71-212『人誅』

※復讐ネタ、閲覧注意!

ハルヒ達に虐めを受けるようになり、二ヶ月。ボロボロになった俺は耐えきれずに身投げをしたが、周防に救われた。
「無茶苦茶やるね、キミは……」
佐々木がリンゴを剥きながら俺に言う。
「ここは……」
「周防さんの家だよ。」
無機質な室内。周防らしい家だ。
「今はゆっくりと休むといい。……キミの身の上の話は聞いている。ここで傷心を癒していくといい。
僕は、いや、僕だけはキミを裏切る事はない。」
暫く周防の家に留まり、その間、佐々木は俺にずっと尽くしてくれた。
月日を重ね、俺が佐々木に心を寄せるのは、当然の成り行きだった。
抱かせてくれないか、と頼んだら、準備があるから少し待つように言われた。
何の準備か気になるが、まぁそれは俺には分からないものだろう。何度もドアが開き、その度に佐々木は少し待つように言う。

ひとりひとり、彼を虐めた人間を追い込む。それが私の決めた復讐。
涼宮さん達を監禁し、周防さんの力により、不可視フィールドと消音シールドと接触不可シールドを展開させる。涼宮さん達は怯えているけど、安心していいよ。命までは奪わないから。
私には彼女らが感知出来るようにしてもらったが、他の人間には感知すら出来ない。お互いすら見えていない。
「キミ達の罰は、キョンから許しを得る事だ。」
涼宮さん達は、一瞬嬉しそうな顔をしたが、事の重大さに気付き真っ青になった。
姿を感知出来ず、声も聞こえない。筆談すら不可。そんな中で、どうやって許しを乞うか。さて、どうやるかね?
無論、私から虐めについてはおくびにも出さない。必要無いからね。私達の未来にそんな話題は。
私は抵抗する彼女らを連れ、キョンが待つ寝室へと向かった。

部屋に入ってきた佐々木は、まるで誰かに見せつけるように俺の口唇を奪う。
佐々木の身体は、どこまでも柔らかくて優しかった。……もう忘れよう。あんな悲しい出来事は。
あいつらを許す事は出来ないが、佐々木と前を向く事は出来る。破瓜の後の涙に濡れた佐々木に口付けし、俺は前を向く事を選んだ。

キョン、眠ったのかい?……ふふ。こんな安らいだあなたの寝顔って、ここに来て初めてじゃないかしら?
ん?何を泣いているの?おかしな涼宮さん達。え?そこに涼宮さん達がいるのか、って?勿論だよ古泉くん。
ああ失礼。お互い見えないんだったね。失言だったよ、すまない。
まぁじっくりと自分達の行いを反省していればいいんじゃないのかな?いずれ許して貰える時が来ればいいわけだしね。
……ああ、それ?キョンの転校手続き。流石に北高にはもう居られないだろうし、新しい生活に逃げるのもひとつの道だから。
そろそろ周防さんの私にかけたフィルターも消えるわね。……ああ、私も当然感知出来なくなるわ。短い付き合いだったわね。ごきげんよう。
……どうすれば許されるか?そうね。せいぜい苦しみ続ければいいんじゃない?

永遠に一人でね。

場に静寂が訪れ、私はキョンの温もりに包まれながら安心して眠った。

END

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最終更新:2013年07月01日 00:55
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