サブタイトル個別 帰ってきたウルトラマン 第33話


怪獣使いと少年
ムルチ

解説ブックレットより

●帰ってきたウルトラマン第33話(製作No.33)1971年11月19日放映
●登場宇宙人・怪獣:巨大魚怪獣ムルチ 宇宙調査員メイツ星人
●東條昭平監督の演出が冴えわたる異色作だ。残酷場面が非難を浴びたこともあったが、そんなことは末節なこと。この作品は、信じ合うことは?正義とは?そして地球の環境汚染。この三つのテーマが糸のように絡み合って展開する。郷秀樹は、おじさん(メイツ星人)と良少年が、お互い信じ合い、親子のような情愛でつながっていることを知る。二人を信じ理解者になる。いじめっ子や町の人達が良少年を信じてあげていたら悲劇は避けられた。郷は、早く怪獣をやっつけろという人々に「勝手なことを言うな」と反発する。ウルトラマンは正義を守るために死力を尽くす。だけど宇宙人や怪獣は常に悪で、人間は常に正義なのか?ウルトラマンであり、郷秀樹でもある故の苦悩だ。その思いは視聴者にもしっかり伝わった。そこに、この作品が長い間支持される理由があると思う。あれから四十年。地球の大気汚染はさらに進んだ。今、人類はメイツ星人と同じ運命を辿りつつあるのでは?メビウスで、直木賞作家の朱川湊人が続編の「怪獣使いの遺産」を書いている。二本を見比べて楽しんでほしい。
脚本 上原正三氏

補足


ムルチはこれまであまり例のなかった雨中での戦闘が、派手に暴れていながら、哀しげなトーンで印象的でした。ジオラマでも切ない鳴き声が聞こえてきそうな気がします。河原の草むらの表現が、風になびいている感じが出ていて、なにげに良いです。
ジオラマでムルチの手前にいるちっちゃいのはメイツ星人。とは言え、このジオラマの寸尺だとメイツ星人の身長は10メートルくらいありそうですが。劇中で両者同時に存在している場面はなかった気がしますので、メイツ星人がムルチを封印したという回想部分の立体化、ということでしょうか。封印前のムルチがちっちゃかったということで納得しましょう。





最終更新:2008年08月01日 00:37