りのためか、生贄を喰うという恐ろしい行為に手を染めていたが、
例によって倒された途端、自分が正気を失っていた事を主張し始めるのはお約束である。
それを「わかってますって」だけで流すベリュルは、器が大きいのか何も考えていないのか……

主な台詞:
「よくきた、私はもう正義の亀ではない、助けた結果人間だけだったので私のためだ、いけにえを食べて生きるのだ」
「そうはいうが、人間は買ってだ、私は悪こそが正義であると悟り、わたしのためなのだ」
「許してくれ、わたしが正気を失いかつての過ちだったことを・・」


【ハ・マハマ提督/魚人】(第95話)

ダンナーザが旅を始めるきっかけとなった、始まりの世界に辿り着いたベリュル達。
恐らくは軍事政権によって統治された国家であり、軍艦や海兵隊等の存在が確認される。
さらにダンナーザの妹マッケリーナがハ・マハマ提督の傀儡として世界を支配しており、
ハ・マハマ提督を倒さなければ解けないほどの深い催眠状態に陥っている事が判明する。
軍艦・煙害伝に乗り込み、黒幕であるハ・マハマ提督に戦いを挑むダンナーザ。
FFSにしては珍しく集団戦術を得意とするボスであり、親衛隊(シネ遺体)を前衛に、
ダメージを受けない最後列から安全な戦いを仕掛けてくる厄介なボスである。
親衛隊は倒してもどんどん沸いてくるため、全体攻撃で手っ取り早く倒すべきだろう。
なお、一度倒されても魚人と化して復活してくる。この形態では稲妻に弱い。

今回はダンナーザのエピソード。妹を捕えた因縁の敵ハ・マハマ提督との戦いが描かれた。
加えてハ・マハマ提督の口からは、その昔ベリュルとも接触していた事が語られる。
10年前の冒険以前の戦いでハ・マハマ提督に倒され死の危機に瀕した彼を救ったのは、
なんとダンナーザであり、マッケリーナはその引き換えに人質になったというのだ。
その後ベリュルは様々な要因により記憶を失い、話は第1話へと繋がるのだが、
この時たまたま隣に居ただけのダンナーザが「ついていく」と旅の仲間になったのも、
それ以前からベリュルと共に旅をしていたためだったのだという事実が明らかになる。
ところで、後の話で明かされる設定だが、ダンナーザはある種の異世界人であり、
ベリュルを守護する役目を負ってこの世界に訪れたとされている。
それを踏まえてこれらの行動を振り返ると、彼女が赤の他人であるはずのベリュルを救い、
恐らく同じ役目を負う妹のマッケリーナがベリュルの命と引き換えに人質になったのも、
最初からこの使命に基づいて行動していたために過ぎなかった……と見る事もできる。
事実を知ってしまうと空恐ろしくなる設定だが、あまり緊張感が沸かないのは、
これから先もダンナーザがベリュルに対してますますドSになっていく事で、
あまり使命に縛られず、人間らしく自由に行動している様子が見られるからだろう。

主な台詞:
「ベリュルめ、貴様は殺したはずだがはっそうかダンナーザが解放したのか妹とひきかえにハハハだが力の差は歴然」
「お話はここまでだ、私は一人でも十分強いが親衛隊にも守られているので勝てないぞ死ね」
「無駄だ、魚こそ支配者だ人間は食べ物だ死ね」

【エクスデス・古代種】(第96話)

新たな世界で目覚めたベリュル達だが、そこは古代の世界であり、住民は古代人。
彼らの古代語を理解できるのは豊富な知識を持つファンニャーのみ、という状況だが、
情報を手に入れるため、言葉を翻訳する事ができるロゼッタストーンを手に入れる事に。
立ち塞がる死の試練を乗り越え、セボルグの滝の奥へと進むベリュル一行だが、
ロゼッタストーンの手前に、エクスデスの卵が落ちているのを発見してしまう。
中からは古代世界の力を反映したエクスデス・古代種が生まれ、襲撃してくるのだった。
どうやら現代のエクスデスとは比較にならない強さを持っているらしく、
古代のオールドフレアや古代の火炎は、現代の魔法では防ぐ術のない、強力な攻撃である。
攻撃面では凄まじい能力を誇るが、ナントカ倒す事ができたところからして、
他のエクスデス新種と同様、生まれた直後は防御力の弱い状態だったのかもしれない。

パラレルワールドの世界の2つが最後かと思われたエクスデスの卵が、まさかの再登場。
しかし思い返すと、第88話で世界中に散らばったエクスデスの卵は5~7個とされている。
森の世界、崩壊した世界、心優しい世界、元素界、2個の卵があったパラレルワールドと、
今回の1個で、ちょうど7個となる。エクスデスにしては珍しく、伏線が張られているのだ。
だが、ベリュル達も卵探しをしていたわけではないため、なんだかついでに倒された感が強い。
そもそもロゼッタストーンで古代語を翻訳するためにこいつを倒したはずなのに、
何故かこいつが倒された瞬間に古代人の世界も滅亡を始めてしまい、
結果的にロクに話も聞けず、ロゼッタストーンを手に入れる意味自体がなくなってしまった。
それ以前に、ベリュルも横着せずファンニャーに通訳してもらえば良かったと思うのだが……
色々な意味で、まったく徒労感の漂うシナリオである。

主な台詞:
なし


【ダ・ヒドラ】(第96話)

ロゼッタストーンを手に入れるために乗り越えなければならない、セボルグの滝。
見た目の美しさとは裏腹に、とてつもない化物や信じられない怪物の徘徊する、
まさに心は悪魔といった風情のダンジョンの最後の入り口を守っている古代のヒドラ。
接頭語の「ダ・○○」は、現代語訳するなら「○○じゃん」という意味に違いない。

主な台詞:
なし

【エクスデス・海の支配者】(第97話)

あのメリアナニーの故郷でもある、文明の発展した海洋国家マスターデイラヤナ。
しかしベリュルが辿り着いたその時には、既にこの国も滅亡の危機に瀕していた。
周囲の国々から狙われたこの国は、戦艦巡洋艦駆逐艦空母原子力潜水艦合計2000万機という、
過剰戦力というかなんというか、冗談のような数の艦隊に包囲されてしまっていたのである。
そこでベリュルも魔力潜水艦へと乗り込み、メリアナニーの為に艦隊を撃破していく事になる。
第25艦隊主力巡洋艦花村、大75艦隊空母ピューム等をテンポよく破壊していくものの、
さすがに2000万もの大艦隊全てを相手取る事は不可能と判断し、防衛戦から一転攻勢に転ずる。
魔力潜水艦で敵国家ハイベスヴラス国の本拠地へと乗り込むベリュル一行だったが、
そこになんと生きている潜水艦が出現。そう、その正体こそエクスデス・海の支配者であり、
メカである潜水艦に精神を売り渡した、新機軸のエクスデスなのだった。
ミサイル、波動砲、ダイダル波動砲、スクリュードライブ等の多彩な攻撃を繰り出すが、
エクスデス相手という事でベリュル達も生身で迎撃を行い、ナントカこれを退ける。

またしても一切の説明なしに登場するエクスデス軍団。しかしエクスデスの行動原理からして、
ハイベスヴラス国の兵器を装って、マスターデイヤラナとの戦争を煽っていたのであろう。
ちなみに、死後はエクスレイズ・ビッグシャチに捕食されそうになったものの、
チャマー大佐の正体を鑑みれば、エクスレイズと共闘した珍しいエクスデスという事になる。
メカに乗り移ったエクスデスというと一見斬新過ぎる発想のようにも見えるが、
実際のところFFSではスターエクスデスやエクスデス・メカといった偉大な先人が存在しており、
巨大兵器である潜水艦そのものが意思を持つ、という点を除けば、これといった特徴もない。
それでも、海中で巨大潜水艦と戦うというシチュエーションはビジュアル的にもロマンがある。
是非とも近年のFFの巨大ボス戦並みのグラフィックとスケール感で見てみたいものである。

主な台詞:
なし

【エクスレイズ・ビッグシャチ】(第97話)

ベリュル達に撃破されたエクスデス・海の支配者の血の臭いを追って出現した、
新手のエクスレイズ。もうここまで来ると、完全にサバンナの野生動物のノリである。
エクスデス・海の支配者戦の直後の、事実上のボス2連戦という過酷な状況の上に、
さらに輪をかけて体長200mという、視界に収めきる事すら困難な莫大なサイズを誇り、
威圧感か単に見た目が恐ろしいのか、「見るだけで怖い」とされる。
だがエクスレイズの割に特に台詞も戦闘描写もなく、あっさり倒されてしまうのであった。
何はともあれ、エクスレイズ・ビッグシャチという凄絶なネーミングセンスは必見。
直前のエクスデス・海の支配者で笑いをこらえられても、同等以上の破壊力を誇る名前を、
即座に畳み掛けてくるこのセンスに耐え切れなくなった読者の数も多いのではないだろうか。

主な台詞:
なし

【第9艦隊主力戦艦ババランガ】(第97話)

ハイベスヴラスのボスラッシュ3戦目は、エクスデス、エクスレイズに続き、
人間の兵器が猛攻を仕掛けてくる。悪意を持って暴れられれば良いだけのエクスデスと、
そのエクスデスを捕食する事しか考えていなさそうなビッグシャチとは異なり、
この主力戦艦ババランガこそが、ハイベスヴラスの本来の戦力であるといえるだろう。
さすがに海洋世界の国家であるハイベスヴラス本拠地を守る艦隊だけあって、
主砲の威力は凄まじく、命中率は低いものの5000近くのダメージを弾き出してくる。
マスターデイラヤナ周辺で戦う事になる主力巡洋艦花村の第25艦隊や、
空母ピュームの第75艦隊と比べ、艦隊番号も若いため、大規模な常設艦隊に属すると思われる。
メリアナニーを助けるためだけに生身で次々と艦隊を撃破する今回のエピソードは中々に爽快で、
改めてベリュル一行の戦闘能力が超人の域であると思い知らされる。

主な台詞:
なし

【マスターリヴァイアサン】(第97話)

凄まじいボスラッシュの果てに、駄目押しとばかりに現れた、リヴァイアサンの亜種。
当然水棲系のボスと思われるが、こいつが襲ってきた頃にはベリュル一行も上陸寸前であり、
「地上で戦おう」との台詞から、ハイベスヴラスの沿岸で迎撃する形での戦闘となるのだろう。
その名前は、あのリヴァイアサンとの関わりを匂わせるが、戦闘描写は全くと言っていいほど無い。
まあ、一話の中にこの密度でボス戦闘を詰め込んで一体一体を詳細に描写できる筈もないのだが。
むしろこいつは、明らかにこの戦争とは無関係だろうと突っ込みたくなるボスである。
近くを通りがかっただけで、ノリに便乗してベリュル達を襲ってきただけの気がしてならない。

主な台詞:
なし


【チャマー大佐/エクスレイズ・ヒューマン】(第97話~第98話)

マスターデイラヤナを脅かす敵本拠地ハイベスヴラス国へと単身乗り込み、
包囲網を越えメハ司令官、チャマー大佐、フー将軍といった首脳陣を追い詰めたベリュル。
彼らにとっては、このハイベスヴラス国ですら、戦争のための単なる駒に過ぎなかった。
実はメハ司令官はジューノ国側の人間であり、悪の枢軸と思われたハイベスヴラス国は、
既に中枢部からジューノ国に掌握された状態にあったのだ。
戦争終結のため奔走するベリュルに、かつてない数のボスが次々と襲い掛かる。
遂にジューノ国司令塔へと辿り着いたベリュルが目にしたものは、殺害されたメハ司令官と、
彼を裏切り本性を現したこの戦争の真の黒幕、チャマー大佐の姿であった。
司令塔より超核型反物質ミサイル弾頭を発射し、自国をも含めた全艦隊を消滅させるチャマー。
人間でありながらエクスレイズに魂を売った彼の目的は、最初から世界の滅亡だったのだ。
全てが死に絶えた世界で、エクスレイズ・ヒューマンに変身したチャマー大佐に挑むベリュル。
初の人間ベースのエクスレイズというだけあって、強力なスペックで攻め立ててくるが、
人間としての精神に訴えかける攻撃はまだ有効なようであり、恒例の愛の歌と同様、
サイコソルジャー(ジョブかアイテムかは不明)で使用できる精神アタックも有効である。
多大な犠牲を出しながらも元凶を倒したものの、発射された超核型反物質ミサイル弾頭は
やはり核兵器の一種であったようで、汚染された世界はどうしようもなく消滅していく。

