せっかくだから今の内に自殺しとくか ◆HanipoIC3g
クソみたいにツマンナイ授業中はいつも妄想することにしている。
ある日はバイオハザードが発生して世界中がゾンビだらけになる設定で。
ある日は学校にテロリストが潜入してきてなんかすごい力に覚醒した私がそいつらを蹴散らす設定で。
ある日は修学旅行中にバスごと誘拐されてクラスメイト同士で殺し合いを強要される設定で。
気が付いたら私の武勇伝をまとめたノートは百冊を突破していた。
そういえばクラスメイトで殺し合いをする話は何が元ネタだったっけ?
ああ、思い出した。この間読んだ700年くらい前のグロ小説だ。タイトルは確か。
ある日はバイオハザードが発生して世界中がゾンビだらけになる設定で。
ある日は学校にテロリストが潜入してきてなんかすごい力に覚醒した私がそいつらを蹴散らす設定で。
ある日は修学旅行中にバスごと誘拐されてクラスメイト同士で殺し合いを強要される設定で。
気が付いたら私の武勇伝をまとめたノートは百冊を突破していた。
そういえばクラスメイトで殺し合いをする話は何が元ネタだったっけ?
ああ、思い出した。この間読んだ700年くらい前のグロ小説だ。タイトルは確か。
「バトルロワイアル」
◆ ◆ ◆
私には秘められた力がある。だからいつか宇宙人やら異世界の悪魔やらが私を迎えに来るはずだ。
だからついに神のお告げ的な物が脳内に流れ込んできた時は私の時代キタコレという気分になった訳だが。
だからついに神のお告げ的な物が脳内に流れ込んできた時は私の時代キタコレという気分になった訳だが。
「なんじゃこりゃ?」
ファンガール・J(本名:金山純子)は支給された果物ナイフを手にして茫然と立ち尽くす。
選ばれた時空戦士である私に渡す武器にしてはちとしょぼ過ぎではないだろうか。
一体私をなんだと思っているんだろう?ヨグスとやらは何も分かっていない。
これから右も左も判らぬ鵜合の集を覚醒した私が圧倒的な力で薙ぎ倒さねばならぬというのにだ。
選ばれた時空戦士である私に渡す武器にしてはちとしょぼ過ぎではないだろうか。
一体私をなんだと思っているんだろう?ヨグスとやらは何も分かっていない。
これから右も左も判らぬ鵜合の集を覚醒した私が圧倒的な力で薙ぎ倒さねばならぬというのにだ。
「ま、いっか。武器はこれから集めりゃいいんだし。
そういえばスキルカードとかいうのも渡されてたわね。実はこっちが本命だったり?」
そういえばスキルカードとかいうのも渡されてたわね。実はこっちが本命だったり?」
早速確認しようとした時、背後の建物から何やら声がすることに気付く。
今彼女が座っているのは教会の入口の階段。
今彼女が座っているのは教会の入口の階段。
「中に誰かいんのかな?」
こういう場合一時的に手を組むか不意を突いて支給品を奪うかどうするんだっけ?
