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モナーのカクテルパートナー (持知)

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

元ネタ原作:蒼◆ozOtJW9BFA 氏(現在のトリップは◆t18Ejs1VbI)

元ネタ保管先:ttp://monadowa.s14.xrea.com/cocktail/index.htm


・読む前に・

この話は基本的に元ネタベースですが、少しアレンジを加えている部分もあります。

その点を、あらかじめご了承頂いた上で読んで下さいね。

あと、番外編の「フサギコ旅行記」は今のところ書く予定はないのであしからず。

あくまで本編だけです。









第1話:「カンパリオレンジ」



僕の名前はモララー。

お酒が大好きな、今をときめく新聞編集者だからな!

ところでさっき友達からカンパリのミニボトル貰っちゃったんだよね。


「これどうするかな…」


僕は手の中の小さなボトルを見つめた。

カンパリと言ってもミニボトルだから、そんなに値段は高いものではない。

コンビニなら500円前後で買える代物だ。

でも、ストレートで飲むのは何だか勿体ない気がしてならない。


「そうだ、これでモナーにカクテル作って貰おう!」


僕の親友であるモナーは、プロのバーテンダーを目指して修行中の見習いだ。

見習いとはいってもかなりの腕前で、そんじょそこらのバーテンとは訳が違う。

僕は時々酒を持って彼の家に押しかけては、色々なカクテルを作って貰っている。


「モナーの作るカクテルは最高だからな。今から楽しみだ♪」


鼻歌を歌いながら、僕は意気揚々とモナーの家に向かった。





モナーの家は鍵が開けっ放しだった。

このご時世に随分無防備な生活をしているなと思ったけれど、それもまた彼の心が広いからなのだと、僕は受け止めている。

部屋に入ると、彼は一人でぼんやりとテレビを見ていた。


「モナー!! カンパリベースで何かカクテルを作って欲しいからな!」


僕が呼ぶと、モナーは無言で振り向き立ち上がる。

…とても嬉しそうな顔だ。

モナーはカクテルを作るのが大好きだから、僕がこうして注文すると、いつも嬉しそうにその注文を受けてくれる。

そのまま彼に手招きされ、キッチンへと入った。


「今日は何のカクテルを作ってくれるんだい?」

「じゃあ、一番有名な『カンパリオレンジ』を作ってみるモナ」


彼の手元には愛用のシェイカーが置かれている。

かなり使い込んでいるものらしく、あちらこちらに傷がついていた。

モナーはそれにカンパリを少し注いだあと、オレンジジュースを入れてステアし始めた。


「あ、モララー。悪いけどグラスに氷入れといて欲しいモナ」

「了解。ところでモナー、それって僕でも作れる?」

「簡単モナよ。今みたいにカンパリを30~45mlほど入れて、オレンジジュースも一緒に入れるモナ。後はステアして完成モナよ」

「へぇー、今度家で作ってみるからな」


モナーはしばらくステアした後、シェイカーを開けて中身をグラスに注いだ。


「さ、出来たモナ。レモンジュースを少し垂らしても美味しいモナけど、そこら辺はお好みだから大丈夫モナ」


テーブルに置かれたグラスは、部屋のライトに反射してキラキラと輝いている。

正直、とても見習いのバーテンが作っているものには見えない。

僕はグラスを片手に持つと、モナーと乾杯して一口飲んだ。


「…美味しいね! オレンジとの組み合わせが凄い合ってるよ! 少し苦み走った大人の味って感じだね。色も綺麗だし」


僕が心からの感想を言うと、モナーは少し頬を赤らめて、照れたように笑った。


「えへへ、気に入って貰えてモナも嬉しいモナ。これ以外にも、カンパリとグレープフルーツ果汁にトニックウォーターを加えた

『スプモーニ』っていうカクテルもあるモナ。そっちは今度作ってあげるモナね」

「うほっ、楽しみだ♪」


僕もカクテルは作れるが、モナーほどのものは作れない。

だからいつもモナーのところに行って、わざわざカクテルを作って貰うのだ。

今度はどんなカクテルを作って貰おうか。

