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流石遊記~ソニアたん編~ (十六夜)

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匿名ユーザー

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 この世界よりもちょっとズレている世界に『人猫』と呼ばれる

 生き物が住んでいる・・・。らしい

 人猫っていうのは、人間猫の事で

 人間みたいに喋ったり歩いたりする生き物なんだ。

 でもそんなの本当にいるのかわからない。

 そういう世界があるかないかさえもわからない。

 そうだ!今日は君に人猫の伝説、流石遊記の話をしよう。

 人猫の冒険の話でね・・・



 第一記 田の国 旅立ち

「あ~暑い・・・」

 畑に仰向けになり太陽と睨みあっている人猫が一人。

 容姿は、緑色に染まっている。

「兄者。仕事をしろ」

 兄者と呼ばれた人猫は、あまりの暑さに気がめいっているのか返答なし。

 兄者と対照的で鍬をザックザックと動かしている人猫が一人。

「・・・晩飯が食えなくてもいいのか?」

「疲れた」

「・・・母者に怒られてもいいのか?」

「・・・・・・・・・」

 兄者は返答に困る。

 母者というのは兄者と弟者の母である。

 口より手か足が出る凶暴な母親だ。

 殴られた所は三日は痛むとか。

「わかった。やるよ・・・・・・」

「プッ」

 兄者はやっぱり母者に弱い。

笑いをこらえる弟者の姿に兄者はムカっと来た。

「弟者よ。何故笑う##?」

「いやいやいや。思い出し笑いだ」

「そうか」

 勝手に納得した兄者にさらなる笑いの波が押し寄せる。

「おーい流石のきょうだーい!」

 遠くの方から声がする。

 兄者は起き上がり土を払う。

 声の主であろう者がこちらに走ってきた。

 じょじょに明らかになるその姿は、白い毛並みで垂れ目の人猫。

「なんだ?モナーおじさん」

 モナーは弟者のそばで荒れた息を整えだす。

 汗を拭き言う。

「ギコエル様が呼んでいるぞ」

「何?」

 ギコエルというのは一人の神の名前。

 純白の翼を持ち見る者を圧倒するという。

 人猫を呼ぶというのは異例の事だ。

「・・・本当なのか?」

 疑いが強い心地で聞いてみると「ああ」とモナーがうなずく。

「ギコエル様に仕える巫女、しぃ様が聞いたらしい。
 
 〔緑と青の衣を纏いた人猫を呼べ〕と・・・」

「・・・・・・」

 俺達しかいないってわけか・・・。

 この世界がいくら広いといえど緑と青の体の色をしたのは兄者と弟者だけなのだ。

 兄者は、弟者に近づき言う。

「弟者よ。“善は急げ”だぞ?」

 本当にこれが善なのか?まぁ神様に呼ばれるのは善としか言いようがないが。

 兄者と弟者は、鍬を畑に指し神が祀られる神殿へ向かった。


 ~神殿~

「スゴイな・・・」

 初めて見る景色に兄者がポツリと言った。
 
 周りは目が痛いほどの金の壁。

 人猫の像が渡り廊下にズラーと並んでいる。

「ついたモナ」

「これは・・・・・・」

 大きな扉が目の前に飛び込んできた。

 流石、神の祀られている所。異常だ・・・。

 兄者と弟者は唖然としてそれを見つめているばかり。

「来られましたか」

「!あ・・貴女様は!」

 モナーが素早く振り向く。
 
 巫女服に体を包んだ人猫が像から姿を現していた。

 体色は桃色。頬が少し赤らんでいる。

「これが噂の神のお告げ役、しぃ様か?」

 弟者が珍しそうに言う。

 しぃはクスと笑い扉の前へ歩いていく。

「モナーさん、ここまでお二人方を連れて下さってありがとうございます。

 お帰りになってもよろしいですよ」

「あっ!はい!ありがとうございますっ!」

 モナーは深く頭を下げて帰路を辿っていった。

 しぃは、クルリと背中を扉側にして二人を見る。

「ギコエル様が俺等を呼んだのは本当なのか?」

 兄者が聞くとしぃは静かに頷く。

「ギコエル様が貴方方を呼んだのは『ある人』を救って欲しいからなのです」

 弟者が「ある人?」と聞く。

「ある人とは・・・世界の風を運ぶ歌姫・・ソニアと呼ばれる者なのです」


「ソニア?聞いた事がない名前だな?」

 弟者が首をかしげ言う。

 しぃはクスリと笑う。

「そりゃそうですよ。ここより遥か西にいると言われる歌姫なのですから」

 歌姫か。さぞかし美しいだろうな。

 兄者の顔がにやける。
 
 しぃは静かに続ける。

「2週間頃前でしょうか。風が来なくなってきたのは。私はその奇怪現象をギコエル様に聞きました。答えは、歌姫、ソニア様がいなくなったからというものだったのです」

 だからこの2週間以上に暑かったのか。

 弟者は静かに納得する。

「ソニア様は風神に近い力を授かっています。だから風を起こしているのです」

「確か、風神は力が強すぎる為封じられていたな?」

 弟者の発言にコクリと頷く。

「そのソニア様がいなければ異常気象が続きます。作物も育ちません。お願いします、ソニア様を救ってくれませんか?」

 沈黙の空気が流れる。

 破ったのは兄者の一声。

「やろう。弟者!」

「兄者・・・・・・」

 こんな輝いている兄者は初めて見る。

 多分・・・ソニアがスゴイ美人という想像からだろう。

 昔から、そんな所は変ってないな。

「わかった。その仕事引き受けよう」

「有難うございます!」

 しぃの顔が満面の笑みに変る。

 兄者と弟者はお互いに見合わせ言う。

「「流石だよな俺等!」」


 ~田の国・門~

 早朝。

 流石兄弟とモナーとしぃが門の前にいた。
 
 二人は旅に困らないほどの荷物をリュックに詰め背負っていた。

「気をつけてください」

「無事に帰ってこいよ」

 モナーとしぃが心配気に言う。

 兄者は、フっと笑い

「大丈夫!しぃ様から貰ったこの武器で立派に戦って勝ってみせますよ!」

* * *
 
 昨晩の事。

 必ず「黒幕」が存在するという事で二人には武器が渡された。

 兄者には、自然の力、『雷力』が発動できる剣、雷剣、「ナルカミ」。

 弟者には、自然の力、『火力』が発動できる斧、火斧、「ヒノト」。

 どちらもしぃが封印した伝説上の武器である。

 その価値は金で払える物ではない。

 二人は改めてこの旅の大切さを実感した。

* * *         

「じゃ行ってきます」

 兄者と弟者がしぃとモナーに背を向け歩きだしていく。

 しぃはゆっくり手を組み

「どうか二人に幸あらんことを」

 そう念じた。

 が願いは数秒で玉砕した。

「こぉぉぉんのぉぉぉぉ馬鹿兄弟がぁぁあああああああ」

「!!!!!!」

 ズドォォォン。

 流石兄弟の前に何かが落下してきた。

 砂埃で姿が見えないがじょじょにはっきりしてくる。

「母者・・・・・・?」
 
 弟者がその落下物の名前を言う。
 
 兄者がもう終わったかのような顔をしている。
 
「はい。弁当だよ」

 母者はズンズン流石兄弟に近づいて弁当らしき物を渡す。

 とりあえず二人は礼を言う。

 毒が入っているのではという心持ちをして。

「気をつけてな。馬鹿兄弟」

「大きい兄者ぁ小さい兄者ぁ行ってらっしゃい」

「とにかく身体だけは大切にな」

「できたら他国の良い育毛剤買ってきて」

 いつの間にか妹者、姉者、父者もいて流石家がそろっていた。

 兄者と弟者は

