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Yesセット

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匿名ユーザー

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Yesセットは,現代催眠の枠を超えて,一般的なコミュニケーションテクニックとして認知されているように思います.それくらい有名な技法です.

Yesセットは,相手にYesと言わせるための技法です.催眠では,最終的に「催眠に入ってますね?」という質問に「はい」と答えてもらいたいわけですが,いきなりその質問をするのではなく,それまでに比較的に「はい」と答えるであろう当たり前な質問を繰り返します.それによって,最終的に催眠に入ってもらうというわけです.

これは,日常生活でも体験することができます.例えば,あなたが友人と音楽の話をしていて,意気投合しているとします.友人は,あなたに熱く音楽について語ります.あなたは,あなた自身も好きな音楽アーティストやジャンルの話に大きくうなづいています.しかし,友人はあなたの知らないマニアックな話をし始めます.話の中で,知らないアーティストや単語が出てきます.しかし,あなたはそれにたいして,知らないとは言えず,頷いています.良くあることなのですが,それを技法化したものです.

Yesセットは,実のところ現代催眠だけのものではありません.ほぼ同じ理論が,社会心理学の分野で研究されています.それは,ビジネスマンなら一度は聞いたことであろう「フット・イン・ザ・ドア(foot-in-the-door)テクニック」です.このテクニックは,小さい承諾を得ることができれば(ドアを開けてもらえば),次の承諾も得ることができる(商品を買ってもらえる)というものです.Yesセットと似ていると思いませんか?

この二つはとても似ていますが,その説明は違います.Yesセットは,臨床の現場から考えられ,心の傾向というか無意識から考えています.フット・イン・ザ・ドアは,実験をして確かめられています.Yesセットが社会心理学によって証明されたかのように感じるかもしれませんが,Yesセットは残念ながら今もきちんと実験などでは確かめられていないでしょう.

現代催眠の多くの技法は,実験的に確かめられたものではありません.なので,その技法に効果があるかは実はわからないというのが本当のところです.
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