記憶戻師［きおくれいし］とは日本に１６人しかいないエリートしか出来ないお仕事。
主な仕事は『記憶障害の人の記憶を戻すこと』。
所属は主に医療系か犯罪系で。
わたし，しぃは今年，この［警察庁記憶戻師試験］の受験者です。
筆記を合格し，実践試験の会場に来ています。
試験内容は『記憶喪失者の記憶を２週間いないに戻すこと』。
それが出来れば記憶戻師，または記憶戻師補佐になることが出来ます。
「４番，しぃさん」
「はい」
しぃは試験会場である小部屋に静かに足を踏み入れた。
どきどきする。どんな患者［クランケ］さんなんだろ…。
部屋に入るとニッコリ笑った如何にも愛想の良さそうなお兄さんがひとり。
「初めましてなんじゃネーノ？君担当の記憶戻師試験官のネーノなんじゃネーノ」
「はじめまして，よろしくお願いします！」
頭を下げるとネーノは席を勧めた。
「…で，いきなり本題だけど今回君が担当の患者は……おーい。入れなんじゃじゃネーノ？」
「ああ…」
ギィッ…とネーノの後ろの扉が開き，入って来た人物を見，しぃは目を丸くした。
［記憶戻師基本知識１］
・患者は担当戻師よりも年齢が低い場合が多い。
入って来た男性は煙草を咥えていた。いかにもなんか…やる気のなさそうな……そんな顔の。
明らかにしぃよりもずっと年上の人。
「フーンだ。よろしく」
「ここは禁煙なんじゃネーノ？」
まあ座れとフーンに着席と煙草を消すようにと灰皿で促すとしぃに向き直りにっこりとし。
「患者のフーンだ。気付いたら道ばたに転がっていたらしい。以前の記憶が全くないから戻してあげて？」
呆然。
ええ。もっちょっと…え？道ばたにって…あんた…。
しれとして頬杖を付いているフーンにしぃは自分の血の気がサアァー…と引いているのが分かった。
「え…あの…普通患者さんってわたしよりも年下なんじゃ…」
どうみても年上ですよね？ネーノさん。私１７なんですが。相手は20代いってていいと思うのですが。
それとも何ですか。私の方が年上に見えますか。そんなに老けて見えますかワタクシ。
「ん。そうだね。フーンが２４だからな」
そうだねってそんな普通に言わないでくださいよ。７歳も年上じゃないですか。
肯定してるってことは私この患者さんに決定ですか。マジですか。
「思ってる事が顔に出てるぞ，嬢ちゃん」
フーンが煙草の火を消しながら言う。
「ぅ…す…すみません」
「謝る事はないんじゃネーノ？こんなオッサンがクランケだなんてビックリもするだろ」
お前も同い年だろうがとフーンは軽く機嫌悪そうにいうがネーノは流した。
「合格条件は規定通り。二週間以内に記憶さえ戻せばいい。開始時刻は本日２：00ジャスト」
「はい。了解しました」
「そのオッサンは自由に連れ回したり何してもいいからね」
「オイコラ…＃」
「そのオッサンが発見された状況や日時，その他の詳しい情報は試験開始後まとめて書類にして渡すから」
と，いう訳で…
「フーンさん。年齢24歳（推定）出身はディラクスシティ。
発見場所ディラクスシティ南部に位置するヤオールの高層ビル街の道ばたど真ん中。
所持品は…煙草とライターのみですね。一体何してたんですか」
「……いや俺記憶ないから聞かれても困るんだが」
「記憶がないにしてもですよ。なんでまた煙草とライターのみなんですかねって話です」
「……知るか＃」
「煙草吸わないでくれますか。噎せます。気分が悪くなります。
それと歩き煙草なんて子どもに当たっちゃったらどうするんですか」
「…………」
フーンは黙って煙草をしまう。五月蝿い嬢ちゃんだと内心で舌打ちした。
2人が歩いて向かっている先はしぃの研究所。
…といっても記憶戻師のための専門機関。
試験の間，見習い記憶戻師には必要な道具や書物が丸々揃った部屋が配給される。
プロの記憶戻師と同様に，だ。
記憶戻師専門機関【defect of memory manhurt experte cable】
通称，略して【DMC】。
しぃはDMCのガードマンに認証書を渡すとガードマンはサッと敬礼し鍵を渡した。
フーンはしぃの後について歩く。
「嬢ちゃん。ここには初めて来たのか？」
「違う。初めてだわ。ずーっと憧れてた所なの」
「フーン…よく…迷わないな」
確かに入りくねった階段やら何本にもつながる廊下。
おまけに同じような作りの置物やら鏡やら。どの階にいっても同じような光景なのだ。
「そうよね…まあでも野生の勘？ってよりは女の勘で突き進んでる感じ。合ってるのか分からないけど」