まいっか。カードよりこっちが気になるからちょっと見に行こっと。
そう思ったファンガール・J(本名:金山純子)は厳かな雰囲気漂う教会の扉を開く。
まいっか。カードよりこっちが気になるからちょっと見に行こっと。
そう思ったファンガール・J(本名:金山純子)は厳かな雰囲気漂う教会の扉を開く。
「―――やれやれ、めんどくさいわねぇ。大体なんで私が参加しなきゃいけないのかしら?」
教会の椅子に腰かけるその少女は何やらブツブツと呟いていた。
長くて黒い髪と真っ赤な瞳。顔には表情というものが感じられずその肌はまるで死んでいるかのように白い。
少し不気味な物を感じたが、殺すにしても相当近づかないといけないので。
長くて黒い髪と真っ赤な瞳。顔には表情というものが感じられずその肌はまるで死んでいるかのように白い。
少し不気味な物を感じたが、殺すにしても相当近づかないといけないので。
「や、君も誘拐されてきたの?」
とりあえず話しかけることにした。
赤い瞳の少女は表情を全く変えず顔だけこちらに向け、ファンガール・Jを凝視する。
赤い瞳の少女は表情を全く変えず顔だけこちらに向け、ファンガール・Jを凝視する。
「………………………………………………………。」
「な、なによ?私の顔になんかついてる?」
しばらくの沈黙の後、少女が口を開く。
「死体がもう少し増えた方が遊びがいがあるし、動き始めるのは中盤辺りからでいいかしらね?」
「……は?」
「むさ苦しいジジイなら可憐にスル―するところでしたけど、
ルックスはなかなかいい、オッドアイとパンクな服装が好印象。なによりとてもやる気に満ちてる。
うん、決めた。あなたがいいわ。あなたにしましょう。」
ルックスはなかなかいい、オッドアイとパンクな服装が好印象。なによりとてもやる気に満ちてる。
うん、決めた。あなたがいいわ。あなたにしましょう。」
「さっきから何言ってんのあんた?死にたい?……げっ!?」
色白の少女が懐から黒く光るものを取り出す。
それはまさしく二十世紀のアメリカの自動拳銃、スミス&ウェルソン。
それはまさしく二十世紀のアメリカの自動拳銃、スミス&ウェルソン。
(クソッ!やる気かだったのかこいつ!?)
少女は腕を上げその銃口を、
―――自分のこめかみに当てて、
―――自分のこめかみに当てて、
「それでは、途中までよろしくお願いします。」
パァァー――ーン。
引き金を引いたのと同時に甲高い銃声が鳴り響き、脳漿を撒き散らしながら少女の体がその場に崩れ落ちた。
【二階堂永遠 死亡】
「…………え?」
ファンガール・Jは突然のよく分からない事態に茫然と立ち尽くす。
初めて会った人がいきなり目の前で自殺したのだ。
まぁそりゃ突然誘拐されて殺し合えとか言われたら恐怖に張られて奇行に走る気持ちも判らんでもないが。
そう自己解決しようとした所で、少女の死体の体の上にひらりと札のようなものが落ちたことに気いた。
初めて会った人がいきなり目の前で自殺したのだ。
まぁそりゃ突然誘拐されて殺し合えとか言われたら恐怖に張られて奇行に走る気持ちも判らんでもないが。
そう自己解決しようとした所で、少女の死体の体の上にひらりと札のようなものが落ちたことに気いた。
「なんだこれ、スキルカード?」
おそらく死んだからセットされていたこの娘から取り外されたのだろう。
ま、いっか。せっかくだし銃と一緒にこれももらっていくとしよう。
早速カードを拾い、名前を読み上げる。
ま、いっか。せっかくだし銃と一緒にこれももらっていくとしよう。
早速カードを拾い、名前を読み上げる。
「―――――スキル【ネクロマンサー】?」
瞬間、カードが光の粒子となってファンガール・Jの体に取り込まれ、
◆ ◆ ◆
「これ実際にやってみたら面白いよね」
クラスメイトの卜部悠がそう言いながら差し出した小説。
私はぱらぱらとページをめくって大まかな内容を把握した。
私はぱらぱらとページをめくって大まかな内容を把握した。
クラスメート同士の殺し合い。 狂う者。 流れていく血。 死にゆく生徒達。
ラストシーンで、積み重ねられた死体がテレビに写されている光景。
ラストシーンで、積み重ねられた死体がテレビに写されている光景。
そして、自分の目的とそれを繋ぎ合わせた。
これは――好都合だ。
これは――好都合だ。
私は小説を悠に返して、そのまま悠の元から離れた。
自分の席に座って――それから、ゆっくりと脳内のプログラム上で計算を始めた。
自分の席に座って――それから、ゆっくりと脳内のプログラム上で計算を始めた。
あの殺し合いを、実際に行うのだ。 今度の修学旅行を利用して。 そして全てが終わった後に死体を回収する。
これなら法や常識なんて関係無くなる。
常識に縛られる必要も無く死体を、しかもあのクラスメート達のものを集めることが出来る
常識に縛られる必要も無く死体を、しかもあのクラスメート達のものを集めることが出来る
まずは、どう生徒達を拉致して管理するかだった。
首輪に関しては問題無かった。
それは私の得意分野だ。
場所も当座修学旅行の日程で、無人島に近寄る時間があったのでどうにか出来る。
しかしどうやってクラスメート五十三人をその島に移すのか?
