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春風の道

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個性には長所があり、短所があり…。

作:中級

2005/03/24(木) 14:39:46

個性は誰もが持っている。長所があり、短所があり…。
そうして今の平和があるのかもしれない。


青い空、清々しい風。今日は穏やかと言うに相応しい1日だ。
しかしそんな風景とはまるで噛み合ってない1人のAAが居た。
そのAAは道路を駆け足で走っている。おそらく帰宅途中なのだろう。
暫くして家に着くと、夏でもないのに水をガブ飲みする。
飲み干すとようやく落ち着きを取り戻したようだった。

「はぁ…、参ったな。」
溜め息をついているこの黄色いAAの名はギコ。
ギコは消学生で運動神経は良く、成績もまあまあだ。
性格は何を言おうとにかく活気な奴だ。そのせいか困ったことも多いのが難点だ。
そして最近ギコには困った事があった。

その時「ピンポーン!」とブザー音がギコの耳に入った。
今家にはギコ以外誰も居ないので、ギコは玄関へ行った。
そこには居たのはギコの知り合いだった。

「やあギコ。」
ギコの家へやって来たこの桃色のAAの名はしぃ。
ギコよりしっかり者だがこれでも同級生だ。
しぃは優しくて何かとお人好しだ。度が過ぎることもしばしばあるが。
ギコの家にはよく足を運んで来る。

ギコはしぃを部屋へと招く。
しぃは「お邪魔しまーす。」と部屋に入るが。
「相変わらず…。何とかならないの、この部屋。」
そう言われても仕方がない。はっきり言って散らかっている。
「余計なお世話だ。」
分かっているのについそう言ってしまう。

それから暫く経つがしぃの様子がどこかおかしい。
さっきからギコの身体をジロジロ見ている。
しかしギコにはそれが何を指しているのかは分かっていた。
「あのさ…。」
その声はギコの耳には響くように感じた。
「ギコ、切ったほうが良いんじゃない…髪。」
言われてしまった。そうなのだ、ギコの髪はかなり伸びてる。
だがギコは髪を切るのが凄く嫌いだ。

誰もがたかが髪を切る位と思うだろうが猫AAとなれば話は別。
他のAAとは違い全身をカットしなければならないのだ。
更にあのギコとなれば嫌うのも無理はない。
だからと言って切らない訳にもいかないのだが…。

「別に…、勝手だろそんなの。」
やはりつい言ってしまう。
だが今回ばかりはそう言う訳にもいかない。
「あのさぁ…、いくら何でも限度があるでしょ。」
ギコは何だか逃げ出したくなった。
だがそう言う訳にはいかず、やけになって「切る。」と言ってしまう。
ギコも仕方ないと半ば諦めたのだが、その時しぃが思いもしないことを言いだす。

「じゃあさ、今から行って来なよ。」
ギコは「そりゃないだろ。」と思った。
正直しぃはお節介だ。
けれどギコはしぃのそんな所が好きだったりする。
ギコは髪を切りに行く事にした。

ギコは家を出て暫く歩くが、進むに連れ段々足取りが重くなっている。
ギコはやっぱり日を改めて行こうかと考えた。
お節介なしぃはもう家へ帰っていたのでやめるのは簡単だ。
けれどそのお節介をギコは無駄にしたくはなかった。

それから暫くしてしぃは買い物の序でにギコの様子を見に行った。
すると店の前に立っている髪の伸びたギコの姿がしぃの目に映った。
「ったくギコったら…。」
それを見たしぃは「ほら。」とギコの背中をポンと押す。
そしてようやくギコの髪はカットされていった。

しぃは買い物を済ませて家へ帰ろうとしていた。
するとそこへ綺麗さっぱりしたギコがやって来た。まるで別人だ。
それから会話が弾んでいくがしぃの思わぬ一言で空気が変わる。
「ギコったら店の前で立ってるんだもん。参っちゃうよ。」
するとギコはおかしな顔をしてしぃを見てきた。
「何言ってるんだ…しぃ。俺は家を出てからお前には会ってないぞ。」
しぃはギコの意外な返事に訳が分からなくなった。
だがその意味もこの後すぐに分かることとなる。

「どうもおかしいと思ったら、そう言うことだったのか。」
後から誰かの声が聞こえ、2人は後ろを振り向くとそこにはギコとそっくりなAAがいた。
「え…、どうしてギコが2人も。」
しぃのその言葉を聞いてギコはまさかと思った。そしてそのまさかだった。
「俺はギコじゃない、フサだ!」
2人は呆然と立ち尽くすしかなかった。


個性は誰もが持っている。長所があり、短所があり…。
しかしそれがあまりにもいき過ぎると、ろくなことにはならない。
…とは言えこの例は少しオーバーだろう。

ちなみにこの後2人はフサに散々な目に遭わされたのは言う間でもない…。


後書き 2005/03/24(木) 14:42:26

ギコの髪が長くてフサと間違われると言う話を書きたかったので書きました。
まさかこんなにテーマがずれるとは思いもしなかった…。
まさかこんなにオチがショボくなるとは思いもしなかった…。
とまあ適当な所もあるけどとうとう投下してしまいました。

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