主な仕事は『記憶障害の人の記憶を戻すこと』。
所属は主に医療系か犯罪系で。
わたし，しぃは今年，この［警察庁記憶戻師試験］の受験者です。
筆記を合格し，実践試験の会場に来ています。
試験内容は『記憶喪失者の記憶を２週間いないに戻すこと』。
それが出来れば記憶戻師，または記憶戻師補佐になることが出来ます。
「４番，しぃさん」
「はい」
しぃは試験会場である小部屋に静かに足を踏み入れた。
どきどきする。どんな患者［クランケ］さんなんだろ…。
部屋に入るとニッコリ笑った如何にも愛想の良さそうなお兄さんがひとり。
「初めましてなんじゃネーノ？君担当の記憶戻師試験官のネーノなんじゃネーノ」
「はじめまして，よろしくお願いします！」
頭を下げるとネーノは席を勧めた。
「…で，いきなり本題だけど今回君が担当の患者は……おーい。入れなんじゃじゃネーノ？」
「ああ…」
ギィッ…とネーノの後ろの扉が開き，入って来た人物を見，しぃは目を丸くした。
［記憶戻師基本知識１］
・患者は担当戻師よりも年齢が低い場合が多い。
入って来た男性は煙草を咥えていた。いかにもなんか…やる気のなさそうな……そんな顔の。
明らかにしぃよりもずっと年上の人。
「フーンだ。よろしく」
「ここは禁煙なんじゃネーノ？」
まあ座れとフーンに着席と煙草を消すようにと灰皿で促すとしぃに向き直りにっこりとし。
「患者のフーンだ。気付いたら道ばたに転がっていたらしい。以前の記憶が全くないから戻してあげて？」
呆然。
ええ。もっちょっと…え？道ばたにって…あんた…。
しれとして頬杖を付いているフーンにしぃは自分の血の気がサアァー…と引いているのが分かった。
「え…あの…普通患者さんってわたしよりも年下なんじゃ…」
どうみても年上ですよね？ネーノさん。私１７なんですが。相手は20代いってていいと思うのですが。
それとも何ですか。私の方が年上に見えますか。そんなに老けて見えますかワタクシ。
「ん。そうだね。フーンが２４だからな」
そうだねってそんな普通に言わないでくださいよ。７歳も年上じゃないですか。
肯定してるってことは私この患者さんに決定ですか。マジですか。
「思ってる事が顔に出てるぞ，嬢ちゃん」
フーンが煙草の火を消しながら言う。
「ぅ…す…すみません」
「謝る事はないんじゃネーノ？こんなオッサンがクランケだなんてビックリもするだろ」
お前も同い年だろうがとフーンは軽く機嫌悪そうにいうがネーノは流した。
「合格条件は規定通り。二週間以内に記憶さえ戻せばいい。開始時刻は本日２：00ジャスト」
「はい。了解しました」
「そのオッサンは自由に連れ回したり何してもいいからね」
「オイコラ…＃」
「そのオッサンが発見された状況や日時，その他の詳しい情報は試験開始後まとめて書類にして渡すから」
と，いう訳で…
「フーンさん。年齢24歳（推定）出身はディラクスシティ。
発見場所ディラクスシティ南部に位置するヤオールの高層ビル街の道ばたど真ん中。
所持品は…煙草とライターのみですね。一体何してたんですか」
「……いや俺記憶ないから聞かれても困るんだが」
「記憶がないにしてもですよ。なんでまた煙草とライターのみなんですかねって話です」
「……知るか＃」
「煙草吸わないでくれますか。噎せます。気分が悪くなります。
それと歩き煙草なんて子どもに当たっちゃったらどうするんですか」
「…………」
フーンは黙って煙草をしまう。五月蝿い嬢ちゃんだと内心で舌打ちした。
2人が歩いて向かっている先はしぃの研究所。
…といっても記憶戻師のための専門機関。
試験の間，見習い記憶戻師には必要な道具や書物が丸々揃った部屋が配給される。
プロの記憶戻師と同様に，だ。
記憶戻師専門機関【defect of memory manhurt experte cable】
通称，略して【DMC】。
しぃはDMCのガードマンに認証書を渡すとガードマンはサッと敬礼し鍵を渡した。
フーンはしぃの後について歩く。
「嬢ちゃん。ここには初めて来たのか？」
「違う。初めてだわ。ずーっと憧れてた所なの」
「フーン…よく…迷わないな」
確かに入りくねった階段やら何本にもつながる廊下。
おまけに同じような作りの置物やら鏡やら。どの階にいっても同じような光景なのだ。
「そうよね…まあでも野生の勘？ってよりは女の勘で突き進んでる感じ。合ってるのか分からないけど」
