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†NightmareCity†  イツワリのマチ (小坊ですが何か?)

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匿名ユーザー

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―――イツワリの街から出なさい。

さぁ、逃げて。

私は、行けない―――


彼女は呟き、俺は螺旋状に渦巻く光へ飛び込んだ。

待ってろ。

すぐに、すぐに助け出すから。

俺の意識は途切れ、このイツワリの街から逃出した。

何故、こんな事になってしまったのか。
それは、誰にも解らない。

†NightmareCity† ~第一章~


Human-Brain Research Final Phase

事件の末端は一人の科学者の一言だった。
「仮想空間で夢を共存は実現できるのか?」
最初は、馬鹿げた空想談だ、と他の科学者は鼻で笑った。

そしてその実験が取扱われるのは、遥か永劫の先。
ある科学者は機械を製造をした。
それは繭に似た様なカプセル。
俺はその中に入れられたんだ。―――実験体として。

本当は、誰でも良かったんだ。
―――俺は人生に飽きていたし、正直、人生に鬱屈していた。
だから躊躇せず、実験体立候補したのかも知れない。
「所詮は遊びだろ。・・・・・・他の奴らも誘うか」
そう言って、気軽にチャット仲間を集めた。
そして鈍色のカプセルに俺は入れられた。
身体全体が光り輝き、俺はその恍惚とも称せる輝きに眼を瞑るのを
余儀なくされた。そして、身体と精神が剥される様な衝撃の後、意識
を失った。フサギコやおにぎり、流石兄弟も同じだろう。

その時だった。
意識が薄れ、消え去りそうな寸前、誰かが叫んだ
「・・・・・・AIが暴走してる・・・? 皆、装置を止めて!」
俺はこの言葉しか捕えれなかった。
そして、辿り着いたのは、桃源郷でもなく

「ど、何処だよ、此処・・・?」
鈍雲が渦巻く、廃墟と化した街だった。


第一話「偽りの街」

俺はまだ寝ぼけているのだろうか。
確かに、社交的なビルは聳立している。
軽トラや大型トラック、多数の車も陳列するかの様に配置
されてある。
しかし、この景色は異様としか思えない。
「あ、そうだ、携帯・・・」
と、ポケットを探ろうと脱力する右腕に力を籠める。
「な・・・? 手が、猫ォォォ!?」
そう、俺の手はまるで落書き帳に書かれる絵のような、黄色の手だった。
悪寒が背筋を閃光の如く走り、下半身も見入る。
――――――やはり肢体も猫だ、猫。猫と称さずに何と言えば良い?
まるで変らないのは、黄色の猫耳のみ。
鮮やかな黄色の髪は消え失せていた。ハゲだ、ハゲ。
と、平常心を保つ為に深呼吸をして、他の仲間を起そうとする。
だが―――仲間は近辺に居ない。存在していないのだ。
「ま、マジかゴルァ!」
思わず口癖を発声させた。
心が暗闇に包まれるような感じがする。
とにかく、この街を把握する事にする。

確かこの街はボードゲームの様に、大きな街のみの筈だ。
回りを見渡すと、大きな鉄橋に視線を泳がした。
よし、あそこにとりあえず向おう。
仲間と合流して、何とかこの異様な街の事を知らなければ。
とりあえず平静を保つが、漠然とした雰囲気が漂う。
とりあえず、歩く。
靴を履いている様にコンクリートを踏み締める感触はしない。
先程、寒気がしたのを思い出した。どうやら五感も存在するようだ。
そして十字路に差し掛かる。
鉄橋は遥か東に位置する。
「さて、バイクでも使うかな・・・」
とマンションの様な建物のガレージに収納されるバイクを見た。
免許は仮免許だが、一応持っている。運転操作は造作もない筈だ。
と逆方向の西に踵を返した。
すると、俯き、石段に凭れ掛る猫を発見した。
可愛らしい、淡いピンク色だ。だが、綺麗なのかは解らない。
「・・・実験者か?」
確かに自分以外にも実験者は多数、存在する。
だが、何故俯いているんだろう。
この事態を知っているかも知れない。
俺はそう思い歩幅を大きくして、彼女―――色からそうであろう―――に
近付いた
「大丈夫か? 何かあったのか?」
すると彼女は降りかかる声に気付き、身を震わした。
・・・・・・そこまで怖がらなくてもいいと思うが・・・。
正直落胆する気持を堪え、社交辞令を述べる
「俺はギコだ。君は?」
「・・・・・・」
ピンク色の猫は少し考える様に空を見上げ
「しぃ」
とだけ短く答えた
「しぃ、か。しぃも実験体・・・・・・?」
と聞くと少し肩が震え、顔を強張らした
「う、うん」
と答える。どうやら、何か知っている様子だ。
「この街の事を何か知ってるか?」
「・・・・・・偽りの街」
「え?」
よく聞き取れなかった
「理想郷の筈だった。けど、今は・・・・・・」


