モナー小説掲示板ログ保管庫@wiki(´∀`*)

Sky cat  Ж空に憧れた猫Ж (飛ぶ猫)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集




プロローグ 




『旅立つ魔法は…… 夢だけじゃない』

『身を任せたなら… いつの間にか、二人だけの呼吸……』

   …世界には必ず空がある…

   …地に生きるものは、いつか… 空に憧れる…

   …空を自由に飛びまわる鳥のように…


 Ж S k y c a t Ж

空は今、夕焼け空になっている。

街は子供たちが遊びから自分の帰る場所に戻ってゆく。

でも、帰る場所があっても… 行きたい場所はいくつもある。

あの空もその一つだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

街にある丘にのぼっている青い猫。

その青い猫は丘の上で夕焼け空を見上げ、両手を広げてみる。

「両手を広げても… 空は飛べない…」

青い猫は両手を下げ、丘に立っていた木に背をよせ座る。

「空…… いってみたいな…」

これが青い猫の口癖だった。

うつむいた青い猫の目の前に一匹の猫が手を差し伸べる。

桃色のその手はぬくもりを感じられるようなやさしそうな手だ。

「しぃ……か」

桃色の手を差し伸べた猫は手と同じ色の猫、『しぃ』だった。

「こんなところで何してるの?」

「べつに…」

しぃの問いかけに青い猫はうつむいたまま答える。

そして、しぃの手を掴み立ち上がる。

「どうしたのよ、あらたまっちゃって」

「空に……」

青い猫は間を少し空ける。

「空にいってみたいんだ」

青い猫はそう言うと、空を見上げた。

青い猫の顔つきは、何だか悔しそうだった。

その顔つきを見たしぃは何を思ったのだろうか…。



第一章   Ж空を舞う鳥のようにЖ


カチッ… カチッ…と、時計の針が止まらず動いている。もうすぐ午前0時になるころだ。

普通、この時間に起きている人は、ほぼいないのだろう。

でも、青い猫は目をパッチリと開き、部屋の窓から空を見上げていた。

空は真っ暗になっている。暗闇の空を照らす月の輝きも、暗雲に阻まれていた。

そして、時が流れていく……。

だが、青い猫は眠れないまま、空を見上げていた。

空に一筋の光が差し込む…。しかしその光は月の光ではなかった。

太陽だ。

さきほど、空を見上げていたときから何時間たったのだろうか…。

時はおそろしいものだ。

時は経っていなければ長く感じてしまう…。でも、時が経つと短く感じてしまう…。まるで人をからかうように時は流れている。でも… 時が経っても、あの空に舞う事は無いだろう。

青い猫には空に舞うための翼など生えてこないということを知っている。だが、歩く事は知らずにできた。これが『本能』というのだろうか。

人や猫は歩くことを知らないまま、時に流され歩けるようになる。鳥は飛ぶことを知らないまま、時に流され大空を舞う。

でも、青い猫は鳥に生まれたかった。

鳥になって、自由な大空を舞い、飛んでいきたい…。

しかし、それはただの空想に過ぎない。

すでに猫として生きているから、猫の生き方をしなければ神様から授かった命が無駄になってしまう…。そう思い続けた青い猫。

鳥もきっとそうだ。

鳥の中でも、陸を歩き続けたい…。と、思っている鳥もきっというだろう。

でも、運命には逆らえない。

青い猫は猫として生きるしかなかった。

外の夜明けに目を閉じる青い猫…。その姿は、まるで運命に目を背くような姿だった。

(あきらめるしか無いのか……)

青い猫は目を開き、窓に背を向け、短い眠りについた。

青い猫は眠りの中で空を舞う鳥になった夢を見る…。

その時の青い猫は笑顔で幸せそうだった。




第二章  Ж時間という名の可能性Ж



ジリリリッ…と、目覚まし時計が部屋に鳴り響く。

青い猫は空を舞う夢が覚めてしまい、少し落ち込んでしまった。

でも、夢は現実とは違う…と、キッパリ決め、いつものように学校に向かう。

青い猫は今、小学五年生だ。

小さい頃の夢は、いつも「空に行くこと」だった。

皆からはバカにされたり、そそのかされたりした。

でも、青い猫は空に行くことをあきらめたことは無かったが…。

(結局…、夢は夢なのか…)

