病の呪い ◆BUgCrmZ/Lk
放送が流れる。
配布された名簿に三城愛理沙の名はない。
おそらくどこかで高みの見物を決め込んでいるのだろう。
配布された名簿に三城愛理沙の名はない。
おそらくどこかで高みの見物を決め込んでいるのだろう。
愛理沙が何を考えているのか私にはわからない。
こんな目に合わせされているにもかかわらず、それでも私は愛理沙を切り捨てられないし、愛理沙もきっと私を切り捨てられない。
その共依存といえる関係性は、切り捨てようとしても簡単に切り捨てられるものではない。
私は彼女の望むように、与えられた役割を演じるしかない。
殺人鬼としての役割を、先ほどであった少年を利用して。
その利用すべき少年を窺って見れば、何やら様子が少しおかしいようだ。
こんな目に合わせされているにもかかわらず、それでも私は愛理沙を切り捨てられないし、愛理沙もきっと私を切り捨てられない。
その共依存といえる関係性は、切り捨てようとしても簡単に切り捨てられるものではない。
私は彼女の望むように、与えられた役割を演じるしかない。
殺人鬼としての役割を、先ほどであった少年を利用して。
その利用すべき少年を窺って見れば、何やら様子が少しおかしいようだ。
「どうかした? ひょっとして呼ばれた中に、知り合いでもいた?」
「……いえ、知り合い…………っていうか」
「……いえ、知り合い…………っていうか」
返るのはいまいち歯切れの悪い微妙な反応。
ああ、そういえば、彼はもともと殺人鬼から逃げてきたとかいう話だったっけ。
目の前で殺された誰かの事を思い出していたのだろう。
ああ、そういえば、彼はもともと殺人鬼から逃げてきたとかいう話だったっけ。
目の前で殺された誰かの事を思い出していたのだろう。
「…………それより彼の容態はどうですか?」
露骨に話をそらそうとしている感はあるが、まあいいだろう、追及するほどの話でもない。
彼の言葉通り、現在私は放送前に発見した男を診ている。
もちろんこんな濡れ鼠を診たくて診ているわけではない。
彼にせがまれ、身に着けているナース服をまさかコスプレだと言い張るわけにもいかず、半ば強引に看護を任されてしまったからだ。
彼の言葉通り、現在私は放送前に発見した男を診ている。
もちろんこんな濡れ鼠を診たくて診ているわけではない。
彼にせがまれ、身に着けているナース服をまさかコスプレだと言い張るわけにもいかず、半ば強引に看護を任されてしまったからだ。
簡単にとはいえ、しっかりと脈拍や外傷の有無を確認してしまうのは職業病か。
打撲や裂傷などの外傷が多く、体温の低下も見られるが、命に別状はなさそうである。
体力の低下した状態で水中に飛び込んだため、溺れて意識を失ってしまったようだ。
打撲や裂傷などの外傷が多く、体温の低下も見られるが、命に別状はなさそうである。
体力の低下した状態で水中に飛び込んだため、溺れて意識を失ってしまったようだ。
「そうね、意識を失っているみたいだけど、」
ふと、そこで言葉を切り、眠り続けるクランケの顔を見る。
その無防備さは、ある意味いつもの通りの獲物のそれである。
必然、ふと頭の中をよぎる思考がある。
その無防備さは、ある意味いつもの通りの獲物のそれである。
必然、ふと頭の中をよぎる思考がある。
(試してみようかしら…………?)
何を試すかなど言うまでもない。
スキルカードという名の病を発症させるという力である。
愛理沙の用意したオモチャがどの程度のモノなのか、無防備に眠るこの少年を利用して実験してみるのも悪くない。
スキルカードという名の病を発症させるという力である。
愛理沙の用意したオモチャがどの程度のモノなのか、無防備に眠るこの少年を利用して実験してみるのも悪くない。
だが何が発症するかはランダムというのがいまいち、使いどころを躊躇うところだ。
使えるか使えないかを判断するためにも試してみない事には始まらないのだが。
仮に実際に発症したとして、空気感染などでこちらも感染しては元も子もない。
仕方ないので、少しでもリスクを軽減して、使用するとしよう。
使えるか使えないかを判断するためにも試してみない事には始まらないのだが。
仮に実際に発症したとして、空気感染などでこちらも感染しては元も子もない。
仕方ないので、少しでもリスクを軽減して、使用するとしよう。
「――――少し、危険な兆候が見られるわね」
「危険な兆候、ですか?」
「危険な兆候、ですか?」
深刻な顔をしながら片嶌が問い返す。
よく見ず知らずの他人のためにそこまで深刻になれるものだと関心しながら、そっと眠る青年の頬に触れ『病の呪い』を発動させる。
よく見ず知らずの他人のためにそこまで深刻になれるものだと関心しながら、そっと眠る青年の頬に触れ『病の呪い』を発動させる。
これで成功、したのかしら?
