オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

なんだお前か

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匿名ユーザー

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なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk


どうも、秋月高校二年一組、出席番号11番、加山圓です。
今現在、森の中にいます。

スキルにより強化された視力で目撃した、遠方で行われる人智を超えた乱戦に巻き込まれないよう、人気のない森を進んでいた。
朝露に濡れる森は深く、吸う空気が濃く感じる。
網目のような枝葉に光が遮られ、空はいまだに薄暗い。
地には木の根が貼り巡り、足場も凸凹が多く歩くだけでも非常に困難だ。
暗くとも夜目遠目がきく俺はともかく、まだ年端もいかないイロハちゃんには厳しい道程だろう。

「イロハちゃん、足元の木の根っ子とかに気をつけてね」

そう促すと、イロハちゃんはこちらの言葉に素直にコクリと頷いた。
だが、こちらの心配を他所にスイスイと危なげなく獣道を進んでゆく。
あれ? ひょっとしたら俺より森歩き上手いんじゃないか?

「…………イロハちゃん、少し止まろう」

最初に感じたのは、臭いだった。
おそらく今の自分以外なら気が付かないほどの微臭。
風に運ばれて微かに香る鉄の臭い。

この先で何か起きている。

どうする?
進むか戻るか。決断を迫られる。
どちらにせよ、ひょっとしたらこの場に安全な場所など無いのかもしれない。

ならば、何があったか調べるべきか。
この状況で情報に取り残されるのは死に繋がる。
慎重さも大事だが、時に大胆な行動も必要になるだろう。
なにより、この能力は斥候には適している。
相手に視認されるよりも早く、状況を捉えられるはずだ。

とはいえ、この先を調べるにしても、イロハちゃんを連れて行くわけにはいかない。
ここに一人で放っておくのもそれはそれで危険だが、辺りを確認する限り危険はなさそうである。

「イロハちゃんここで隠れて待っててくれるかな?
 すぐに戻るつもりだけど、もし何かあったらすぐに逃げるようにね」

何の疑問なく俺の言葉に頷くイロハちゃん。
ひとまず、発見されづらそうな木の陰にイロハちゃんを残して。
俺は一人、異臭の元を調べるべく、森の奥へと進んでいった。

■■■■■■■■

周囲を警戒しながら深い森を進んでゆく。
先に進むたび、徐々に匂いが濃くなってゆくのがわかる。

だか何かおかしい。
血は香るものの、その血を流しているであろう人影がどこにも確認できない。
確認できるのは各所にまだらに撒き散った血液だけである。
誰かが傷を負わされ、どこかに逃げ去った跡だろうか?

なにか悪い予感がある。
今すぐ引き返すべきだと思う心と、だからからこそ何が起きているのか知らなければという心がせめぎ合う。
明確な判断がつかないまま、足は誘われる様に前へ進む。

そこにあったのは、ぶちまけたような赤だった。
だが、そこに死体はなくその代わりに、拳大の塊のようなものがゴロゴロと転がっていた。
それがなんであるかを認識した瞬間、眩暈のような吐き気を覚えた。

「……………ぅ」

口元を抑える。
撒き餌のように広範囲にばら撒かれたそれは、バラされて砕かれた『人間の破片』だった。
これは酷い。
なぜこんな事を、ここまでする必要がどこにある。
ただ殺すだけなら、ここまでする必要はどこにもない。
とても人間の所業とは思えない。
いや、野生動物でもここまで食い散らかすことはない。
私怨か。それとも単純に異常者か。
いや、

(撒き餌…………?)

ふと、先ほどの自分の発想に疑問を覚える。
瞬間。空気がひりつくような微かな違和感を肌に感じた。
そして遠方から聞こえた僅かな音。

その違和感に従い、躊躇うことなく全力でその場を飛びのいた。
同時に、炸裂音の様な雷鳴が轟き、それまで自分がいた位置を紫電が切り裂いた。

襲撃だ。
死体を撒き餌として、注意をそらすと共に、それに怯んだ瞬間を狙い打つ。えげつなさすぎる罠。
五感強化で触覚と聴覚が強化されていなければ、俺も気づくことすらできず丸焦げになっていただろう。