「行ってきます」

 そう言って流石家に背を向けて歩いていった。


 第二記 水の国 伝染の水


「暑い・・・・・・」

 二人は、田の国から数キロ離れた砂漠に来ていた。 
 
 はかりしれない暑さに気がめいっていた。

「水・・・・・・弟者よ、水をくれ」

 兄者が死にそうな声で言った。

「兄者よ。まだまださきは長いのだ。まだ辛抱しろ」

 兄者は、コクリと頷く。

 その時、兄者の所だけ影になった。

「涼しい・・・・・・弟者よ俺は良いことをしたんだな。きっとそうだ」

 影の出現を勝手に自分の良い様に解釈した。

 ありえない事だ。影ができるなんて。

「どうせ大きな雲だろ・・・なにっ!」

 弟者が見上げる先には、雲と同じ大きさであろう飛行物体が飛んでいた。

 目のような模様がいくつもある。手足も数えきれない程あった。

「キキキキキキキキキキ」

 耳が痛くなる声を上げ流石兄弟に突進してくる。

「「うわぁぁぁぁあああああ」」

 二人共ギリギリで避けれた。

 兄者のいた所には、敵がが深く潜り込んでいて砂を食べていた。

 あれがもし兄者だったら。命は、ないだろう。

「なんだあれは!?」

 混乱する兄者に弟者はとりあえず「もちつけ」と言っておく。

「兄者!アイツは、敵だ!武器を持て!」

 弟者は、『ヒノト』を持ち敵に狙いを定めて大きく振り落とした。

「ぉらぁ!」

 振り落とした瞬間、烈火が迸り敵に直撃した。

 敵は、低くうなりまた高い声をあげ弟者に突進してきた。

 さっきまでの速さとは比べものにならないほどのスピードで。

「!!」

 すぐに間合いを詰めらえその大量の足が弟者の身体を絡める。

「がぁぁああ!!!」

 弟者の叫びと骨が軋む音。

 兄者は、あるモノを見つけた。そして薄く笑う。

 『ナルカミ』を持ち

「弟者!ちょっと耐えろよ!」

 敵に突進して敵の腹部あたりを切った。

 とたんに電撃が迸る。

「★♪×○◇~!!!!」

 意味不明な弟者の叫びと

「キキキイキイイィィィッキキキイ!!!」

 敵の高い声の叫びも聞こえた。

 敵が崩れ落ちる。
 
 その衝撃が弟者の新たに激痛を加える。
 
 力なくスルスルと弟者を絡めていた足が解かれていく。

「弟者ぁ!」

 弟者のそばに駆け寄る。

 顔を覗くとそこには、兄者を睨む顔がある。

「馬鹿兄者!!!!」

 ドゴっと兄者の頬に弟者の拳がめり込む。
 
 鈍い音があたりに響いた。

 頬に手を添えた兄者が涙眼でいう。

「仕方なかった事だろっ弟者がドジなばかりにっ」

「あんな速いスピードをどう避ければいいのだっ!?答えろっ」

「答えれるわけないだろっ」

「いばるなっ」

 睨みあう二人をよそに重い身体を起こす敵。

 たくさんの目が細められまだボロボロのたくさんの足を兄弟達に放つ。

 それに気付いたのは、弟者。

「っ!兄者!」

「なっ」

 弟者が、兄者を押し倒し足を流す。

 弟者の頭上を掠める大量の足を兄者が呆然としながら見送る。

 二人は、素早く起き上がり各々の武器の矛先を向ける。

「兄者、さっき思いついた作戦を言う。2度は言わんぞ」

「わかった」

弟者が兄者を引き寄せ耳に小さく声を出す。

「-----・・・わかったな」

「待て。それは俺だけが不公平ではないかっ」

「五月蝿いんだよ馬鹿兄者」

「まっ・・・はい・・」

 弟者の蛇にも似た眼光に押されうなずく。

 脅迫だ。

「よし行くぞ兄者っ」

「わかった」

 兄者の眼には涙が浮かんでいた。

「弟者よ死にたくな「黙れ」

「・・はい」

 もう弟者には逆らえなかった。


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