即時発症で潜伏期間はないと思うのだが。
というかそうでないと使い物にならない。
即時発症で潜伏期間はないと思うのだが。
というかそうでないと使い物にならない。
「ええ、ただ詳しい検査をしようにもここじゃちょっとね。
出来れば病院かなにかで検査をしたいのだけど、私一人じゃ彼を運ぶのは難しそうだし手伝ってくれないかしら?」
「任せてください!」
出来れば病院かなにかで検査をしたいのだけど、私一人じゃ彼を運ぶのは難しそうだし手伝ってくれないかしら?」
「任せてください!」
快く引き受けてくれる好青年。
という訳で接触感染のリスクは彼に負ってもらうとしよう。
地図を見て確認したところ、病院は1ブロック隣にあるようだ。
という訳で接触感染のリスクは彼に負ってもらうとしよう。
地図を見て確認したところ、病院は1ブロック隣にあるようだ。
「そうね、病院はそう遠くなさそうだし、急ぎましょうか」
そう言って作り笑顔を浮かべながら片嶌の方を見る。
だが、その片嶌は意識を失った青年を背負ったところで、呆けたような顔をして固まっていた。
だが、その片嶌は意識を失った青年を背負ったところで、呆けたような顔をして固まっていた。
「…………なんだ、あれは?」
こちらに向けられたものではない、思わず漏れたといった風な片嶌の呟き。
誘われるようにその視線の先を辿ると、私も思わず言葉を失った。
誘われるようにその視線の先を辿ると、私も思わず言葉を失った。
そこにはこちらに近づいてくる異様な影があった。
それは見るからにボロボロで、全身が紅い血に塗れていた。
何より目を引くのは、ここからでも見えるほどの大穴が胸に開いており、看護師である私じゃなくても分かるくらいに、生きているのか不思議な容態だ。
いや、その状態でも動けるのは不気味だが、言葉を失った理由はそこではない。
それは見るからにボロボロで、全身が紅い血に塗れていた。
何より目を引くのは、ここからでも見えるほどの大穴が胸に開いており、看護師である私じゃなくても分かるくらいに、生きているのか不思議な容態だ。
いや、その状態でも動けるのは不気味だが、言葉を失った理由はそこではない。
獣の様な角や異様な色をした皮膚。
それが人間と同じ二足歩行で歩いているのが不思議でしょうがない。
それは、人ではなく、まして獣ですらなかった。
およそこれまでの生涯で目にしたことのない生物。
それが人間と同じ二足歩行で歩いているのが不思議でしょうがない。
それは、人ではなく、まして獣ですらなかった。
およそこれまでの生涯で目にしたことのない生物。
それは、魔王としか形容し難いモノだった。
【一日目・朝/F-3ホテル周辺】
【片嶌俊介】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)
【装備】なし
【スキル】『ブレーキ』
【所持品】基本支給品、不明支給品1~3(確認済み)閃光弾×2
【思考】
1.篠田を病院に運ぶ
2.弥音を探す
3.愛沢さんと協力
【片嶌俊介】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)
【装備】なし
【スキル】『ブレーキ』
【所持品】基本支給品、不明支給品1~3(確認済み)閃光弾×2
【思考】
1.篠田を病院に運ぶ
2.弥音を探す
3.愛沢さんと協力
【愛沢優莉】
【状態】健康
【装備】ナース服
【スキル】『病の呪い』
【所持品】基本支給品、不明支給品1~2
【思考】
0.え?なに?(本日三回目)
1.片嶌を利用…したいなあ
2.殺し合いに乗る
3.F-4病院を目指す
【備考】
※ヨグスは実在せず、この殺し合いの黒幕は三城愛理沙だと思っています。
【状態】健康
【装備】ナース服
【スキル】『病の呪い』
【所持品】基本支給品、不明支給品1~2
【思考】
0.え?なに?(本日三回目)
1.片嶌を利用…したいなあ
2.殺し合いに乗る
3.F-4病院を目指す
【備考】
※ヨグスは実在せず、この殺し合いの黒幕は三城愛理沙だと思っています。
【篠田勇】
【状態】疲労(極大)、気絶、何らかの病が発病
【装備】なし
【スキル】『重力操作』
【所持品】基本支給品、フラッシュグレネード×4
【思考】
0.…………
1.殺し合いを潰す為仲間を増やす
【状態】疲労(極大)、気絶、何らかの病が発病
【装備】なし
【スキル】『重力操作』
【所持品】基本支給品、フラッシュグレネード×4
【思考】
0.…………
1.殺し合いを潰す為仲間を増やす
【魔王】
【状態】ダメージ(瀕死)、疲労(極大)、精神不安定
【装備】なし
【スキル】『落とし穴』
【所持品】基本支給品、釣り竿
【思考】
1.篠田と合流
【状態】ダメージ(瀕死)、疲労(極大)、精神不安定
【装備】なし
【スキル】『落とし穴』
【所持品】基本支給品、釣り竿
【思考】
1.篠田と合流
38:エゴイズム | 時系列順 | 39:その手の温もりを |
39:その手の温もりを | 投下順 | |
28:Don't think just feel!! | 片嶌俊介 | |
28:Don't think just feel!! | 愛沢優莉 | |
28:Don't think just feel!! | 篠田勇 | |
29:熱き血潮に | 魔王 |