メリアナニーの祖国を戦争状態に巻き込んだ張本人。メハ司令官やフー将軍と共謀し、
3人の中で最も低い地位にありながら、実はNo.3の位置から全てを牛耳っていた知能派である。
大佐としての社会的権限があったとはいえ、単なる一個人の力のみで
マスターデイラヤナ、ハイベスヴラス国、ジューノ国と3つもの国家を手玉に取った事から、
その政治的資質の高さと、エクスレイズに与えられた能力の凄まじさが見て取れるだろう。
これまでの支配者型ボスと一味違い、世界の支配ではなく破壊のみを行動原理としている。
巨大モンスターや大量の艦隊等の数々を一片の容赦も無くベリュル一行へと差し向け、
自らの手で上官すら抹殺し、味方艦隊すら巻き込んで超兵器を用いる様は、まさに狂気。
なまじ使用した兵器が現実的なために、他のボス達と比べて一段と破壊的な印象を受ける。
それでも精神攻撃への反応で僅かに人間らしさを垣間見せる点も、また味の一つだろう。
何故かテンションの高い台詞の数々からは、どうやら踊るのが好きらしい事が伺える。

主な台詞:
「ハハハ、私はエクスレイズに魂を売りあやつっててお前たちを踊っていたのだ」
「ワハハ死んだみんなさあお前たちも私の正体を現し死ね」

【フー将軍】(第97話~第98話)

ハイベスヴラス国の3悪人の一人、フー将軍。メハ司令官やチャマー大佐と共に戦術を練り、
ベリュル一行を本拠地であるハイベスヴラス国まで誘き寄せて迎撃する作戦を実行する。
第97話では自らの意思で敵本拠地まで乗り込んだように見えたベリュルだが、
実際のところはベリュルがそう判断を下す事や、魔力潜水艦を捨てて潜入するルートも含め、
全ては彼らの手の内だったのだろう。潜入後の大量のボスラッシュがその証拠となる。
よりによって本拠地で待ち伏せされていた事で、最難関ルートを進む事になってしまったのだ。

チャマー大佐と同様にやや気の抜けた名前ではあるが、将軍だけに戦闘能力も高く、
人間時のチャマー大佐と共にエクスデダラダ基地に乗り込んだベリュルとも戦う。
サイボーグ型208よりも強力との描写から、単体で戦艦以上の戦力を誇ると考えられる。
ナントカ倒されてしまうも、メハ司令官の脱出の時間を稼ぐという目的は達成した。
生死は明言されていないが、超核型反物質ミサイル弾頭の巻き添えで死亡したと思われる。

主な台詞:
「作戦通り、ベリュルたちをおびき寄せる事に成功しました、我々の手の中で踊るのです」

【メハ司令官】(第97話~第98話)

ハイベスヴラス国の3悪人の一人。大艦隊を率いる司令官でもありながら、
その実態はジューノ国のスパイであった。スケールの大きいスパイもいたものである。
最後まで正体に気付かせずにハイベスヴラス国の軍隊を掌握するほどの手腕を見せたが、
チャマー大佐やフー将軍とは異なり、戦闘能力は持ち合わせていなかったようで、
ベリュルがエクスデダラダ基地の司令室に乗り込んだ途端、即座に逃げ出してしまった。
本国であるジューノ国へと戻り、護衛3鬼衆を従えてベリュルを待ち受けていたようだが、
最後は身内であったチャマー大佐の裏切りによって戦闘する事なく殺されてしまった。

主な台詞:
「きっ貴様はベリュル!くっチャマー大佐、フー将軍、ここは食い止めるのだ私は撤退する」


【サイボーグ型208】(第98話)

エクスデダラダ基地の包囲網を突破し、カードを使ってドヤを開けた通路で戦闘になる。
このサイボーグの素体はかつてのマスターデイラヤナの英雄ハルバラバヤであり、
捕虜として捕えられた後、ハイベスヴラス国によってサイボーグへと改造されていたのだ。
生前のハルバラバヤは肉体の強さのみで戦艦と渡り合えるほどの実力者とされており、
それがさらに改造強化されているため、人間大とはいえ決して侮る事のできないボスである。

