モナー小説掲示板ログ保管庫@wiki(´∀`*)

素直な気持ち (外道小説家)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
======================================================================
はじめに……

この小説は既存AAはかなり少ないです。オリキャラが苦手で、苦情を言うのは出来るだけ控えてください。
======================================================================


              ~素直な気持ち~


 どんなに冷酷な者でも、何かに縋りついて泣きたくなることだってある。

 どんなに能天気な者でも、強い心を持っていることだってある。

 素直な気持ち――― それは、心の奥底にある本当の自分。




第一章 幸せすぎた日常


 小高い丘の上に、その建造物は建っていた。
 白い煉瓦造りの建物で、中心に位置する尖がり帽子の屋根には、一つの旗が付けられている。黄色い布地の中心に、翼のようなものが描かれている旗だった。
 屋根は全面赤色に統一されており、一部にはテラスのような所も見える。
 そこから見下ろされる所には、沢山の家々が軒を連ね、南東から当てられる太陽の光は、暖かみを帯びていた。

 小さいながらも立派な城と、のどかな町が肩を寄せ合っている。
 ここはディアルド。名を知るものは少ない辺境の王国である。

 そこに響くのは、元気な子供の声だった。

「うわぁーい! 引っかかったー!」

 煉瓦で造られている壁の中から、その声は響く。同時に、若い男女の声も聞こえてきた。

「王子っ! 悪戯はお止めください!」

 その声は、困ったかのように響いている。だが、その嘆きのような声も、元気な子供の声でかき消された。

「やっだねー!」

 内部――― 廊下は赤い絨毯が敷き詰められ、壁や窓の脇には立派な文化財らしきものが置かれている。高価そうな壷、永久銀ミスリル――永遠に反射光を放ち、錆びることのない貴重な物質――で出来た鎧など、それは何十個にも上った。
 そんな廊下を、一人の少年が駆けている。藍色の体に、貴族の服を着させられており、精悍で大人らしい顔つきなのだが、表情は正に悪戯っ子そのものだった。
 不敵な笑顔で笑いながら駆けていく少年を、何人かの男女が追いかけている。鎧に身を包ませた兵士や、女官姿の女性だった。
 その後ろには、慌てふためいている女官の姿がある。彼女の抱えている洗濯籠には、粘着性の強いスライムが置かれていた。

「少しは王子らしくして下さい!」

 困ったような表情で、追いかける男女の先頭を走る兵士が嘆く。それに聞く耳を持たず少年、否、王子は廊下を全力疾走していた。

「王子なんてかったるいよーだ!」

 後ろを少し振り向き、口元から舌を出す。後ろの男女達は息切れしながら、前方を走る、自分が仕える主の子に嘆息する。

 これはこの城普段の日常。
 だが、何気ないこの日常は崩れ去ろうとしている。
 ディアルドの王子、ディス・イング・ディアルド七世。まだ、七歳の春であった―――

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー