催眠標準テキスト@Wiki

催眠に副作用はありませんか?

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可
催眠にもリスク・副作用が確かに存在します。よく言われるのは次の8つです。

  1. 催眠状態が、目的以外のこと(例えばセラピストを信頼している女性クライアントを誘惑するためなど)に意図的に悪用される危険性
  2. 催眠下で生じる関係が、クライアントを催眠家に依存させてしまう危険性(逆に催眠家がクライアントにぞっこんになる危険性)
  3. 忘れていた記憶が催眠中に呼び起こされ、トラウマ的に直面してしまう危険性
  4. 潜在していた精神病が出現する危険性
  5. ある症状が別の症状に転移してしまう可能性
  6. パニック反応が生じたり、精神的外傷(トラウマ)を残すイメージが生じたりする可能性
  7. 事実でない記憶を想起して、それを真実と信じてしまう危険(偽記憶症候群)
  8. クライアントを覚醒させる困難や不完全な覚醒によって生ずる問題
(昔よくいわれたのは、トランスにいれた催眠術師が催眠中に突然死んでしまったりしたら、被術者はずっと目がさめないのでは、というもの。実際にはそんなことはない)

 完全に誤解である最後のものを除いて、1.〜7.は、実のところ、すべての心理療法で起こり得る副作用ないし危険性です。心理療法の目的は、クライアントの(行動や感情や感覚などの)変容ですが、この目的を遂げられる程度に強いテクニックは、相手をぐどき落としたり、相手の行動をある程度方向付けたり、また精神を危機におとしいれたりすることに使えます。相手をほれさせるのに(あるいは堕落させるのに)催眠は不要です。逆にトレーニングを受けた心理療法家は、これらの副作用をさけ、危険性をきちんと認識し正しく対処できるはずです。

 実際のところ、催眠のリスクは、すべての心理療法のリスクと、質においても、また量においても、ほぼ同じであると言えます。問題が生じたほとんどは、心理療法のトレーニングが不十分な人が、手のつけられない感情転移や抵抗にあってしまってオタオタといったもので、大抵はそれ以前に催眠に入らなかったり「何の効果もない」ということの方が多いです。

 素人カウンセラーが少なくないように、素人催眠家も少なくありません(何しろ催眠に入れること自体は、至極簡単なことですから)。日本のように、催眠についての偏見が強い場合、さまざまな病院やクリニックを巡ってきた人が「最後の砦」「治るんだったらなんでもいい」「これが駄目だったら、祈祷か宗教しかない」と切羽詰まってかかる人も少なくないので問題が生じやすいかもしれません。また、アメリカだったら訴訟され負けて散々な目に遭うところを、日本だと相手が泣き寝入りというケースが多いので、大馬鹿ものたちが安易に他人のこころをいじることがなくならない、とも言えます。もうひとつ、「催眠に入らないと話にならない」と術者も被術者も催眠トランスに固執するケースも少なくないので、けい動脈圧迫法など、危険な催眠導入が用いられている場合がないではないのもリスク要因です。

 催眠療法は無免許でできるうえ、催眠自体に「いかがわしい」イメージがあるせいか、いかがわしい療法家でも《及第点》を与えてしまう人たちが多いのは困ったことです。自分の心身は自分で守りましょう。数少ないですが、ちゃんとした医師・心理療法家で〈催眠も使える〉まともな人を探した方が無難です。
目安箱バナー