青い猫は現実を見出していた…。

その時、十字路に差しかかった時だった。

急に青い猫の目の前に猫が飛び出してきた。

「おはよー、元気してる?」

「昨日会っただろ…、俺は元気だぞ。」

飛び出した猫は『しぃ』だった。

「うそでしょ、今の答え。」

しぃは青い猫の答えに納得がいかないようだ。

「本当だって、元気だよ。」

青い猫がしつこく言っても、しぃは疑い続ける。青い猫の顔はまるで精気が失われているようだった。

その時、しぃはある事を思い出した。

「ねぇ、時間はまだあるんだし、よかったらついて来てくれない?」

「えっ?」

「いいから、いいから。ねっ?」

そう言うと、しぃは青い猫の手を握り、あの丘に向かった。

青い猫は無言のまま、しぃに連れられていく。

その間、一度、空を見上げた。

空は雲一つ無い快晴だった。眩しい太陽も見える。

(空……)

青い猫は空とはなんなのか考え始めた、といってもほんの少しの間だけだ。

(空は見えていても届かない世界だ…、この空をしぃと一緒に走っていけたら…、どれほどうれしいだろうな…)

青い猫は、しぃとつないだ手を見る。この繋ぐ手と手だけで…、あの空にどれほど近づけるだろうか…。

そんな事を考える内に、あの丘に辿りついた。

あの時と違って、今は蒼い空が見えている。

(蒼……、俺と同じか…)

そう、青い猫の名前は蒼(ソウ)、親が青にちなんでつけた名前だ。

あの青空のように曇り一つ無く、育って欲しいという願いもある。

(俺は空と同じ名前なら……空にいくこともできるかもしれない…)

根拠のない理屈で自分の夢を壊さないようにしている蒼だった。


第三章  Ж大空へのキップЖ




あの丘に来た二人、でもこんなところに蒼を連れてきたしぃは何を考えているのだろう。蒼は、いつものように空を見上げる。ここに来ると、空を見上げずにはいられないようだ。それほど大空に行ってみたいのだろう。

蒼としぃは丘に生えてる、一本の木に背をよせ座る。そして、二人は空を見上げる。

「こんなところで何をする気だ?」

蒼は空を見上げながら話しかける。しぃも空を見上げたまま話す。

「そろそろ来るわよ。」

蒼は空を見上げたまま、しぃの言っている何かを待った。

と、その時だ。蒼の見上げていた空に大きな影が覆いかぶさる。その影は蒼としぃの上空を飛んでいく。そして、遥か彼方を目指して飛んでいった。

(あ……)

蒼は口を開けたまま、飛んでいく何かを見届けていた。長い間の後、蒼はしぃを見る。しぃは満足そうに笑っていた。

「何なんだよ……あれ。」

「最近できた『飛行機』っていう乗り物だよ。今日、この街の上空をテスト飛行で飛んでいくってテレビでいってたよ。」

「…………」

しぃはこの街の上空といっているが、あくまで推測だった。テレビでは飛行ルートしか表示していなかったからだ。そのため、この街の近くに飛ぶ事はわかっても、街からでは見えないと思い、丘から見ることにしたのだった。しぃは飛行機が見えなかった場合、どうするつもりだったのだろうか。

「これだ……」

「え?」

蒼は何を考えたのか、丘を走り降り家に向かって走り続けた。その様子を見ていたしぃはまさかと思い、蒼を追いかける。

しぃは蒼を追いかけたが、途中で見失ってしまった。もう学校は始まっているだろう、それなのに蒼は一体どこにいってしまったのだろうか。学校にいっているのかもしれないが、飛行機を見た後の蒼は何かを思いついた様子だったので、学校にそのままいくことはないだろう。

だとしたら……どこに……。

(とりあえず……蒼君の家に寄ってみよう……)

しぃは蒼の家に向かって走り出した。

中断


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー