サブタイトル個別 ウルトラQ 第27話


206便消滅す
トドラ(カラー)
トドラ(モノクロ)

解説ブックレットより

●ウルトラQ第27話(製作No.4)1966年7月3日放映
●登場宇宙人・怪獣:四次元怪獣トドラ
●香港を飛び立った国産初の超音速旅客機206便が、東京上空で謎の失踪を遂げた。206便が迷い込んだ謎の空間には、第二次大戦中に行方不明になった戦闘機が横たわり、巨大なアザラシのような生物が棲んでいた!
今回、『ウルトラQ』からのシークレットアイテムに選ばれたのは、初回オンエア時は最終話となっていた「206便消滅す」より、四次元怪獣トドラの襲撃シーンだ。当初このシナリオには怪獣の登場場面はなかったが、純粋なSFから怪獣ものへと番組の路線を切り替えた際、トドラのシーンが追加されたという。それだけにやや影の薄いトドラの着ぐるみは、東宝映画『妖精ゴラス』(64年)に登場した怪獣マグマを改造したもの(余談ながらマグマも初期プロットには登場していない。奇妙な巡り合わせ?)。そして同作品の中でマグマを撃退した国連のVTOL機も後に改造され、『ウルトラマン』で活躍するご存じジェットビートルへと生まれ変わっている。
Text by Mizuki Eguchi

補足

●ダイジェスト
香港でのパイロット講習会を終え帰路についた万城目と一平。しかし搭乗していた超音速ジェット旅客機206便は、東京上空に突如出現した謎の気流に吸い込まれ、未知の世界へと転送されたしまった。管制のレーダーから機影も消滅し、事故なのかさえ分からない状況で、安否を気遣う由利子と一の谷博士。その時、上空から何故か旅客機の飛行音だけが響いてきた。
●四次元怪獣トドラ/身長30メートル・体重2.5万トン
万城目たちの迷い込んだ異空間に棲む。異空間は東京上空にかつて出現したこともあるらしく、零戦やB29の残骸が残されていた。トドラの生態、というより存在そのものに対しては、この異空間同様、未知の部分がほとんどである。


●206便がゆがんでしまうケースが多いと報告される名鑑の「206便消滅す」。管理人の所持してるものも、なんか上に反っちゃってますね…。トドラのフィギュアは映像は霧に隠れてあまりよく見えない身体下部も楽しめます。実写の着ぐるみ感が良く出ているのではないでしょうか。もっとも、実際の海棲哺乳類、特に表面のツルツルしている連中は、実物もまるで着ぐるみや作り物のように見えてしまいますが。
●206便。国産初の超音速ジェット旅客機。その速度以上に、垂直上昇とはいかないまでも、ほとんど滑走を必要とせず飛び立てる能力が素晴らしい。この技術は後のジェットビートル等にも応用されていると思われます。
●四次元空間はそもそも管理人の理解が及ぶところではありませんが、トドラの居た世界は、物理的にはほとんど三次元空間なので、トドラの通り名も、本来は異次元怪獣や異世界怪獣が適当ではないかと思います。この空間、どことなく「育てよ!カメ」で乙姫がいた竜宮を思わせます。そこは、思念が物質化する世界でした。「206便消滅す」でも、逃亡犯がダイヤモンドを見つけて喜んだりと、それっぽい部分があります。戦時中の飛行機の残骸、そしてトドラさえも、この空間に引き込まれた際に生じた乗客乗員の恐怖や記憶によって、形成されたのかもしれません。あの機長は、極地で事故を起こしかけた経験があるのかも。また206便がエンジン停止中も、何故か飛行音だけが地上に届いていました。この音も、位置を知らせようとする乗員の思念によって発せされた可能性があります。どこかで、乙姫がまた笑っていたのかもしれません。
●「でっかいアザラシがいるんです!」と万城目に言われてしまったト・ド・ラ。でも、牙があるのはセイウチですよね。その他、アシカやオットセイなど、このへんの連中は、よっぽど好きな人でないとちゃんとした区別はできそうもありません。ただ、トドラの立派な四肢を見ると、むしろラッコやカワウソに近い存在なのではとも疑われます。
●異空間から脱出した206便。消えたのは東京上空、現れたのは富士山の近く。それはまあ良いとして、燃料がもうないんじゃありませんでしたっけ? 超音速旅客機を呑気に操縦しちゃってる万城目と一平は、その後大丈夫だったんでしょうか。それに、飛行機というのは、着地の瞬間が一番難しいそうですし。




最終更新:2009年05月31日 13:47