AIが暴走する、絶望の街よ――――――

一瞬、何か何だか解らなかった。
AI、てのは解る。このプロジェクトを考案した、管理人の事を指す。
鼓動が速くなっていた。
すると、ポケットからメロディが流れ出した。
少し驚き、それが携帯の発信音だと解った。
俺は素早くポケットに手を突っ込み、赤色の携帯電話を取り出した
「・・・ギコだ」
「ギコか?」
図太い、男らしい声が聞えた。―――フサギコだ!
「フサギコか! どうした! 何処にいる!」
「大型トラックの上! それより大変だ! 白い猫と赤い猫が
 俺達を襲って来た!」
「・・・つー、モナー!」
俺はフサギコの言葉より、しぃの言葉に驚いた。
つー、モナー。二人ともAIじゃねぇか!
「・・・・・・解った! 俺は十字路交差点、マンション前だ!」
言うが先か。携帯には雑音が鳴り響いていた。

何で、AIの人間がここに居るんだ?

俺にはちっとも、欠片も理解出来なかった。

†††

「ひゃははは!」
トンネルに無人トラックは差し掛かる。
トンネルに高々しい狂乱の声が響き渡る。
茶色の猫―――フサギコは赤い猫が乗るトラックに乗移った。
「くっ、この狂乱人間―――猫が!」
そう罵りながらもフサギコは焦る。
赤い猫の両手には、短剣に似た赤い刃が出現していた。
「つー、このDQNの相手は自分がするモナ」
つー、と呼ばれた赤い猫は頷く。
「じゃあ、俺の相手は・・・」
その時、後ろからバイクが突如現れた
「大丈夫かフサギコ!」
するとフサギコの目が喜色に輝いた
「兄者!」
流石兄弟の兄、兄者だった。
姿は猫だったが、一流のバイク運転手である兄者の
技術ですぐに解った。
「こいつの相手は俺に任せろ!」
「解った。頼む!(てかそれって囮と同義語だな・・・)」
見た限り、兄者は何も武器を所持していない。
後ろの座席に愛用のノートパソコンが括り付けられている。
「あたいと勝負しようって言うのかい? 上等だよぉ!」
とつーは舐める様に刃を口元に近付け、トラックから飛び降りた。
足は決してふらつく事はなく、迅速の速さで兄者を追う。
・・・・・・何とか、敵が一人減ったか。
フサギコは先程拾った剣―――カトラスの柄を握り締めた。

「じゃあ、行くモナ」
そう呟く様に言うと、手を眼前に伸ばした。
すると淡い緑色が手中に輝き、握る手を放すとオールの様な
形状の武器が出現した。
「行くぞォォォ!」
フサギコは荷台を蹴り飛ばし、飛び掛る様に猛進した。
モナーは鼻で笑うと、双刃の刃を腰辺りに持って来て対峙する。
そして袈裟切りを仕掛けた。鈍色にトンネルのライトで
光り、モナーの刃と交じり合い、火花を散らした。
どうやら不具現物質ではないらしい。
モナーは一度交代すると、刹那突き出す様にフサギコに伸ばした。
槍の様なリーチを持つそれは、フサギコの頬を掠った。
鮮血が流れ、組み合う形になる。
「その程度モナ?」
モナーは嘲笑した。
「へっ、タイピングで鍛えた器用さをくらぇぇ!」
そう言ってまた、摩擦音が鳴った。



まだ、悪夢は始まったばかりだ

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