飛び退きざま、雷撃の射線上に襲撃者の姿をとらえる。
襲撃者はこちらに近づく気配を見せない。
その場から雷で射殺すつもりなのだろう。

敵は雷を操るのようだ。
雷を操るなど常識で考えればあり得ない話だが、この場においてはそれを可能とする理屈を知っている。
『雷使い』、そういう”スキル”か。

だが、こちらとしてもそう簡単にやられるつもりは毛頭ない。
徹底的に抗ってやると決めたんだ。

容赦なく続けざまに放たれる雷撃を紙一重ながら躱してゆく。
もちろん、ただの勘で躱しているという訳ではない。
そもそも雷速で放たれる雷を何の根拠もなく躱せるはずもない。
ただ、俺にはこれから雷が辿るであろう軌道が”何となく”わかるのだ。

俺自身、雷について詳しいわけではなく、これは学校の科学教師が雑談がてら話した内容なのだが。
本来空気は電気を通さない。
そのため、落雷には空気を変質させ、雷の通る道筋を作る過程が必要となる。
それをなすのが先行放電(ステップトリーダー)と言われるもの。
その先行放電で作られた道筋を辿って初めて落雷電流(リターンストローク)は地面に落ちるのだ。

先行放電の速度は落雷電流の約1000分の1。
もちろん、それでも人間の目では捉えられない速度であるのだが。
しかし今なら、その瞬きにも満たないその瞬間を捉えることができる。
五感強化によって強化された動体視力はその一瞬を見逃さない。

つまり今の俺は、雷を避けられる。

これで幾度目か、雷を躱し続けるこちらに対して、相手は遠距離では埒が明かないと判断したのか。
遂に襲撃者が姿を現し、距離を詰めてきた。

矢のような速さで地を駆ける襲撃者。
片手には抜身のサーベル。
駆ける勢いをそのままに振りぬかれた一撃を、小太刀の腹で受けとめる。
そして衝撃を殺すように手首を返し、後方へ刃を捌く。
刃をいなされた襲撃者はそのまま後方へ駆け抜け、すぐさましなやかに身を翻しこちらに向き直った。

真剣を片手に対峙する。
互いの距離は2間にも満たない。
既に間合いである。

「――――――ふぅ」

呼吸を一つ。
焦るでもなく、まずは心を整える。
生憎と、真剣を突きつけられるのには慣れている。

まずは冷静に、敵を図るように見つめる。
年の頃は思ったより若い。
顔つきからして日本人ではないようだ。
目つきは鋭く、それでいて泥の様に濁って光が見えない。
そして口には歪んだ笑み。

その笑みのまま、敵が動いた。

眉間。首。心臓。
同時に放たれた突きは三つ。
狙いは正確すぎるほどに正確。
一片の躊躇もなく殺しにかかっている。

だが、こちらもそう簡単にやられはしない。
高速で放たれたその全てを見切り。
眉間を狙う一撃を躱し。首を狙う一撃を弾き。心臓を狙う一撃を小太刀で受けとめた。

身体能力も高く、有段者並の技量はある。
確かに強い。
確かに強いが。
敵わないというほどの絶対的な差は感じない。

視力強化により敵の太刀筋がすべて見えているというのも大きいだろう。
何より、ジイさん程の腕ではない。
ジイさんに鍛えられた読みと、この場で得た動体視力があれば、十分に対応はできる。
もっとも、それも剣術だけに限定するならば、だが。

「っ…………ぁ!」

受け止めた刃を通して雷撃が来た。
そんなことも出来るのかと驚愕する。
だが、大した威力ではない、おそらくは隙を生むための牽制だ。
その隙を突かれぬよう、咄嗟にバックステップで距離を取った。

だが、敵はその距離を詰めるでもなく、片腕を軽くこちらに突き出す。
また雷を放つのか。
そう思い、発動の瞬間を見逃さぬよう目を見張るが、そうではなかった。

放たれたのは閃光だった。

なんて奴。
こちらが眼がいい事を察して、速攻で潰しにかかってきた。
凝視してたのが災いした。
眼を焼かれる程の強力な光ではないが、一瞬視界を奪うには十分だった。

そして、雷とは違うスキルを使ってきた。
それはつまりこいつは複数のスキルを持っている。
おそらくは殺した相手から奪っているのだろう。

もちろん視界を奪われ無力化したその隙を逃すはずもない。
獲物を確実に仕留めるために敵が迫る。
絶体絶命の状況。
だが、次の瞬間響いたのは、肉を切り裂く音ではなく、甲高い金属音だった。
腕に感じる衝撃で、状況を確信する。

―――防げだ。

視力ではなく聴覚を頼りに足音でタイミングを測った。
そして首か心臓を狙うだろうという予測を基に、防御した結果だ。
攻撃位置の予測が外れたら、聴覚が強化されていなかったら、どちらでも命はなかっただろう。
実力というより、殆ど運だ。
何より視界を奪われたことに混乱して判断を誤っていたら終わっていた。