主な台詞:
なし

【護衛3鬼衆】(第98話)

メハ司令官をチームで護衛する、メガ、ギガ、バリアの3人。基地の司令塔に出現する。
戦闘ではトリプルアタックに注意。しかしメガ、ギガときて、一体どうしてバリアなのか。
なんだか越後屋4人衆のベビンラックジュエルと同じ雰囲気を感じるのは筆者だけだろうか。

主な台詞:
なし


【海洋世界の艦隊】(第96話~第98話)

2話連続で繰り広げられたマスターデイラヤナ編は、とにかく艦隊戦の多いエピソードである。
具体的な戦闘描写がなされたのは第9艦隊主力戦艦ババランガのみであったが、
この2話の間に名前が出ただけでも、第25艦隊主力巡洋艦花村、第75艦隊空母ピューム、
第108艦隊巡洋艦稲妻、第37艦隊死の商戦、第1艦隊空母マッハと、その数は非常に多彩である。
名前の不統一さから、これらは多数の国家から集められた連合艦隊であると推測される。
第96話で「周りの国々から狙われ」とあるように、マスターデイラヤナを狙っていたのは
ハイベスヴラス国やジューノ国のみではなかったのだろう。特に日本名の艦も確認される事から、
この海洋世界のどこかにも和の世界らしきものがあると推測する事ができる。
チョイ役ながらどれも個性的な名前であり、これを全部言えればあなたも立派なFFS通だろう。

主な台詞:
なし


【グリーンレッギャス】(第99話)

広大な世界そのものが迷宮と化している伝説の世界、ラビリンスワールド。
森や町、平原や砂漠すらも迷路化したこの世界では出口に到達する事すらままならず、
あのダンギャステルすら1ヶ月の放浪の末衰弱死した事が、壁に残された血文字で語られる。
果てしない迷宮の中では、ダンギャステルの遺したダイイングメッセージが唯一の手がかり。
しかしその血文字も緑色に変色しており、ダンギャステルの状態が危ぶまれるものの、
血文字の誘導に従って進めば、危険な寄り道をせずに神殿へと辿り着く事ができる。
しかしその中でベリュル一行待ち受けていたのは、ダンギャステルではなかった。
ダンギャステルは最初の血文字の時点で既に死亡しており(血文字に断末魔が確認できる)、
それ以降の緑の血文字は、なんと神殿に潜んでいた怪物の緑色の血液による罠だったのだ。
彼こそがダンギャステルを殺害した張本人、血をも恐れぬ怪物グリーンレッギャスである。
ベリュル抹殺のためならば、文字通り自分の血を流す事すら厭わない狂気の悪魔との戦闘。
ランチャーやミサイル、マシンガンといった様々な銃火器を駆使して襲い掛かってくるが、
これらの攻撃は全てゴーレムで防げるため、対策自体はそう難しくはない。
倒されると、グリーンレッギャスの正体も明らかになり、クリスタルへと変身する。
実はこの迷宮の世界はクリスタルの作り出した試練であり、世界は崩壊していく。
ダンギャステルの尊い犠牲を乗り越えたベリュル達は、コマンドのジョブを手に入れるのだった。

敵キャラクターであっても、時に味方以上に強烈な個性を備えている所がFFSの醍醐味の一つ。
その点でこのグリーンレッギャスは、単発ボスとしては間違いなく上位クラスの強烈さである。
登場してすぐどころか、ベリュル達が世界に突入する前から既に死んでいるダンギャステル。
緑色の血という異常事態を「ダンギャステルが危険とにおわせるが」だけで説明される頭の悪さ。
「グワァ・・・」や「ヒヒヒ・・・」といった、明らかに不必要な文面が挿入された血文字。
そして遭遇時にベリュルが発する必要以上に長々としたグリーンレッギャスの紹介と、
コマンドのジョブを守護しているためなのか、悪魔を名乗る割にやたら現実的な攻撃方法、
正体がクリスタルの試練だった事で、余計に引き立ってしまうダンギャステルの無駄死にぶり等、
第99話の全体的な構成の愉快さは一言では語り尽くせないものがある。
とはいえ、自分で血文字を書いてまでベリュルを誘き寄せたグリーンレッギャスの奇行の理由も、
迷宮内での無用な危険を回避させ、クリスタルの試練を受けさせるためと、一応の筋は通っている。
ただ、敢えて緑色の血でダンギャステルの血文字を装うというその手段の珍妙さが前代未聞なのだ。
FFSスレ内でも人気の高いキャラクターであるが、グリーンレッギャスの何ともいえない魅力も、
試練のとばっちりで悲惨な死に様を晒したダンギャステルの存在があってこそだといえよう。

