オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

Let's communication.

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匿名ユーザー

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Let's communication. ◆W64RXO1Nhg


 俺、加山圓が降り立ったのは砂漠近くの高原だった。
 戸惑いながらも周囲を見渡し、傍らにあった支給物を一通り確認し終えたところで、先ほどの出来事が夢でなかったのだと悟った。

「参ったなぁ」

 夢ではないというのは認識したはいいが、状況は意味不明だ。
 宇宙人が出てきて殺し合えなんて、冗談としか思えないのだが、現実として受け入れるしかない。
 支給された武器を手に取る。
 それは短刀と呼ぶには長く、日本刀と呼ぶには若干短い。

「小太刀、か」

 鞘から刀身を抜き出し確認する。
 竹光などではなく、刃引きもされていない。
 間違いなく真剣だ。
 冗談や酔狂で渡されていいものじゃない。

 真剣を持つのは初めてのことではない。
 俺は、幼いころに両親を亡くし母方の祖父に引き取られた。
 祖父は古くから続く剣術道場を営んでいたが、祖父の子は母しかおらず、時代遅れの道場には弟子もいなかった。
 そのため、これ幸いと祖父は幼かった俺を後継者として徹底的にしごき始めた。

 そして、その一環で精神修行と称してのさせられた真剣での稽古。
 真剣と竹刀では重みが違う。
 単純な重さも当然違うが、意味として大きく違う。
 人に向けることも人に向けられることも、ともに覚悟が必要となる。
 きっとあれは、その覚悟を養うための鍛錬だったのだろう。
 まぁ、それが日常生活にどれだけ必要だったのかは甚だ疑問だが、この状況では役に立つ。
 あの時はジジイの正気を疑ったが、今ばかりはジジイに感謝だ。

 小太刀を腰に差すと、次は荷からスキルカードを取り出す。
 支給されたスキルカードは【五感強化】。
 文字通り五感を強化するスキルだ。

 技能を配布するというスキルカード。
 興味をひかれる話だが眉唾だ。

 …………使ってみるか?

 使うたびに命が削れるような技だったら躊躇っただろうが、五感強化なら"成功した時"のリスクも少ない。
 それに、たとえ偽物だったとしても、いい歳こいてカード掲げて宣言する痛い奴になるだけだ。
 ならば、誰も見てないし問題なかろう。

「よし、それじゃ」

 咳払いを一つ。

「――――――スキル【五感強化】」

 そう宣言するとカードが手の内から消える。
 カードが光に砕け体内に溶けていくようだ。
 同時に立ちくらみのような感覚が襲った。



「ぅ………………!?」

 見えなかったモノが見え。
 聞こえなかった音が聞こえ。
 臭わなかった匂いを嗅ぎ。
 味わえなかった味を味わえ。
 感じなかったモノを感じる。

 感覚が鋭敏すぎる。
 情報の奔流に酔う。

「これは…………慣れるまで少しかかるかもな」

 これは計算外のリスクだ。
 そのうち慣れるだろうが少し気分が悪い。

 吐き気を抑えながら、状態を整える。
 動けないほどではない。
 気分を改め、生まれ変わった視力で改めて辺りを見渡してみた。

 もとより視力は悪くないが、見える光景は別次元の世界だった。
 単純な視力以外にも夜目も強化されているのか、夜にもかかわらず遠くまでハッキリと見える。
 要するに視界の範囲に障害物がない限り大体は見えるということ。
 故に、通常であれば夜に紛れて捕えられないであろう人影であろうともとらえることができた。

 その人影に感じる違和感。
 目を凝らして見れば、その違和感は確信に変わる。

「…………まさか」

 その影は小さく、どう見てもまだ幼い子供だ。
 あんな子供まで参加者だというのか?

「ふざけてる」

 拳を握りしめる。
 あんな小さな子供まで巻き込むなんて
 ヨグスに対しての怒りがわく。
 元から殺し合いなんてするつもりはなかったけれど、残っていた僅かな迷いも消えた。
 徹底的に抗ってやる。
 そう決意を決めた。

 それはそれとて、こんな状況で小さな女の子を一人で放っておくわけにもいかない。
 すぐにでも保護せねばなるまい。
 そう思い、少女に向かって走り始めた。

「おーい、そこの、キミ!」

 ある程度近づいたところで、少女に向かって声をかける
 その呼びかけに、明後日を見ていた少女がゆっくりと振り返った。



 その顔を見て一瞬だけギョッとした。
 振り返った表情はまるで死人のように、色がなかった。
 それは恐怖によるものか、美しい黒曜石のような大きな瞳に光はなく、その顔は凍りついた様な無表情だった。

 だが、よく見れば表情こそないモノの、顔の造形は整っている。というかむしろ滅茶苦茶美少女だ。
 そして、それなりにいいところのお嬢さんなのか、艶やかな仕立てのいい着物を着ている。
 小柄な体格と短く切りそろえられた黒髪と相まって日本人形のような印象を受ける。