今になって日常的に行われていたあの時代錯誤な訓練の意味を理解する。
常に平常心を忘れるなということか。
そのおかげか、未だになんとか平静を保っている。

とは言え、何度も使える手段ではない。
追撃に対応するため、無理矢理にでも目を開ける。
わずがに霞むが見えないってほどじゃない。
だが、霞む視界で捉えた敵は何故か動くでもなく、興味深そうにこちらを見つめていた。

「………………ハ、」

放つ殺気の量は相変わらず。
だが、その質が変わる。

これまでの狩るだけの獲物を見る気配とは違う。
雷撃を躱し、剣戟を防ぎ、奇策すら防ぎきったこちらを戦うべき敵として認識したのだ。

「ハッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――――!!」

初めてその声を聞いた。
肌が泡立つ、全身を痺れるような圧倒的な悪寒が奔った。
こちらの覚悟を上回る、圧倒的な殺意。
それは、これまでの非ではない。

何の前触れもなく、敵が動いた。

瞬きの間に距離を詰め、同時に放たれた突きは五つ。
先ほどの三段突きに比べると狙いは散漫。
だが、圧倒的に――――速い!

一つは外れた。一つは躱せた。
一つは肩口を、一つは脇腹を掠めた。
最後の一つを何とか小太刀で受け鍔迫り合いとなった。

なんて速さ。
動きが明らかに変わった。
目では追える。
目では追えるが、完全には躱せない。
防御に適した小太刀で、防御に専念しても、それでも、キツイ。
そんな、ことが。

奥歯を食いしばり、竦みそうになる心を奮い立たせる。
冷静に考えろ。
これまで手加減していたとかならともかく、そんな簡単に人間が強くなるなんてありえない。
なら、相手のやっていることは単純だ、防御を捨てて攻撃しているだけだ。
逆に言えば、今が勝機である。
相手の防御は手薄、カウンターを叩きこむチャンスだ。

最も、それも相手の猛攻が防ぎきれればの話だが。

敵の勢いは止まらない。
乱暴なまでの強引さで鍔迫を弾くと返す刃で首を薙ぐ。
上体を反らしてその一撃を避けるが、横薙ぎの勢いのまま反転した相手の後ろ蹴りを喰らい吹き飛ばされた。

「ぐッ!」

吹き飛ばされた体制をすぐさま立て直す。
そして相手から視線を外さぬよう、前を見た。
その相手は、こちらに向けてまた先程のように腕を突き出していた。

雷か光か。

雷なら目をそらせば死ぬ。
光なら目をそらさなければ死ぬ。
敵は、手の内が明らかになったことを利用した究極の二者択一を迫る。

判断に窮した俺は全力で後方へ退いた。
それはひとまず距離を取るだけの、逃げの選択だ。

次の瞬間。放たれたのは閃光。
一面が白に染まり、一瞬、敵の姿を見失う。

先と同じく、音を追おうとするが――聞こえない。
どこからも、足音がしない。
この異常聴覚をもってしても、周囲の環境音以外、何も聞こえない。
完全に消えた。

だが、そんなことはありえない。
足音が聞こえないというのならば。
考えられる可能性は、その場を動いていないか、それともう一つ。
空中を進んでいるかだ。

「上か…………!」

その予測通り、光が晴れ、見上げた先には、今にも剣を振り下ろさんとする襲撃者の姿があった。

――――読みきった。

こちらが視覚以外にも聴覚で相手の一を察している事を悟り、その索敵方を回避したのは見事だろう。
だが、跳躍し落下するその状態では身動きは取れず、こちらの攻撃を回避することは不可能。
千歳一遇の勝機である。

「ぅおおおおおおおおおおおおォ!!」

躊躇いを消すように叫んだ。
ここで躊躇えばすべてが終わる。
振り下ろされる刃を半身になって躱し、突きを放つ。
相手を殺す覚悟を持って、狙うのは決して避けれない胸元の中心。

突き出した刃が、敵の胸元を突き破る。
肉を喰い破り、傷口からは、血が噴き出し、






【<<]巻き戻し】






物理法則すら無視して落下する体が”巻き戻る”。
それだけではない、わずかに噴き出した血液も体内に戻り、傷口も消えた。
同時に、確かに肉に食い込んだはずの刃が空を穿った。

言葉を失い、唖然とする。

これはスキルか。
これもスキルか。

空ぶった突きの勢いを殺せず、足が滑った。
なんて不運。
いや、いくらなんでも、これはない。
この程度でバランスを崩すような、そんな生ぬるい鍛え方はされていない。
こんなタイミングで、こんな不運は出来過ぎだ。
ありえない。

何らかの意趣返し。
与えられたダメージを別の形で返すスキルか。

またスキル。
こいつは、いったい幾つスキルを持っている?
こいつは、いったいこの場で、何人殺している?