首輪に関しては問題無かった。
それは私の得意分野だ。
場所も当座修学旅行の日程で、無人島に近寄る時間があったのでどうにか出来る。
しかしどうやってクラスメート五十三人をその島に移すのか?
何か他の手段は無いだろうか。
クラスメート達に気付かれず、尚且つ計画を始めるまで自分が仕組んだことを隠蔽出来る手段。
いつだったか、兄の遺品を探っていた時に出てきた絵本の魔法使いのような――
クラスメート達に気付かれず、尚且つ計画を始めるまで自分が仕組んだことを隠蔽出来る手段。
いつだったか、兄の遺品を探っていた時に出てきた絵本の魔法使いのような――
◆ ◆ ◆
ファンガール・Jはくらくらする頭を押さえながら我に返る。
……なんだ今のは?
私の前世の記憶か何かだろうか?あの小説のような殺し合いゲームの主催者を私がやっていた?
……なんだ今のは?
私の前世の記憶か何かだろうか?あの小説のような殺し合いゲームの主催者を私がやっていた?
「……ま、いっか。」
記憶映像と共にスキルの使い方も理解できた。
どうやら死体と余っているスキルカードを使ってゾンビ兵士を作る能力らしい。
ちらりと自殺した少女を見る。脳漿をぶちまけているこれは正直使えそうにない。
どうやら死体と余っているスキルカードを使ってゾンビ兵士を作る能力らしい。
ちらりと自殺した少女を見る。脳漿をぶちまけているこれは正直使えそうにない。
「地味な嫌がらせか!?」
気を取り直そう。スキルカードはもう一枚あるのだ。後で確認するとしよう。
少女から拳銃と予備弾薬を奪ったファンガール・Jは教会を後にすることにした。
少女から拳銃と予備弾薬を奪ったファンガール・Jは教会を後にすることにした。
◆ ◆ ◆
「上手く行ったわね。」
ファンガール・Jの深層意識の奥で先ほどの少女、二階堂永遠が椅子に座って佇んでいる。
ジョーカーに近い彼女はヨグスから他の参加者とは違う体を与えられていた。
ジョーカーに近い彼女はヨグスから他の参加者とは違う体を与えられていた。
いわゆる「意思持ちスキルカード」である。
「さて、しばらくは高みの見物といたしましょうかね。」
スキル【ネクロマンサー】はにやりと笑う。
【一日目・深夜/B-7 教会】
【ファンガール・J】
【状態】健康
【装備】S&W M10(5/6)
【スキル】【ネクロマンサー】(浸食率10%)
【所持品】基本支給品、不明スキルカード×1、果物ナイフ 、予備弾薬(48/48)
【思考】
1.優勝するか脱出するか、まだ決めてない
2.もう一枚のスキルカードを確認する
【状態】健康
【装備】S&W M10(5/6)
【スキル】【ネクロマンサー】(浸食率10%)
【所持品】基本支給品、不明スキルカード×1、果物ナイフ 、予備弾薬(48/48)
【思考】
1.優勝するか脱出するか、まだ決めてない
2.もう一枚のスキルカードを確認する
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(後編) | 時系列順 | 12:元エージェントはどこへ行く? |
10:馬鹿で……あってくれ。で……電波?り……りょうほーですかあああ~(後編) | 投下順 | 12:元エージェントはどこへ行く? |
ファンガール・J | 21:少女観察記 | |
二階堂永遠 | 死亡 |