060.共有
「――見えた、あれは……♀ウィザードか……?」
その言葉に、オレの背後で♀セージがびくっと反応するのがわかった。
「……オーケー、ここは私に任せて。ま、あいつのコトだからこんなゲームには乗ってないだろうけど……念のためにな」
一歩前に出ると目を閉じ、問う。
「距離、どれぐらい?」
「――大体50メートルってとこだな……って、何する気だ?」
「――大体50メートルってとこだな……って、何する気だ?」
その問いには答えず、セージは目を瞑り――。
「ファイアーウォール!」
突然、懐かしい声が聞こえたような気がした。
しかし目の前には轟々と燃え盛る炎の壁。
しかし目の前には轟々と燃え盛る炎の壁。
「まだ見えない……もし、あの子だったら……反撃するわけにはいかないわね……」
魔力を集中させる。
開放させるための魔力はなくても、固定するための魔力は幾分か残っているようだ。
自分の身体の周りに、薄く魔力の幕→膜を張る。
これで、多少の攻撃には耐えられるはずだ。
開放させるための魔力はなくても、固定するための魔力は幾分か残っているようだ。
自分の身体の周りに、薄く魔力の幕→膜を張る。
これで、多少の攻撃には耐えられるはずだ。
「……ストームガスト」
最大まで魔力を開放できれば、辺り一面が氷山の一角にでもなるような吹雪の魔法。
だが、魔力を制限されてる今では、目の前の赤く行く手を阻む壁を消すのが精一杯だ。
異常に大きい植物に身を隠しつつ、ファイアーウォールを出した術者を見極めようとするべく前進する。
だが、魔力を制限されてる今では、目の前の赤く行く手を阻む壁を消すのが精一杯だ。
異常に大きい植物に身を隠しつつ、ファイアーウォールを出した術者を見極めようとするべく前進する。
「ああ、やっぱりアナタだったのね」
現れた♀ウィザードが、少し安心したような口調で、そう言った。
「よ。あんたも元気そうで何より」
旧友のような気軽さで話しているのに、何故か目と目の間に火花のようなものが見える。
「……で。とりあえず状況確認。孤独を好むアナタがパーティー組んでるってことは、ゲームには乗ってないってことでいいのよね?」
「孤独を好む、は余計だ。……まぁ、そういうことだがな」
お互いがうなずくと、二人はそっと近づき、顔を近づけて――
「ってちょっとあんたらストップストップ!こんなときに何してるんですか!」
声が裏返ってしまい、息が詰まって咳き込むオレに冷たい二人の言葉が。
「何やってんのあんた?」
「……バカ? ……って言っても、アーチャーが知るわけないもんね、いいわ、教えてあげる。私たちみたいな魔術を使える人は――念魔法の応用なんだけど――自分の脳にある情報を魔力にして他人に伝えることが出来るの……そうね、一般に言うテレパスってとこかしら?」
「……ま、何でこんなことしないと伝えられないのかは未だにわからないがな」
「……ま、何でこんなことしないと伝えられないのかは未だにわからないがな」
ちょっと後ろ向いてろ、と言われて渋々後ろを向くオレ。
後ろからは何故か卑猥な音が聞こえてくる。
何してんだ、と叫びたくなるのを我慢しつつ、その「何か」が終わるのを待った。
「……ふぅ。わかったわ、そういうことね」
二人は酷く汗をかいている。本当に何をしてたんだこいつらは。
「悪いけどあんたが想像してるようなことは一切ないよ」
……心まで読まれるのか。
「あー……いや、そのだな……って、♀アルケミストはどこ行った?」
見回してみると、木陰で眠っているのが目に付いた。
「まったく……暢気なことだ……」
とは言ったものの、神経を集中させていたのでさすがにオレの→も疲れた。
♀アルケミストが寝ている木陰に腰を下ろし、少し目を休ませる。
♀アルケミストが寝ている木陰に腰を下ろし、少し目を休ませる。
「疲れてるなら寝てていいわよ? 私が代わりに見張っててあげるわ」
♀ウィザードにそう言われ、後々のことを考え休むことにし、
「じゃあ……まかせた」
そう言って、オレは眠りへと落ちていった――。