 と、気づけば、少女は不思議そうに小首をかしげて、まじまじと自分を見つめるこちらの様子を見てい。
 いかん、勢いよく声をかけたものの、黙りこくっていては意味がない。
 少女に警戒されては元も子もないのだ、動揺を隠し少女の対応に当たらねば
 なんとか敵意がないことを伝えなければならない。

「よし、とりあえず自己紹介。俺は加山圓。秋月高校に通う二年生だ。
 お嬢ちゃんの名前を教えてもらってもいいかな?」

 できる限りフレンドリーな笑顔を心掛け、爽やか青年を演じてみる。
 だが少女は戸惑うように眉をひそめた。
 というか、めちゃくちゃ訝し気にこっちを見ている。

「……あー。警戒させちまったかな? 悪い。
 とにかく、こんなところに一人でいちゃ危ないんだ。
 頼む、俺と一緒に来てくれないか」

 取り繕った青少年キャラをやめて素直に話す。
 自分で言っててなんだが、まるで誘拐犯のようなこと言ってるな俺。
 少女はゆっくりと首を振る。そりゃそうだ。

 どうしたものか。
 ハッキリ言って、子供をあやした経験なんてない、子供の対応なんてわからないぞ。
 というか、この調子じゃ言えば言うだけドツボに嵌りそうな予感しかしない。

 とか思ってる間に、少女が踵を返してこっち無視して歩き始めた。

「あ、ちょ、待って…………!」

 こんな危険な場所をこのまま一人で行かせる訳にはいかない。
 歩き始めた少女の手をつかみ引き止める。

「っ!?」

 パチンと、伸ばした手を強かに弾かれた。

 それはコレまでの少女の印象からは考えられないほどの、強い拒否反応だった。
 少女の体が小刻みに震え始めた。
 光のない目がはっきりと俺を恐怖の対象として捉えている。

 それはこの場による恐怖が影響か。
 元から少女が持っていたトラウマか。
 何がそのスイッチになったのかわからない。
 だが、そんなことは関係ない。


 …………不用意だった。
 保護するどころか、小さな子供を怯えさせて怖がらせて。
 なんてザマだ。

 子供との付き合い方なんて俺は知らない。
 あのジジイはそんなことは教えてくれなかった。

 人間としての在り方。
 人間としての誠意。

 聞き流していた、クソジジイの説教が蘇る。

「すまない。不用意だった。
 不快な思いをさせたのなら謝る。このとおりだ許してくれ」

 深々と頭を下げる。
 相手が嫌な思いをしたのは事実なのだから全力で謝る。俺にできるのはそれだけだ。

「けど、君をこのまま行かせる訳にはいかない。
 キミも聞いていると思うけど、ここは危険な場所だ。
 どんな危険人物が潜んでいるかわからない、一人でいると危ない。
 俺なんかに何ができるかわからないけれど、俺に君を守らせてくれないか?」

 相手が子供だからとか、そんなことは関係ない。
 人間と人間。
 誠心誠意を込めて素直な思いを告げる。

 しばらく頭を下げ続けたものの、少女からの答えはない。。
 聴覚が強化されてる今、その場から離れる足音があれば聞き逃すはずもない。
 動いたような気配もしない。

 ゆっくりと確かめるように頭を上げた。
 少女は変わらずこちらを見つめたままそこにいた。

「……えっと、許してもらえたの、かな?」

 コクンと少女は初めてオレの言葉に頷いた。

「そっか、よかった。ありがとな。
 じゃあ改めて、名前を聞いてもいいかな?」

 仕切りなおしてみたものの、やはり少女からの答えはない。
 困ったように自分の喉を指刺して首を振った。

「…………ひょっとして。しゃべれないのか」

 その言葉に少女は小さく頷く。

「……そっか。悪い、気づかなかったゴメンな」

 気にするな。と言った風に少女は首を振る。


 なにか思い立ったのか少女は突然座り込むと、地面に何かを書き始めた。
 何事かと覗いてみれば、そこにはirohaと書かれていた。

「……イロハちゃんか」

 コクコクと頷く。
 この少女は表情は殆どないが、当然ながら感情がないわけじゃない。
 話せばちゃんとアクションを返してくれる。
 無表情にも慣れれば大した問題ではない。

 何故彼女がそうなったのか。
 それは俺が踏み込むべきところではない。
 俺の役目はこの子を無事、家に返してやることだ。

「よし、イロハちゃん。
 改めて聞くぜ、俺ついてきてくれるか?」

 少女は相変わらずの無表情。
 だけど、一瞬、少女が笑ったような気がした。
 気のせいだったかも知れないが、そんな気がした。

【一日目・深夜/G-5 砂漠近く】

【加山圓】
【状態】健康、過剰感覚による若干の気持ち悪さ
【装備】小太刀
【スキル】『五感強化』
【所持品】基本支給品
【思考】
1.徹底的に抗う
2.イロハを守る

【イロハ】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品×1~2
【思考】
1.マドカに付いていく

12:元エージェントはどこへ行く? 時系列順 14:騎士と姫2
12:元エージェントはどこへ行く? 投下順 14:騎士と姫2
加山圓 22:蛮勇引力
イロハ 22:蛮勇引力


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