ロストナンバー


 調製と呼ばれる実験では、その半数が失敗するようである。失敗した場合は死ぬことが多いのだろうが、特殊な能力を有したまま生き残る例も多少ながらある。それがロストナンバーと呼ばれる損種実験体である。彼らは、その異能故に恐れられるが、正規ゾアノイドのように生殖性があるわけではないため、ランクとしては最下位となる。
 クロノスでは調製実験における倫理観はほぼ皆無で、ゾアノイドの実験ではそれが特に顕著である。ゆえに、実験に失敗したからといって元の体に戻すどころか、逆にその利用価値があるかどうかを求めるのみとなる。ガイバーのような特殊な相手には良い場合もあり、特殊戦闘要員としての利用から、その異能をデータとして収集したりしているのだろう。

調製が失敗する原因

 ロストナンバーになる事例としては、運悪く調製に耐えられない体であったり、難しい調製で失敗したり、失敗することが分かって実験した結果起きたりする。
 その原因は、調製課程のどの段階でも起こりえる。遺伝子付加ウィルスがうまくゾアノイド遺伝子を導入できず、おかしなタンパク質を作らせてしまい致死的になったり、付加そのものがうまくいっても、実験的に導入したバランスの悪い因子では挙動が予測できず既存の対処が全くできないなどが考えられる。
 調製は多くの臓器もその性質を改変させるため、それぞれの異なる性質の臓器に対応させるのは容易なことではない。特に影響があるのが生殖性であり、ロストナンバーになると生殖不能状態に陥ることが知られている。それがクロノス組織では大失敗の事例に含まれる。詳しくは生殖による増殖を見てもらうと分かるように、生殖で増えない種は、基本的にクロノスでは不要と判断される。
 あと特殊能力を付加させるような量産型とは違う実験を行った場合にも、ロストナンバー化する可能性が高い。ネオゼクトールなどはその一例である。以下に記すダイムもまたその例に漏れない。

思念波受信性能低下

 全てのロストナンバーが思念波受信能力低下を招くわけではないが、それなりに高い確率でそれが起こることから、ロストナンバーとしての特徴に入れられる。
ゾアロードにとって思念波が受信できない兵は邪魔なだけであり、本来なら処分されるべき対象である。しかし、中途半端に受信でき、かつ命令をしっかり聞けるレベルでは利用価値として認める場合もある。
なぜ思念波が受信できにくい状態が発生するかであるが、ロストナンバーでは無理な調製により、思念波受信蛋白が変質しているとする説や、生殖不能の状態が関係しているとする説まであるが、今もその原因はよくわかっていない。ガイバーも、思念波を全く受け付けなくする性能を発揮するが、ロストナンバーのような機構とは全く違い、完全に思念波から解放される。ロストナンバーでは、強度の高い思念波に会うと、それに従わざる得なくなる。つまり、若干は思念波受信性能が残っていることになる。

ロストナンバーコマンド(ロストナンバーズ)

 かつて、ガイバーと争ったソムルム、ダイム、アプトムは、能力を得たものの、正規ゾアノイドにあるような生殖能力を失った状態となっている。ただ、それ以外は通常の生活を行うことができ、ゾアロードにはありがたいことに、思念波の支配も可能となっている。ただ、その支配力は正規ゾアノイドとまではいかず、弱まっている可能性がある。
 ロストナンバーコマンドの中でも、特に異様だったのがダイムであり、彼は特に決まった形状を持たず、体が液状化したように見えるほど、肉体組織を軟化させることができる。骨も残さずこれを行うことから、他のゾアノイドには見られない性能を発揮している。本来はこのような無茶な調製は肉体の負担も著しく、かつ何度も使うと元の肉体に戻るだけでも相当の体力を消耗すると思われる。そのような特殊性は、後にアプトムにも応用されたかもしれない。アプトムが切り刻まれても不死身な部分は、ロストナンバーズであったころのアプトムには備わっていなかった。このころは、相手に擬態する程度の可変性しかなく、現在確認されている、ガイバーⅠを覆うような変形はできなかった。
 ソムルムに関しては、生体誘縛粘体と呼ばれる液体を口から吐き出し、生体であれば相手が誰でも解け合わせ、縛り付けることが可能である。殺傷能力は低いとされるが、顔など部位によっては呼吸を止めたりすれば高まるし、液体の量が多ければ、腹部など内臓に達して致命傷を負わせることは可能かもしれない。ガイバーもこの粘体攻撃を受けたが、無理矢理引きはがすことができたが、この程度で済んだことはある意味行幸だったかもしれない。

ネオ・ゼクトール

 ガイバー討伐のために派遣されたハイパーゾアノイド五人衆であったが、進化したアプトムが敵対したことで、五人衆がゼクトールのみとなるまで壊滅状態となった。そのため、五人衆のリーダー格であるゼクトールは、その地位を投げ打ってまで復讐心に燃えていた。命を賭した再調製によって得た力は、機動力はもとより、以前の出力を遥かに上回るものとなった。さらには、これまでに失った五人衆の力(ミサイル、炎、高周波ソード)、さらには対アプトム用の交代ならびにアプトムの代謝を狂わせるウィルスまで備えるという、まさに天敵中の天敵として生まれ変わった。もしギガンティックが出現しなければ、ゼクトールによって深町の仲間は全滅を免れなかったはずである。
 ネオ・ゼクトールの戦闘力は、その動向を見守っていたプルクシュタールをも危惧させるに十分であった。さらに、ゼクトールはその無理な調製によるロストナンバー化で、精神トレース(思念波参照)が難しい状態となっていた。ただ、その肉体も無理な調製により崩壊寸前となっていたことから、長く生きることができないことで、アプトムほど危険視はされなかった。

 以上のことから、やりようによってはここまで出力を上げることができ、アプトムとガイバーⅢという強敵を同時に相手にしても圧倒するほどの活躍も可能ということがわかった。しかし、実質的にのように無理矢理強化したゾアノイドは、ロストナンバー化してゾアロードの支配を受けない点から、結果としてクロノスにはありがたくないものであった。ガイバーのような特殊な敵には、多勢の統制可能なゾアノイド軍団をもってあたるのが適切であるが、それにはアプトムという厄介な敵を排除しなければならず、やはり特殊なゾアノイド兵をもってあたるしかなかった。
 ちなみに、この戦闘力を上げるノウハウは、ヘッカリングというクロノスNo2の調製技術者により、リベルタスへと引き継がれる形で復活した。先の理由から、クロノスにとっては強化しすぎたロストナンバーは不要であったが、クロノスに敵対するゼウスの雷にとっては、利用価値のあるものであった。



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最終更新:2024年03月03日 03:33
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