巻き戻りが完了し、元の地面に着地した敵が迫る。
勝負は、相手がこちらに辿り着くまでに体制を立て直せるか否か。
だが、それ以前に、心が折れそうになる。

強すぎる。

体術だけではない。
幾多のスキルを持ち。
そのスキルを既に使いこなしている応用力。

―――――こんなヤツ、いったい誰が勝てる?

体制が崩れたこちらに、一片の容赦もなく『死』が迫る。
迷いなく迫る死神の影。
だが、瞬間。

それ以上に信じられないものが、視界に飛び込んできた。

何時の間にそこに来たのか。
己と敵と結ぶ直線上に、小さな影が立っていた。
目を引くような鮮やかな着物に、短く切り揃えられた艶やかな黒髪。
そして凍りついたような色のない黒い瞳。
見間違いようがない、イロハだ。

イロハが己と殺人者の間に、立ちふさがるように立っていた。

この相手が女子供であっても躊躇うはずがない。
確実に作業のようにあっさりと首を跳ねるだろう。

死ぬのか。
また、死ぬのか。
俺の目の前で。
俺を庇って、また誰かが死ぬのか。
両親のように。
こんな小さな子が。


冗談じゃない。


「ぁああああああああああああ!!!」

崩れた体制のまま、前に出る。
逃げるのではなく、少女を救うべく前へ。

だが、間に合わない。
敵はあまりにも早く。
俺はあまりにも遅い。

凶刃が少女に迫る。

「やぁめろおぉぉぉぉぉ――――!!」

悲鳴のような叫び。

そして、




「―――――――――なんだ、お前か」



■■■■■■■■



「…………………………」


座り込んだまま呆然としていた。
立て続けに起こった事態に、理解が追いつかなかった。

止まることなどないと思われた凶刃は、少女の首筋に触れた辺りでピタリと止まった。
その手を止めた狂人は殺し合いの間ずっと張り付かせていた笑みを消して、つまらさそうに『なんだお前か』と呟いた。
そしてそのまま、睨むようにイロハと見つめ合うこと数秒。何も言わずに踵を返し去って行った。

何故奴が立ち去ったのか。
イロハちゃんとの関係はなんなのか。
というか何故イロハちゃんがここに。
そもそも何なんだアイツは。
疑問は幾つもある。

様々な疑問を込めた視線でイロハちゃんを見る。

「?」

可愛らしく首を傾げるイロハちゃん。
いや、ここでそんな顔されても困るんだけど。

「あー、まぁいいや。イロハちゃんは俺の命の恩人なことに変わりないしな」

あそこで彼女が現れなければ確実に死んでいた。
それだけは確かな事実だ。
今頃になって震えが来る。
あの死の嵐に出会って生きながらえていること自体、奇跡としか思えない。
北で戦っていた奴らとイイ、本当に化け物だらけだ、この場所は。

しかし、今はとりあえず。

「…………疲れたぁ」

緊張の糸が解けて力抜ける。
とりあえず今は、休息がほしい気分だった。

【一日目・早朝/E-7 深い森】
【加山圓】
【状態】疲労、全身に細かな切り傷、過剰感覚による少々の気持ち悪さ
【装備】小太刀
【スキル】『五感強化』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本:徹底的に抗う
1.休みたい
2.イロハを守る

【イロハ】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品×1~2
【思考】
1.マドカに付いていく

【一日目・早朝/E-7・深い森】
【オーヴァー】
【状態】左頬にダメージ
【装備】サンダーソード、ヘルメット
【スキル】『剣技』『平賀源内のエレキテル』『雷剣士』『魔弾の射手』『<<]]巻き戻し』『光あれ!』『復讐するは我にあり』
【所持品】基本支給品、デザートイーグル、金属バット アンドロメダ星マジカル消臭スプレー、金槌、不明支給品×0~1(愛子)
【思考】
1.この場にいる全てを皆殺し
2.最後にヨグスも殺す


30:転校生 時系列順 32:邂逅か、それとも
30:転校生 投下順 32:邂逅か、それとも
22:蛮勇引力 加山圓 38:エゴイズム
22:蛮勇引力 イロハ 38:エゴイズム
26:目まぐるしく回る事態 オーヴァー :[[]]

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