それを考えるのも、今の僕にとっては密かな楽しみとなっている。


僕とモナーとカクテル。

それが、今の僕の毎日だった。










第2話:「ホットカウボーイ」



しばらくして、僕の住むスレにも冬がやってきた。

いつものようにモナーの家へ行ってカクテルを作って貰おうかと思ったけれど、たまにはがいしゅつもいいな。

僕は家に籠もってばかりのモナーを連れ出し、散歩に出た。


「モナーはいつも家に籠もり杉だよ。家から出る時と言ったら、バーへ仕事に行く時と食事の買い物に行く時ぐらいじゃないの?」

「そんなことないモナよ。お酒を買いに行く時もがいしゅつしてるモナ」

「…お前なぁ…」


僕が思わず頭を抱えた時、急に強い木枯らしが吹いた。

冷たい風は容赦なく僕の体温を奪い、震え上がらせる。


「まだまだ寒いモナね…」

「うん、全くだよ」


僕らと同じ道を歩いている人は誰も居なかった。

自分達以外誰も居ない通りは、物寂しさを感じさせる。

それが余計に感じる寒さの度合いを助長してしまっているのかもしれない。

僕は何とかこの気持ちを振り払おうと、大手を振って言った。


「こんな時こそ、お酒だよな!!」

「…何でモナ…」


全身から独特のオーラを発して同意を求める僕を呆れた目で見ながらも、モナーは「お酒」という言葉に少しだけ微笑んだように見えた。

やはり、カクテル好きの性なのだろう。

僕はその先を続けた。


「暖まるカクテルっていうのは無いの?」


この質問に、モナーは視線を上に向けて考えるようにしながら答えた。


「…えーっと…『カウボーイ』とかどうモナ?」


それは僕が聞いたことのない名前のカクテルだった。

きょとん、としている僕に苦笑いして、モナーは話を続ける。


「元々はアイスなんだけど、温めて『ホットカウボーイ』にするモナよ」

「美味しそうだね! レシピ教えて、レシピ!」


目をきらきらさせて迫る僕に、モナーは快く頷いてくれた。


「良いモナよ。まずはウイスキー40mlと、温めた牛乳を適量用意するモナ。あとはシェイカーに注いで、ステアすれば完成モナ」

「へぇ、簡単なんだ…僕も飲みたくなって来たYO…」

「他にお勧めなのは、ブランデーをベースに作った『ニコラシカ』モナね。

飲みたくなってきたなら、これからモナの家に来て一緒に作るモナ?」


彼の笑顔がまるで仏のように見えた。

その一言を、僕は待っていたのだ。

モナーの作るカクテルを飲める…しかも温かくて、とびきり美味しそうなのを。

僕は嬉しさのあまり、脳内で狂喜乱舞しながら叫んだ。


「勿論! モナーのテクニックを是非とも伝授して貰いたいからな!」

「じゃあ、これから家に行くモナ。あ、そうだモララー」


モナーが急に立ち止まった。


「何? どうしたの、モナー」

「これはモナの見解だけど、『ホットカウボーイ』は好みがはっきり分かれるカクテルモナ」


彼の発言に、僕は怪訝そうな表情で尋ねる。


「どういうこと?」

「要するに、好きな人は『温かくて美味しい』と思ってくれるモナ。

でも、嫌いな人は『うげぇ、何だこりゃあ!! 気持ち悪っ!!』としか思わないモナよ。

だから、一口飲んでみてもし気分が悪くなったりしたら、無理して飲まない方がいいモナ。

モララーはいつもモナのカクテルを美味しそうに飲んでくれるから、余計に心配モナ」


…つまり、ジエンがニクコプーン大好きなのに、僕がニクコプーンを食べるとアヒャってしまう…ということと同じってことかな。

それなら、何となくわかる気がする。

でも、モナーの作るカクテルはどれも絶品だけに、不味くて飲めないなんてことはあり得ないんじゃないかと僕は思った。


「えー、でもモナーなら誰が飲んでも満足できるカクテルを作れそうだけどな」

「別に飲みたいなら全部飲んだっていいモナよ。ただし、あとで吐いたって知らないモナ」

「う…そう言われると飲みたくなくなるじゃないか…」


すっかり鬱顔になって思い悩む僕に、モナーは笑顔を向けた。

半分落ち込んでいる僕の肩を叩き、微笑む。


「まぁ、まずは飲んでみればいいモナ」





モナーと一緒に作った『ホットカウボーイ』が僕の好みに合ったのかどうかは、また別のお話。










第3話:「ソルティ・ドッグ」



いつもモナーにねだってカクテルを作って貰う僕だけれど、一人でだってカクテルは作れる。

ただ、その味がプロ並みに上手いかと言われると自信はないけれど…。

でも僕としては、それなりに美味しく出来てると思うんだ。

…自分でこんなこと言うのも何だけどさ。



数日前、モナーに『カウボーイ』を作って貰った僕は、久しぶりに自分でもカクテルを作ってみようと思い立った。

モナーがくれたカクテルのカタログを手に取り、ぺらぺらとめくる。


「お、これなんか美味しそうだなぁ」


僕の目に留まったのは、「ソルティ・ドッグ」というカクテルだった。

ウォッカをベースに作られた、さわやかな飲み心地だと書いてある。

そういえば、今年の夏にモナーに作って貰った覚えがある。


「確か、『ジン・トニック』と並んで人気の高いカクテルだったっけ…」


僕はそのページが閉じないように上から押さえつけて跡を残すと、本を持って早速キッチンに向かった。

冷蔵庫を開けて、前にモナーに貰ったウォッカの瓶と、グレープフルーツジュースのパックを取り出す。

おっと、氷の残量もチェックしておかないとね。

一通り準備の終わった僕は、愛用のシェイカーを食器棚の奥から取り出して机に置いた。


「えーと…まずグラスの縁に塩を塗って、スノースタイルにする…か」


戸棚から塩の入った入れ物を取り出し、用意しておいたグラスの縁に飾るように塩を塗る。

塩は天井からの光を反射して、まるで本物の雪のように輝いて見えた。

ああ、なるほど…だから「スノースタイル」っていうのか。


「ウォッカ45mlを注いで…グレープフルーツジュースを適量入れたら、ステアして完成かぁ…何だ、凄い簡単じゃん!」


モナーには劣るけど、僕だってシェイカーぐらい扱える。

僕は材料をてきぱきと注ぐと、シェイカーの脇を両手で掴んでステアし始めた。


「…この瞬間が一番爽快だからな!!」


このシェイカーを振る瞬間。

僕はどうしようもない高揚感に襲われる。

モナーはそれは自分も同じだと言っていたけれど、こうも言っていた。

「その高揚感に支配されてしまうと、良い味は作れないモナ」と。


「集中しないといけないんだよな…そうしないと、味を見失うって…」


僕はプロのバーテンを目指している訳ではない。

カクテル作りだって、モナーに勧められたのがきっかけで、趣味としてやっているだけだ。

しかし、作るからには「素人だから所詮こんな味なのか」と言われたくない。

自分でも、そう思って納得はしたくない。

だから、僕はこうやってカクテルを自分で作る時は全力で取り組む。

それはもう、趣味の領域を超えているのかもしれない。


「…ふぅっ、そろそろいいかな」


僕はグラスに中身を注ぐと、部屋のライトに掲げてよく見直してみる。

白っぽい黄色をした、ほのかに塩の香りの漂うカクテル。

黙って、僕は一人グラスを傾けた。


「…美味いからな! たまには一人で作るカクテルも良いからな!」


グレープフルーツの苦みが少し気になるが、グラスに塗られた塩が口直しになり、それほど違和感はない。

実にさっぱりした、気持ちの良い飲み心地だった。


「しかし…一人酒っていうのもまたオツなもんで良いねぇ…良いんだけど…」


駄目だ。

どうも、僕は一人でカクテルを飲んでると落ち着かないらしい。


キッチンを出て、携帯に電話をかける。

…やっぱり、酒はみんなで飲む方が良いから。


「モナー、カクテル作ったんだけど一緒に飲まない? うん、ギコやしぃちゃんも呼んで。

え? それなら最近覚えた新メニューを披露するって? 楽しみだなぁ、僕の家で良い?

うん、ギコ達には僕から連絡しておくから。それじゃ、また後でね!」


モナーとの電話を切った僕は、意気揚々とギコに電話をかけ始めた。

お酒から、広がっていく友達の輪。

…いいなぁ、こういうのって。


「あ、もしもしギコ? しぃちゃんも居る? 実はさ…」





勿論、それからは楽しかったよ。

モナーの新メニューも、相変わらず美味しかった。

しぃちゃんがカクテル大好きなのは意外だったけどね。

…また、作ってみようかな。

カクテルを。



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