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催眠をする人って妙な全能感を持っていませんか?

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匿名ユーザー

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 半分は演出です。自信なさげな催眠家はクライエントの信用が得られず、クライエントとの間にラポールを築けず、結果として催眠にも失敗する、と信じられているからです。正式なトレーニングを受けていない(独学か同様に正式なトレーニングを受けていない者に習った)催眠術師は、より伝統的な方法である「権威的な」催眠術を用いることが多いので、ますます「なんでもできるぞ」といった感じを人に与えるのかもしれません。

 もう半分は民間療法としての催眠療法がもつ特徴と言えるかもしれません。催眠療法に限らず民間療法は、正規医療のような科学者や公的機関からの裏付け・御墨付きを得られないために、自前でその療法についての「信用」を築き上げなくてはなりません。そのために療法家みずからが療法の原理・方法・効果について、(正規医療を含む)他の療法と比較して自らの優越性を語り、また「治った」「効果があった」元患者からの「体験談」を集めることに努力します(正規医療ではこうした努力はほとんどなされません)。つまり民間療法は正規医療に対して、過剰に自己言及的になります。

 ところで民間療法は、正規医療ほど、技法のレパートリーがありません。多くはほんの1つ2つの方法だけを用いることがほとんどです(催眠療法の場合、催眠下での暗示とトラウマ探しのための退行催眠、の2つだけ、ということが多いです)。民間療法は、正規医療の剰余概念であり、現実的にも正規療法で治らない/満足できない患者と疾患のすべてを引き受け、相手にします(積極的にターゲットにします)。ほんの少しの方法で、無数の疾患を「治せる」と繰り返し主張し続ける訳ですから、「なんでもできる(治せる)」=全能感を持っていると受け取られることも、ありがちな話です。

(くる)
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