主な台詞:
「ヒヒヒ・・・ダンギャステルはもう死んだ・・・最初のはダンギャステルの血文字だけどあとはわたしのだ・・・」
「ヒヒ・・・だが私は死ぬという奴は必ず殺す運命で今まではずしたことは無い・・ヒヒ・・・」
「良く試練を乗り越えました、アナタに私の力を授けましょう」

【滅びの女神】(第99話~第100話)

これまで様々な世界を旅し、そして滅ぼしてきたベリュル達だったが、
第100話にして何を間違ったのか、まだ創造中の世界に割り込んで辿り着いてしまう。
そして何処からか聞こえる声に従い、なんと自分で世界を創造する事になってしまった。
様々な試行錯誤を重ねながら、1ヶ月以上もの時間をかけて世界を作り上げたベリュルだが、
創られた世界の住人達の不満は消える事はなく、次第にストレスを募らせていく。
そして苛立つベリュルを影から唆し、彼自身の手で世界を滅ぼさせようとする声の主。
実は、この世界は基礎の段階からこの状況になるよう、声の主に仕組まれていたのだ。
すんでの所でその事を見抜き、正体を現した声の主、滅びの女神に戦いを挑むベリュル。
愛の歌でこちらの行動を妨害してくる上、魔法に対して強い耐性をも誇るため、
意外と戦いにくい相手ではあるが、一応は力押しでも倒せない相手ではない。
美しい外見に反して非常に腹黒く、倒すと一瞬改心したかのような素振りを見せるものの、
勿論それもハッタリであり、「自分の世界を自分で救わせる」という名目で、
憎悪に満ちた創造世界の中へとベリュルを送り込んだ。シド並に性質の悪い敵である。

これまで神や創造主と聞いただけで何の迷いもなく殺しにかかっていたベリュルが、
今度は逆に神の座を任されるという、中々にブラックジョークの利いたエピソード。
しかも、あのベリュルが創造する側に立った瞬間「そうだ戦争しなきゃ競争心を作るぜ」
などとトチ狂った発想に至る辺り、分不相応な力を得てしまった人間の思考というものは、
ベリュルだろうと支配者だろうと、何も変わらないという皮肉を示しているのかもしれない。
まあ、力や立場によって振り回される人格、といった問題を抜きにしたとしても、
少なくともベリュルは支配者側に立つべき人間でないのは、これまでの話からも明らかだろう。
今回の話だけを見たとしても、無思慮、短気、無責任、さらには美人にも弱いと、
支配者が持つべきでない欠点の殆どを同時に兼ね備えてしまっている事が理解できる。
決して滅びず世界を渡り、どんな敵もナントカ倒してしまう無敵の戦闘力を誇るベリュル。
しかし彼に出来る事は、あくまで民衆の完全な救済でも、正義を示す秩序の構築でもなく、
ただ単純な暴力として、人を苦しめる悪の支配者を倒す、という役割にしか過ぎないのだ。
第38話において、ベリュルは「俺は金や名誉が目的じゃないぜ」と言い残している。
ベリュルと同じく圧倒的な力を持ちながら破滅していった支配者達とベリュルとの違いは、
過大な力に溺れる事なく「自らの器を知る」という、小さな一点だけなのかもしれない。

主な台詞:
「この世界ではアナタが神になり世界を創造するのです・・そして人間の強さと弱さを知れ」
「それは・・・アハハハハハハハッこういうことよ!さあ自分の世界で殺され人間に憎悪で裏切られるお前!」


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最終更新:2010年06月29日 00:53
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