オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

スリラー

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スリラー ◆BUgCrmZ/Lk


「確認しておくけど、こっちの言ってることはわかるんだよね?」

猪目道司は自分の殺した少女に話しかける。
その声に反応して少女の形をしたなにかはグルリと首を傾けた。

「ほら、ゾンビ映画とかだとゾンビって理性なくなって『あーあー』言ってるイメージじゃない?
 お嬢ちゃんの場合はどうなのかなぁって」

忠実に従うゾンビという実に都合のいい手駒を得たものの、それがどの程度使えるのか把握しておかないと話にならない。
知能がなければ最悪、手駒どころか邪魔になる可能性すらある。

「とりあえず、しゃべれるのかな? だったらおじさん返事してほしいんだけどなぁ」
「――――ええ、言語は正確に理解できます」
「ぉお」

返答がきたこととその声色に驚く。
返ってきた声は元となった少女の声色ではあるのだが、どこか無機質で無感情だ。
機械的、というより昆虫的。それまでの少女らしさは感じられない。

「じゃあ、いくつか聞いておきたいんだけど。
 君は、そのぉ、覚えているのかな。自分がどんな状態なのかとかさ」
「殺害された金山純子の肉体とスキルカード『ものまね』をベースとして、スキル『ネクロマンサー』の力でゾンビとして蘇らせた、といったところでしょうか?」

探るような問いかけに淀みなく答える。
質疑応答くらいならば問題ないどころか、認識は正確すぎるくらいに正確だ。
殺された事すら認識しているのか。

「なるほどなるほど。そこまで覚えているんだね。
 ちなみに誰に殺されたのかとかも覚えているのかい?」

少しの間。
相変わらずの平坦な声で少女は答える。

「私が殺された事を恨んでいるのかもしれないと考えているのでしたら、ご心配には及びません。
 殺されたのは金山純子という個人であり、同じ肉体を有しているというだけで私とは別物です。
 私はあくまで主人(マスター)に従う従者(サーヴァント)ですから、反逆はあり得ません」

マスターと来た。言動には元の人格の影響が見える。
意図を察せる知能もある。最低限の状況判断はできそうだ。
そしてその言葉を信じるならば後ろから刺される心配はなさそうではある。

「記憶とかってどうなってるんだい?
 その子の記憶を君は覚えてたりするのかい?」
「いえ、肉体は共有していますが、脳から情報を引き出すことはできません。
 あくまで私はスキルカードですから、私の見聞きしたことしか把握出来ません」
「じゃあその子を演じることはできない?」

その言葉に少女は切り替えるように目を閉じる。

「ふん。なめるんじゃないわよ。そのくらい余裕よ!」
「ほぅ、こりゃすごいね」

さすが『ものまね』のスキルを基にしたというだけあって、その再現度はたいしたものだ。
世辞抜きで、感心する。
多少の差異はあるのだろうが、おそらく親兄弟でもなければ見分けは付かないレベルだろう。
少なくとも昨日今日出会っただけの関係では違和感も感じないだろう。

「じゃあお嬢ちゃんはそのまま紀夫くんを追ってもらえるかな」
「いいけど、あんたはどうするの?」
「おいちゃんは、別の用事を思い出したんでそっちに行くよ。
 用事が終わったらすぐに追いつくつもりだけど、紀夫くんに関しては――――もう殺せそうなら殺しちゃっていいよ」

手駒は手に入った。
肉壁にしかならないデブなんて今となっては邪魔なだけだ。

それにコレはゾンビのスペックテストも兼ねている。
精神面は分かった、では肉体面は?
よくあるゾンビ映画のようにリミッターがハズレたりするのだろうか。
例えそうじゃなく失敗したとしても、猪目とファンガールもどきの関係性を知るものがいない以上、猪目の悪意が露見することはない。
ファンガールがゾンビになって猪目がそれを操っているなど、まともな発想では想像もつくまい。
露見する可能性としては、ファンガールもどきがゲロった場合くらいのものだが、これまでのやり取りからその心配はなさそうだと判断する。

「わかった。やってみる」

その指示になんの躊躇いもなく応じる少女。
人格をまねていてもその本質はあくまで猪目に従うスキルカードである。

「ああそうそう」

別れ際、思い出したように猪目が言う。

「ところで、お嬢ちゃんの事はなんて呼べばいいのかな?
 純子、ちゃんだっけ? それともファンガール? 『ものまね』ちゃんの方がいいかな?」

■■■■■■■■■■■■■■■■■

「お、あったあった」

猪目が探しもの、それは聖澤めぐるの死体である。

スキル『ネクロマンサー』。
ゾンビを生み出すこのスキルに。必要となるのは肉体となる綺麗な死体と、人格となるスキルカード。
殺害方法も絞殺であるため死体は外傷もなくきれいなモノだ。
まだ死後5時間程度のため死斑も血管外へ出ていない。
更に、都合のいいことにスキルカードを1枚余らせている。
というより、この少女から奪い取ったものなのだから、ある種この少女を動かすには御あつらえ向きだろう。

「返すよ、お嬢ちゃん」

そう言って、スキルカードを少女の死体の上に落とす。
もともと使い道がなさそうなスキルだったし、惜しくもない。

【給仕募集】

このカードをベースにしてこの少女を甦らせる。
指定した相手を忠実な執事・メイドにするだけの能力。
殺し合いに役の立たない能力を支給するとは何の酔狂かと思ったが、こういう酔狂に使うのならば悪くない。

「ちちんぷいぷい、あぶらかたぶらっと」

適当な呪文を唱えると、ビクンと、二度と動くはずのない少女の体が震えた。
赤い唇は青く染まり、元より白い肌はさらに白く。不気味なまでに白い。
可憐な顔はそのままにただ不気味さだけが張り付いている。

ムクリと立ち上がった少女は、両腕でスカートの裾を摘まんで、やうやうしく首を垂れた。

「おはようございます、ご主人様」

【一日目・朝/C-6 林】
【猪目道司】
【状態】健康
【装備】S&W M10(5/6)
【スキル】『未来予知』 『ネクロマンサー』(浸食率0%)
【所持品】基本支給品、不明支給品2~4 、予備弾薬(48/48)
【思考】
1.生き残って自由になる。
2.メイドゾンビと共に、先行したゾンビを追う。

※以下、【ネクロマンサー】によって生み出されたゾンビ
【メイドちゃん(聖澤めぐる)】
【状態】ゾンビ、外的損傷無し
【装備】なし
【スキル】『給仕募集』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本.【ネクロマンサー】所持者に従う。

【一日目・朝/C-5 平原】
【ファンガール・M・J】
【状態】ゾンビ、外的損傷無し
【装備】果物ナイフ
【スキル】『ものまね』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本.【ネクロマンサー】所持者に従う。
1.紀夫の元に向かって殺せそうなら殺す


36:オクティル国物語 時系列順 38:エゴイズム
36:オクティル国物語 投下順 38:エゴイズム
23:ドーン・オブ・リビングデッドを夢見て 猪目道司
23:ドーン・オブ・リビングデッドを夢見て ファンガール・J
04:ヒストリー・オブ・バイオレンス 聖澤めぐる

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